法律相談センター検索 弁護士検索

ロングフェロー日本滞在記

カテゴリー:未分類

著者:チャールズ・A・ロングフェロー、出版社:平凡社
 明治の初めにアメリカから陽気なアメリカ人の青年が日{にやってきました。北海道から九州まで旅行し、東京に家を買って住みつくほど日本を気にいってしまいました。
  アメリカの大詩人ヘンリー・ロングフェローの息子ですから、お金には困りません。せっせとアメリカの家族へ手紙を書いて日本の様子を知らせます。写真もたくさんとっています。日本の様子がよく分かる写真です。たくさんの写真をながめるだけでも、明治の初めの日本の様子が分かってうれしくなります。
  日本の若い芸者たちの写真がたくさん紹介されていますが、笑顔を見せているのは珍しいそうです。現代日本にもいそうな美人です。130年ほど前の日本人ですから、それほど違うはずもないのですが、あまりに今風なので、びっくりしてしまいました。
  日本人ほど芝居小屋や茶屋で楽しむことを知っている国民はいない。服をほとんど脱いでしまい、すっかり寛ろいでタバコをくゆらしたりしゃべったり、食べたりしている。
  日本人は貧しい物乞いの前を素通りすることなどまずない。たとえわずかな金額でも、そこには善意が感じられる。
  明治政府の役人たちは半分以上が道ばたで拾われて、政府のために悪知恵を働かせ悪事を働いたために高い地位を手に入れた。だから、小役人は嘘つきの名人だ。日本人は多かれ少なかれ嘘をつくのが得意だ。
  明治天皇が20歳だが、見たところは30歳のようだ。その顔立ちは極めて日本的で、大きくて平たい鼻、黄ばんだ肌の色。そのまなざしは鋭く輝いていた。あのような顔は江戸の町でたびたび見かけた。衣裳はいたって簡素だ。話すときは決して口を大きく開かず、歯の間から言葉をつぶやくだけ。我々の方をまっすぐに顔を見て話す。優しい慈悲深い表情だ。しかし、口を閉じると、たちまち威厳のある、まじめでむしろ無表情な顔になった。
  明治天皇の表情をじかに見た人の描写を初めて読みました。映画『ラスト・サムライ』に明治天皇も登場していましたが、ロングフェローの描写のとおりだな、私はそう思いました。

クモはなぜ糸から落ちないのか

カテゴリー:未分類

著者:大崎茂芳、出版社:PHP新書
 クモの糸の研究を25年以上も続けているというのですから、その持続力には頭が下がります。クモの糸でネクタイを編む可能性を追求しているそうです。クモの糸には柔軟性があるので銃弾のエネルギーを吸収できるから、防弾チョッキの素材にふさわしいというのには驚きました。ただし、草食性のカイコとちがってクモは肉食性だし、共食いの心配もあるので、大量飼育ができません。採算性に難点があります。
  クモの祖先は海中に生活していて、それが淡水へ移って、次いで陸に上がったといいます。クモは、4億年間も生きてきました。クモは昆虫ではありません。昆虫は足が6本で、クモは、サソリやダニと同じく足が8本あるからです。
  クモの糸は粘着性があるわけですが、自分の足がからまないのかと不思議に思っていましたが、つくるときには足場糸をはっていて、あとで足場糸を取り外すのです。つまり、自分の足にも下手するとクモの糸がくっつくのです。クモは絶えず2本からなる命綱をつかいながら動いているというのにも驚きました。クモもあわてて地面に落ちてしまったら死ぬのです。身が軽いから、そんな心配はないと私は思っていました。
  生まれたばかりの子グモたちの群に棒を入れたところ、一番下でフラフラしている子グモをその上にいた子グモが助けに降りて、上に引き上げてやった。しかも、牽引糸をすべて集めるという整理整頓までした。そんな観察が紹介されています。子グモ同士が助けあっているというのです。とても信じられませんよね・・・。

動物と人間の世界認識

カテゴリー:未分類

著者:日高敏隆、出版社:筑摩書房
 私がいるから世界があるのではない。世界があるから私がいるのだ。唯物論はこう言っていると思います。しかし、「私」が人間でないときに、「私」から見える世界は全然異なるものなんですね。この本は、そこを詳しく解き明かしています。
  人間の目からは、オスもメスも白色にしか見えないモンシロチョウですが、オスとメスとでは色が違います。メスは紫外線と黄色のまざった色なのです。モンシロチョウには紫外線が見えるから、その違いが分かるのです。ところが、モンシロチョウには赤が見えません。しかし、アゲハチョウには赤が見えます。ネコは、紙にネコの絵を描くと、ホンモノのネコと誤認してしまう。近寄って匂いをかいで、やっとネコじゃないと認識する。
  メスのニワトリの耳に手術して聞こえないようにしたら、卵を産んだものの、かえってヒナを次々に親ドリがつついて殺してしまった。ヒナドリの声が聞こえないから、怪しげな侵入者だと誤認して殺してしまったのだ。
  このように、目だけでなく、耳や鼻も世界を認識する手段として重要な役割を果たしており、それによって全然別の「世界」がそれぞれの動物にはあるというのです。本を読むと、「私」たちの世界も広がるというわけなんです。

復讐総会

カテゴリー:未分類

著者:江上剛、出版社:新潮社
 会社勤めの経験のない私が言うのもなんですが、大会社はどこも闇の世界と深くつるんでいる気がしてなりません。大会社には、たいてい汚れた仕事をする専門の部署があり、ベテランがいます。そして、ときどき摘発され、自殺者まで出ることがあります。
  でも、いつかの新聞コラムに「盆栽でしかない」と評されていました。要するに、上の方へ(司直の手は)伸びなくて、下に広がるばかりだ、というのです。なるほど、言い得て妙ですね。
  第一勧銀の銀行マンとして、最後は広報部次長の要職まで勤めた著者が、非情な銀行の内幕を暴いています。ストーリーとしては、少々できすぎという気もしましたし、退職刑事でこれほど人情味(そして信望)もある人がいるだろうか、と疑問には思いました。
  銀行の貸しはがしの実情も描かれています。過労死した銀行員のお通夜のときに、退職金の金額を並べたて、これだけもらえて良かったですね、そう言い放つ銀行員の同僚も登場します。そういうこともあるんだろうな、そう思いました。会社のためと思って尽くしていた人に対しても会社は非情なものだと、事件を通して何度も思ったことが私にもあります。

アメリカは恐怖に踊る

カテゴリー:未分類

著者:バリー・グラスナー、出版社:草思社
 アメリカは怖い国だと私は考えています。そうなんです。いいですか、アメリカでは200万人が刑務所に入っているんですよ。1990年に比べると、なんと2倍増なんです。アメリカ国内には2億5000万挺の銃があり、銃撃によって年間2万8000人が死んでいます。こんな現実を知らされて、恐怖におののかない人がいるでしょうか?
  しかし、と、この本は語ります。アメリカは怖いところだとマスコミや学者が過度に言いたてている現実があることを見抜くべきだ、というのです。
  アメリカでは毎年80万人以上の子どもが行方不明とされています。しかし、と著者は言います。行方不明の子どもたちの実態は、親による虐待から逃げた、別居中の親から連れ去られた子どもというのが大半であって、家族以外の他人に誘拐されたりした子どもは、年に200人ほどしかいない、だそうです。200人は果たして少ないのでしょうか。
  いえ、私も、恐怖をあおる人々の尻馬に乗って騒ぎたてるのはやめようという指摘に、少しばかり反省はさせられました。ゴメンナサイ・・。

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.