著者:オリヴィェ・フェルミ、出版社:新潮社
インド最北部。ヒマラヤ山脈の谷間、標高3500メートルのザンスカールに住む兄妹とフランス人との心あたたまる交流が紹介されている。なにしろ1年のうち8ヶ月は雪のため下界と途絶する地方である。冬の気温はマイナス30度。村人は村を出ることもない。町まで出るには危ない山道を2週間以上も歩かなければならない。途中で遭難してしまう危険も大きい。
登山家をめざしていたフェルミは写真家でもある。夫婦で滞在型の冒険旅行を始め、ロブサン一家と知りあい、その子どもであるモトゥプとディスキット兄妹と知りあった。この兄弟は学校で勉強をはじめると成績優秀で、兄は外交官に、妹は医師になるのを目ざしている。とても故郷の村には帰りそうもない。
命がけの綱渡りのような壮絶な旅をそのまま実況中継した。そんな写真が素晴らしい。さすがはプロのカメラマンだ。
凍れる河
