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2004年3月 の投稿

江戸の地図屋さん

カテゴリー:未分類

著者:俵元昭、出版社:吉川弘文館
 『切絵図・現代図で歩く江戸東京散歩』(人文社)という本があります。1年間、ほとんど東京それも皇居周辺をウロウロしていましたので、江戸時代はどんな町並みだったのか興味があり、ときどき書棚から取りだしては眺めています。彦根藩井伊家の上屋敷がどこにあったのか、などが古い図面(切絵図といいます)と現代図で対比しながら説明があって、大変わかりやすい本です。
 この本によると、武家屋敷には表札や看板などがまったくなかったので(テレビの時代劇に表札があるのは視聴者の便宜のため)、不便でしょうがなかった。そこで、どこの大名なのか書きこんだ地図が売れたということです。
 江戸の地図は当初きわめて正確につくられていたけれど、250年かかって不正確なものへ変化していったそうです。見た人が分かりやすいように変わったということです。伊能忠敬をもち出すまでもなく、正確な図面をつくる能力は江戸時代にあったのです。でも、つかう人の便宜を考えて、絵図面いりの図面がつくられていきました。やっぱり、正確さより分かりやすさなのですね。

獄中記・地獄篇

カテゴリー:未分類

著者:ジェフリー・アーチャー、出版社:アーティストハウス
 ジェフリー・アーチャーはイギリスの有名な作家です。イギリスの政治家でもあり、サッチャー政権時代に保守党の副幹事長をつとめたこともあります。世界的なベストセラー作家ということですが、私は一冊も読んだことはありません。
 そのアーチャーが、2001年に4年の実刑判決を受けて2年間の刑期をつとめ、昨年7月に仮出獄しました。この本は、その入獄直後の状況を伝えたものです。一代貴族となったほどのアーチャーですから、処遇は恵まれていたと思いますが、それでも刑務所の受刑者となったことに変わりはありません。日本の刑務所との違いに目を開かされます。
 刑務所内には2台の公衆電話があり、受刑者はテレホンカードで外部と自由に電話で話ができる。面会のとき、抱きあったり、キスしたりできる。ただし、ビデオにとられている。受刑者がぶちのめされるのはシャワー室。1度に4人しか入れず、大きな音をたてても怪しまれない。だから、受刑者のなかには1年もシャワーをあびない者がいる。
 アーチャーは、獄中でも1日6時間の執筆タイムをとり続けました。1回は2時間ずつに限っているそうです。イギリスの刑務所では、日本の刑務所より格段の自由が保証されていることがよく分かる本です。

あきらめの壁をぶち破った人々

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著者:中尾英司、出版社:日本経済新聞社
 実用企業小説と銘うたれています。大企業における業務改革プロジェクトをたちあげ、様々な困難と障害を乗りこえていく様子が描かれています。小説ですから、フィクションが多分に入っているのでしょうが、実話を元にしているというだけに、生々しくもあり、教訓も引き出しやすく整理されています。なにより、会社に勤めたことのない私にも、企業内の業務改革がいかに困難なものか、よくよく想像できる本でした。
 最後のあたりに、メルマガを活用して情報伝達したという話が出てきます。私も日刊メルマガを1年間続け、大きな手ごたえを感じた経験がありますので、その点は大いに共感しながら読みました。

誰か

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著者:宮部みゆき、出版社:実業之日本社
 自転車にはねられて1人の中年男性が死亡した。殺されたのか・・・。中年男性の過去を探っていくと、意外な過去が浮かびあがっていく。そして、残された姉妹の微妙な葛藤は何を意味するのか・・・。
 宮部みゆきの現代ミステリーです。何気ない会話が緊迫感をもって迫ってくる筆力には、いつも感心させられます。でも、正直言って、今回は、少しばかり、あれっと思いました。少々肩すかしを食ったという気がしたということです。

動機

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著者:横山秀夫、出版社:文春文庫
 大雪の日、大分出張の帰りに大分駅で買いました。雪で列車に閉じこめられそうな予感がしたからです。案の定、夜7時に出て、本来なら2時間で博多駅に着くはずのところ、なんと5時間かかってしまいました。夜中の博多駅では、多勢のホームレスの人々が段ボールに囲まれて寝ようとしているところでした。
 『半落ち』『クライマーズ・ハイ』など、横山秀夫のミステリーは読ませます。警察署内部の人間模様を描く「動機」、地方新聞社の女性記者の揺れ動く心理状況をテーマとした「ネタ元」など、ストーリーも情景描写もなかなかのものです。ぐいぐい引きつけられ、列車のなかに缶詰めにされていることを一瞬忘れることができました。
 この日の夕食は、缶酎ハイとチクワ一本のみでした。我ながら、すごいダイエット食です。やはり、人生では思わぬ事態に遭遇するものです。

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