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心地いい里山暮らし

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者  今森 光彦 、 出版  世界文化社
 うらやましい里山生活の日々を写真で紹介している楽しい本です。
 著者は高名な写真家です。生物や自然をたくさん撮ってきました。そして、ペーパーカット作家でもあり、この本にも見事な作品が紹介されています。
 琵琶湖の西岸、大津市の郊外に居を構えたのです。近くには棚田があります。アトリエをつくり、雑木林があり、ガーデニングエリアをもうけました。近くには水田環境もあります。四季折々の花や蝶そして小鳥たちの素敵な写真が紹介されています。私も花の名前を前よりは知っていますが、著者は知識は数段上回ります。
アトリエの庭先にテーブルを出して休憩中の著者の写真が紹介されています。緑ふかいなかで、時間がゆったり流れていくのです。うらやましいほど、ぜいたくなひとときです。
 ガーデニングをも、私とは違って、明確な目的があります。たとえば、チョウの集まる庭づくりです。
幼虫のエサになる食草も、チョウによって異なる。そして成虫となったチョウの好む花も異なっている。アゲハチョウは、ミカン類が好き。カラタチに目がない。エノキは、オオムラサキ、ゴマダラチョウ、ヒオドシチョウに欠かせない。
 そして土づくりにも精を出します。これは私も及ばずながら努力しています。我が家の庭も、黒づんで、ふかふかしています。おかげで、ミミズも大盛況。そして、モグラが生活しています。
著者が私と違うもののひとつが料理です。いかにも美味しそうな料理に挑戦します。もちろん、地元産の食材をつかうのです。
 里山生活には、いろんな不便も実際にはあると思うのですが、こんな素晴らしい四季折々の風景写真を眺めると、里山生活を誰だって堪能したくなりますよね・・・。といっても、私自身も自然のすぐ近くで生活する楽しみを、日々、実感しています。
(2015年4月刊。2000円+税)

若冲

カテゴリー:日本史(江戸)

(霧山 昴)
著者  澤田 瞳子 、 出版  文芸春秋
 京都の錦高青物市場に店を構える老舗の「枡源」の四代目の店主は、商売そっちのけで絵を描くばかり。稼業は弟たちにまかせっきり。
江戸時代、対象をじっくり観察して描く生写は、画家には必須の素養だった。粉本(ふんぽん)模写を基本とする狩野派ですら、これは同様で、長崎からもたらされた動植物の生写や、将軍の鷹狩や社寺参詣に際しての行列図作成は、御用絵師たる狩野家の重要な任務の一つだった。
 加えて、国内屈指の学問興隆の地である京都では、本草学の隆盛にともない、動植物の詳細な写し絵が多く求められた。それゆえ、京の画家は、生写の腕こそが画技を左右すると見なし、みな懸命研鑚を重ねていた。
 そう、ところ狭しと掛けまされた鮮麗な絵には、一つとして生きる喜びが謳われていない。そこに描かれるのは、いずれ散る運命に花弁を震わせる花々、孤立無援の境遇をひたすらかみしめるばかりの鳥たち。身の毛がよだつほどの孤独と哀れみが、極彩色の画軸から滔々とあふれ出している。
 若冲の絵って、本当に、そんな印象を与えていますよね・・・。
 見る者に鮮烈な印象を与える若冲の絵に秘められた奥深い情念を、あますところなく文章で表現した本でした。圧倒されました。
(2015年6月刊。1600円+税)

織田信長「天下人」の実像

カテゴリー:日本史(戦国)

(霧山 昴)
著者  金子 拓 、 出版  講談社現代新書
 織田信長の実像に迫った新書です。
 信長は、秀吉とちがって、全国統一をかかげて権力をふるおうとしていたとは考えられない。信長の行動基準は、あくまでも天下静謐の維持という点にあった。
 信長においては、官位によって彼の「天下」の外にあって好意的・従属的な関係を結んでいる諸大名までをも統一的に秩序づけようという考え方はまったくもっていなかった。
 しかし、将軍推任を受け、信長は、それまでの天下静謐の維持という大義名分を自己否定するかのように、征服欲をむき出しにしたいくさを中国・四国方面に仕掛けるという最終決断をしたのではないか。
 だから、光秀が、それまで一貫していたはずの天下静謐のための戦いという目的から逸脱しつつある信長の動きを頓挫させようとしたのではないか。となると、天下静謐を根底から揺るがせたのは、光秀ではなく信長だったことになる。
 本能寺の変の直後、朝廷は光秀を天下人とみなして、京都の安全保障を要請する使者を遣わすなど、謀叛人扱いをせず、それなりの対応をしている。基本的に朝廷は、自分たちを保護してくれる人間であれば誰でもよく、武家権力者が誰であるべきだという理念を前提として動くことはなかった。
 信長が印章につかった「天下布武」(てんかふぶ)というのは、将軍を中心とする幾内の秩序が回復することを指す。戦国時代の室町将軍において、維持すべき支配領域とは京都中心の「天下」であった。それは、日本全国を意味していない。
 信長は、天下静謐を維持することを自らの使命とした。信長の勢力拡大は、天下静謐に歯向かう敵と戦った結果として生じた。
 信長は官位に対してみずから選択するほどの知識はなかったし、また執着心もなかった。
 信長は積極的に左大臣任官を希望していない。
 譲位についての天皇の頑張な拒否があり、逆に積極的な譲位推進の思惑もない。信長は、どうにかして左大臣を辞退しようとしたものでもない。任官がないことを承知のうえで、信長は天皇の譲位延期を受けいれたはず・・・。
 信長の実像を明らかにしようという、意欲的な内容にあふれた新書です。
(2014年8月刊。880円+税)

女たちの平安宮廷

カテゴリー:日本史(平安)

(霧山昴)
著者  木村 朗子 、 出版  講談社選書メチエ
 「栄花物語」によむ権力と性、というのがサブタイトルについている本です。
 平安時代、女性は政治のうしろにいて、表舞台にあらわれていませんでしたが、その実、政治を動かしていたのは女性だった。それを実感させてくれる本でもあります。
 平安時代の摂関政治の最大の関心事は、閨事(ねやごと)、つまり男と女の性の営みにあった。
 摂政関白という地位は、天皇の外祖父が後見役になることで得られるものだから、大臣たちは次々に娘を天皇に嫁入りさせ、親族関係を築いていた。
 摂関政治は、結果として、一夫多妻婚を必然とした。後宮に集う女たちは、天皇の籠愛をえるために、そして天皇の子、とりわけ次代の天皇の寵愛を得るために、次代の天皇となる第一皇子を身ごもるために競いあった。
 摂関政治は男たちの権力闘争だった。そして、それを実際に動かしていたのは、いくつものサロンの抗争、女たちの闘争だった。そのことを細やかに伝える書物が藤原道長の栄華を描いた歴史物語「栄華物語」である。「栄花物語」は、物語の形式をとりながらも史書として企図されたものであった。
当時の女たちが漢字漢文を使わないのは、使えないというのではなく、知らないふりをすることが、女たちのたしなみであったから。その証拠に、「枕草子」にも「源氏物語」にも、漢詩が引用されている。
 天皇を中心として宮廷において、多くの女たちが天皇の后候補として、あるいは女房として参内(さんだい)し、後宮を形成した。その後宮を支配するのは、当の天皇ではなく、摂関家であった。
 天皇の系を存続させながら、そこに寄生することで、権力を得た摂関政治にとっては、性そのものが直截(ちょくせつ)に政治であった。
 摂関政治においては、后の位を強化するより、むしろ、出産によって次の天皇を生み出すことに権力闘争の中心があった。天皇家との婚姻関係だけでは権力は生み出されなかった。天皇のこの誕生と闘争の地点をずらすことによってのみ、藤原氏は、家格として「正統」となりえた。
 藤原氏だけが天皇の孫、つまり二世の女王と娶る(めとる)ことができた。藤原氏の優位性は、実質的な権力に依存しながら、天皇の皇女を得ることによって強化された。
 天皇の父になることはできないが、天皇の母になることはできた。
 そして、子育てをするのは、母親ではなく、雇われた乳母(めのと)であった。そうすることによって、母親をすばやく次の出産態勢に戻し、多くの子どもを抱えることを可能とした。
桓武天皇の詔以来、天皇の娘は藤原氏に独占的に与えられてきた。
 後宮においては、誰の娘かということで女たちは序列化されていた。娘たちの入内(じゅうだい)は家格によって序列化されており、その家格は、天皇の娘がどのように分配されているかという問題にかかわっている。
 天皇の子でありながら、臣下である藤原氏は、政界で優遇されることによって、その不均衡を埋め合わされていた。他方、藤原氏は、外威という形でしか天皇の系にかかわることができない。
 摂関制度という、藤原氏に有利な制度は、律令に定められた親王優位の制度をいかに骨抜きにするかということに賭けられていた。
 次代の天皇を争う摂関政治の制度は、立后を切り札としてしまいはしなかった。天皇が一人であるのに対して、后は複数存在したからだ。后になること自体は、権力奪取に実質的な意味を持ち得なかった。
 后のなかの后たるものは、母であらねばならない。国母(こくも。天皇の母)のほうに価値が転換された。
 権勢家は、娘が天皇に入内し、男子を生んだとなれば、いきおいその男子の即位を急ぐ。
 父と子が、同じ女性とのあいだに子をもうけるということは、正妻格にはありえないが、女房格にはあった。
 女房の性は、正妻とちがって、囲いこまれているわけではなかった。だから、誰の子であるかは、父側にとって不確かな要素を常にもっていた。子の誕生には、不確かさが入り込んでいた。それは、一夫多妻的な関係が同時に一夫多妻的な関係であったからである。
 平安時代の貴族政治を女性の視点でとらえ直している興味深い本です。
(2014年10月刊。860円+税)
 
  夕方、外出先から戻って庭に出てみると、別の木にヒヨドリが止まってしきりに鳴いている。そこに幼鳥がいるようだ。鳥カゴを見るとなかは空っぽだ。
 その木の下にいってみると、ヘビがいた。そしてヘビの腹がぷっくり太っている。あーあ、幼鳥は食べられてしまったんだ。親鳥は、それでも、夕方まで、木の上でずっと鳴いていた。
 ヒヨドリは、ヘビを発見したとき、うるさく鳴きかわし、ついには人間にまで知らせて、何とかしてくれと言いたかったようだ。しかし、スモークツリーの木のある巣はとても高くて、ヘビをはたき落とせるような位置にはない。
 結局、2羽とも幼鳥はヘビに食べられてしまった。残念だが、仕方がない。これも自然の植物連鎖だとあきらめるしかない。

北朝鮮の核心

カテゴリー:朝鮮・韓国

(霧山昴)
著者  アンドレイ・ランコフ 、 出版  みすず書房
 北朝鮮の金正恩政権がいつまでもつのか、大勢の人が心配しています。もちろん、私も、その一人です。
 張成沢の電光石火の処刑には驚かされましたが、その後も副首相などの処刑が相次いでいるというニュースが流れています。
 いったい、なぜ時代錯誤のような政権が今もなお続いているのか、北朝鮮国内には抵抗勢力はいないのか、不思議でなりません。
 でも、日本も今の自民党を見ていると、同じようなものですよね。多くの国民の意見を無視して戦争法案の成立を強行しようとする安倍首相に対して、あれだけたくさん自民党議員がいるのに、ごく少数の議員を除いて、誰も公然と反対意見を述べれらないのですから。
 北朝鮮だと、それこそ銃殺されるか、強制収容所送りなのでしょうが、日本の自民党議員は自民党公認を得られないかもしれない、だから次は国会議員になれないかもしれないというだけで、安倍首相に文句の一つも言えないのです。情けなさすぎます。
 北朝鮮の指導層は、大国の足並みの乱れを最大限に利用している。理性を欠く国にできることではない。指導層は自分たちが何をしているのか、実際には、完全に分かっている。頭がおかしいわけでも、イデオロギーの虜(とりこ)になっているのでもなく、むしろ冷徹な計算のできる有能な人々である。現代世界で、もっと非情なマキャヴェリ思想の実践者といえる。
 1990年ころ、国内事情の事態が悪化したとき、エリートたちと金一族は改革を避けることにした。国と自民民を支配しつづけるためだ。別の方向に舵(かじ)を切るのは自殺に等しいと考えている。
10万人近い在日朝鮮人が北朝鮮へ「帰国」した。この帰国者たちは、特権を有すると同時に差別されているという奇妙な立場におかれた。1990年代はじめまで、日本からの送金は、北朝鮮にとって、大きな収入源だった。
朝鮮戦争では、平和条約は結ばれていない。1953年に調印されたのは、あくまで休戦協定にすぎない。
 1968年に、北朝鮮は1月と秋に2回、韓国に特殊部隊を送り込んだ。1月には31人が大統領官邸を襲撃しようとした。秋には120人規模で韓国の東海岸に上陸し、失敗した。
 1983年、ビルマのラングーンで韓国の大統領暗殺未遂事件が起きた。
 1987年1月、韓国の旅客機が空中で爆破された。1988年のソウル・オリンピックを妨害する目的だった。
 北朝鮮の社会には、厳然たるカースト制度がある。核心階層、動揺階層そして敵対階層である。この成分は、男親を通じて受け継がれる。
北朝鮮は収容所国家である。2012年の推計によると最大12万人が収容所で生活している。
2008年、北朝鮮の平均寿命は69歳。乳幼児の死亡率が低いのは、政府が個人のプライバシーに踏み込んで全国民を管理しているから。
 北朝鮮のインフラは、植民地時代末期から、ほとんど変わっていない。農業ほど、ひどい打撃を受けた分野はない。
 北朝鮮の平均月給は1995年から2010年まで、2~3ドル。しかし、実際の月収は25~40ドル。庶民の大半は、収入の多くをインフォーマルな経済活動によっている。
中朝間の国境警備は、今ほとんど機能していない。警備兵にリベートを払って、密輸業者が活躍している。
 北朝鮮を脱出して中国に隠れている人々は、常時1万人以上はいるとみられている。
韓国在住の北朝鮮難民の平均所得はわずか1170ドルで、韓国人の平均給与の半分でしかない。
 北朝鮮出身の学生には、韓国の大学で前提とされる基本的な知識やスキルがなく、この点で、韓国人学生に差をつけられている。
 北朝鮮のトップエリートとヤミ市場の流通業者は、根本のところで利害を共通にしている。しばらくのあいだ北朝鮮が分断国家として存続することを望んでいるのだ。
 北朝鮮の指導層は、はじめに危機をつくり出して緊張を高め、危機の生じる前の状態に戻す見返りに交渉相手から金銭と譲歩を引き出す。これに長けている。
 中国政府が何より恐れているのは、北朝鮮に内部崩壊が発生することで引き起こされる情勢不安定。難民の大量流入、大量破壊兵器の拡散である。そして、それは中国国内に何らかの社会不安を誘発する心配がある。
 中国政府の立場では、分断状態が続くことには、いくつもの利点がある。その一つが北朝鮮の鉱物資源を中国企業が安く手に入れることができるということ。
 北朝鮮のエリートは、政権が崩壊したら、敗者として処刑されるか、リンチで殺害されるという恐怖をいだいている。このようなエリートは、家族をあわせても100万人から200万人ほどで、全人口の5~7%にすぎない。しかし、彼らは武器を扱えるし、組織を掌握している。
長い目で見れば、北朝鮮の政権は持続不能だ。統一後の混乱に今から備えておく必要がある。北朝鮮の金一族に協力したことについて、一切を問わないようにしないといけない。   
とても説得力のある本でした。北朝鮮が今にも日本に攻めてくると真面目に心配している人には、ぜひ読んでほしい本です。北朝鮮は、それどころではないことが、よく分ります。
            (2015年6月刊。4500円+税)
鳥カゴのなかの幼鳥は、羽を広げることはできるし、少しは飛べる。あと何日かしたら自由に飛べるだろう。その直前にヘビに狙われて、巣から追い出されたわけだ。
 夕方暗くなるまで、ヒヨドリの親たちはうるさく鳴いていた。幼鳥たちも小さな声で応じている。
 夜は家のそばに置き、フタをしてふろしきで覆った。ヘビもいるけれど、猫が入ってくる。
 朝になった。鳥カゴのフタをはずして庭に置いてやる。親鳥が鳴いているのを聞いて、大きな幼鳥は鳥カゴを飛び出し、スモークツリーの枝にまで上がった。
 小さい方の幼鳥は鳥カゴのなか。親鳥は鳥カゴの中までなかなか入らなかったが、ついに餌を与えた。
 これで、なんとか大丈夫かな、、、、。

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