著者:北 重人、出版社:文芸春秋
江戸時代を舞台とした時代小説。神田川に舟が浮かび、川岸にはしだれ柳が風を受けて揺れている。そんな情景をふつふつと思い描くことができます。
江戸時代にも地面師がいました。今でいう地上げ屋のことです。貧乏長屋の住人が邪魔なので、浪人をつかってなんとか追い出しを図ります。
幕府経済を動かしていたのはお米。その米問屋の不審の筋が見えてきます。高利貸しまがいのことをしては、狙った地面を取りあげて利を図るというのです。
江戸の町人と長屋に住む人々の生活を背景に、殺人事件の謎を周乃助が足を運んで解きほぐしていきます。そこに襲いかかる剣の達人。その素性は何か・・・。
時代劇に大型新人登場とオビに書かれています。人情物というより、探偵の謎解きという感もありますが、なかなか読ませます。
2005年5月20日


