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2003年10月 の投稿

国銅

カテゴリー:未分類

著者:帚木逢生、出版社:新潮社
 ときは天平15年(743年)。鳴くよウグイス、平安京(749年)より50年前。長門周防の工夫が、奈良の大仏建立に駆りだされていくさまが実にこまかく「再現」されている。その迫真の描写力にはホトホト頭が下がる。上下2分冊で合計600頁をこす長編だが、「感涙の大河小説」というオビの文句に嘘はない。山から鉱石を掘り出し、棹銅(銅板)をつくり、平城京へ運ぶ。そして、奈良の大仏像の建立に従事する一人の男の生活があますところなく描かれている。奈良時代の庶民(匠)の生活はこうだったのかと思い至ることができる。じっくり読んで、これぞ小説の醍醐味だ、とつい膝をうってしまった。

生物時計の謎をさぐる

カテゴリー:未分類

著者:ジョン・D・パーマー、出版社:大月書店
 あなたは朝型人間ですか。それとも夜型人間?
 男性は早起き鳥1人に対して3人の夜型フクロウ人間がいる。女性ではその割合は1対2。いずれにせよ、体温リズムがピークに達するのは、仕事をするうえでもっとも効率があがる時間帯に一致している。体内時計のおもな働きは周期的に変化する環境のなかで、次にやってくる変化に体を準備しておくということにある。
 いったい身体のどこに生物時計はひそんでいるのでしょうか。生物の不思議は、まだまだ完全には解明されていません。それにしても、日本から出かけるときには、アメリカよりヨーロッパに行くのが断然楽ですよね。だから、私はヨーロッパに行くのが好きです。それも一度ビジネスクラスに乗ってみましたが、いくら値段が高くても、あのリクライニングシートの快適さはなんとも言えないですね。もうエコノミー症候群になるのを心配するのはコリゴリ。そんな気がしています。贅沢な話ですみません。

ビアフラ戦争

カテゴリー:未分類

著者:室井義雄、出版社:山川出版社
 悲惨なビアフラ内戦で多くの餓死者を出したことは記憶に残っていた。ビアフラがナイジェリアの一部であったことを今回初めて認識した。ナイジェリアの大統領はオバサンジョという名前だ。よその国の大統領を笑うのは大変失礼だと思うが、日本人としてはオバサンじょとしか聞こえないものだから、つい笑ってしまう(ごめんなさい)。
 ビアフラ内戦がなぜ記憶に残っていたか、この本を読んで謎がひとつ解けた。それは、私が憧れの東京で大学生になった1967年5月にビアフラ共和国が「独立」したことに端を発して内戦が始まったからだ。大学生になったら、いろんなことができると大きな希望を抱いて上京したが、たちまちその幻想は砕かれてしまった。砂をかむような学生生活にならなかったのは寮生活とサークル(セツルメント)活動のおかげだった。
 ビアフラ内戦によって戦死者20万人、民間人の死者2万人、餓死者150万人、全部で犠牲者200万人といわれている。国際的な救援活動によってビアフラ軍がよくもちこたえ、結果として内戦を長期化させ、犠牲者を増大させた。そしてナイジェリアの油田はシェルBP石油などの国際石油資本に巨額の利益をもたらしているが、地元にはほとんど還元されていない現実がある。救援活動もマイナスをもたらすことを知ったが、それにしても部族間の血を血で洗う報復戦闘のくり返しには、やり切れない思いに駆られる。この本は、そんな悲しいアフリカの内戦の実情を紹介している。

すべては傍受されている

カテゴリー:未分類

著者:ジェイムズ・バームフォード、出版社:角川書店
 NSA(米国国家安全保障局)の正体を暴いた本。
 NSAの総予算は175億ドル。職員はCIAとFBIの職員の合計より多い3万8千人。ところが、さらに2万5千人が数十ヶ所の傍受基地で雇われている。三沢空軍基地にはアメリカ陸軍第750軍事情報中隊がいて、インテルサット衛星8をつかってデジタル衛星通信の傍受と分析している。辞書というコードネームのコンピューターが傍受アンテナを通過する何百万の通信の中から、キーワード、名称慣用句、電話・FAX番号を含む監視リストに該当するものがないか一瞬のうちに検索する。要するに、このメールを含めて、インターネットを含むすべての会話と回線のすべてがNSAによって傍受されているということ。
 ところで、映画『13デイズ』でキューバ危機の内幕が描かれているが、この本によると、アメリカ軍の統合参謀本部は陸海空からの本格的侵攻(全面戦争)を強く主張していた、そのため、キューバにあるグアンタナモ米海軍基地をカストロが攻撃したような芝居をうつ計画まで立案していたという。ところがケネディ大統領がこの案を却下して、CIAによるキューバ亡命軍の侵攻になった。この計画が失敗したら、本物の侵攻作戦に代わるだろうとペンタゴンは思っていたが、そうはならなかった。そこで、ケネディ大統領を憎んだ。ケネディ暗殺にアメリカ軍の上層部がかんでいたという背景状況が説明されている。アメリカには底知れない恐ろしさがある。キューバでは失敗したが、インチキ・トリックはベトナムでは「成功」した。トンキン湾でベトナム軍による2回目の攻撃はなかったのにアメリカ軍が攻撃されたと大々的に宣伝し、その「反撃」のために北爆が始まった。今回のイラク攻撃のときの「大量破壊兵器」と同じインチキ・トリックだ。軍人というのは口実がないときには口実をデッチ上げてまでも戦争を始めようとする恐ろしい人種だ。つくづく恐ろしい。知らぬが仏ではあるが、寒気を覚える。それでも、オサマ・ビン・ラディンをアメリカが捕えきれないのはなぜなんだろう?

刑務所の中のごはん

カテゴリー:未分類

著者:永井道程、出版社:青林工芸社
 刑務所ではどんな食事をしているのか。いわゆる臭い飯って、どんなものか。知りたいと思っている人は多いと思う。この本は、それに図解入りでこたえてくれる。体験談だから間違いないと思うが、かなり美味しいようだ。
 ご飯は麦が4割。お米は玄米で買って中で精米するので意外に美味しい。ボリュームのあるカレーもあり、ウナ丼もある。ある日の献立を紹介すると、朝は梅干し、まぐろ缶にご飯と味噌汁、昼はサワラの塩焼・肉ジャガ・桃缶、夕方はけんちん汁・大根あさり煮・めかぶ・ブルガリアヨーグルト。10日ごとに食事のメニュー表が 貼り出されるが、年に1回開かれる献立編成会には受刑者の代表も参加する。夏にアイスクリーム、節句に柏餅、クリスマスにはケーキ、正月には2段重に入ったおせち料理という特別食が出る。正月3ヶ日は、ラジオを聴きながらのんびりとせんべいやチョコレート、羊羹をつまむこともできる。といっても刑務所の中では、食べて働いて寝るという非常に単調な生活が毎日毎日くり返される。自由が奪われているなかで、食べる楽しみだけはあるということだろう。

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