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2005年3月 の投稿

検証・日本の組織ジャーナリズム

カテゴリー:未分類

著者:川崎泰資、出版社:岩波書店
 このところ新聞やテレビに、チェック機能のみならず特ダネやスクープも少なくなっているように感じる。私もまったく同感です。つまらないこと、どうでもいいことは大きく取りあげ、本当に私たちが知らなくてはいけないことはちっとも大きく報道されていない。そんな気がしてなりません。たとえば、イラクのサマワです。日本の自衛隊が出かけて1年になります。いったい、どんな町なのか、NHKは特派員を出して、定期的に街の様子を知らせてほしいと思います。いえ、自衛隊に反対している人の声だけを紹介しろというのではありません。賛成している人もいていいのです。もちろん反対している人が多いんだったら、それも報道すべきです。いまサマワの市民がどんな生活をしているのか、日本人は知る必要がありますし、NHKはそれを知らせる義務があるように思います。
 ところが、この本が強調しているように、イラク戦争が始まったとたん、NHKも一般マスコミも記者は全員イラクから撤退してしまいました。ヨーロッパの報道機関は残ったのに・・・。そして、NHKは自衛隊員のとったビデオをそれと知らせずに放映したのです。なんとも情けない話です。
 NHK福岡放送局の局長室(応接室)に入ったことがあります。まるで大企業の社長室という雰囲気なので、居心地が悪くなりました。海老沢前会長の往生際の悪さはひどいものでした。まったく私物化しています。天下の公共放送が泣きます。
 NHKの組合員の6割がNHKを政府の御用機関と考えているそうです。でも、今や御用機関どころか、国家機関そのものではないのか。著者は厳しく指摘しています。世論調査の報道にしても、政府に都合が悪い結果が出たときには報道しないというのです。ひどいものです。そう言えば、NHKはイラク戦争反対の集会やデモ行進をまったく報道しません。憲法改正反対の声をあげた有識者による「九条の会」についても報道しません。
 やっぱり、テレビはNHKをふくめて見る価値がないとアンチ・テレビ派の私は考えています。いかがでしょうか・・・?

「さまよう刃(やいば)」(東野圭吾)

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「裁判所は犯罪者に制裁など加えない」この文章に胸を一撃されました。被害者の遺族の怒りと悲しみはどこへぶつけたらいいのか。正義の刃(やいば)とは何だろうか。社会常識を身につけないまま身体だけが大人になってしまった少年たち。少年法はこのままでよいのだろうか。被害者側にとっての司法の在り方というものを深く考えさせられる1冊です。

「日曜日の読書」(阿刀田高)

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紅茶を飲みながら、耳障りにならない程度のクラシックをかけて、教養たっぷりハイソサエティな休日の午後・・・なんて感じです。どの講義?も興味深いです。

名主文書にみる江戸時代の農村の暮らし

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著者:成松佐恵子、出版社:雄山閣
 福島県にあった二本松藩。そこで長く名主だった安斎家に残されていた人別帳をもとにして、江戸時代の中後期の農村の実情を探った本です。日本人は本当に昔から記録を残すのが大好きだったんですよね。モノカキを自称する私は、ついうれしくなってしまいます。
 人別帳には、氏名、年齢、続柄などのほか、出生・死亡・縁組など、ことこまかに記入されています。だから、7割が嫁入婚、残る3割が婿入り婚。4人に1人は最初の結婚を離別で終えていて、3分の2の夫が再婚している。これは女性(妻)についても同様で、離婚率はきわめて高かった。こんな事実が分かります。
 名主(なぬし)は、必ずしも世襲ではなく、一般の百姓からの新規取立も3割をこえていた。不正があればもちろんのこと、状況に的確に対応できない名主も罷免されることがあった。
 当時の平均寿命は、男子が38.8歳、女子が35.7歳で、今とちがって男子が少し高かった。明治20年代になって、ようやく平均寿命は44歳台になった。ところが、江戸時代にも65歳以上の人はかなりいた。この村では、最高時13%だった。2003年度の日本の全国平均が19%だから、決してひけをとらない数字だ。
 人口減をくい止める対策として、二本松藩は、赤子養育手当を取り入れた。第3子に金2分、第4子に金3分、第5子以上には金1両が与えられた。この資金は藩からの拠出金のほか、豪農豪商からの献金による。金融業をしている人物が1人でポンと1000両を拠出するということもあった。ものすごい金額です。
 村ではバクチやケンカが多くて、その取締りに苦労していた。なんてことも分かりました。日本人が競馬やパチンコを好きなのは昔からの習性なんですね、きっと・・・。

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