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王朝びとの恋

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著者:西村亨、出版社:大修館書店
 源氏物語をベースにして平安朝の貴族の人々の恋愛や結婚などを取りあげた本です。でも、私がこの本を読んでもっとも驚いたのは、実は「おてもやん」でした。
 おてもやん あんたこの頃 嫁入りしたではないかいな 嫁入りしたこたしたばってん 御亭どんが菊石平だるけん まあだ盃やせんだった 村役鳶役肝入りどん あん人たちのおらすけんで あとはどうなときゃあなろたい
 もちろん、よく知ったセリフです。この菊石平(ぐじゃっぺ)とは、「あばた」を意味します。そして、「おてもやん」とは、つくね芋を意味する手芋のことだそうです。「春日南瓜(ぼうふら)どん」とか「げんぱく茄子(なすび)のいがいがどん」というのと同じように、野菜の世界を歌っているのです。なるほど、そうなのか、と手をうってしまいました。ヨバイは、好色な卑猥なものという理解があるが正しくないとも指摘されています。なんのやましさもないヨバイがあり、公然たる社会生活の一端だったのです。たとえば、飛騨の白川村では結婚を認められるのは長男だけ。どこの家でも、家の娘が生んだ子どもはいるが、息子たちの子は他家で育っていました。女ヨバイもあったといいます。
 末摘花は大変な醜女だったので、光源氏は、興ざめして近寄らなくなった。でも、彼女が飢え死にする寸前、光源氏が再会して救ってやった。源氏物語に、そんなストーリーがあったことを改めて認識しました。
 相見ての後の心に比ぶれば 昔はものを思はざりけり  (拾遣集)
 見ずもあらず 見もせぬ人の恋しくは  あやなくけふや ながめ暮らさむ (在原業平)

評伝・岡潔

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著者:高瀬正仁、出版社:海鳥社
 日本の近代数学の第一人者・岡潔の生い立ちからフィールドワークで綿密にたどった大著です。542頁もあって、難しい数学の話もありますので、そのあたりはいつものように適当に飛ばし読みしました。
 岡潔は、私が中学2年生のころ、『春宵十話』というエッセイ集を出して人気を集めました。私がその本を読んだのは中学3年生か高校1年生のころでした。分かりやすくて、眼を開かせる文章だったので、とても感心したことを今もよく覚えています。対談集『人間の建設』は高校2年生のときに読み、これまた感激しました。天才数学者ですが、狂気に走ったこともあることを、この本で初めて知りました。岡潔35歳、広島大学の助教授のとき、「発狂して強盗事件を起こして」脳病院に収容されたのです。あんまり根をつめて考えると気が狂うこともあるのでしょう。
 岡潔といっても、50歳以下の人にはあまりなじみがないことでしょうが、先の2冊を読んで感銘を受けた人には天才の生きざまを知る手がかりとなる本です。

ガクモンの壁

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著者:養老孟子、出版社:日経ビジネス文庫
 この本を読んで、また少し賢くなりました。アンデス原産のもの。ジャガイモ、トウモロコシ、トマト、カボチャ、トウガラシ、ピーナッツ、タバコ、ワタ。すごいものですね。
 アメリカのアリゾナ大学には本当に人間と話せるオウムがいる。オウムのアレックスは「オウム返し」ではなく、ちゃんと意味をもった英語をしゃべる。6までの数を数え、100種類の物の名前が言えて、その色、材質、形の違いを言葉で表現する。条件反射的な応答ではなく、チンパンジーやイルカに匹敵する判断力をもって、言語を自発的に使っている。一度、ぜひビデオでアレックスがしゃべるのを見てみたいものです。
 ナメクジの脳を研究している学者がいます。人間が甘いと感じる砂糖のようなものはナメクジも大好きで、人間が苦いと感じるのはナメクジも嫌いです。ナメクジに学習させているなんて、学者も本当に大変な仕事ですよね。

築地のしきたり

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著者:小林充、出版社:NHK出版
 居酒屋の水槽で泳いでいる魚の多くは痩せさらばえていて、言ってみればホネカワスジエモンみたいな魚だ。せいぜい水槽に放って1晩くらいならアクが抜けて弾力のある身質にもなるけど、これが3日も4日も続くようではダメ。そんなのを活造りにして食べるなんて愚の骨頂、最下等の食べ方。えーっ、そうなんだー。ちっとも知りませんでした。
 タイやヒラメなどの白身魚を生で食べるときは、締めてから10〜12時間くらいたったころが一番うまい。これは、うま味を感じさせるイノシン酸がそのころピークに達するから。締めてすぐだとイノシン酸はほとんど含まれていない。夕方6時に店で刺身として出すのなら、当日の朝6時から8時の間に魚を締める。締めるというのは、魚を苦悶死させず、スパッと一気に息の根を止めること。マグロの場合には、金属棒(神経棒)をつかって、脊髄に突っこんで神経を麻痺させる。なーるほど、世の中知らないことって多いですね・・・。
 マグロは昭和初めまでは赤身だけが食べられていて、トロ(脂身)は捨てられていた。トロなんて猫またぎと言って、日雇い労働者や苦学生が鍋物にして食べていたもの。江戸中期までは、マグロは、サツマイモ、カボチャと並ぶ下品な食べ物とされていた。ええーっ、そうなのー・・・。スーパーで100グラム1000円で売られている中トロは、オーストラリア産の畜養もの。蓄養マグロは二毛作で、味や色はエサ次第。安くてうまいマグロはない。安いマグロはまずく、高いマグロはうまい。なるほど、なるほど、そうなんだねー・・・。
 一度は築地市場をのぞいてみよう。水産物の取引が1日2300トン、20億円のお金が動くところ。世界一の取引高を誇っている。手頃な魚河岸の案内書だ。

野鳥博士入門

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著者:唐沢孝一、出版社:全国農村教育出版
 毎朝、庭に出てキジバトにエサをやります。キジバトは麻の実が大好物で、ヒエ・アワより先についばみ始めます。スズメはヒエ・アワに群がりますが、ハトに遠慮します。ヒヨドリは、どうも好物ではないようで、寄りつきません。春先にはメジロが桜の花の蜜を吸いに来ます。秋になるとジョウビタキがやってきて、尻尾をチョンチョンと軽く上下に振って挨拶してくれます。私が畑仕事をしているのをじっと見守っていてくれる愛敬のいい小鳥です。モズは甲高い声で鳴きますし、ヒヨドリは我が物顔で庭を闊歩します。
 ヒヨドリによく似た小鳥はムクドリです。こちらは同じ灰色系統でも、くっきりとした縦縞があります。春にはウグイスが鳴いてくれますが、姿を見ることはほとんどありません。このほか、ツートンカラーのカササギが近くを巡回しています。カラスはめったにやってきません。庭の木に鳥の巣をかけようと思っていますが、まだ果たせていません。巣をかけたら、どんな鳥が来るか楽しみです。小鳥たちと親しくなるためには絶好の入門書です。

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