著者:松久淳、出版社:小学館文庫
私が純愛ものの小説に挑戦していることを知っている知人から奨められて読みました。
夜空に綺麗な花火があがります。いえ、人の眼を驚かすようなものではありません。どちらかというと昔風の花火です。あっ、やっぱりそうですね、線香花火のようなものと思ってください。音はあまり大きくないんですが、胸の奥にツーンと鳴り響いてきます。
そうです、かなりの高音なのに「アルルの女」のフルートのような低い響きをともなって心をゆさぶるのです。じわじわと花火が広がっていきます。色彩が少し変わります。淡い色なんです。これが萌黄色というんですね。黄色がかった緑です。それが少しずつ黄土色に変わっていきます。なんだか、春の野原でタンポポつみでもしている気分になってきます。ああ、これで終わりかな、と思っていると、最後に大きく広がった大輪の端々が軽くポンという音をたてて一斉に花を咲かせるのです。赤・青・黄いろんな色がにぎやかです。さあ、人生を楽しもうよ。そう呼びかけているっていう感じです。ほら、この花火を2人で見たら、きっと、その2人は将来うまくいきます。断言できます。きっとです・・・。これが恋火なんです。
以上は、私の創作です。本にはこのようなシーンはありません。
本のいいところは、想像力をかきたてて、自分を自由にいろんな空間へすぐその場から連れていってくれることです。
天国の本屋、恋火
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