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恋愛結婚は何をもたらしたか

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著者:加藤秀一、出版社:ちくま新書
 日本の離婚率は現在が最高だと誤解している人は多い。しかし、江戸時代に離婚は現代日本と比べものにならないほどあたりまえのことで、それを受けついだ明治時代前期が統計的にみて史上最高だった。今、ようやく、それに近づきつつあるというだけのことだ。明治前期の日本は離婚が容易で、数もとび抜けて多い国として海外にも知られていた。
 恋愛という言葉は明治20年代になって生まれ、一般化したもので、それ以前はなかった。明治の作家である泉鏡花は、結婚とは個人が社会的な圧力に負けてするものであり、無我としての完全なる愛は結婚していない場合にのみ成立するから、結婚とはみなが言うほどめでたいものではないとしている。うーん、そうも言えるかなー・・・。
 明治維新後に、むしろ妾の地位は飛躍的に高められた。それは、「家」の継続を保障し、国家の基盤を強化することが狙いだった。一夫一婦制は望ましいことだが、妾を廃してしまったら、皇族の血統が絶えてしまう恐れがある。だから、妾をもつのは認めるべきだという声が政府内には強かった。ことは皇室の存続に関わっていた。
 現に、いま天皇の後継者(男性)が確保できるのか真剣に議論されている。

高崎山のオスザルたち

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著者:松井猛、出版社:西日本新聞社
 中学生のとき、修学旅行で高崎山に行ったときのことです。エサをやりました。まず近くの猿にやったので、次ぎに遠くにいる猿にエサをやろうとしたら、目の前の猿が怒り、私の手をとって手首にガブリと噛みつきました。猿の心理が全然分かっていないことを身をもって体験させられたわけです。
 最近の研究では、ボスザルはいないことが判明しています。この本でも、そのことをふまえています。ただし、日本人に長くボスザルがいると思わせてきたことから、言葉としては使っています。
 争いや体格の大小は関係なく、群れの中で一番長く暮らすオスが一位である。ボスザル(アルファオス)は、仲間を支配したり、命令したり、統率することはなく、お互いが頼る、頼られる関係である。ニホンザルの群れにリーダー的な役割をするオスはいない。
 ニホンザルの寿命はおよそ25年。メスの最高齢は37歳。これは人間の115歳に相当する。やはり、サルの世界もメスがオスより長生きするみたいですね。
 オスは生殖可能となる4歳ころに出生した群れを離れる。近親交配を避けるため別の群れのメスを求めて、新参者としてスタートする。ところが、群れが大きくなると、近親交配の危険性が薄れてきたのか、群れを出ていかない若オスが出てきた。
 アルファオスになるのは最年少で9歳。20歳すぎた老年のサルがなることも珍しくはない。のんびり過ごしているように見えるサル社会にも人間のようなストレスはある。とくに群れの周辺部にいた若オスが順位を上げて群れの中心部に移った時期は、口うるさいメスや威張りちらす上位オスへの気苦労で、結構、大変のようだ。
 アルファオスが、ある日突然に群れを抜け出し、別の敵対していた群れに入りこむことがあるそうです。まったく新参者として下位からスタートすることになります。どうして、そんなことをするのか不思議でなりません。

9歳の人生

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著者:ウィ・ギチョル、出版社:河出書房新社
 ソウルの山の手(実は急勾配の傾斜面)にある貧民街に育つ9歳の少年が過ごす日常生活が描かれています。韓国で130万部売れたベストセラーで、映画にもなっています。来年には日本でも公開される予定です。
 韓国映画『おばあちゃんの家』を見ましたが、ちょっと似た感じの映画になるという気がします。ほのぼのとなるというより、むしろ9歳にしても早くも人生の悲哀を感じさせられ、かといって元気を喪うというわけでもない。そんなストーリーです。
 貧民街に勉強を教えに行く大学生のサークル活動が存在していたことが、訳者あとがきに紹介されています。私が大学生のころに所属していたセツルメント子ども会と同じです。なつかしく思い出しました。
 子どもは多感です。決して純真無垢という存在ではありません。しかし、愛情に飢えている子どももたくさんいるのが現実です。忘れかけていた子どものときの心を、しばし思い出させてくれる、いい雰囲気の本でした。

源氏物語の性と生誕

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著者:小嶋菜温子、出版社:立教大学出版会
 600頁近い、源氏物語を本格的に論じた本です。もちろん(残念ながら)私は源氏物語を古文のまま全部読んだことはありません。
 思ひつつ寝ればや人の見えつらむ 夢と知りせば覚めざらましを  (古今集)
 うたた寝に恋いしきひとを見てしより 夢てふものはたのみそめてき (古今集)
 こんな歌を読むと、ああ、私にもそんなことがあったなあ・・・、と思いしのばれます。いつのまにか、平安時代に身をおくことができる心境です。
 とても理解することはできませんでしたが、平安朝の誕生儀式の重要さをふくめ、しばし、源氏物語の世界に浸ってみたのです・・・。なんとなくいい気分でした。

読書国民の誕生

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著者:永嶺重敏、出版社:日本エディタースクール出版部
 私が電車のなかで本を読むようになってから、もう35年以上たちます。揺れるところで本を読んだら目が悪くなると言われますが、私は今も近視のまま、ちっとも度はすすみません。好きこそモノの上手なれ、と言いますが、好きなことをしていると身体に毒にはならないようです。
 日本に列車(汽車)が走るようになって、駅の売店で新聞や本を売るようになり、列車内に図書室をつくり、貸本システムをつくったということが紹介されています。今は車内販売では週刊誌を売るだけです。キオスクでは新書や文庫本を売っていますし、新幹線の駅構内には新刊本も売っています。
 新聞の普及率は日本はすごく高いと思いますが、ニュースはテレビそしてパソコンで見るだけという人も最近では多いようです。
 明治30年代に鉄道網が整備されてくると、全国の読書人が本を早く購読したいという要求をぶつけてきたことが紹介されています。日本人は昔から世界に冠たる読書好きの民族なのだということがよく分かる本です。

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