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フード・ポリティクス

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著者:マリオン・ネスル、出版社:新曜社
 食品会社はタバコ 会社と同じである。いつだって国民の健康よりも株主のニーズを優先させる。テレビの視聴時間は、太りすぎを予測する最良の指標のひとつである。太りすぎの率は1970年代公判から1990年代前半にかけて倍増し、6歳から11歳までの子どもで8%が14%に、12歳以上の子どもは6%が12%となった。同じく、太りすぎの大人は25%だったのが35%になった。
 アメリカ人の食事の半分近くが家の外であり、その4分の1はファーストフードである。
 食品の広告の70%はファーストフードである。塩は加工食品の業界にとって必要不可欠。塩は水を結合させ、非常に低コストで食品の重さを増し、加工食品の味を良くし、のどを乾かす。塩は、「もっと食べよう」を促進する。
 牛乳は、人間の赤ちゃんが消化吸収するには濃すぎる栄養分を含んでいる。粉ミルクは母乳の特性のほとんどをもっているが、すべてではない。もっとも重要な違いは、赤ちゃんが病原体から身を守るための免疫物質が欠けていることである。母乳だけでなく粉ミルクを与えたときの方がエイズの感染率は高い。母親がエイズに感染していない場合、粉ミルクで育てられた子どもは、母乳で育てられた子どもに比べて下痢で死亡する率が6倍にのぼる。
 子どもたちに、高コレステロール、高血圧の子が増え、「成人型」糖尿病の発生率がどんどん低年齢化している。肥満児の率が、白人23%、メキシコ系29%、黒人31%となっている。子どもが標的となり、テレビコマーシャルは学校現場にまで入りこんでいる。学校にソフトドリンクを押しつけるドリンク販売権まである。会社は学校にお金を支払うかわりに、その学区内のすべての学校で自社のソフトドリンクを販売できるのである。ソフトドリンクとは、カロリーが高くて、栄養価が低い食品だ。
 アメリカの食生活がいかに貧しいか、そして子どもたちが狙われていることがよく分かる本です。それにしても465頁という大部な本を読みとおすのには骨が折れました。

安曇野の白い庭

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著者:丸山健二、出版社:新潮文庫
 「荒野の庭」という写真集(求龍堂)を見て、すごい庭だと感嘆しましたが、この本は、その庭がつくられる過程がリアルに再現されています。私の自慢の庭も50坪ほどの広さがありますが、安曇野の山のふもとに350坪もあるというのです。すごいものです。
 芽吹きの季節、よく晴れた日の、風のない、宵口に、自分で造った庭に佇むときの気分といったらない。これこそが至福ではないかと思えた。著者の言葉に私も共感します。
 今まさに芽吹きの季節です。五月のゴールデンウィークはどこにも出かけず、庭づくりに精を出しました。よく晴れた日の、風のない宵口にたたずんで遠くの山を眺め、夕暮れにかかっていく空を見上げます。庭にいると、鳥たちが何してるのと、すぐそばまで寄ってきます。鳩が豆鉄砲を喰らったときの目という表現がありますが、キジバトの目は、いつもそんな感じです。秋から冬にかけて毎年やってくるジョウビタキは、わずか1メートルほどの距離まで近づいて来て、尻尾をチョンチョンと上下させて挨拶してくれます。四季折々のたくさんの花、そして鳥たちと一緒にいると、まさに至福のときです。
 いろんな木を植えた話が出てきます。長野県の山のふもとですから、九州とはかなり様子が違います。私も、たくさんの木を植えては、素人の悲しさで枯らしてしまいました。ピンクのハナミズキは2年ほど見事に咲いてくれたのに、いつのまにか枯れさせてしまいました。柿やイチジク、サンショウなどは大きくなる前に姿を消してしまいました。キウイのオスは今、3代目です。人間と同じで、オスの木は弱いのです。2代続けて枯れてしまいました。メスの木はとても強くて勢いが良すぎたので、大胆にカットしてやりました。早くオスの木が大きくなって、キウイの実がなることを願っています。
 いま、花はクレマチスとナデシコが咲いています。クレマチスは、古くはテッセンとも呼ばれていたそうです。花の色もいろいろあります。赤紫色から濃い青紫色まで。純白のクレマチスの平たい花びらが雨にうたれている風情には、なにかしら源氏物語絵巻をしのばせる気品を感じます。
 あっ、そうそう。ジャーマンアイリスも咲いています。いつのまにか青紫色一色になってしまったので、少し色の種類を増やしました。チョコレート色など、色も形もいかにも華麗で派手な花です。純白のジャーマンアイリスも咲きました。見事なホワイトです。ところが、このジャーマンアイリスは人の手がかかるのを嫌うのです。放っておけばいい。いえ、それどころか、いじめにあうと、ますます美しく咲くのです。ですから、ときどき植えかえるのが美しく花を咲かせるコツなのです。それも、コチコチの地面のところを浅く掘って、そこに放置する感じで植えつけ、あとは水やりなど世話は一切しないのです。この本で庭づくりの奥の深さを改めて感じました。

帝国の傲慢

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著者:マイケル・ショワー、出版社:日経BP社
 CIA幹部がビン・ラディンとのたたかいでアメリカの戦争が成果をあげていないことを暴露した本です。アメリカで50万部売れたベストセラー本だそうです。
 アメリカのイラクに対する侵略は、1846年のメキシコ戦争と同じく、差し迫った脅威を呈していない相手に対して経済的利益を狙いに、挑発もされないのに戦端を開いた強欲で計画的な侵略戦争だ。
 この戦争は子々孫々の代まで続くおそれがあり、主としてアメリカ本土が戦場となる可能性がある。アルカイダが再びアメリカ本土に攻撃を加えてくる可能性がますます高まっており、次の攻撃は9.11を上まわる被害をもたらすおそれがあり、しかも大量破壊兵器が使用される心配がある。
 ビン・ラディンの戦力の90%が生き延びている。アフガン人は一人としてビン・ラディンの情報を寄せなかった。現代において、ビン・ラディンこそが全能なるアッラーに自らを捧げた英雄である。ビン・ラディンは虐げられた人々の解放者である。人々はビン・ラディンを尊敬するだけでなく、愛している。ビン・ラディンのために働いて命を落とすなら本望だと人々は考えている。
 アメリカから見たら邪悪な自爆テロ実行犯は、イスラムから見たら殉教の英雄であり、予言者の指導に従ってその足跡をたどり、神の言葉に従う善男善女ということになる。
 ビン・ラディンは明瞭な言葉で語り、その言葉と行為が一致していることで評価されている。ビン・ラディンが聖戦に関する権威者の一人として、アメリカに対して大量破壊兵器の使用を必要と判断し、その使用は宗教的に法に適う行為だと確信していることは明白だ。だから、ビン・ラディンとアルカイダがアメリカ国内で大量破壊兵器を使用したとしても、驚くに値しない。
 アメリカでは、たしかに対テロ対策費は大幅に増額された。アルカイダなどの武装勢力に対抗するための技術と人材は劇的に増強された。テロ対策にたずさわる人間の数は急増した。ただし、大半は未経験者で、数少ないベテランから必要な知識を学ぶには何年もかかる。司法省は国内における保護対策に着手したというが、それは残念なことに国家安全保障の名のもとにアメリカ国民の自由を制限する対策である・・・。
 アメリカが戦っている敵は、優れた才能と不屈の気概を持ち、カリスマ性と断固たる決意を備え、その垂範と指導力によって一部の狂信的イスラム教徒のみならず大多数のイスラム教徒を統率してアメリカの安全保障を脅かしている。このような共通認識をもってあたるべきだ。著者は、このことを再三強調しています。
 アメリカが戦っている相手は世界規模のイスラム武装勢力であり、単なる犯罪者やテロリスとではない。アメリカの政策や対策は敵にはほんの小さな打撃を与えたにすぎない。世界13億人のイスラム教徒の大半がアメリカを憎悪している原因は、単に価値観の相違ではなく、アメリカの行為そのものにあることを認識すべきだ。
 さすがは、CIAでイスラム世界の対策に従事していた人の言葉だけはあるな。そう感心しました。アメリカは傲慢が原因で敗北しようとしているという指摘に、私も同感です。いかにアメリカが近代兵器を駆使しようとも、また、フセイン元大統領を捕まえ、その息子たちを虐殺することができたとはいえ、イラク国内でのテロ攻撃は止まりません。すでにアメリカの戦死者は1500人をこえました。
 アフガニスタンでは、オマル師もビン・ラディンもまったく消息不明のままです。力づくで押さえこみ、石油などの利権だけはアメリカが独占しようとする政策には明らかに限界があります。日本は、そんなアメリカに追随してはいけません。

古代エジプト文字を読む事典

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著者:秋山慎一、出版社:東京堂出版
 春うららかな日曜日の昼下がり、昼食をとりながら古代エジプトのヒエログリフに挑戦しました。ながら族は消化に良くないという説もあるようですが、そんなことはないと私は確信しています。ひとりで食べるときには、新聞を読んだり、本を読みながらでも一向にかまわないと思います。だって、私は30回は噛むようにしていますので、時間がかかりますし、頭のなかが楽しくなるようなら食欲もすすみ、消化に悪かろうはずはありません。
 この本は、古代エジプトのヒエログリフ、ほら、あのシャンポリオンがついに解読に成功した絵文字のことです、を文法をふくめて分かりやすく解説したものです。といっても、実は、その文法の点はさっぱり分かりませんでした。やっぱり、本を読むくらいでヒエログリフがモノになると考えるのは甘すぎます。それでも、絵文字がどんなことを書いているのか、そこにどんな法則があるのか、おぼろげながら分かった気がしてきました。
 ヒエログリフの文字体系は、日本語の漢字仮名まじり文と通じるところがある。表音でもあり、表意でもあるから。英語のような単なる表音文字ではないので、ヒエログリフは目で見て確認しないと読むこともできない。
 また、ヒエログリフはタテ書きも横書きもあります。この点も日本語と同じです。漢字をくずしてカタカナやひらがながつくられたような草書体まであります。神官文字と約されているヒエラティックですが、これは神官が用いたという意味ではないそうです。筆ですぐ書けるように考えだされた文字です。
 眺めているだけで4000年も前の古代エジプト王国の生活にたどりつけるのですから、こんな愉快なことはありません。

ツバメのくらし百科

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著者:大田眞也、出版社:弦書房
 今年も3月下旬からツバメの飛ぶのを見かけるようになりました。北海道では5月以降にならないと飛んでいないそうです。ツバメは、9月末には南方へ飛び去っていきます。日本のツバメはインドネシアやフィリピンからやって来るのです。繁殖が目的です。
 まず雄がやってきて雌を迎えます。雄はしきりに鳴いてプロポーズしますが、その決定権は雌にあります。そのポイントは尾羽の長さです。というのは、寄生虫(ダニ)がいたり病原体に感染していると、尾羽の成長が悪くなるので、尾羽が長いのは健康の証明だからです。ふーん、なるほどねー・・・。
 ツバメは、毎年だいたい同じ巣に戻ります。その子どもも近くに巣をつくります。そして、雄と雌の両方が生きていたら、ずっと同じ巣に戻ってきます。同じパートナーが5年も続いたという観察例があるそうです。しかし、雌はつがいの雄の目を盗んで浮気をすることがあります。そのとき、独身の雄より経験豊富で実績のある既婚の雄を受け入れる傾向が強いといいます。人間も同じでしょうか・・・。いや違うかな。女性は、やっぱり若いツバメを好むのかもしれませんね。
 ところで、次のような観察例が報告されています。まず雌がやって来た。雄は新顔だった。ところが、産卵寸前になって、昨年のパートナーがひょっこり姿を現した。さあ、大変。三角関係。雄同士でとっくみあいの激しい争いが始まった。雌は、そのときどうしたか。高見の見物を決めこんだか・・・。いえ、そうではなく、遅れて帰ってきた雄を激しく排撃したのは、実は雌の方だった。雌は、限られた繁殖期間を目前にして、生死不明で、再び巡りあえるかどうか分からない、かつてのパートナーを待つ余裕はない。いったん、新たに番いを形成したからには、一度諦めたかつての番いの相手と巡り会えても、もはや無縁の異性と見なして割り切らなければいけない。そうでなければ種族維持もできなくなる・・・。このような解説がなされています。うーん、人間社会だったら、どうなんでしょうね・・・。ツバメに学ばされました。
 ツバメの巣は、できるだけ人目につきやすいところにつくられます。それは人間によって、天敵から守ってもらおうという魂胆からのことです。巣の場所を最終的に決めるのも雌の方です。ヒナが生まれて、親ツバメがエサをやるときには、もっとも大きく開いたヒナの口にエサをつっこみます。もっとも大きく口を開けるのは、もっとも腹を空かしたヒナなのです。ヒナたちは、巣内での位置を絶えず入れ替わっていて、もっとも空腹のヒナが正面のもっとも良い場所に陣どる。この仕組みによって、ヒナたちは平等にエサを受けとり、一様に成長していく。ひゃあー、そうだったのかー・・。
 ヒナが巣立つ日は、親ツバメの態度が一変し、ヒナには巣の外からエサを見せびらかすだけで絶対に与えない。そこで、空腹に耐えかねたヒナが意を決して巣から飛びたって親元に向かう。親ツバメはヒナを安全なところまで誘導すると、そこではじめてエサを与えるというのです。親心なんですね・・・。
 ツバメの渡りのときのスピードは時速90キロくらいらしいのです。大変なスピードですよね。それにしても、はるばるインドネシアまで行くのに何日間かかるのでしょうか。
 ツバメのことがよく分かる本です。わが家にはツバメの巣はありませんが、スズメがいます。今度はスズメについて、その生態を紹介した本を読んでみたいと思っています。どなたか、いい本があったらぜひご紹介ください。

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