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愛を教えてくれた犬たち

カテゴリー:未分類

著者:篠原淳美、出版社:幻冬舎文庫
 幼いころから犬と一緒に生活してきたため、犬にはとても愛着があります。中学・高校のころはスピッツでした。雄犬なのにルミと、雌犬のような名前で、座敷犬でした。ですから、わが家の畳の上はいつもザラザラしていました。スピッツはキャンキャン吠えて、とてもうるさいのですが、よくなついて親しい関係でした。子どもたちが幼いころは、柴犬を飼っていました。柴犬には「シバワンコ」という可愛いマンガがあります。雌犬なのにマックスという雄犬のような名前でしたが、とても愛らしく、一家中の人気者でした。フィラリアのために若死させてしまって申し訳なく思っています。それ以来、犬は飼っていません。
 この本の著者は、17頭の犬と一緒に生活しているそうです。八ヶ岳の麓では300頭の犬とともに生活している人がいます。犬たちをの生活は大変だろうなと思う反面、うらやましさで一杯になります。犬はこちらが愛情をかけると、必ずこたえてくれるからです。その意味で、この本に飼い主から見捨てられた可哀想な犬が何頭も紹介されていて、胸が痛みます。自分を大切にしない人は犬も大切にしません。そんな人は犬を飼う資格はないのです。犬は、この世に生きる喜び、愛すること、愛されることの大切さを教えてくれる大切な存在だとつくづく思います。

インカ国家の形成と崩壊

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著者:マリア・ロストウォロフスキ、出版社:東洋書林
 16世紀、わずか数百人のスペイン人から攻められ、たちまち崩壊してしまったインカ帝国の脆さがどこに原因していたのか、この本を読んではじめて納得できました。
 インカ帝国でクスコの王たちが支配するようになって間もなく、それがしっかり根をおろして帝国全土を支配し尽くす前にスペイン人が来てしまった。
 インカ帝国内の大民族集団の多くは最近併合されたばかりで、住民たちは過去の自由の味をまだ忘れず、大首長たちはインカ帝国の支配から脱する機会を狙っているというのが大勢だった。スペイン人が来たとき、これら諸民族の首長たちが、かつての独立を回復することを援助してくれると期待して同盟を結んだのは不思議ではなかった。ワスカルとアタワルパという兄弟間の強い憎悪と内戦がインカ帝国の劇的な最期の直接の原因になったのは事実としても、根本的な原因は他ならぬアンデスの首長たちがインカ帝国の桎梏から脱しようとした願望にあった。
 山からきた征服者、つまりクスコの王たちに最良の高地を奪われ、海岸地方の首長に不満がみなぎった。また、インカ帝国のクスコの王たちと大首長とは互恵関係にあり、国家の基礎や構造は強さに欠けていた。この細い絆がスペイン人が来て消滅してしまった。
 インカでは、「もっとも有能な者を王に」というきまりがあった。それが故人の息子であろうと、叔父であろうと、兄弟であろうと、従弟であろうと、問題にすることなく、首長としてもっとも適切な者を王にすることになっていた。この権力継承の習慣が中央権力の弱体化を招いていた。貴族たちの対立が必然的だからである。現実にもインカ帝国では絶え間なく反乱が起こり、国家内部に統一性がなかった。
 王の死は、後継者が決まらないうちは秘密にされ、それを守るために厳重な注意がはらわれ、もっとも忠実で信頼できる者だけに知らされた。
 インカ帝国の諸民族集団は、大部分が帝国の支配を脱したいという望みをもっていたから、スペイン人に味方した。スペイン人を助け、食料・荷担ぎ人、補助部隊を供給した。これらなしには、スペインは事業に成功できなかった。ピサロは、民族集団の首長にある独立への願いを利用することが、彼らの協力を得るために役に立つと見抜いていた。スペイン人は敵対的な国の中に孤立をするどころか、最初から原住民たち頼みにすることができた。彼らは、ときがたつにつれて自分たちを束縛することになる屈服や従属の状態に、まだ気がついていなかった。
 なるほど、なるほど、という指摘です。ひたすら感心しながら読みました。

ブーヘンヴァルトの日曜日

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著者:ホルヘ・センプルン、出版社:紀伊國屋書店
 ナチスのブーヘンヴァルト強制収容所に入れられていたスペイン人の青年の回想記。ブーヘンヴァルト収容所での抵抗活動を描いた本としては『裸で狼の群のなかで』に深く心を打たれたことをすぐに思い出す。21歳だった著者も地下の武装行動
隊の一人だったようだ。この本は、いかにも哲学者の書いた韻文学的な表現が多くて、フランスで23万部も売れたベストセラーというのが信じられない。
 強制収容所のあまりにも過酷な事実を、何も知らない一般市民に対してどうやって知らせるかの議論があった。ある人は、「事態をありのままに、技巧なしに語るべきだ」と言う。しかし、著者は、「うまく語るとは、聞いてもらえるようにという意味だろう。少しは技巧がなければうまくいかないだろう」と反論した。「信じられないような真実をどう語り、想像不能なものへの想像力をどうかきたてるのか。だから、少しは技巧がいるんだ」というのである。私も、これにまったく同感です。
 事実が重たければ重いほど、そのまま伝えようとしても、誰も耳を貸してくれないでしょう。やはり、そこには聞き手の耳に入りやすい工夫もいるのではないでしょうか。
 このところ、なぜかナチスの強制収容所の話を続けて読んでいます。

中高年自殺

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著者:高橋祥友、出版社:ちくま新書
 自殺者は日本では年間3万人台、世界では100万人にのぼっている。日本の自殺率はアメリカより高く、ドイツやフランスよりも高い。都道府県別でみると、宮崎が全国のなかでもズバ抜けて高い(トップは秋田)。大分、鹿児島、沖縄も高い。こう見ると、自己破産の申立が人口比で高いところは自殺率も高いということになりますが、両者に関係があるのかしらん。世界中、女性よりも男性の方が自殺者は多い。女性の方がストレスに柔軟に対応できるから。それにしても、インターネットに「自殺サイト」があるというのは不気味な現象ですよね。
 「死ぬ、死ぬ」と言う人は死なないと広く信じられているが、これは大きな誤解。自殺した人の大多数は、行動を決行する前に自殺の意図を誰かに打ち明けている。これを的確にとらえられるかどうかが、自殺予防の重要な第一歩となる。
 夫が自殺した女性に対して、「いつまでもくよくよしていないで、早く忘れなさい」という言葉は残酷すぎる。たとえ善意であっても、言われた人の心の傷をさらに深くしてしまう。「あなたに何と言葉をかけたらよいか分からない」と言って、黙って手を握った方がどれほどいいか・・・。
 なかなか難しい問題です。この4月以来、私は毎月のように自殺した人の事件や後始末などを担当してきました。この社会の奥底にひそむ闇の深さを感じます。

いい加減よい加減

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著者:野村万之丞、出版社:アクセス・パブリッシング
 学習院高等科で浩宮と同級生だった著者は暴走族に走り、酒、タバコ、女、シンナーまでやっていたという。それは、狂言師をやらなければいけないという「宿命的カルマ」から逃れる唯一の手っとり早い逃避方法だった。浩宮から「キミとボクは同じ運命なんだね」とも言われた。親の家業が子どもにプレッシャーになるというのは、私自身も体験しました。しかし、こればかりは子どもに親を選択する権利がない以上、仕方がないことで、子どもはそれを乗り越えるしかないのです。
 「おはようございます」という言葉は歌舞伎の言葉で、能や狂言では決して言わない。「おつかれさま」は落語家の世界の言葉。狂言の世界では「御首尾(おんしゅび)よお」という。ただし、これは先輩が後輩に言う言葉。
 「ごちそうさま」というのは、タダで料理をいただいたときの返礼の挨拶言葉。だから、レストランで食事のあと支払いをして「ごちそうさま」とマスターや店員に言うのは間違い。「うまかったよ」とか「また来るよ」と言えばいい。おごってくれた人に対してのみ「ごちそうさま」と言うべき。
 狂言師の著者は、ほとよい加減の大切さを強調しています。

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