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静かなる戦争

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著者:デービット・ハルバースタム、出版社:PHP
 レーガン・ブッシュ・クリントン政権の内幕を情景描写、人物評をまじえて具体的に明らかにした本。
 レーガンは、複雑で鋭敏な思考、瑣末な情報や逸話の正確な記憶力をほとんどもっていなかった。レーガンの知っていたのはほんのわずかだった。しかし、彼の強みは、そのわずかなことに完全に忠実で、その正しさを微塵も疑わなかった。「小さな政府がよい」「政府は、できる限り個人の問題に干渉すべきでない」「政府の干渉がなければ、アメリカは再び偉大な国になれる」と固く信じていた。暗い時代だったから、自信にみちあふれたレーガンが歓迎された。
 ブッシュは湾岸戦争を数日間で圧倒的に勝ち90%の支持率を得たが、経済政策で国民の支持を失った。「謙虚」なブッシュは、スピーチ・ライターのつくった演説原稿に「私」という一人称単数を使うことを嫌がった。レーガンのまねをしてレーガンとはりあおうものなら、最悪の事態になりかねないことを十分承知していた。あくまでも自分らしくふるまおうとした。
 クリントンは速読が得意で、口頭の報告よりも、自分で書類に目を通そうとする。
 その育った家庭はアルコール中毒の義父のために崩壊寸前だったため、クリントンは争いのない「崩壊家庭」の緊張を和らげる方法を学んでいた。だから、同じような状況にあった民主党内のゴタゴタをまとめるのも容易だった。
 クリントンは、不倫問題などでマスコミに大いに叩かれたが、打たれ強かった。ただし、泣き言ばかりいう人間ではあった。ヒラリーも朝食のとき、マスコミの批判にことごとく反応してクリントンをいらだたせた。
 アメリカのマスコミはニュースキャスターがスターとなり、年俸800万ドルという、とんでもない高給とりになった。そして、ボスニアとかソマリアとか、国外のことはあまり取りあげず、娯楽と「内向き志向」になってしまった。
 アメリカの支配層の実像が容赦なく暴かれていくところは小気味がいい。日本には類書がないように思う。それにしても、こんなアメリカに日本がいつまでも言いなりになっていていいとは、とても思えない・・・。

『心』と戦争

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著者:高橋哲哉、出版社:晶文社
 福岡の小学校の通信表(通知表)に神社の絵があるなんて、知りませんでした。えーっ、と驚いてしまいました。「心のノート」をつくった主要なメンバーは、戦後の経済的繁栄は教育勅語のおかげだといっています。しかし、教育勅語で心の教育を受けたはずの人々が、あの侵略戦争の原動力になったのではないでしょうか?
 それにしても、いまの日本の報道は、なぜ、あんなにも画一的なのでしょうか。どの新聞も政府の統制を受けていないはずなのに、見事に共通パターンで大見出しも記事もつくられています。選挙が始まりましたが、小選挙区制の問題点にふれることもなく、ひたすら二大政党制による政権交代の可能性を追求し、弱者の視点からの報道を置き去りにしています。日本人に再び戦争への道を走らせる道具だてがつくられつつあることを実感させられる本です。

欺術

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著者:ケビン・ミトニック、出版社:ソフトバンク
 ケビン・ミトニックは「史上最強のハッカー」として有名だ。富士通もアメリカで被害にあっている。逮捕されて禁錮5年の実刑判決を受けた。2000年1月に連邦刑務所から出て、本年1月に保護観察期間も終了した。今では企業側に立ってセキュリティのコンサルタント会社を営んでいる。この本は、その立場で実戦的なハッカー対処法を明らかにしている。
 この本で紹介されている犯行の手口を読むと、たとえば、かかってきた電話の番号表示も簡単にごまかせることが分かる。アメリカの刑務所では、国選弁護人事務所とは直通電話回線がある(日本にはそのようなシステムはない)が、それを利用して受刑者が外部と自由に電話で話せるテクニックまで紹介されている。まさかと思う手口だ。コンピューターは便利なようで恐ろしいツールだと再認識させられた。

ニッポン人には、日本が足りない

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著者:藤ジニー、出版社:日本文芸社
 私はテレビを見ませんし、わが家にはテレビがありません。30年来のことですし、困ることはないのですが、ただ広告の話についていけないので当惑させられることがあります。この本の著者も「公共広告機構のテレビCMでおなじみ」とオビに紹介されていますが、私は見たことがありません。
 それはともかく、アメリカから日本の中学・高校の英語教師の助手としてやって来たアメリカ人女性が、スキー指導員の男性と知りあって結婚し、山形県の山奥の温泉旅館の女将として日本に定着したというのです。すごく勇気のある女性だとつくづく感心しました。彼女は今では和服も自分で着れます。また、それがとてもよく似合っています。そんな彼女から今のニッポン人には日本が足りないと指摘されると、なるほどと、ついうなずいてしまいます。山形県尾花沢市の銀山温泉です。団体客ではなく、個人のお客として行ってみたい温泉です。誰か行かれた方がありますか?ぜひとも泊まった感想を教えてください。

果てしなき論争

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著者:ロバート・マクナマラ、出版社:共同通信社
 720頁もあり、手にとるとズシリと重たい本だ(定価も3800円と高い)。マクナマラ元国防長官というと、団塊世代にとってはベトナム侵略戦争の立役者の1人である。その彼が1995年11月にハノイを訪問し、ボー・グエン・ザップ将軍と対談したというのだから、世の中は変わった。
 この本は、マクナマラ元長官たちがベトナム戦争について、ベトナム側の将軍たちと討議したことをふまえ、ベトナム戦争を総括しようとしたものだ。私としては珍しく2ヶ月ほどもかけて少しずつ味読した。
 大事なことは、過去というのは歴史家のためだけにあるわけではないということ。強さと持久力は、自分自身の歴史とつながりを持つことから生まれる。過去と未来は現在で均衡を保っており、人は自分自身の歴史に深く強く触れる範囲に応じて、将来を制御することができる。
 北ベトナムが正規軍の連隊を送って南の解放戦線を支援しはじめたのは、アメリカが北爆を開始して南に軍隊を送りこんだあとだった。1965年に北の3個連隊が中部山岳地帯に送りこまれ、11月にイアドラン渓谷でアメリカ軍と戦った。このとき、アメリカ兵は300人が戦死し、北ベトナム軍も少なくとも1300人の戦死者を出した。
 アメリカによる北爆によって、北ベトナムの戦意をくじいたどころか、民衆の怒りをかきたて、ますます政府のもとに結束を固めた。当時のベトナムには爆撃対象となるほどの工場はもともとなく、効果は薄かった。ホーチミンルートは複線のルートであり、いくらアメリカ軍が爆撃しても補給ルートを根絶やしにすることなど不可能だった。
 南の解放戦線の方が主戦派であり、北ベトナムは当初ずっとアメリカ軍との衝突を回避すべく南を抑えようとしていた。北ベトナムの統制力は決して想像されるほど強くはなかった。ところがアメリカ政府は、ずっと北ベトナムがすべての戦闘を指令していると考えていた。まったくベトナムを誤解していたのだ。
 アメリカが北ベトナムへ地上侵攻したときには、中国軍が直ちに反撃のためにベトナム内に入って反撃する密約が北ベトナムと中国のあいだで成立していた。そうでなくても現に20万人の中国軍工兵隊がベトナム内にいて、アメリカ軍の爆撃機を撃墜したりしていた。
 マクナマラ長官がベトナム戦争について教訓を引き出すためにベトナム側と対話するについてはロックフェラー財団の後援があったという。ベトナム後遺症は今回のイラク戦争にまで影響していると言われるアメリカならではのことだ。それにしても、かつての敵と真剣な対話をしてまで真実を明らかにし、教訓を引き出そうとするアメリカ側の努力には心うたれるものがある。ベトナム戦争はまだ終わっていない。

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