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私とキャリアが外務省を腐らせました

カテゴリー:未分類

著者:小林祐武、出版社:講談社
 外務省で長年、裏金づくりの仕事をしていたノンキャリア組の著者が逮捕され、有罪判決を受けて、何をしていたのかをかなりあけすけに告白した本です。もっとひどいことがあったんだろうなと思わせます。しかし、残念なことにキャリア組の「犯罪」を糾弾するまでには至っていません。ここで糾弾されているのは、外務省をやめて日本の対米追従の外交政策を厳しく糾弾している前レバノン大使・天木直人氏です。なるほど天木氏の金銭感覚や選民思想は大いに疑問と思いますが、ではエリートコースに乗っている主流のキャリア組の方はどうなの?とつい思ってしまいます。それにしても、外務省の裏ガネづくりの実態と、内閣官房の裏ガネの運用状況には驚きというより怒りを覚えます。なにしろ月1億円というお金が、領主書もなしに闇から闇へ処理されていく世界なのです。政治は汚い、とよく言われますが、すべては税金なのです。投票率が60%を下まわるという国民の政治への無関心がそれを許しているのかと思うと、改めて怒りを投票行動に結実させなくてはと私は思いました。

ペア・パンダ

カテゴリー:未分類

著者:田中光常、出版社:小学館
 本物のパンダは残念ながら1回しか見たことがありません。ずい分昔のことです。幼い子どもと一緒に、上野動物園に見に行きました。案の定、パンダは寝ていました。
 パンダは本当によく眠る。朝夕はとても活発に動きまわるが、昼間は日がな一日、食っちゃあ寝をくり返す。そして夜もまた、たっぷり眠る。
 パンダは1日のうち14時間も食事に費やす。消化の悪い竹が主食なので、パンダの腸は長くないといけないのに、実は短い。だから、たくさん食べて、たくさん排出しないと栄養がとれない。
 パンダの母親の子育ては愛情深い。赤ちゃんが産まれて数日間は、飲まず食わず、眠らず、排泄もせず、ほとんど移動もせずに育児に専念する。子どもを胸に抱いてペロペロなめ続ける。その数は1日に3000回にも及ぶ。排尿排便のあとも、なめてきれいにしてあげる。赤ちゃんが鳴くと、口にくわえて、抱いてお乳を与える。むずかると、おー、よしよしと揺すってあやす。ガオガオとかみつくまねをしてふざけたり、添い寝したりと一時も離れない。とても可愛いらしい2頭のパンダが満載されている写真集です。

松島市兵衛風流帖

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著者:大野靖子、出版社:講談社
 オビに「犯罪都市江戸捕物情話」とあるのは逆効果だと思いました。江戸が「犯罪都市」だなんて、本当でしょうか。むしろ、江戸の治安はとても良かったのではありませんか。「犯罪都市」なんていうと、現代アメリカのワシントンやロサンゼルスの物騒な状況をすぐ連想させます。もちろん、江戸に犯罪がなかったなんてことは私も言いません。奉行所があり、八丁堀同心が活躍していたことは事実です。
 それはともかく、テレビの脚本家として名高い(ようです。私はテレビを見ませんので、その評価はできませんが・・・)著者の江戸人情話とストーリーの巧みさには舌を巻きます。ともかく、ぐいぐいと話の世界に引きずりこまれます。うーん、とうなるほど、主人公と登場人物の性格描写が見事です。生き生きと目の前を飛びはねるように動いていく様は、手をうって感心してしまいます。
 江戸人情話と言えば山本周五郎ですが、それとはまたひと味ちがって、推理小説風の楽しさも味わうことができるのです。

パリのおっぱい、日本のおっぱい

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著者:木立玲子、出版社:集英社BE文庫
 フランスのマスコミで働く日本人女性が43歳のとき乳がんとなり、乳房切除の手術を受けました。4年後、転移していることが分かり、化学療法を受けます。その経過を明るいタッチで描く本です。日本とフランスの医療事情の違いも分かり、興味深い本です。
 フランスでは乳がんの手術は無料です。難病100%払い戻しの対象となって、払い戻しされるのです。がんとエイズは、その対象となっています。そのため、フランスでは給料の46%を社会保険のために天引きされます。これは税金とは別です。スウェーデンは54%、デンマークは53%、ベルギーは46%です。それでも、病気にかかったときの安心感があります。
 しかもフランスの病院では、ほとんど個室か2人部屋で、全員に個別の電話が提供されます。大部屋は廃止されたのです。日本もフランスの医療制度に見習うべきです。病気にかかったとき、お金のことを心配せずに安心して治療に専任できるようにするのが政治の責務だと思います。税金のつかい方に、日本人はもっと関心をもつべきです。
 ただ、この本には江戸時代の日本に「離婚の権利は亭主だけにある」という昔ながらの「常識」をうのみにした誤りもあります。日本の女性は昔から、そんなに弱くはなかったのです。ぜひ、この点は改めてほしいと思いました。

戦争映画100!

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著者:大久保義信、出版社:光人社
 私は、たとえ「平和ボケの日本人」と罵倒されようと、平和主義者でありたいと願っています。でも、戦争映画はなるべく見るようにしています。これも世界の現実を認識するためには欠かせないものだと思うのです。スクリーンのうえで銃弾が飛び交っていても、決してこちらに飛びこんできて死ぬようなことはないという安心感もあります。
 中国大陸へ駆り出された私の父は、病気になって辛うじて生還しましたが、私に「戦争ちゃ、えすか(怖い)ばい」と語ってくれたことがあります。私も、本当にそうだろうと思います。私の青春時代にはベトナム戦争がありました。私も何度となくベトナム反戦デモに参加しました。夜遅く、東京の銀座通りを埋めつくすフランス・デモに参加したときの感動は今もはっきり記憶しています。
 「ワンス・フォーエバー」は、ベトナムのイアドラン渓谷におけるベトナム正規軍とアメリカ軍が初めて正面から戦闘した状況を再現したものです。「フルメタル・ジャケット」はアメリカ海兵隊の苛酷な新兵養成訓練を見せてくれます。「プラトーン」や「ハンバーガー・ヒル」はベトナム戦争の峻烈な現実を想像させてくれます。
 この本は、これらの映画の意義について戦争の実態をふまえて解説してくれます。まさに「軍事オタク」というべき著者のウンチクの深さに驚嘆します。
 第二次大戦を描く映画、そして最近の湾岸戦争を舞台とする「戦火の勇気」まで、軍事問題に関心をもつ人には必見の映画を見事に紹介しています。

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