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八法亭みややっこの憲法噺

カテゴリー:司法

(霧山昴)
著者 飯田 美弥子 、 出版 花伝社 
実は、タイトルには「日本を変える」というのが入っています。そうなんです。単に面白、おかしく落語を語るのではありません。もちろん楽しくなければ落語ではないのですが、何のために弁護士が落語を語るかと言えば、日本社会に憲法の精神を定着させること、その方向で日本社会を変革しようというのです。
そんなことが落語を語って可能なのか・・・。
みややっこの話を一度きいてみたら、それが可能なんだと確信できるのです。そんなスゴワザの持ち主なのです。
わずか100頁のブックレットですが、そこに美味しいアンコがギュウ詰めです。みややっこは食べられませんが、冷ややっこなら美味しくいただけますよね・・・。
といっても、平日はフツーに弁護士業務をしている。土日祭日のみの「噺家(はなしか)」で、3年間に130高座をつとめた。だから、休日は、ほぼない。
高座といえども、弁護士による憲法の講義なので、噺は90分かかる。それを、「あっという間だった」「眠らなかった」という聴衆の感想が寄せられるものにする。会場での著書サインセールは行列ができる。
アベ政治は許さない。自民党の改憲草案(2012年10月に発表)の時代錯誤的内容を知って、弁護士として仰天させられた。
アベ首相のホンネは自民党の改憲草案にそって憲法を変えることにあるのに、選挙の前になると、それを隠してアベノミクスの是非、経済問題一本に争点をしぼって本当の争点を隠してしまう。そしてNHKをはじめとするマスコミが、みんなアベ政権の言いなりになって動いて、世論を誤った方向へ誘導していく。そして、選挙で「勝つ」と、とたんに信を得たから憲法改正だと大声で叫びたてる。
もういいかげんに、アベ政治に騙されないようにしましょうね。
今日も元気なみややっこ先生の、怒りに満ちみちたブックレットです。
お値段も800円(と消費税)と安いので、ぜひ買って読んでみてください。
(2016年5月刊。800円+税)

ブラックバイト

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 今野 晴貴 、 出版 岩波新書 
学生を「使い潰す」アルバイトをブラックバイトと呼ぶ。
アルバイトに過重労働が広がったことによって、もっとも重大な被害をこうむっているのが高校生そして大学生だ。学校のテストや授業よりも、アルバイトを優先するように強制され、「単位が取れない」「留年してしまった」「進学をあきらめてしまった」という問題が全国で一斉に吹き出している。
問題の背後には、産業界の変化、学生の貧困の拡大、教育の変化などさまざまな要因がある。
ブラックバイトで問題になっている業種の多数は、全国規模のチェーン店として展開している。
店の側は、アルバイトをやめようとする学生をこうやって脅す。
「本当に辞めるのなら、懲戒解雇にする。懲戒解雇になったら、就職できなくなるよ」
ええっ、これはひどいセリフです。もちろん、まったくの嘘八百のセリフですが、この脅し文句を真に受けてしまう学生は少なくないことでしょう・・・。
「おまえ、どうやって責任とるんだ。死んで責任をとるしかないぞ」と脅されたアルバイトもいる。なんてひどいセリフでしょうか・・・。いえ、もっとひどい脅しのセリフもあります。
「今から家に行くからな。ぶっ殺してやる」
うひゃあ、す、すごーい・・・。こんな物騒なセリフを吐く店長も相当に追い詰められているのでしょうね。でも、言われた当の本人は、ついに不安障害、うつ状態と診断されてしまいました。
ブラックバイト・ユニオンという団体(労組)まで結成されているそうです。一抹の光明ですね・・・。
個別指導を売りものにする塾では、担当生徒を3人以上も退会させたら解雇されるという規定がある。
牛丼チェーン店の「ワンオペ」。ワンオペとは、何から何まで、すべてを一人でやらなくてはいけないという状態をさす。休憩をとることが不可能になる。
24時間、仕事に拘束されたうえ、さらに大変なのは、クレームへの対処。
ブラックバイトは、学生であることを尊重しない。 
この点が、私たちの時代の学生アルバイトとは決定的に異なります。少し前まで、試験が近づくとアルバイトが休みをとるのは当然でした。ところが、今は違うのです。今やアルバイトは過剰なまでに戦力として期待されています。
ブラックバイトの三つの特徴。
一つは、学生の戦力化。
二つは、安くて従順な労働力。
三つは、一度はいると、辞められない。
今の学生の置かれている非常に深刻な状況が嫌やというほどよく分かります。どうやって打開したらいいのでしょうか・・・。みんながよく状況を認識し、おかしいという怒りの声をあげていくところから始めるしかありませんよね。
(2016年4月刊。820円+税)

作家はどうやって小説を書くのか

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 パリ・レビュー・インタヴュー 、 出版 岩波書店 
 話では、プロットがなにより大事だ。最初は、ぞくっとするような感覚か、書こうとしている話の気配があるだけ。それから登場人物たちがあらわれて乗っ取りにかかり、ストーリーをつくり出す。
書きはじめると、驚きの連続だ。ありがたい。そんな驚きや転回、書いているときに、どこからともなく出現してくる言葉こそ、予想外のおまけみやいなもの。そういう楽しい小さなプッシュがあるから、どんどん書いていけるんだ。
小説は、文章のリズムがちょっとおかしくなっただけでダメになる。句読点のつけかたなんかも要注意だ。
タイプライターは使わない。第一稿は手書きだ。鉛筆で書く。それから徹底的に直す。これも手書きだ。第三稿になってタイプで打つ。そして、しばらく放っておく。1週間、1ヶ月、ときにはもっと長く。それから読み返し、友人に読んで聞かせる。万事OKになったら、最終稿を白い紙に打つ。
活字にしたあとは、聞きたいのは、読みたいのは、ほめ言葉だけ。
登場人物の名前のつけ方にはこだわる。一つは、祖父や曾祖父の名前を忍び込ませる。もう一つは、なんらかの印象に残った名前を使うこと。
そうなんです。名前は私もいろいろ工夫し、考えています。ありふれた名前より、ちょっと読み方が難しい名前にします。印象(記憶)に残りやすいようにするのです。
プロットをたてず、直感、ひらめき、夢ぼんやりしたプランですすめる。登場人物や事件は一緒に浮かんでくるもの。
たくさん本を読むと、いかに自分がものを知らないかを学ぶことになる。学べば学ぶほど、どんどん分からなくなってしまう。これが真実だ。
何も聞こえていない読者に向かって、ページの上から静かに働きかけることのできる言葉を書く。そのためには、言葉と言葉のあいだにあるものに、とりわけ注意深く取り組まなくてはいけない。書いているものにパワーをくれるのは、言葉としては書かれていないものだ。
セックスについて書くのが難しいのは、セックスってセクシーなだけじゃないから。セックスについて書くには、なにより書きすぎないこと。本を読む読者が性的関心を発揮させるのに任せる。
名の通った作家に直撃インタビューしたものが一冊の手頃な本になっています。私でも知っている作家としては、カポーティ、ボルヘス、モリスン、マンローなどですが、彼らの本を読んだ覚えはほとんどありません。申し訳ないというより、残念です。もっと時間をつくり出して本を読みたいと考えています。それでも、6月に入って、半年で250冊のノルマは達成できそうです。
(2015年11月刊。3200円+税)
梅雨のあいまに晴れた日曜日、恒例の仏検(一級)を受けました。結果を先にお知らせしますと、150点満点で70点だった昨年に比べて、今年は自己採点では54点と大きく下まわってしまいました。ようやく4割の壁をこえ5割を目ざす心意気だったのですが、明らかに不出来でした。
それでも、この一週間は集中してフランス語を勉強しました。もう20年にもなりますので、過去問も繰り返し練習しました。そして、毎朝のNHKラジオ講座では早口のニュースの聞きとり書きとりに挑戦しています。まだボケたとは言われたくないので、引き続きフランス語にもがんばります。

スリ・コレクション

カテゴリー:アフリカ

(霧山昴)
著者  ナギ・ヨシダ 、 出版  いろは出版
 これはすごい。とてつもない美的センスです。想像もつきません。よくぞ、このような写真を撮った(撮れた)ものです。
 若い日本人女性ならではの突撃精神がなければ、並みの日本人男性には撮る勇気もないでしょう。なにしろ、舞台はアフリカのエチオピアの奥地。首都のアジスアベバから何と車で片道3日間、悪路を走った先に位置する。そのうえ、世界有数の虫大国だから、南京虫、ダニがうようよ。ダニで足がマシンガンで撃たれたような痕だらけになって若い日本人女性カメラマンがたどり着いたのです。
 撮影期間は、わずか5日間。待ったなしです。ここでは写真そのものは紹介できませんので、そのすごさの一端を想像してもらうために、この女性写真家の文章を引用します。
 まずは川で水浴び。そのあとは、思い思いの草花を手あたり次第に集めて、顔や身体にまきつけていく。石灰石や赤土を山から持ってきては水に溶かして自分の顔や身体に塗る。自分では見えないところや手の届かない場所は、友だち同士でメイクしあう。褐色の肌に葉柄のスタンプ。顔の周りに巻きつけた野生花のリース。見たこともない実をつけた樹木のクラウン。
日本の生け花の草月流もまるで顔負けの美的センスのオンパレードです。いやあ、まいりました・・・。すごいです。
スリ族のファッションは感情表現そのもの。太古の時代から、ほとんど変わらない姿のまま、自然の中で生きてきた。満月が出れば身のまわりにある草花で自分を着飾って踊る。うれしいことがあればメイクをして歌う。ファッションは自分の心を表現するための楽しいもの。
 この若き女性写真家は、まだ幼いころ、マサイ戦士を見て憧れたとのこと。中学2年生で学校をドロップアウトして英語もろくに話せなかったというのに、アフリカの奥地にまで出かけて少数民族の写真を撮り続けているのです。たいした根性です。
 一見の価値が十分にある写真集です。3400円(プラス税金)と、ちょっと値がはりますので、近くの図書館(に購入してもらって)でぜひ手にとって眺めてみてください。人生観がほんの少しだけ変わることを、私がお約束します。それにしても、どうやって、こんな奥地までたどり着けたのでしょうか・・・。そんな旅行記も読んでみたいものです。
(2016年4月刊。3400円+税)

コーヒーの科学

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者  旦部 幸博 、 出版  講談社ブルーバックス新書
 私は喫茶店に入ったら、カフェラテかカフェオレを注文します。ブラック・コーヒーはあまり好みではないのです。飛行機に乗ったら、もっぱら日本茶です。アツアツの日本茶が美味しくいただけます。ひところは紅茶党でしたが、外では美味しく紅茶を飲めるところが少ない気がします。
 コーヒーは、「コーヒーノキ」というアカネ科の植物の種子を原材料として作られる。
コーヒーノキは寒さに弱いため、熱帯から亜熱帯に位置する生産国のコーヒー農園で栽培されている。
 コーヒーの焙煎とは、生豆を乾煎(からい)りすること。つまり、残った水分を飛ばしながら、通常180~250度まで加熱する。コーヒー豆は焙煎されたあと、時間がたつと香りが抜けたり、成分が変質したりして、香味が劣化していく。そこで、焙煎は、生産地ではなく、消費地か、その近くで行なうのが一般的。
 コーヒーノキの祖先は、2730万年前にクチナシの祖先から分岐し、その後、1440万年前にシロミミズの祖先と分岐して、アフリカの下ギニア地方(現在のカメルーン周辺)で生まれた。これって、人類の祖先がアフリカを発祥の地とするのに似ていますね・・・。
 コーヒーノキ属には125の種があるが、「コーヒー」をとるために栽培されているのは、わずか2種のみ、アラビカ種とカネフォーラ(ロブスタ)種。我々がふだん飲むコーヒーのほとんどはアラビカ種。あるいは、アラビカ種をメインとして、カネフォーラ種をブレンドしたもの。
アラビカ種はエチオピア高原が原産地。アラビカ種は、標高1000~2000メートルの気温が低目。高地での栽培に適していて、世界中で高業栽培されている。ただし、病虫害に弱いという難点がある。
アラビカ種は、他家受粉に適したタイプの花をもちながら、自家受粉も可能だいう異色の存在である。
 コーヒーノキで、もっともカフェインが多いのは生豆、つまり種子の部分。カフェインには、他の植物の生育を阻害する作用がある。また、カフェインには、ナメクジやカタツムリに対して毒性を示し、これらを寄せつけない効果(忌避作用)がある。つまり、カフェインには、外敵による食害から新芽を守るために植物がつくり出した「化学兵器」の一つなのである。
 コーヒーを初めて利用していた人間はエチオピアで西南部の人々。今でも、お茶のように飲んだり、炒めて食べたり、薬にしたり、贈り物にしたり、さまざまな利用法がある。
 コーヒーは、さび病や、霜害、干ばつの被害を受けやすく、価格が大きく変動するため、経済的には不安定な作物である。
 缶コーヒーを、発明というか、実用化したのは日本人。1965年の「ミラコーヒー」。そして、 1969年のUCCのミルク入り缶コーヒーから一般的に売れた。
江戸時代の日本人は、コーヒーについて、「焦げ臭くて、味わうに堪えず」と評した。その後、「おいしい」とみられるようになった。
カフェインは熱には非常に強く、焙煎中に分解されたり、他の化合物と反応したりすることはない。
ボードレールは、毎日10杯のコーヒー、バルザックは1日50杯ものコーヒーを飲んだ。これは、いくらなんでも飲み過ぎでしょうね。
コーヒーは肝がんのリスクを低下させるし、糖尿病リスクも低下させる。
美味しいコーヒーをゆっくり味わう。そんな精神的余裕をもちたいものですよね。
(2016年4月刊。1080円+税)

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