著者:多田多恵子、出版社:SCCガーデナーズ
私がガーデニングを楽しみはじめて10年以上になる。犬を飼っているときには難しかった。犬が庭を走りまわって、せっかくの花や野菜と枯らしてしまう。
愛犬マックスを病気(ジフテリヤ)で死なせてしまってから、花と野菜づくりにいそしむようになった。土いじりは幼いころのドロンコ 遊びとひとつも変わらない。だから、無心で遊べる。ミミズにこんにちわを言い、モグラの穴とぶつかる。気をつけないとヘビにニアミスしてしまう。
花も野菜も、手をかけた努力に精一杯こたえてくれるのがうれしい。花の美しさも、妖艶、艶(あで)やか、艶麗、という形容動詞をつけることができる。たとえば今咲いているノウゼンカズラは、まさに肉感的な橙々色の花だ。
この本を読むと、植物が生き残りのために、あの手この手の作戦をねっていることが、美しい花の写真とともに見事に解説されていてよく分かる。
「植物だって恋をする」、たしか、そんな本があったと思うが、生き物はすべてつれあいを求めて、その本能につき動かされながら生きている。人間様だけが恋に悩んでいるわけでは決してない。
したたかな植物たち
