著者:黄?暎、出版社:岩波書店
「現代韓国最高の作家」が朝鮮戦争の真実を語った小説です。まさに朝鮮民族の悲劇があますところなく描かれています。
最近の韓国映画『ブラザーフッド』にも、北朝鮮軍による人民虐殺と捕虜殺害のシーンがありました。あれは歴史的な事実だと思います。しかし、同時に韓国軍の方も、北朝鮮の人々と人民軍捕虜を虐殺しています。
この本は、これらの事実をきちんとふまえつつ、北朝鮮で人民軍シンパ層を虐殺したのが、キリスト教信者であったことを明らかにしています。「汝の敵を愛せ」ではなく、「敵は殺せ」を実践したのは、熱心なキリスト教徒たちだったのです。
キリスト教とマルクス主義は、考えてみれば、一つの根から生えた二つの枝であった。
済州島四・三事件のときに島民虐殺で名をはせた西北(ソブク )青年団はキリスト教徒を主体としていた。
うーん、キリスト教って、いったいどんな宗教なのか、改めてそのことも考えさせられる小説でした。同じ民族同士、顔見知り同士が、イデオロギーの違いで殺しあった朝鮮戦争の痛手を韓国はまだ克服しきれていないように思えます。
客人(ソンニム)
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