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自殺した子どもの親たち

著者:若林一美、出版社:青弓社
 自殺は人間のする人間的行為である。それは固有の人間の問題なのだ。それなのに、人は人間を見ずに自殺を論じている。これは、とかく統計的なマクロな視点のみから問題を捉えようとしていた私にもグサリとくる指摘(苦言)でした。
 「ちいさな風の会」という、自殺した子どもの親の集まりがあることを知りました。死別から3年くらいに一つの節目を迎える人が多いということです。悲しみの質が、肉体的な苦痛から沈静化し、さらに奥深く入っていくというのです。
 残された親の手記を読んで、別離の悲しみが惻々と伝わってきました。
 私たちは、単に生きている人間を見ておれば、それが「いのち」を見ていることだと思ってはいけない。たしかに生物としての人間を見ていたとしても、それは、ただ「いのち」の影しか見てはいないことも多い。もう二度と再びこの愛するものの顔を見ることができないかもしれないという、そういう思いをこめてじっとみつめたときに、はじめて目の前に立ち現れてくるのが、本当の「いのち」というもの。
 なかなか考えさせてくれるいい本でした。

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