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GAFA(ガーファ)

カテゴリー:アメリカ

(霧山昴)
著者 スコット・ギャロウェイ 、 出版  東洋経済新報社
GAFAとは、グーグル(G)、アップル(A)、フェイスブック(F),アマゾン(A)の頭文字を並べたコトバです。
フェイスブックは従業員が1万7千人でしかないのに、従業員21万5千人のゼネラルモーターズ(GM)の1人あたり時価総額23万1千ドルに比べて、なんと2050万ドルもしている。
先進国1国規模の経済価値を生み出している。
グーグルは、20億人が毎日、自らの意思と選択で入力している。グーグルは、毎日35億の質問からデータをこつこつと集め、消費者の行動を分析している。
2013年4月から2017年4月までの4年間で、四騎士(GAFA)の時価総額は1兆3千億ドル増加した。これはロシアのGDP総額と同じだ。
四騎士は、今やビジネスや社会、そして地球にきわめて大きな影響を与えている。
グーグルは検索を武器に、もうブランドにこだわる必要はないとばかりにアップルを攻撃している。そのアップルもアマゾンに対抗している。アマゾンはグーグルにとって最大の顧客だが、検索については、グーグルにとっての脅威でもある。何かの商品を検索している人の55%が、まずアマゾンで調べている。
アメリカのネット業界における2016年の成長の半分、そして小売業の成長の21%はアマゾンによるものだった。2016年の小売業界は、アマゾンの独り勝ちで、他社にとっては大惨事だった。
2016年に、メディアはショッピングモールの終焉を嘆いた。ホリデーシーズン(2016年11月と12月)のネット販売の38%はアマゾンによるものだった。
アマゾンは、今や、あなたに必要なものすべてを、あなたが必要とする前に提供している。とくに世界でもっとも裕福な5億世帯には、商品を1時間以内に発送している。
最大の負け組は、ウォルマートだ。
グーグルもアマゾンに負けかけている。ネット通販もアマゾンのせいで斜陽になりつつある。
アップルは、製品の価格は高く、生産コストは低く、を実現した。
低コスト製品と高価格によって、アップルはデンマークのGDPやロシアの株式市場並みのキャッシュをため込んでいる。
フェイスブックは20億の人々と意義深い関係をもっている。人は毎日35分をFBに費やしている。インスタグラムとワッツアップ合わせると50分になる。
2017年現在、地球上の6人に1人が毎日フェイスブックを見ている。
フェイスブックの唯一のミッション(使命)は金もうけである。市場での立場が強すぎて、グーグルは常に国内外で独占禁止法違反の訴訟を起こされるリスクにさらされている。
消費者が何を好むかについてのデータを、どこよりも多く集めることができるのは、グーグルだ。グーグルは、あなたのこれまでの足取りだけでなく、これから向かおうとするところまで見通せる。
フェイスブックは、特定の活動と、特定の個人に結びついている。フェイスブックを毎日、積極的に利用している人は10億人いる。人びとはフェイスブックで大いに生活を語り、行動、欲望、友人、つながり、恐怖、買いたいものを記録する。
グーグルと違って、フェイスブックは特定の個人のデータを追跡できる。これは、ある特定のユーザーに商品を売り込むときに大きな力となる。
アマゾンは3億5千万人分のクレジットカードと客のプロフィールを保管している。地上のほかのどんな企業よりも、アマゾンはあなたが好きなものを知っている。
アップルは10億人分のクレジットカード情報をもち、あなたがどのメディアをよく使っているかを知っている。アップルもまた、購買データを個人に結びつけることができる。
かつては炭鉱のそばに発電所を建てていた。現在は、一流の工学、経営、教養の学位をもつ人材が集まる場所、すなわち大学の近くに企業をつくっている。
やりたいことをやるのではなく、才能をもっていることをやるのだ。自分は何が得意なのかを早いうちに見きわめ、その道のプロとなるよう力を尽くすのだ。
四騎士は、合計41万8千人の社員を雇用している。これはミネアポリスの人口と同じだ。四騎士の公開株式の価値は合計で2兆3千億ドル。つまり、この第二のミネアポリスは、人口6700万人の先進国であるフランスの国内総生産に匹敵する富を所有している。
GAFAのもつ恐るべき力を再認識させられました。
GAFAがいつまでもトップであるとは限りません。では、次に登場するのは、いったいどんな企業なのでしょうか・・・。
スマホを持たず、ガラケーはいつもカバンの中に置いている私は、いつもニコニコ現金主義(ホテルの支払いのみカード)です。私の行動を誰にも事前に予測してほしくないからです。世の中を再認識させてくれる本でした。
(2018年8月刊。1800円+税)

「身体を売る彼女たち」の事情

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 坂爪 真吾 、 出版  ちくま新書
JKビジネスは東京都内では条例によって禁止された。
JKビジネスとは、現役のJKつまり女子高生らが男性客相手に添い寝やマッサージ、散歩の相手を行うサービスの総称。
本書は、JKビジネスの業態の一つである「派遣型リフレ」を主な対象としています。店舗は存在せず、女性が直接に客の待つホテルの部屋を訪問してサービスを提供する仕組み。一般的な性風俗店とは異なり、リフレに決まったサービスメニューはない。どのような内容のサービス(オプション)をいくらで行うかは、女性と客との交渉で決まる。オプションで得られた料金はすべて女性の取り分になるため、いかに客を引き付ける魅力的なオプションを提供できるかどうかが、派遣型リフレで稼げるか否かの分かれ目になる。
最終的には手や口で射精に導くこともあり、性風俗との境界線は、かなり曖昧だ。
JKビジネスの現場にいるのは、「JK風」の女の子たち。現実の女子高生ではなく、専門学校生や大学生、そしてフリーターだ。
彼女らは、JKビジネスの危険性を知らないでやっているのではない。JKビジネスで働くリスクとリターンを冷静に計算したうえで、期限付きの自らの若さと肉体の商品価値を最大評価で換金することを目ざして、あえてこの世界に巻き込まれている。
派遣型リフレは、必ずしも貧困ではない少女たちが、積極的かつ自覚的に自らの性をきめ細かく商品化して、荒稼ぎしている世界だ。彼女たちは、全員が貧困少女でもないし、必ずしも救いや関係性を求めているわけではなく、学費や趣味のために淡々と働いている。
派遣型リフレは大きく分けて三つのリスクがある。一つは、身体的リスク。本番強要などの性暴力被害、性感染症、盗撮・ストーカー。その二は、メンタル面のリスク。単独行動中に嫌な目にあっても、自分ひとりでかかえこむしかない。友人にも話せない。三つは、20歳の壁。リフレで破格の売上を手にできるのは、せいぜい20歳前後まで。
風テラスという、性風俗で働く女性を対象にした無料の生活・法律相談事業があります。弁護士とソーシャルワーカーがチームをつくっていろんな相談に対応しているのです。そのなかには、九州の法テラスで活躍していた浦崎泰弁護士もいます。
生活保護は嫌です。
車が使えなくなると、困るんです。
家族に役所から連絡が行くのが嫌なんです。
生活保護よりもデリヘルで働くことを彼女らは選ぶ。
扶養照会や資力調査、ケースワーカーの訪問といった「社会的な恥」に耐えながら、不自由な暮らしのなかで、生活を立て直す道を選ぶか。それともホテルの密室で、初対面の男性の前で全裸になるという「個人的な恥」に耐えながら、デリヘルで働いて自由な暮らしをする道を選ぶのか。
デリヘルは、月10日出勤するだけで15万円は稼げる。無料低額宿泊所よりも、性風俗店の待機部屋のほうが「自由に過ごせる」、「居心地がいい」と感じる女性が確実に存在する。
待機部屋には、事情をかかえた女性たちがやむにやまれず身体を売っているといった悲壮感は一切感じられない。
安易に脱ぎや本番に走ると、結果的に稼げなくなる。デリヘルの世界は、本番をするだけで稼げるほど甘い世界ではない。本番嬢は長続きしない。
女性が性風俗で働く理由の大半は、マクロな視点で見たら、「自分のせい」ではなく、「社会のせい」だ。ところが、女性自身は現在自分の置かれている状況をすべて「自分のせい」だと考えている。
現代社会で何が起きているのか、よくよく考えさせられました。
私が現在かかえている案件のうちの二つで、夫(男性)側の主張として、妻(女性)は風俗で働いていたことを問題としています。本当にデリヘルは身近な問題なのだと実感して読みました。
(2018年10月刊。1600円+税)

記者、ラストベルトに住む

カテゴリー:アメリカ

(霧山昴)
著者 金成 隆一 、 出版  朝日新聞出版
アメリカのトランプ大統領って、ホントにひどい、とんでもない大統領だと思います。でも、あれだけハレンチな言動をしながらも支持率40%そこそこを維持しているようです。不思議でなりません。
この本は、その不思議さをつくり出している地域の一つであるラストベルトのアパートに入居して、トランプに投票したという人々を取材して歩いたというレポートです。
トランプに票を入れたことを後悔しているという人も出てきますが、それはむしろ少数派で、多くの人が依然としてトランプ大統領を支持している気配です。貧しい生活に追いやられている現状を、既成の政治家ではないトランプが打破してくれる、そのように期待している、というか幻想をもっているようです。
なんで、そうなるのか・・・。
何らかの活動に参加した人の7割はトランプ不支持。逆に、何の活動にも参加しなかった人の間では、トランプへの支持は43%に増えた。
オバマケアが成立したあと、重たい医療費負担のための自己破産申立は半減した。2010年の自己破産申立は153万件だったのが、2016年には77万件に減った。
アメリカで怖いのは、病気になったときです。日本のような国民健康保険がないものですから、高額の医療費のためにたちまち破産状態におち込んでしまいます。
ラストベルトのトランプ支持者は、その7割から8割の支持は揺らいでいない。今でもトランプ支持率は40%ほどある。むしろ、トランプ大統領になってから、「思った以上に評価できる。見直した」と高い評価を与えている層がかなり厚い。
今のアメリカでは、「政治家」という言葉は評判が悪い。おしゃべりだけの政治家たちに実行力あるビジネスマンが立ち向かっているというイメージをトランプはつくり上げ、それが大成功した。
トランプはデマ宣伝を得意とします。オバマ大統領の出生地は、あくまでアメリカではないと繰り返したのです。
トランプ大統領は、オバマ大統領のゴルフの回数が多過ぎると言いつのりましたが、実は大統領になって自分はその何倍もゴルフをしています。
アメリカの現実の一端を知ることのできる本です。
日本がアメリカのような国になってはいけないと思います。病気になったら破産するなんて、とんでもありません。
ラストベルトにあるアパートに3ヶ月間も暮らしたという著者の勇気に拍手を送ります。
(2018年10月刊。1400円+税)

井上ひさし全選評

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 井上 ひさし 、 出版  白水社
驚嘆・感嘆・慨嘆の本です。1974年(昭和49年)から2009年(平成21年)まで35年間にわたって、著者が各賞の審査員となり、選評を執筆したものを集めた本です。なんと772頁もありますので、私は読了するのに2ヶ月ほどかかりました。日曜日のお昼に、ランチタイムのおともとして読みふけったのです。
いやはや、著者はとんでもない量の本を読んでいますよね・・・信じられません。
そして選評の言葉が実に温かいのです。作家を目ざすなら、もっと言葉そして文章を大切にしてほしいという苦言も呈せられることがありますが、それも温かい励ましとしか思えないタッチなのです。
文章に微妙なズレがあるのが気になる。それをなくすためには、古書店から日本文学全集を一山買い込み、古今の名作をうんと読んでことばの感覚を養えば、きっといい作品が書けるはず。
うひゃあ、日本文学全集を読破しないと、いい作品は書けないんですか・・・。まいりました。
「文章は活(い)きがいいものの、ところどころに小学校高学年クラスの、それも手垢のついた表現が現われて、これは損である」
なんとなんと、「小学校高学年クラス」と評されてしまっては、やはりみじめですよね。
「頻繁な行替えや体言止めは、文章をハッタリの多い、いわば香具師(やし)の口上のようにしてしまうから危険な要素なのだ」
なるほど、そんな点も気をつけるのですよね・・・。
作品とは、読み手がそれを読み終えた瞬間に、はじめて完結する。
エッセイとは、つまるところ自慢話をどう語るかにある。もとより、読者は、一般に明けすけな自慢話は好まない。そこで書き手は自慢話を別のなにものかに化けさせ、ついには文学にまで昇華させなくてはならない。では、何をもって昇華作用を起さしめるのか・・・。
エッセイが自慢話であることを、どう隠すかが勝負の要(かなめ)。その一点にエッセイの巧みさ下手が現われる。
日本語は、世界のコトバのなかで、とりわけ「音」の数が少ない。英語が4000、中国語(北京語)が400の音でできているのに、日本語は、「アイウエ・・・ン」の45音、それに拗音と濁音、半濁音を加えても100ちょっとしか音がない。100とちょっとの音で森羅万象を現さなければいけないから、どうしても同音異義語がたくさんできてしまう。
小説は、言葉と物語とか読者の胸にしっかりと届いて、そのとき初めて完結する。
「本文は、文章も物語も華麗すぎて、とりとめがなくなり、読む者をいらいらさせる。本能の見せびらかしすぎです。思いついた比喩やギャグを全部並べたててはいけない」
これは、かなり手きびしい評価です。それだけ著者は作者の才能を買っているということなんでしょうね。
小説とは、書き手が読み手に何か祈りのようなものを分かち与える行為なのだ。
「むやみに難しく書いて、『文学している』と錯覚する、いわゆる文学青年病にかかっていないのがよろしい」
すべて作品は読者の胸にしっかりと収まってはじめて完結へ向かうもの。
中島博行(横浜の弁護士です)の『違法弁護』について、ヒロインに艶や照りを欠いている、会話に洒落っ気や諧謔味が乏しいのは残念という選評です。私も自戒しましょう。
着想や手法も大事だが、文章はもっと大事。神経の行き届いた文章で、もう一度、挑戦してみてください。
出来そうで出来ないのは、「人間」を書くこと。さらに、「人間」と「人間」との関係を書くことは実にむずかしい。このあたりは、勉強や努力の域をはるかに超えて、その書き手が神様からどれだけ才能をもらって生まれてきたかにかかっていると言ってよい。
ええーっ、そ、そうなんですか・・・。では、私はダメなんでしょうか・・・。トホホ、です。
「文章の快い速度感があって、そこに豊かな才能を感じはするものの、あまりの作意のなさと自己批判の乏しさに半ば呆然とせざるを得ない」
うむむ、これまた、かなり手厳しい選評ですね。
そんなわけで、モノカキを自称する私としては、作家になるには、まだまだハードルはあまりにも高いと自覚せざるをえませんでした。
何のために私たちは小説を読むのか。それはひまつぶしのためだ。だけど、良い小説は、私たちの、その「ヒマ」を生涯にそう何度もないような、宝石よりも光り輝く「瞬間」に変えてしまう。しなやかで的確な文章の列が、おもしろい表現や挿話のかずかずが、巧みにしつらえられた物語の起伏が、そして、それを書いている作者の精神の躍動が、私たちの平凡な「ヒマ」を貴い時間に変えてくれるのである。
いやあ、なんと心に迫る文章でしょうか。さすがは井上ひさしです。こんな文章に出会っただけでも、この部厚い本をひもといた成果がありました。
ひまつぶしに最適の本としておすすめします。たくさんの本が紹介されていて、おもしろそうな本に出会う手引書にもなります。
(2010年3月刊。5800円+税)

江戸城御庭番

カテゴリー:日本史(江戸)

(霧山昴)
著者 深井 雅海 、 出版  吉川弘文館
将軍直属の隠密(おんみつ)集団として有名な「御庭番」の実情に迫った本です。その人事や報告書を丹念に紹介していますので、なるほどそうなのかと納得できます。
御庭番は将軍吉宗が始めたもので、和歌山から引きつれて来た武士の一団だった。御庭番の家筋は、吉宗が将軍家を相続するにともなって幕臣団に編入した紀州藩士205人のうち17人を祖とする。紀州藩で隠密御用をつとめていた薬込役を幕臣団に編入した。
御庭番は直接、将軍に報告することもあった。つまり将軍御目見の存在だった。しかも、仕事ができると見込まれたら、異例の昇格を実現していた。御庭番出身で勘定奉行にまで大出世した者が3人いる。そのほかの奉行になった者も4人いる。
御庭番は、紀州藩主徳川吉宗が八代将軍職を継いだとき、将軍独自の情報収集機関として設置された。この将軍直属の隠密という点が、他の隠密とは異なる最大の特色だった。
御庭番は、将軍やその側近役人である御側御用取次の指令を受けて、諸大名や遠国奉行所・代官所などの実情調査、また老中以下の諸役人の行状や世間の国聞などの情報を収集し、その調査結果を国聞書にまとめて上申し、将軍は、その情報を行政に反映させていた。
御庭番の偵察は老中などの幕府内を対象とすることもあり、町奉行の無能を報告すると、その奉行は左遷された。
薩摩藩を対象としたときには町人になりすましたようだが、さすがに薩摩藩への潜入はせず、熊本・長崎・福岡などの周辺で聞き込みをしている。
御庭番の結束は固かったが、それは、報告するときには上司(先輩)の了解を得て書面を作成していたことにもよる。
大変興味深い内容なので、途中の眠気も吹っ飛び、車中で一気読みしてしまいました。
(2018年12月刊。2200円+税)

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