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選挙参謀、三ヶ月で代議士になれる

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著者:前田和男、出版社:太田出版
 私と同世代、つまり団塊世代の弁護士が東京での仕事にあきたりなく思って、地元の大阪から衆議院選挙に立候補し、公明党の候補に惜敗はしたものの、比例区で復活当選した。本書は、その選挙参謀が、選挙戦を総括した貴重な文献。いわば、選挙のウラ話が満載されている。
 しかし、著者も力説しているが、いまの選挙戦の実態は、政策を国民に問い、それで争う、というより、まさにイメージ選挙になっている。候補者を売りこむのに、マニフェストだとかイラストが中心で、その肝心な中味はあまり問題にされていない。あとはマスコミの関心をいかにひくかというだけ。これでは日本の将来は、お先まっ暗としか言いようがない。それでも、無名の新人が復活当選できたというのだから、本人のがんばりもあったと思う。
 その点、本人が団塊の世代の責任を問うていることは共鳴するところがあった。大学時代に紛争に関わっていながら、いま政治に関わろうとしないのは無責任ではないかということ。その点は、私もまったく同感だ。私は、大学紛争(この言葉を私は好きではない。私にとっては東大闘争としか言いたくない。なぜなら、それで死んだ人も身近にいるから。あれは生半可なものでは決してなかった)について、今の若者にその実相をぜひ知ってほしいと思って、いま本を書きつづっている。早く完成させたいと願って努力しているところだ。

ホントに、こんな人と結婚していいの?

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著者:石井希尚、出版社:主婦の友
 弁護士になって30年。法律相談でもっとも多いジャンルが離婚にからむ問題です。下手すると、毎日のように相談を受けます。でも、いまの日本が離婚率が一番高いと思っていると、それは違います。明治時代は今よりもっと離婚率は高かったのです。統計こそありませんが、その前の江戸時代にはさらに離婚は多かったと考えられています。「日本の女性は昔からひたすら夫(男)に忍従していた」なんていうのは、単なる思いこみにすぎません。私も、30年間、弁護士をしていて、そのことは体験的に確信しています。日々、女性の強さ、したたかさを実感しています。もちろん、昔から、弱い女性はいました。しかし、それ以上に弱い男も多いのが日本の現実です。
 ところで、この本は、そんなことを論じているわけではありません。同棲と結婚とは、異なることを力説しています。そうなんです。男と女が(セックスをともなって)一緒に生活していても、同棲と結婚とは決定的に異なるものなんです。つまり、結婚とは契約であり、同棲は権利も義務もないものなのです。うーん、そうなのか・・・。
 男にとって、女性の精神構造。そして肉体は永遠のナゾのようなものです。この本は、その点を理解しないと、結婚を維持することはできないと力説しています。ホントでしょうか・・・。私はなるほど、と思いました。一つの事実が、男の描くストーリーと、女のそれとが決定的に異なっていることを、著者の体験をもとにして語られているところは、大いに説得力がありました。

新選組

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著者:松浦玲、出版社:岩波新書
 近藤勇は、長文の手紙を何通も書いたという。しかし、従来の新選組研究に、その手紙がきちんと生かされていない。このことを著者は嘆いている。
 坂本龍馬と中岡慎太郎を殺したのは、新選組ではなかった(見廻り組が犯人)。しかし、近藤勇が流山で逮捕されたとき、坂本竜馬を暗殺したのは新撰組だと思っていた土佐人(谷干城が代表格)が寛容派の薩摩と激しくやりあった。薩摩の平田九十郎は、近藤勇の尋問が勝海舟や大久保一翁との関係に及ぶのを食いとめるのに懸命だったという。拷問もさせなかった。軍監(水戸人)が厳罰派だったため、20日以上ももみあった末に近藤勇は斬首され、東京と京都で首が晒された。
 新選組には新人が次々に入ってきたというのが驚きだ。京都での最盛時に200人、甲陽鎮撫隊で200人、五兵衛新田から流山では200人を超えた。函館で降伏したときにも100人の規模。その理由は、刀一本でまったく無名の浪士から幕臣になれるというコースは新選組以外にはありえなかった。徳川幕府支持の大枠のなかにいて武士になりたいと願う庶民にとっては輝ける登竜門だった。新人の多くは武州多摩の出身。多摩は、やがて自由民権運動の一大拠点となった。うーん、なるほど、そうだったのか・・・。
 それにしても、新選組の生き残りが1938年(昭和13年)まで生きていたというのには驚いた。90歳まで長生きし、作家の子母澤寛に新選組のことを語ったのは1929年(昭和4年)、81歳のときだった。うーん、新選組って、遠い江戸時代、幕末のころの話なんだけど、その登場人物って、明治、大正時代を経て昭和まで生きていたのか・・・。

5万年前に人類に何が起きたか?

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著者:リチャード・G・クライン、出版社:新書館
 5万年前にヒトは初めて解剖学的構造でも行動でも、現生人となった。二足歩行の類人猿のはじめのころは、うっそうとした木々に囲まれて生活していた。日陰の少ないサバンナにヒトが入りこんだのは170万年ほど前にすぎない。
 直立して威嚇することが、暴力を回避することができ、緊張状態を和らげて、死傷のリスクを減らした。
 ネアンデルタール人の脳容量は大きく、平均1520ccで現生人の平均より120ccも上まわる。ネアンデルタール人は、4万年ほど前に出現したアフリカ起源の現生人との競争に敗れて姿を消した。
 いずれにしろ、現代の人類が東アフリカ起源であることは、どの本を読んでも争いがない。白人も、もとをただせば黒人起源なのだから、威張る根拠なんて何もない。

中国ビジネスの法務戦略

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著者:范云涛、出版社:日本評論社
 京都大学で学び法学博士号をとり、中国の弁護士資格を得て、東京で渉外事務所で働いたこともある上海の弁護士の書いた実践的な本です。
 日本企業は中国で訴えられると、訴訟上の権利をやすやすと取り下げ、戦うことをあきらめてしまう行動パターンがよく見られる。決定時の遅さに引きかえ、紛争やトラブルが発生したときの対応時には、あまりにもあきらめが早く、潔い。このどうしようもない行動様式が、これまで多数の進出事例を決定的な失敗へと落とし入れていった。
 著者はこのように厳しい指摘をしています。なるほど、日本人にありがちな対応です。
 紛争発生時にあわてふためいて、泥縄式に弁護士を使うが、その時点では余分な出費を余儀なくされる。投資事業を始める時点から、現地の法律実務に明るい弁護士を採用し、顧問弁護士契約をかわすことを通じて、中国の最新法制などに関する情報が入手できる。顧問料は月に500〜600米ドルほどだ。
 著者はいくつもの失敗事例を紹介しています。身につまされる話ばかりです。
 これまでの日本企業の対応には次のような特徴がある。すなわち、不祥事が起きたときには、ひたすら紛争をおし隠そうとし、社内のクレーム処理部署のスタッフを利
用して、現地の顧問弁護士は使わない。本社にも報告せず、ひそかに事態をなんとか落ち着かせれば、もみ消せると考える。本社に紛争の詳細を報告せず、速やかな解消方法をとらず、弁護士にも迅速に相談せず、消費者に一定のお詫び金か手切れ金あるいは口止め料を払うという小手先の手段をもって終息させようと目論む。そうこうしているうちに、事件がマスコミ沙汰になって大きく企業イメージを傷つけられそうになった段階ではじめて、「救急車」「消防隊員」としての弁護士を思い出し、あわてて和解調停の労をとるように頼む。これが駆け込み寺方式。しかし、たいていの場合、すでに後の祭り。
 うーん、これはしかし、なにも中国への進出していった日本企業のことばかりではありませんよね。日本国内でも同じパターンでしょ・・・。
 ところで、この本によると、中国の弁護士は今13万人で、2010年までに30万人体制にする目標とのことです。そして、そのとき、国際弁護士を1万人以上確保するといいます。すごい計画です。
 2003年3月の全人代と全国政治協商会議に、弁護士による代表が初めて参加したとのこと。全人代には8人の弁護士、全国政治協商会議には5人の弁護士が参加したといいます。中国でも、やっと弁護士が市民権を得たようです。
 ところで、2003年3月、東北地方の吉林省人民法院の裁判官が中国史上初の弾劾罷免されました。担当している民事事件の当事者から宴会改めを受け、金員を受けとっていた事実が判明したからです。中国の裁判官の給料の低いことも原因のひとつのようです。
 四川省重慶市の高等人民法院では、裁判官の配偶者との間で、「夫の勤務時間外不正行為監督責任の委任に関する契約書」を取りかわしたといいます。裁判官のスキャンダル防止に、妻たちの女性パワーと圧力を借りようというものです。既に裁判官の99%の妻が署名しました。夫の犯罪疑惑を上司の通報すると、報奨金が妻に与えられるのです。
 うーん、そこまでするのか・・・。驚きました。

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