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日本海海戦かく勝てり

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著者:半藤一利、出版社:PHP研究所
 ひとつくれよと露にゲンコ。今から100年前の1904年(明治37年)、日露戦争が始まりました。日本海海戦は1905年5月、対馬沖でたたかわれ、東郷平八郎のひきいる連合艦隊がロシアのバルチック艦隊に完勝しました。
 この本は、この日本海海戦の真相を追求しています。有名な丁字戦法は使われていなかった。併航戦法がとられ、日露両軍の士気の違いで勝利した。機雷をロープでつないだ連繋機雷を新兵器で使おうとしたが、それも波が高くて使えなかった。天気晴朗なれど波高しという電文の真意は、波が高いので、連繋機雷作戦は多分できないだろうと軍司令部に通報したのだ。そんな驚くべき新事実を解明しています。
 軍の機密保持と東郷長官を神格化するなかで、誤った宣伝がなされたというわけです。まさしく政府の情報操作です。
 また、私は203高地の攻略作戦の意義を初めて知りました。『坂の上の雲』にも出てくる有名な秋山参謀は、「旅順の攻略に4、5万の勇士を損ずるも、さほど大なる犠牲にあらず。彼我ともに国家存亡に関するところなればなり」としているそうです。
 乃木希典大将が203高地で無謀にも強行突撃をくり返し、何万人もの大量戦死者を出したのは有名な話ですが、それにはこんな背景があったのですね。ところが、203高地を占領してみると、旅順港のロシア艦隊は既に日本軍の砲撃でみな沈没していたというのです。結果的には、203高地の占領は必要なかったというわけです。
これも知りませんでした。とかく戦争には隠された部分が大きいと思いました。
 国民は政府の情報操作によって、政府の思うように踊らされることが多いのは、先日のイラクの人質バッシングを見てもよく分かります。情けないことです。

鉄槌

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著者:いしかわじゅん、出版社:角川文庫
 弁護士には耳の痛くなる本です。漫画家の著者がスキーに出かけ、夜行バスで帰ろうとしたとき、トイレに行って戻ったら、なんと寒風吹きすさぶ夜空のなかバスに置き去りにされてしまっていました。その悔しさと怒りを漫画で表現したところ、バス会社から名誉毀損として100万円の賠償を求める裁判を起こされてしまいました。もちろん、著者も弁護士に頼んで応訴します。そのときの着手金がなんと200万円。えっ、と驚いてしまいます。そんなー・・・。
 著者は、弁護士費用というのは吹っかけられるものだとは知らなかった、実は、弁護士費用も交渉で決まるものだと書いています。えっ・・・。今では、弁護士会の標準となる報酬規定が廃止されていますので、こういうことも、お互いに納得づくであればありうるわけですが、当時は弁護士会の報酬規定があったわけですから、とても信じられません。
 しかも、著者によれば、弁護士と会って打ち合せをしたのは1回のみ。あとは、FAXと電話でのやりとりだったというのです。これまた信じられません。もっとも、はじめの弁護士(実名で登場します)は懲戒処分を受け、あとで弁護士登録を抹消しているそうです。ただし、それを引き継いだ弁護士は、そのようなことを何も説明していません。
 そして、和解交渉に至ります。本人との打合せなしに和解交渉するというのも信じがたいところです。裁判の記録についても、きちんと本人は渡されていなかったようです。ひどい弁護士がいるものだと思います。
 著者は、さらに、弁護士の文章のまずさ、拙劣さを厳しく糾弾しています。日本語になっていないというのです。難関の司法試験を合格し、文章を武器としてたたかっている人たちとはとても思えない、そうこきおろしています。関係者がほとんど実名で出てきます。こんなことを書かれたくないと思いつつ、胸に手をあてながら最後まで一気に読んでしまいました。

ケイタイを持ったサル

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著者:正高信男、出版社:中公新書
 わが家に夫婦ゲンカをもたらした問題の本です。男女ともに、30歳になるまで子をもつ心の準備ができていない。100年前の日本と比べて、精神的な意味で大人になるのに倍の年月を要するようになった。このくだりがケンカのきっかけです。
 わが家にも親離れのできていない(と思われる)子どもがいます。その責任が、母親にあるのか、父親にあるのかでケンカになってしまったというわけです。
 「ケータイ族」は、仲間への信頼にもとづいた社会関係を築けない。本当は自立してもおかしくない年ごろであるにもかかわらず、まだ親に頼らなくては何もできないと思いこむことで、「だから私が・・・してあげなくてはいけないんだ」と自らの行為を正当化しつつ、モノを次々と買い与えるなかで、子の信頼をつなぎとめようとする。そこには、子どもを信じられない親がいる。
 父親である私にも耳の痛い指摘でありました。わが子たちよ、一刻も早く、まず経済的に自立してくれたまえ。

チェチェンで何が起こっているのか

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著者:林克明、出版社:高文研
 チェチェン共和国は広さは岩手県ほどしかない小さな国です。人口も100万人足らず。そこへロシアは10万人もの軍隊を進駐させています。そして、モスクワではチェチェン・マフィアが猛威をふるっているというのです。どうして、そんなことが起きているのか。この本は、その背景を考える材料を与えてくれます。
 それは石油と石油パイプラインという利権をめぐる争いが根本にあるようです。それにしても、モスクワ劇場占拠事件といい、地下鉄爆破事件といい、どうしてこんなにロシアにはテロが相次ぐのでしょうか。それは、チェチェン共和国それ自体がロシア軍による野蛮なテロ行為で危機に瀕しているからです。まさしく、暴力の連鎖では何ごとも解決しないのです。

虚妄の成果主義

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著者:高橋伸夫、出版社:日経BP社
 東大出身でない東大教授の方が、なんだか大胆にいいたいことを言っているという気がします。どうなんでしょうか?
 経営組織論の専門家である著者は、日本型年功制度の復活を長年にわたって強力に主張してきました。成果主義は有害無益だというのです。私も、まったく同感です。リストラ万能、人減らし論がもてはやされている今どき、珍しいくらいに小気味のいい主張です。なんといっても、人間はお金だけで仕事をするのではないんです。
 日本型の人事システムの本質は、給料で報いるのではなく、次の仕事の内容で報いるシステムだということ。従業員の生活を守り、従業員の働きに対しては、仕事の内容と面白さで報いる。本来、人は面白いから仕事をするのだ。成果主義とは、差をつけるのにお金ばかりかかるが、あまり効果の上がらないシステムだ。
 著者が東大生に教えさとす、次の言葉には大変共感しました。
 自分だけが上から評価されたいと願い、部下や後輩を踏み台にして自分だけが出世していこうとするような人は、やがて自らも淘汰されていく。最初は調子がいいように見えていた目上からの受けがいい人は、目上の人が減るにつれて次第に力を失っていき、自然とその地位も失うことになる。けだし至言だと思いました。

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