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知りたくなる韓国

カテゴリー:朝鮮・韓国

(霧山昴)
著者 春木 育美、金 香男ほか 、 出版  有斐閣
隣国について、私たちは意外なほどよく知っていません。知らずに「嫌韓」に乗せられてしまうなんて、愚かなことです。
日本と韓国の違いと言えば、なんといっても徴兵制です。男子は19歳になると、兵隊にとられます。兵隊の訓練というのは、要するに効率よく人殺しできるマシーンになるように人間を改造することです。私には、とても耐えられません。良心の呵責なく大量殺人を遂行することが兵隊(軍人)の資質として求められます。大量の「敵」を殺したらナポレオンのような英雄なのです。ところが、「敵」といっても、実は家族もいる人間なのです。
韓国の人口は5100万人。人口の20%の1000万人がソウルに住んでいる。そして、韓国人口の90%が都市部に住んでいる。
韓国の持家率は50%台。賃借するとき、月々の家賃は免除させるかわりに「チョンセ」という保証金を預ける。ソウル郊外でも1000万円が相場。2年契約で、契約満了すると、保証金は全額戻ってくる。家主は、預かった1000万円を金融機関に預けて利子を得る仕組み。
財閥は韓国の誇りであると同時に、社会的批判の対象もある。サムスンなどの財閥は、羨望の対象であっても愛されてはいない。社会への利益の還元が十分でないとみられているからだ。
韓国のインターネット普及率は90%台。全国民の3分の2をこえる人々が「ネチズン」と自称している。
家族の小規模化がすすんでいる。3世代家族は1969年に27%だったのが2015年には5%へと大幅減少。1人暮らしの単独世帯や夫婦2人だけの家族の増加が著しい。
韓国では結婚後の新居を用意するのは男性側が、家財道具は女性側がそろえるのが慣例。このほか、男性側の親と親族に物品(婚需)を贈る習慣もある。
韓国では、結婚しても夫婦別姓。日本では近親婚の禁止のため3親等以内は結婚できないが、韓国はそれより広い8親等まで結婚できない。また、「同姓同本不婚」の原則がある。姓と本貫を同じくする血族内での結婚を禁止する制度。
韓国の高齢者10人のうち8人は年金をもらっていないか、月の受給額が2万円ほど。貧困は深刻で、自殺者も多い。
韓国の学校は2学期制で、小学校から高校まで学校給食がある。中学・高校では部活動はなく、勉強が優先される。大学に入るための「修能」は一発勝負。大学進学率は70%をこえる。
こうやってみてくると、日本との違いはかなり大きい気がします。似たような顔をしていても、お互い生活習慣は大きく異なります。これは、いいとか悪いとかの問題ではありません。みんな違って、みんないい。この金子みすずの精神をもっと大切にしたいものです。
(2019年8月刊。1800円+税)

原爆を見た少年(上)

カテゴリー:日本史(戦前・戦中)

(霧山昴)
著者 後藤 勝彌 、 出版  講談社
原爆を見た少年というタイトルですから、広島か長崎に生きる少年の話かと思うと、そうでもなく、キリスト教に殉教した江戸初期の26聖人の一人(トマス小崎)が登場したり、雲仙・島原そして原城、ローマへの遣欧少年使節団の話になったり、時空を超越して話は展開していきます。さらに、脳神経外科の専門医である著者の得意とする脳卒中専門病院における手術の模様までも詳細に紹介されます。異色の小説だと思いながら読みすすめていきました。
出だしは脳血管内治療の場面です。
主役の一人は火男(ひおとこ)。「ひょっとこ」ではありません。火男は脳血管手術をしてヒカルを助けた命の恩人の医師。
もう一人の主役はヒカル。脳出血を起こして瀕死の状態になったとき、光輝く存在を見たことから、ヒカルというあだなをつけられたのです。この二人の問答、そして道中(旅行)として物語は展開します。
京都でとらえられ、長崎で処刑された26人のキリシタンのなかには、11歳から14歳の3人の少年がいた。そのひとりがトマス小崎。彼らは見せしめのため耳を削(そ)がれて、大坂の町を引きまわされたあと、長崎まで1000キロの冬の道を裸足(はだし)で歩かされた。
そのトマス小崎は母親に宛てて別れの手紙を書いたが、一緒に磔(はりつけ)にされた父親の着物の襟に縫いつけられていた。
原爆の起爆装置が起動してからの10秒間に何が起きたか・・・。
炸裂(さくれつ)するまでの100万分の1秒のあいだに発生した膨大な中性子は、次の核分裂を引き起こしただけでなく、あらゆるものを突き抜け、あらゆる物質の原子核にぶつかって、新たな放射線を生み出していった。
爆心地にいた人々の被曝線量は中性子とガンマ線をあわせると60グレイと推定されている。この放射線の破壊力は、仮に50グレイの放射線を手のひらにあてられたら穴が開くという、とてつもないものだ。このような中性子やガンマ線による被曝が1週間も続いた。
被爆者の死亡の20~30%は、つづいて出現した火球の熱による「閃光(せんこう)やけど」によるもの。2キロ以内の野外にいたら生き残れる可能性はなかった。火球によって加熱された空気が膨張するとき、まわりの空気がいっきに押し出され、すさまじい衝撃波が生じる。そのスピードは音速より速い。この衝撃波は地面に衝突して、さらに圧力を倍加させる。さらに、火災が発生した地域に向かって市の周辺から吹きこんでくる風によって、20分後に火事嵐が生じた。この強風にあおられて町は燃え尽きた。
どうでしょうか、この状況では核シェルターで身を守ることなんて出来るはずがありません。30年以上も前にアメリカに行ったとき、家庭用核シェルターがつくられ、売られていました。
核戦争になったら地球は破滅します。核が抑止力なんて、とんでもなく間違った考えです。地球上で人類が生存するには、核兵器の全廃こそ必要なのです。核兵器禁止条約に背を向けたままの安倍政権は私たちの生存を脅かす存在だというほかありません。
上巻の最後は原城跡です。私も先日、行きました。ここで3万人もの人々が籠城して戦っていたというのが信じられないほど、のどかでおだやかな地です。そんな平和を守り続けたいものです。このコーナーを愛読しているという著者から本を贈呈していただきました。ありがとうございました。
(2019年8月刊。1900円+税)

進化する人体

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 キャロル・アン・リンツラー 、 出版  柏書房
今日のアメリカでは、虫垂切除はもっともありふれた救急手術で、子どもに対してもっともありふれた外科手術だ。年に25万から30万のケースで手術されている。朝に入院して、夜には帰宅している。私は、今もしっかり虫垂を保持しています。盲腸といってけなされますが、無用の存在ではないという考えもあるようです。
体全体の毛深さで上位にくるのは、日本のアイヌ、オーストラリアのアボリジニ、インド南部のトーダ族、インド北部のドラヴィッダ人。
毛が少ないのは、アメリカ先住民、アフリカ人、ミャンマー人、中国人、朝鮮人、ベトナム人、そして金髪の白人。
人間の体毛が目立たなくなった理由は、まだ定説がない。
人間は耳を動かせない。しかし、人間だけでなく、チンパンジーやオランウータンも耳は動かせない。
ゾウの歯は24本あるが、一度に4本しか使わない。すり減ると、奥の歯が前に移動して出てくる。最後の第六大臼歯はゾウが65歳のころに抜ける。歯がなくなるとかむ力がなくなって、動物の世界では死ぬことに結びつく。
ワーテルローの戦いでは5万人もの戦死者が出たが、その歯は、競って歯を抜いた死体あさりの人々の手で生きた。ブリッジをつくるのに使われたのだ。なんだかおぞましい話ですよね・・・。
肋骨は人類には12対だが、チンパンジーやゴリラは13対。
人間の身体は、これからも進化していくのでしょうか・・・。力強くかむ必要がなくなった現代人はアゴがほっそりしていると書いている記事を読みました。顔のかたちは確実に変わっているわけです。だったら、他の部分の身体も、これから変化が起きることは当然あるのでしょうね・・・。
(2019年3月刊。2200円+税)
 日曜日、朝からフランス語検定試験(準1級)の口頭試験を受けてきました。3分前に渡された問題は日本政府が70歳定年に延長しようとしているのをどう考えるのかと、旅行者過剰をどう考えるのか、でした。私は前者を選んだのですが、定年のない職業なので、実は深く考えたことのない問題なので、何をどう答えてよいのか頭がまとまりません。そうすると、フランス語の単語まで出てこないのです。あれあれ、今回は不合格かな・・・と落ち込みました。
 地球温暖化問題、オリンピック問題、育休、貧富格差増大などにヤマをはっていたのが見事にはずれてしまいました。
 3分間スピーチは本当に大変です。トホホ・・・。

企業不祥事を防ぐ

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 國廣 正 、 出版  日本経済新聞出版社
日本のメーカーも、あちこちでインチキしていることが次々に暴露されて、なあんだ、日本のメーカーもたいしたことないんだなと、何度も思わされました。
法令を形ばかり順守していたらいいんだろ、そんな企業の姿勢では不正はなくならない。もっと前向きに考えるべきだと著者は提案しています。
その内容は、まさしく前向きで、楽しく取り組めそうです。
コンプライアンスという言葉には暗いイメージがあり、「またコンプラかよ」といった面倒くささ、「やらされ感」がつきまとっている。
それではいけませんよね・・・。
法律の条文から話をスタートさせるのが、コンプライアンスをつまらなくさせる元凶の一つだ。
再発防止策を「こなす」ことに時間を奪われると、社員の士気を下げ、かえってコンプライアンスを軽視する風潮を助長することになりかねない。
「盗む不正」は、行為者が所属する企業に対する裏切り行為。「ごまかしの不正」は、そうではない。
甘い処分は、身内意識のなせる技だ。
多くの企業で、小会社の社員は非主流・傍流とみられている。すると、社員のやる気が低下し、不正に対する心理的な抵抗感が薄れる場合がある。
問題を起こしたときの記者会見では、その時点で知り得た情報を開示するとともに、世間の共感を得るためにはどう行動するのが適切か、という視点を欠いていたらダメ。
物事は、すべて前向きに考えるのが言いようです。
(2019年12月刊。1700円+税)

サービスの達人たち

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 野地 秩嘉 、 出版  新潮文庫
この本を読むと、サービス業の一種である弁護士として、いささか反省させられることばかりです。この本に紹介されるのは、さすがにおもてなしの神様ともいうべき達人たちですから、生半可にマネできるものではありません。
日本が「おもてなしで一番」なんて、日本人の大きな勘違いでしかない。
現金商売の店で従業員が売上金を自分の懐(ふところ)に入れてしまうのは、経営者をまねしているということ。経営者が売り上げを抜いているのを見て、従業員がそれを見習う。税務署が気がつく前に、それが横行し、そのうち店はつぶれる。
ソムリエがワインを客にすすめるとき、ワインリストをもって銘柄を紹介するのではなく、まず、世間話から入ったりして、まずは客に受け入れてもらう。客に、おっ、こいつはオレたちを歓迎しているなと感じてもらい、緊張感をほぐす。なーるほど、ですね。
繁盛する店、いい店とは客をちょっとだけびっくりさせること。感動とは、びっくりさせることなんだ。
カツオ節があるのに、マグロ節はない。なぜか・・・。カツオだけ赤身の成分が複雑なので、だしが出る。
宅配便の運転手にとって何が大切か・・・。先日、イギリス映画『家族を想うとき』をみましたが、宅配ドライバーの過酷な生活の一端を垣間見た思いがしました。昼の休憩もなければ、トイレに行くヒマもないほど働きづくめで、しかも配達先の人たちとトラブル頻発というのですから、本当に辛い仕事ですよね・・・。
配達の技術面でいうと、もっとも重要なポイントは車の運転ではない。多くの荷物を一日で運ぶために習得しなければならないのは、スタート前の積み込み作業だ。宅配便ドライバーとして食べていくためには、運ぶ前に荷物をどう入れるか、並べておくか、これを短時間でやり遂げなくてはいけない。優秀なドライバーは、ここが上手だ。荷物の並べ方がドライブルートそのものであり、効率的に回ることができるかどうかを決めるには、積み込みができていなくてはならない。
宅配便の現場での最大の問題は、届けたときに人がいないこと。あるいは、ベルを押しても人が出てこないこと。一日の荷物が100個だとすると、だいたい20個は不在。再配達の割合が2割を占める。家にいても、出てこない人がいる。
どんなサービス業も大変なんですよね・・・。
(2019年6月刊。520円+税)

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