法律相談センター検索 弁護士検索
2004年8月 の投稿

現代の戦争報道

カテゴリー:未分類

著者:門奈直樹、出版社:岩波新書
 日露戦争の開戦時に、『万朝報』の黒岩周六は、次のように言ったそうです。
 戦争が起これば、新聞の発行部数が伸びるというこの現実を無視するわけにはいかない。
 いや、むしろ、マスコミが戦争を人々にあおりたて、それでもうかっていったのではないでしょうか。
 湾岸戦争は、生中継による最初のテレビ放映戦争だった。テレビ記者たちは、戦争の全体像よりも、部分を撮影することに興味をもつ。魅力ある物語、競争力の強い話題をつくれというプレッシャーに常にとりつかれている。
 残酷なシーンを映しださない限り、テレビの映像は視聴者にとって、ハリウッドの戦争映画と同じで、日頃のうっぷん晴らしに役立つ現実逃避の世界だ。
 軍事評論家は、科学技術に対する異常な好奇心、崇拝心を視聴者に起こさせる一方、反戦・平和の声をかき消してしまう。
 アル・ジャジーラには、暗黙の了解事項として、表現の自由と反対意見の尊重、そして何より異質なイデオロギーの共存があった。このネットワークがアラブの独立した発言権を求める情熱をみたすことを目的にして出発したテレビ局であった。アラブには、3500万人の定期的な視聴者がいる。
 イギリスのBBCは、番組制作にあたって詳細なガイドラインをつくり、それを公開している。日本はNHKをはじめとしてガイドラインをつくっているものの、公開はしない。そこで、政府寄りになってしまう。
 こんな指摘がなされています。本当に、いまの日本のマスコミの政府の政策に盲従する報道のひどさには呆れてしまいます。

しずり雪

カテゴリー:未分類

著者:安住洋子、出版社:小学館
 感動の時代小説短編集とオビにあります。この本を読みながら、山本周五郎の世界を思いだしました。今から30年前、弁護士になる前の司法修習生のとき、山本周五郎の本をすすめられて一読し、しばらく耽溺しました。実に心が落ち着き、しっとりした世界がそこにあり、みるみるうちに引きずりこまれてしまいました。
 山本周五郎に比べるとやや物足りない感じもしないでもない本でしたが、しっとりした情感を漂わせて、時代小説に読みふける楽しさを久しぶりに感じさせてくれました。

文学賞メッタ斬り

カテゴリー:未分類

著者:大森望、出版社:パルコ出版
 正直いって、私は賞を狙っています。実は、今まで何回も出品しました。残念なことに一度も入選していません。いえ、佳作みたいになって、出版しませんかという誘いを受けたことはありました。もちろん、すぐに誘いに乗りました。出版社の商魂に乗せられたわけですが、それでもいいのです。この本は、芥川賞、直木賞その他もろもろの文学賞全部の内幕を暴露しています。
 宮城谷昌光は私の愛好する歴史小説の書き手ですが、選者となって、次のように評しています。
 はじめて選考会に出席してみて、具眼の選者の末席に雙眼をすえたというおもいがした。
 さすがに漢文を得意とするだけあって、難しい日本語です。
 石原慎太郎都知事が今も選者となっているそうです。たまりませんね・・・。
 閉塞とか日本社会の衰退とかを文学と重ねるとこ。エラソーな、ごタイソウーなことを言って候補作を否定していく御仁(ごじん)。
 選者としての高樹のぶ子についても否定的に紹介されています。
 全否定だが、多数決に従う。心地よくない。ともかく私は反対した。これじゃあ、まるでPTAのおばちゃんみたい。そもそも小説家として、そんなにすごい人なのか・・・?
 それはともかくとして、この本を読んで、私の畢生の夢であるナントカ賞受賞の可能性がずい分と遠ざかってしまった気がしてしまったのは本当です。トホホ・・・。

インドのソフトウェア産業

カテゴリー:未分類

著者:小嶋眞、出版社:東洋経済新報社
 いま日本のIT技術者は30万人が不足していて、来年になると40万人から50万人が不足する見込みです。ところが、日本では工学部レベルの基礎的な学習基盤が十分でなく、ITスペシャリストやプロジェクト・マネージャーなどの高度な人材の不足がとくに深刻です。その原因は、学生のときにコンピューター工学やシステム工業を専門に学んだ人材が意外に少ないことにあります。
 ところが、インドでは理工系学生が毎年77万人も卒業するうえ、たとえばインド工科大学(IIT)には1学年2500人の定員に10数万人の受験者があり、競争倍率は50倍以上。しかも、試験は英語です。そこでインドでは、毎年、英語力をもつIT技術者が12万人ずつうまれています。アメリカにインド人IT技術者が大量に進出していますから、日本もインド人IT技術者の大量活用を考えるしかないようです。
 インド人は抽象的な思索に卓越した能力をもつ民族と言われています。インドの全人口の35%が今も非識字者というほどの高率なのですが、大学生の数ではアメリカに次いで世界第2位というのがインドなのです。IT世界におけるインドの実力を垣間見た思いがしました。

ヒロちゃん 空を飛ぶ

カテゴリー:未分類

文:ながとひろし 絵:よしえヒロミ 出版社:碧天舎
 1人の男の不器用な生き様を通して生きることの大切さが伝わる一冊。深読みしたらそんな感じです。でも、これは実は絵本。ただし、たかが絵本と思うなかれ。小学校1年生のヒロちゃんの大冒険は、ミドルエイジを童心に還らせてくれました。大人も子供も楽しめます。

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.