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手紙

カテゴリー:未分類

著者:東野圭吾、出版社:毎日新聞社
切なくて切なくて、泣けてくる話。福岡県弁護士会の職員(吉田さん)から、絶対おすすめですとキッパリ断言され、迷わずその日のうちに書店で見つけて読みはじめた。
 兄が強盗殺人で刑務所に服役。弟は、そのハンディを背負って社会でなんとか生きていこうとする。両親は死亡しており、兄弟2人きり。ところが、刑務所にいる兄の存在が弟の行く手に何度となく大きな障害となって立ちふさがる。大学進学、就職、恋愛、子ども・・・。弟は兄を捨て去ろうとする。しかし・・・。身内に犯罪をおかした人の辛さがしみじみと実感される。たまらなくなって途中で放り出したいほどの切なさに身が震える。
 でも、このあとどうなるのかという好奇心もあって、2日間で読みとおした。
 弁護人になって被告人の情状弁論をし、その行く末を考えることはあっても、その身内のことまでは考えたことが少なかったので、いわば頂門の一針でもあった。想像力がかきたてられる一冊。

マネーロンダリング

カテゴリー:未分類

著者:橘玲、出版社:幻冬舎
 タックスヘイヴンとかマネーロンダリングという言葉を耳にすることはあっても、それが実際にはどのようになされるのか、まったくイメージがつかめない。この本は、香港を舞台にしたマネーロンダリングがどのような手続ですすめられるのか、きわめて実践的な手引書となっている。もちろん、恋あり、殺しあり、復讐ありでハラハラドキドキの展開なのだが、興信所をつかっての資産・所在調査の手口など、よくもここまで調べたものだと感心する。オビに「合法的な脱税に関する貴重な情報が縦横に織り込まれている」というのもウソではない。それにしても、国外に隠すほどの大金をもっていない庶民はいったいどうなるのだろうか・・・。

仮釈放

カテゴリー:未分類

出版社:新潮社
 吉村昭の本です。大庭弁護士がメールで推薦してくれましたので、読んでみました。不倫した妻を殺した真面目な高校教師が無期懲役となり、長い刑務所生活を過ごしたあと、仮釈放されて社会に出て生活するようになったときに感じるとまどいが迫真の描写で、身につまされます。元囚人が普通に生活していくことは、こんなにも大変なことなのか、改めて考えさせられました。
 吉村昭の本は何冊か読みましたが、いずれも徹底して調べあげた、という印象をいつも受けます。凄みさえ感じるほどです。モノ書き志向の私ですが、ちょっと真似できそうもありません。井上ひさしとともに吉村昭は尊敬する作家です。

真相・中村裁判

カテゴリー:未分類

出版社:日経BP社
 この本を読んで、特許法35条というものを初めて知りました。従業員が発明した特許には、自由発明と職務発明の2つがあります。業務範囲内にあり、職務に属する発明を職務発明といい、それ以外を自由発明といいます。
 特許法は、職務発明について、特許を受ける権利は発明者である従業者に当然帰属するものとして従業者の権利を確保しながら使用者の寄与も考慮して、その特許権について通常実施権を有することにし、両者の利害を調整しています。
 日亜化学につとめていて高輝度の青色発光ダイオードを発明した中村修二氏は、自己の特許権を会社に譲渡していないと主張したのですが、昨02年9月19日、東京地裁は中間判決で中村氏の特許権は会社にあるとしました。この本は、その判決を批判したものですが、読んでみると、なるほどと思うところがありました。
 日亜化学は、この発明によって2000億円ほどの世界市場を獲得したのだから、中村氏の請求額20億円でも安いという主張です。金額の大きさには驚かされます。

監視社会

カテゴリー:未分類

出版社:青土社
 アメリカ映画『インターネット』、『エネミー・オブ・アメリカ』は、いずれも政府によって国民がいかにコントロールされているか、その危険性をゾクゾク寒気がするほど見事に描いていました。まだ見ていない方は、ぜひビデオでご覧ください。
 この本では、イギリスの監視システムがすすんでいることが紹介されていますが、日本でも同じことです。すべてのインターネットによる交信が自動的に「辞書」検索システムにひっかかることになっているなんて、ホントに恐ろしいことです。
 それにしても、路上のNシステムが目立ちます。最近また増えているように思います。私たちの日常生活がずっと監視されているって、いやですよね。

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