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コロンビア内戦

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著者:伊高浩昭、出版社:論創社
 コロンビアって、本当に怖い国だと思いました。1985年11月、ゲリラが最高裁を占拠し、軍隊が反撃して最高裁長官以下115人が死亡しました。ゲリラ(M19)が麻薬マフィアと結託して起きた事件だということです。
 コロンビアでコカインが生産されはじめたのはごく最近、1969年だというのを知って驚きました。メデジン・カルテルのエスコバルとか、カリ・カルテルは日本人の私たちにも有名です。公安庁本部が爆破されたり、大統領や法務大臣などの要職に
ある人々が次々に暗殺されていきます。殺されない人々はマフィアに買収されているのです。
 エスコバルは自分の所有地に自費で別荘のような専用刑務所を建ててから自首し、そこに「収容」されました。外を陸軍が警備し、なかでエスコバルは麻薬取引を指示し、好きなように刑務所を出たり入ったりしていました。そして、アメリカ軍が出動する直前に、エスコバルはこの刑務所から脱走し、翌年、包囲されて殺害されまし
た。
 コロンビアでは、日本人も何人も誘拐されています。日本はエメラルドをコロンビアから輸入しているのです。日本人のエメラルド王・早田英志という人物が存在するというのも驚きでした。熊本出身だそうです。エメラルドの合法取引の3分の1を占める日本は最大のお得意なのです。1人で年商数十億円、15万カラットを扱うというのですから、これまた信じがたい話です。よくぞ、こんな怖い国にいるなと、正直いって思いました。

シュピルマンの時計

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著者:クリストファー・スピルマン、出版社:小学館
 『戦場のピアニスト』は感動的な映画でした。『シンドラーのリスト』とはひと味違いますが、同じように心打たれる実話です。
 主人公のピアニストであるシュピルマンの長男が日本に、それも福岡に住んでいて、奥さんが日本人だなんて、不思議な縁を感じます。
 シュピルマンは戦後結婚して2人の子どもをもうけた。そして、88歳まで長生きすることができた。シュピルマンはユダヤ人ではあったが、ユダヤ教徒ではなかった。ふつうのポーランド人として生活し、ユダヤ人と意識してはいなかった。
 シュピルマンを助けたドイツ将校はナチス幹部ではなく、ドイツ国軍の将校だった。もとは高校の教師であり、シュピルマンに出会ったときは、靴磨きを探していた。映画の日本語字幕には出なかったが、シュピルマンに対して敬語を使って話した。
 シュピルマンは、過去の辛い体験を思い出したくないため、過去を思い出す時間を自分に与えないよう、ピアノを一日中弾き続けた。あの記憶をピアノの音で封印し続けていたのだ。
 映画をみたときの感動の余韻に改めて浸ることのできる本でした。

アメリカ特殊部隊

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著者:トム・クランシー、出版社:原書房
 アメリカの特殊部隊がいかに全世界で活躍しているかを、その最高司令官だった人物が語った本。パナマに侵攻して、ノリエガ将軍を捕まえるまでの経過も具体的に描かれている。そこでは、それぞれの国に主権があることはまったく度外視されていて、読む人に寒気を感じさせる。アメリカからみた「極悪人」をどこまでも追いかけてつかまえるのが特殊部隊の役割だ。イラクのフセイン元大統領をつかまえたのも特殊部隊だという。
 といっても、イラク湾岸戦争では、ヘリコプターで奥地深く侵攻していったところ、村民から見つかり、危うく全滅しそうになった状況も描かれている。やはり、民心をつかむことなしに戦争で本当に勝つことはできない。優秀な武器によって大量の人を殺すことはできても、それで人の心をつかむことはできないのだ。
 核爆発に匹敵する効果をもつというデージーカッターを利用したときの経過も紹介されている。当然とはいえ、殺される側の視点がまったく欠落しているのが本当に恐ろしい。
 イラクへの自衛隊を派遣して、ついに日本人も殺し、殺される事態を迎える。こんな政治は明らかに間違っている。

自殺した子どもの親たち

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著者:若林一美、出版社:青弓社
 自殺は人間のする人間的行為である。それは固有の人間の問題なのだ。それなのに、人は人間を見ずに自殺を論じている。これは、とかく統計的なマクロな視点のみから問題を捉えようとしていた私にもグサリとくる指摘(苦言)でした。
 「ちいさな風の会」という、自殺した子どもの親の集まりがあることを知りました。死別から3年くらいに一つの節目を迎える人が多いということです。悲しみの質が、肉体的な苦痛から沈静化し、さらに奥深く入っていくというのです。
 残された親の手記を読んで、別離の悲しみが惻々と伝わってきました。
 私たちは、単に生きている人間を見ておれば、それが「いのち」を見ていることだと思ってはいけない。たしかに生物としての人間を見ていたとしても、それは、ただ「いのち」の影しか見てはいないことも多い。もう二度と再びこの愛するものの顔を見ることができないかもしれないという、そういう思いをこめてじっとみつめたときに、はじめて目の前に立ち現れてくるのが、本当の「いのち」というもの。
 なかなか考えさせてくれるいい本でした。

獄窓記

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著者:山本譲司、出版社:ポプラ社
 秘書給与の不正受領で実刑判決を受けた民主党の元代議士の刑務所生活が生々しく語られています。政策秘書給与に名義借りをしていたことを告発されたわけですが、告発したのは、その給与の大半を受けていた2人の元私設秘書だったというのですから、人事管理面で甘さがあったのでしょう。
 この本のすごいところは、刑務所生活の実情が体験談として、本人の弱点をふくめて刻明に描かれているところです。看守との人間関係の難しさや、寮内工場という障害者の「働く場」での身のまわりの世話の大変さが具体的に語られています。元代議士がウンコまみれの障害者の世話をしている様子には頭が下がりました。
 刑務所の運動会のフィナーレを飾る工場対抗リレーは、まるで国際大会だ、というくだりにも驚かされます。各工場のリレー選手はほとんど黒光りした肌の外国人なのです。
 それにしても、日頃モノカキを標榜する私の知らない難しい漢語が頻出するのにも驚きました。流汗淋漓、情緒纏綿。読めますか?刑務所でカントやニーチェの哲学書を読んでいたというだけのことはあります。
 また、刑務所のなかのご飯が意外においしいこと、できたてのパンの美味しさなども紹介されています。弁護士にとっても一読の価値があると思います。

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