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拒否できない日本

著者:関岡英之、出版社:文春新書
 日本で今すすんでいる事態は、すべてアメリカの身勝手な要求であることを、アメリカ政府の公文書などによって裏づけた本です。
 たとえば、アメリカがなぜ日本にアメリカ型の経営制度を導入するよう圧力をかけているかというと、日本企業の社外取締役に就任したアメリカ人が、アメリカに居ながらにして経営をコントロールできるようにしているということ。
 また、国際会計基準を日本に導入させる狙いのひとつは、外資による日本企業の買収を妨げる系列(ケイレツ)や株式持ち合いの解消を促進し、外資が株を取得するチャンスを増やすことも含まれている。
 いま日本ですすめられている司法改革についても、弁護士や会計士などのアメリカの知的専門職業サービスの対日進出は、アメリカの他のサービス産業や製造業の対日進出の橋頭堡としても重要だ。つまり、アメリカの法律事務所が日本に根を張っていれば、アメリカ企業の利益になりそうなオイシイ日本の情報がどんどんアメリカに流れてくるし、アメリカ企業が日本の法律や制度の不都合な部分を改正するよう内政干渉したりするときの知恵袋として駆使することができる。このようにしてアメリカ企業にとって有利なビジネス環境を日本につくり出すという目的で、いまの司法制度改革がある。すなわち、アメリカ政府が日本の司法制度について改革を求める意図は民主化とはなんの関係もない。
 著者は、アメリカを批判すると、すぐに、それは日本の自己責任をアメリカのせいに転嫁する陰謀史観だという批判が出るが、まったくあたっていないと指摘しています。陰謀史観だというレッテルを貼って思考停止してはいけないというのには、まったく同感す。

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