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リプレイ

カテゴリー:未分類

著者:ケン・グリムウッド、出版社:新潮文庫
 人生を何度でもやり直すことができたらどうなるか・・・。
 43歳のときに死亡した(はず)。ところが、気が付くと、18歳の学生になっている。頭のなかの記憶と知識はもとのまま。ということは将来が「予見」できる。株式の上下、競馬のあたり馬券、みんな「予想」は適中し、大金持ちになる。ええーっ、そんなウマイ話があるものか・・・。ところが、またもや死亡する。そして、そのあと、どうなるか? まったくありそうもないことを、ありそうに思わせるのは、作家の筆力です。その筆力のなさを嘆いている私は、いまも悶々としています・・・。

大王陵発掘!巨大はにわと継体天皇の謎

カテゴリー:未分類

著者:NHK大阪、出版社:NHK出版
 大阪の高槻市にある今城塚古墳は、継体天皇の墓とみられています。日本が万世一系の天皇でなかったことは、6世紀初めのこの継体天皇の出現によっても明らかです。八女の筑紫君磐井(ちくしのきみいわい)が天下を揺るがす大反乱を起こしたのも、継体天皇のときです。まだ日本の政権が安定していなかったのでしょう。
 発掘された埴輪には両手を高くあげる巫女もいました。それをコンピューターグラフィック(CG)で再現しているので、視覚的にも理解できます。
 NHKスペシャルをもとにした本なので当然なのですが、こうやってビジュアルな形で古墳の埴輪が再現されると、古墳のもっている意義もよく分かります。

博士の愛した数式

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著者:小川洋子、出版社:新潮社
 不思議な本です。第一回本屋大賞を受章したというのですが、私にはピンと来ないところがありました。いえ、別に、この本にケチをつけようというのではありません。面白くないというのでもありません。しかし、次は何か事件でも起きるのかなと、つい期待して読んでいく、その期待は裏切られてしまいます。
 世間離れした、不思議なムードの漂う本なのです・・・。

国際人権法と韓国の未来

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著者:朴燦運、出版社:現代人文社
 著者の朴弁護士の話は福岡で聞いたことがある。韓国の大学を卒業してアメリカのロースクールに学び、オランダの国際刑事法廷にもつとめた経歴を有している。韓国の弁護士は世界的に活躍しているんだな、日本の弁護士は負けている。そう思ったことだった。
 この本を読んで、著者も南北分断の辛い体験の持ち主だということを初めて知った。母方の祖父は朝鮮戦争当時、「北」側の人民委員長となり、「北」が敗北したときに惨殺され遺体も見つからなかった。著者の父は韓国軍将校として「北」と戦い、輝かしい戦功をあげた。著者の妻の実家は「北」から逃れてきた右翼反共闘志の家柄。そして、著者は国際的にも活躍している人権の闘士である。
 その著者が司法研修院で国際人権法について30時間の講義をした(2001年)。日本の司法研修所でも同じようなことをやっているのだろうか・・・。ところが、受講生のなかにソウル大学法学の卒業生が1人しかいなかったという。ビジネス万能主義のあらわれではないかと著者は心配している。
 韓国の司法改革の現状と問題点がよく分かる本だ。韓国でも日本と同じように司法改革がすすんでいる。司法試験の合格者が長く300人だったのが、今は1000人となった。かつて弁護士はヤメ検、ヤメ判ばかりだった。しかし、今では合格者1000人のうち、700人は弁護士になる。ソウル弁護士会3300人のうち、判検事の経験のない弁護士が2000人いる。といっても、役員はヤメ検・ヤメ判がまだ多い。 韓国の悪しき慣例として前官礼遇というものがある。かつても先輩であるヤメ検・ヤメ判に特別待遇するというものだ。とはいっても、これもなくなりつつある。
 2002年の司法試験の合格者の3割が女性。2003年1月の司法研修院の卒業式で、成績の1、2、3位は全員女性だった。判事(予備判事)に任命された110人のうち女性が半分の55人だった。いずれ7割になると予想されている。
 イラク戦争は侵略戦争であり、韓国のイラク派兵は憲法違反だと断言する著者の論理はきわめて明快で、胸のすく思いだ。

リーガル・ネゴシエーション

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著者:加藤新太郎、出版社:弘文堂
 私は交渉はあまり得意ではありません。とくに初対面の相手と強気で交渉するなんて、とてもとても自信がありません。だから、交渉事件は嫌いです。
 世の中にはタフ・ネゴシエーターと呼ばれる人がいます。粘り強く紳士的にがんばる人かと思っていましたら、案に相違して、頑固な自信家のようです。
 優れた調整者とは非常に柔軟な人かと思うとさにあらず、自説は一切曲げないという人が多い。タフというのは頑迷固陋と紙一重で、柔軟だというのは日和見と紙一重だ。
 この本には、私も属している自由法曹団という「左翼」弁護士団体の大衆的裁判闘争が紹介されています。
 重要なことは、現在の裁判を公益の代表格として位置づけ、裁判闘争の勝利のために公益に属する人々の協力を裁判に結集させるという狙いをもつことである。裁判の勝利が運動の公益性を高め、その逆に、支持者の公益のための活動が裁判の勝利を呼ぶという相関関係に着目することである。
 もうひとつ、沖縄で戦後アメリカに対して土地返還のたたかいを粘り強くすすめ、一人の脱落者も出さなかった阿波根昌鴻氏の運動のすすめ方が紹介されています。実に感動的な原則です。
 陳情行進をするについて決めた11の決まりがある。反米的にならない。耳より上に手を上げない。大きな声を出さずに静かに話す。軍を恐れない。次の項目が心をうちます。 人間性においては生産者であるわれわれ農民の方が軍人に勝っている自覚を堅持し、破壊者である軍人を教え導く心構えが大切だ、というのです。これは次のようにも言いかえられています。
 軍が横暴非道な態度で来ても、わたしたちは人間として、また一等国民の態度をもって、軍が礼を受けないでも正しい挨拶を忘れない。
 うーん、まいりました。このような道徳観念を実践すれば、相手はタジタジとなるはずです。すごいのはカンパ活動にとりくむ4つの指針です。
1.募金は同情を訴えるだけでは目的は果たせない。
2.募金に応じる人が奮起せざるをえないように働きかける。すすんでやる気を起こさせる。
3.自分だけでなく、他人にもすすめてやらせたくなるように仕向ける。
4.後日になって、もっと多くの募金に応じておけばよかったと思わせるようにする。
 うーん、なるほど、そこまで考えるものなのか・・・。さすが、すごいものです。
 弁護士の仕事については、次のように書かれています。
 紛争をなくすことが目的なのだから、そのために弁護士としてやれることをやる。ただ、その結果が全体の利益を害さないで、かつ当事者の満足を得る。そして平和な形で終息するような、何か新しい、クリエイティブな形を創り出すということが弁護士の仕事だ。
 うーん、そうなんですよね・・・。

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