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KALAHARI チーターがいる砂漠

カテゴリー:未分類

著者:佐野高太郎、出版社:かもがわ出版
 アフリカ南部のカラハリ準砂漠地帯に生息するチーター兄弟が主人公です。こんなに近寄ってカメラをかまえて、襲われなかったのが不思議なほどです。精悍なチーターの表情がくっきり鮮明なのは、さすがイギリスBBCの賞をとったほどのプロカメラマンです。
 大平原のなか、チーターはじっと獲物を狙って3日間も観察していることがあるそうです。ここで狙われるのはスプリングポックです。シカみたいな動物です。
 チーターは瞬間時速120キロといっても、500メートルしか持久できません。他方、スプリングポックは、時速80キロを10キロメートル以上も続けることができます。したがって、両者には、一定の距離をおいておけば、「安全」(逃げられる)という関係にあります。
 それでも、ときには獲物を仕留めなければチーターは生きていけません。一度ありついたら、5日間はお休みです。こうやって自然の摂理は働いています。チーターはジャッカルには強くても、ハイエナは負けてしまいます。また、ライオンがいると獲物を横どりされるので狩りははお休みします。
 アフリカの大自然のなかで、野生動物たちの生きていく厳しさがよく撮れている大型写真集です。

恥ずかしい読書

カテゴリー:未分類

著者:永江 朗、出版社:ポプラ社
 目に悪いと分かっていても、電車の読書はやめられない。本の面白さには勝てないから・・・と眼科医が語っています。私の読書タイムは、ほとんどが移動中の車内です。今でも近視ですから、メガネなしで本は読めます。近視は、読書のために目が適応した結果とあります。なるほど、ですね。
 本はどんどん汚して読んだ方がいい。そうなんです。私は赤エンピツでアンダーラインを引きまくります。この読書感想文は、その赤いところを読み返しながらつくるのです。
 ですから、私が読んだ本は、「ブックオフ」などに引き取ってはもらえません。
 著者は本を読むのが早いようです。毎日毎日、本を読んでいると自然に早くなるというのは本当です。私は昨年は569冊読みました。それでも最高記録757冊に及びませんでした。要するに、それだけ移動していたということです。学生時代から簡単な読書ノートをつけています。
 でも、ときどき読んでいるこの瞬間がずっと続けばいいのに、と思えるほど面白い本に出会います。ページをめくる手がもどかしいほど、次がどうなるのかを知りたいのです。同時に、読み終えたくないという気にもなるのです。そんな気になった本として私がまっ先に思い出すのは『沈まぬ太陽』です。わくわくしながら、ときに憤慨しながら、充実した思いで読みふけりました。
 著者は、本を読むためにはテレビを消せ、と強調しています。まったく同感です。私はまったくテレビを見ません。
 テレビは悪魔の発明品だ。テレビのニュースなんか見なくても何の支障もない。それどころか、テレビを見ない方が事件の本質がよく分かるようになる。
 映像は考える力と想像力を奪ってしまう。テレビは麻薬のようなもので、見なくなってはじめのうちは禁断症状が出てくる。しかし、そのうち、テレビなんか見なくても立派に毎日を過ごすことができるようになる。
 NHKの海老沢会長辞任騒動の本質は、NHKテレビを見ていても絶対に分かりません。要は、NHKは自民党と財界という権力者の方にしか目が向いていないということです。「公平・中立」の公共放送なんて笑わせます。うちにも一応テレビはありますので、ささやかながらNHKの受信料の不払い運動に参加することにしました。やっぱり、ひどいと思ったら、声をあげないといけませんからね・・・。

希望格差社会

カテゴリー:未分類

著者:山田昌弘、出版社:筑摩書房
 日本社会が、いや世界全体がグローバリゼーションの大波のなかで、大きく変わりつつあることを改めて認識させられる本です。現状分析については、なるほど、なるほど、と何度もうなずきました。ところが、対策というか、解決の処方箋のところでは、ええっ、そんなー・・・と裏切られた思いにかられ、ガックリ肩を落としてしまいました。規制緩和をさらにすすめようと言うのですから、ひどいものです。
 まずは現状認識が肝心です。グローバリゼーションの影響によって、近年、世界全体に社会から排除され、将来の希望がなくなり、やけになる人が増えている。
 リスク化がすすみ、自己責任が強調されると、リスクに備えて、事前に努力をしてもムダだということにつながる。すると、多くの人々から希望は消滅し、やる気は失われる。そこで、努力をせずに、リスクに目をつむり現実から逃避して生きるという「運頼み」の人間があらわれる。「運頼み人間」とは、ギャンブル好みの人間ということではなく、自分の人生自体をギャンブル化してしまう人間のこと。
 年功序列、終身雇用、企業内労組、社内福祉というのは日本的な雇用慣行だとよく言われるが、そんなものは戦前の日本にはなかった。
 近年、父と息子の階層の関連性は強まっており、階層は固定化する傾向にある。
 未婚化も進行している。今は男性12%、女性6%だが、これが1980年生まれの若者だと男性25%、女性18%まで生涯未婚率は上昇すると予測されている。未婚化は同棲が増えるということではない。結婚したいのにできない確率が上昇する。そもそも恋人や異性の友人がいない人の割合がこの20年で増大している。現在、40歳の人の離婚率は20%であり、いま20歳前後の若者の最終的な離婚経験率は30%になると予測されている。
 近年、急増しているのは、10歳代や20歳代前半のできちゃった婚。2人の収入がまだ少なく、生活基盤が整わないにもかかわらず、レジャーへの関心が高い。子どもの存在は生活を脅かすリスクを通りこし、子どもの存在自体が生活を送るときの邪魔ものになる。子どもの虐待が増加するわけである。
 ひきこもりは100万人、いや200万人いると見られている。ひきこもりが長期化し、20歳代、30歳代のひきこもりが増えている。
 年収の高い夫の妻の就労率は高く、年収の低い夫の妻の就労率は低いまま。不安定就労者同士で結婚し、夫も妻も低収入で失業率の高い夫婦が増えている。個人の収入の格差が、結婚によって拡大し、家族生活の二極化を加速している。
 将来に絶望した人が陥るのは、自暴自棄型の犯罪である。不幸の道連れだ。人生を捨てている人に怖いものはない。若者の絶望感は、いま以上に深くなるだろう。その先には、アディクションにふけるものや、自暴自棄になる者も増え、なかには、「不幸の道連れ」型の犯罪に走る者も出てくるだろう。人間はパンのみで生きているわけではない。希望でもって生きるのである。ニューエコノミーがうみ出す格差は、希望の格差なのである。ニューエコノミーは平凡な能力の持ち主から希望を奪っている。
 私も、弁護人になるたびに、老いも若きも希望を奪われている人がいかに世の中に多いか、本当に痛感しています。

新選組

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著者:大石学、出版社:中公新書
 コンパクトな新書という体裁からは想像できないほどの重厚な学術書そのものです。私より5歳も若いとは思えないほど博識な著者が豊富な文献を駆使して、新選組とは何だったのか、その実像をあますところなく描き出しています。
 たとえば、新選組には「時代に取り残された剣士集団」「復古主義思想にこり固まった野蛮な浪人たちの殺人集団」というイメージがあります。本当はどうだったのか?
 新選組は着実に洋式軍備化をすすめていた。土方歳三は、新選組が毎日全員が砲術訓練を行い、西洋鉄砲がだいぶ上達し、幕長戦争の先駆けも勤められるほどになったと自慢している。鳥羽伏見の戦いのとき、新選組はみな鉄砲を持っていた。新式の元込の鉄砲やマントとズボンを購入しており、洋装化していた。新選組は全体として鉄砲隊としての性格を基本にしつつあった。
 映画『隠し剣、鬼の爪』に東北地方の海坂藩が様式銃をもって訓練に励んでいるシーンがあるのを思い出しました。また、新選組の隊員は江戸と甲府の浪士と豪農出身とばかり思っていました。しかし、これも間違いです。その出身は東北から九州まで全国にわたっています。筑前から2人、筑後から5人も新選組に加わっているのです。そして、武士・浪人だけでなく、百姓、商人、職人、町人、医師、宗教家など、さまざまな出身階層の人がいました。いわば全国からの志願兵によって成りたっていたというわけです。
 そして、新選組の特徴は、浪人の同志的組織から、官僚制度組織になっていったということです。近藤勇がそれをすすめたのです。もちろん、これには強い反撥もうまれました。しかし、近藤勇は、厳しい法度を制し、公印をもつなどして組織化・官僚化を強引におしすすめていきました。さらに、隊員には月単位の俸給制度を導入しました。武士のような家単位の現物支給ではなかったのです。うーん、そうだったのか・・・。

アヴェンジャー

カテゴリー:未分類

著者:フレデリック・フォーサイス、出版社:角川書店
 アメリカは、世界じゅう場所はどこであれ、アメリカ人を殺したら、ブロードウェイで殺したのと同じとみなす権利を勝手に自国に付与した。要するに、アメリカの司法権は地球全体に及ぶということ。
 べつに国際会議や条約でそう決まったのではない。アメリカがそう決めただけ。多国間安全保障法、1984年の包括的犯罪管理法、1986年の反テロリスト法によって、海外でアメリカ人に対しておこなわれたテロ行為に適用される新しい領土外適用の法律が生まれた。
 フォーサイスの本はいくつも読みましたが、さすが最新の本だけあって、アメリカの身勝手さをむき出しにした世界状況をふまえたストーリーになっていて、しかも丹念に状況が積み上げられていますので、納得しながら読みすすめることができます。
 アメリカ人が外国人をいくら虐殺しようと何の問題もない。1人のアメリカ人が外国人から殺されるのは絶対に許さない。草の根をわけても捕まえて復讐しないではおかない。それがアメリカ人の醜い本質です。

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