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商売の創造

カテゴリー:未分類

著者:鈴木敏文、出版社:講談社
 私は原則としてコンビニは利用しない主義です。とは言っても、出張先のホテル近くのコンビニで買い物をすることはあります。他に店がないから、仕方がないのです。コンビニを利用したくないのは、従来型の商店がなくなってしまったら困ると思うからです。全国チェーンのコンビニで日本の商店が全部支配されてしまったら大変です。消費者主権と言いつつ、コンビニ(の支配元)主権になってしまうのでは、単に買わされる存在でしかありません。
 さすがに全国1万店舗のセブン・イレブンのオーナーだけあって、その話には含蓄があります。著者が周囲の猛反対を押し切ってセブン・イレブンを始めたときは、41歳でした。以来、30年間。今やスーパーよりもコンビニ、という時代となってしまいました。
 いまの時代は、お客様に意見がない時代だ。お客様に意見を聞くときは、こちらから商品を見せ、具体的に提案を示さなければならない。こちらからものを言って、その反響からお客様が何を求めているかを察知し、それをつくって提案していかなければならない。提供側としての自己主張が求められている。こちらから積極的にお客様の好奇心を刺激していかなければならない。コンビニが扱うのは、2500のアイテム。商品のライフサイクルは、日本は欧米よりはるかに短かい。日本の消費者は移り気。アメリカの三大コンビニはいずれも倒産した。
 『週刊ダイヤモンド』(2004年2月14日号)は「コンビニの支配力」を特集しています。コンビニが今や日本の消費市場に絶大な影響力をもっていることがよく分かります。私は、ますますコンビニはなるべく利用しないようにしようと決意しました。コンビニはいずれ、あらゆる意味で「不便な店」になるに決まっています。

アニマル・テクノロジー

カテゴリー:未分類

著者:佐藤英明、出版社:東京大学出版会
 地球上にウシは13億4000万頭、ブタは9億2000万頭、ヒツジは10億7000万頭、ヤギは7億1000万頭いるそうです。体重と頭数とで掛け算して種の重量を計算すると、1位はウシで、2位はナンキョクオキアミ。そして3位はヒトになるそうです。人類は増えすぎてしまったのかもしれません。
 この本を読んで、いろいろ学びました。人工授精がどのようにやられているのか、とくにオスからの精液の採取の実際を知り、とても勉強になりました。ウシやブタにとっても射精は真剣な行為なので、精液採取は危険をともなうというのです。満足できない射精に終わったり、射精に至らなかったとき、雄は凶暴になります。
 精液は液体窒素のタンクのなかでは20年間も保存できるそうです。宮城県にいた「茂重波(しげしげなみ)」というオスの牛は4万頭の子牛を誕生させたそうで、今も立派な銅像がつくられ、飾られています。うーん。ところで、クローン牛とか羊とか、本当に大丈夫なのかなー・・・。

ドキュメント女子割礼

カテゴリー:未分類

著者:内海夏子、出版社:集英社新書
 アフリカなどでは、女の子が成人になるまでにクリトリスを切除する(割礼)風習が今も根強い。早ければ4歳くらいから割礼の儀式に参加させられる。WHOの推定では、1億人以上の女性が割礼を受けている。割礼の理由は、女性の性欲を抑えるためというもので、これをしないと共同体からつまはじきされてしまうため、母親が娘に強制するという。
 イスラム教徒に多いが、コーランには割礼を求めるとは書かれていない。とんでもなくひどい風習なので、廃絶をすすめる運動が広がっているが、成果は遅々としている。
 うーん、なんでだろう・・・?

倒産社長の告白

カテゴリー:未分類

著者:三浦紀夫、出版社:草思社
 50歳になったばかりの社長が編集を専門とする会社を破産させた経験をあからさまに描いている。融通手形を切りあい、商工ローンやヤミ金に手を出し、身内の不動産を担保として差し出し、友人や社員にサラ金などから借金させる。どんどん借金はふくらんでいく。それでも、地元の信用組合はつきあってくれた。こんなに借金してまで会社を続けることにどれだけの意味があるのか、読んで疑問はふくれるばかりだった。
 ところが、著者は国が信用組合を強制破綻させたことをはげしく弾劾する。また、国が保険料滞納分の徴収のために売掛先の業者に照会文書を出して営業妨害したことを厳しく問題とする。
 そんな著者が破産申立を決意するまでは時間がとてもかかった。そのとき周囲の善意の人々を「借金地獄」に引きずりこんだ。しかし、申立して免責を受けるまではわずか4ヶ月ですんでしまった。
 私は、今、同じように借金過多で資金ぐりが困難な社長の相談に乗っている。その社長も著者と同じく、ともかく破産申立を先送りする。しかし、その間に、身内や友人・知人からの借金はふくらむばかりだ。早く見切った方が、かえって迷惑をかけるのは少なくすむのだが、実際には、なかなかふん切りがつかない。そんな実情が手にとるように分かる本だ。

辰巳屋疑獄

カテゴリー:未分類

著者:松井今朝子、出版社:筑摩書房
 江戸時代。大岡越前が裁いた最後の大疑獄事件の真相を描くとオビに書かれている。この本がどこまで史実にもとづいているのか私は知らない。しかし、いかにも史実を忠実にフィクション化したという気にさせる第一級の読みものだ。
 教え有りて類無し。これは論語の一節。人間には生まれつき定まった種類などなく、教えを受ければだれでも立派な人間になれる。語る一方ではなく、門弟にも意見を言わせ、ときどき笑い声も混じるなどしてなごやかな雰囲気で教えるという万年先生が登場する。福岡の万年弁護士を連想した。
 18世紀の大阪。辰巳屋は総勢460人の手代(てだい)がいた。忠臣蔵の赤穂浅野藩の308人の家臣より、はるかに多い。資産総額も200万両。
 この辰巳屋の後継者をめぐる内紛が裁判にまで発展してしまった。この本を読むと、昔から日本人は裁判が好きだったことがよく分かる。いったん裁判に負けても、なんとか逆転勝訴へ持ち込もうとして、担当奉行などへ贈賄攻勢をかけていく。贈収賄が発覚しても、贈賄側は軽い処罰しか受けないが、収賄側の奉行などには打ち首その他の厳罰が科せられた。
 田舎出の純朴な少年が、あるじ(社長)の忠実な僕(しもべ)としてともに栄え、倒されていく。そこに視点をすえて物語が進行するから、一気に読ませる。

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