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いつか一緒にパリに行こう

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著者:辻 仁成、出版社:光文社
 著者は今パリに住んでいます。奥さんはパリで出産しました。
 フランスの出産は、麻酔をつかう無痛分娩だ。背中の硬膜外腔に直接針を刺し、ずっと麻酔の管を刺したままにしている。えーっ、少し怖いみたい・・・。
 フランスは今、空前の出産ブーム。高齢出産も多い。働く女性の産休制体は充実している。初産なら産前6週間、産後10週間。双子なら36週間の産休が認められていて、ほかに子どもがいたら、その数によって産休は倍々になっていく。夫にも、出産時3日間、生後4ヶ月以内に最大で連続11日間の産休が認められている。すごーい・・・。
 労働時間は週35時間。週休2日で1日7時間。残業なんて、とんでもない(といっても、超エリートは日本人と同じでモーレツに働いているそうです)。一生は一度しかなく、限りなく短い。精一杯楽しまなければ損というもの。なかなか、割り切れません・・・。
 パリは成熟した大人の街。自由というのは、まず他人を気にしないこと。自分の人生を謳歌すること。パリの人々は他人を気にしない。だから、ゴシップというのもはびこらない。うーん、そうですね・・・。ミッテラン大統領が愛人のことを記者から追及されて、それがどうした、と反問して沙汰やみになった話は有名です。
 バゲットは、表面が薄焼き煎餅のようにカリッとしているくせに、中がしっとりと柔らかく、もちもちしているものがいい。この相反する歯ごたえに、美味しさの秘密がある。さらに適度の塩加減と甘みが加わると、最高だ。
 そうなんです。私も10年前にカルチェラタンのプチホテルに泊まり、毎朝バゲットとカフェオレの朝食を楽しみました。表面がカリッとした固さで中味はほんわり柔らかく、絶妙の塩味がきいて、少しだけ甘みを感じさせるバゲットでした。
 プチホテルから歩いて10分も足らずのところにノートルダムの大聖堂があります。着いた日の夕方は、その近くのいかにも観光客向けのレストランでエスカルゴを食べました。おのぼりさんはおのぼりさんらしくと言いながら・・・。
 著者はフランスに住みはじめて1年たち、まだフランス語には悪戦苦闘中のようです。でも、言葉をもてば旅が変わると言っています。私もそのとおりだと思います。
 幸いなことに、私は日常会話レベルの簡単なフランス語ならなんとか会話することができます。プチホテルも私が日本からFAXで予約しましたし、レストラン(ビストロ)の予約も電話ですませました。
 かくいう私のフランス語歴は、なんと30年以上なのです。大学で第二外国語としてフランス語を選択して以来です。大学に入れることになったとき、私は迷わずフランス語を選びました。美味しいフランス料理がメニューを読めて食べられるようになること、フランス美人と親密な関係になること。この2つが理由でした。前者は達成しましたが、後者は残念ながら、可能性の手がかりすらありません。ですから、著者がビーズの挨拶したことを自慢げに書いているのがうらやましくてなりません。えっ、ビーズって何か、ですか。そう、頬と頬とをくっつけたり、左右の頬に口をつけて交互にチュッチュッとする挨拶のことです。フランス映画にはいつも出てきます。
 弁護士になって以来、NHKのラジオ講座を聴いています。頭がバカにならないようにと思って始めました。フランス語って、いつか分かるようになるのかなと、我ながら半信半疑でした。はじめのうちは、頭の上をスズメのさえずりが通り過ぎていくという感じでした。でも、今は違います。車のなかでフランス語のニュース(CNNみたいなものです)を聞いて、なんとか単語レベルでとらえられるようにまではなりました。仏検にも、10年来挑戦しています。準一級にも合格することができました。目下、一級にチャレンジしています。そのため、合格したあとも準一級は受け続けています。毎今年もペーパーテストは合格最低点の73点で(120点満点)でギリギリ合格しました。あとは口頭試問ですが、まったく自信がありません。毎週土曜日には、福岡の日仏学館でフランス人の先生による上級会話クラスに参加しています。いつも思うように話せず、劣等生の悲哀を味わっています。でもでも、いつか一緒にパリに行こうです。どうですか、皆さんも、ご一緒に・・・。

宮大工棟梁・西岡常一、口伝の重み

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著者:西岡常一、出版社:日本経済新聞社
 著者は10年も前に亡くなられましたが、法隆寺を修理し、薬師寺西塔を再建した宮大工として有名です。私は、これまでの何冊か著者の本を読みましたが、改めて深い感銘を受けました。
 宮大工の祖父は、著者が小学校を卒業して進路を考えているとき、農学校へ行くことを強くすすめました。父の方は、設計図を描ける大工になった方がよいという考えから、工業学校をすすめたのですが・・・。結局、祖父の主張が通りました。
 人間も木も草も、みんな土から育つ。宮大工はまず土のことを学んで、土をよく知らんといかん。土を知ってはじめて、そこから育った木のことが分かるのや、というのです。
 著者は、農学校の学生のとき1反半の田をまかされました。秋の収穫量は3石でした。学年100人中8位の成績です。ところが、祖父はおかしいと批判しました。1反半ならフツーの農民は4石5斗とれる。稲をつくりながら、稲と話し合いをせず、本と話し合っていたからだ。稲と話せるなら、いま稲が水を欲しがっているのか、こんな肥料をほしがっているのか分かる。本と話したから、稲が言うことをきかなかったんだ・・・。これって、すごい言葉ですよね。私も庭で花や野菜を育てていますし、声をかけてはいるのですが。対話しているってところまではいきません。ですから、よく失敗してしまいます。
 木というものは、土の性(さが)によって質が決まる。山のどこに生えているかで癖が生まれる。峠の木か、谷の木か。一目見て分かるようにならなあかん。
 堂塔の建立には木を買わず、山を買え。吉野の木、木曾の木と、あちこち混ぜてはいかん。同じ環境の木で組んでいく。
 木には陽おもてと陽うらがある。南側が陽おもてで、木は南東に向かって枝を伸ばすから、節が多く、木目は粗い。陽うらの方が木目はきれいに見える。日光に慣れていない陽うらを南にして柱に据えたりすると、乾燥しやすく、風化の速度ははやくなる。太陽にいわば訓練されている部分を、陽のさす方向におく。陽おもての方が木はかたい。
 山の頂上、中腹、斜面、南か北か、風の強弱、密林か疎林かで、それぞれに木質は異なる。そうした木の性(しょう)も考慮に入れて使い分け、組みあわす。
 木材を見直すと言いながら、外国の木の資源までつぶしてしまってはならない。木の文化を語るなら、まず山を緑にする。それも早く太くの造林ではなく、山全体に自然のままの強い木を育てること。木を生かすには、自然を生かさねばならず、自然を生かすには、自然の中で生きようとする人間の心がなくてはならない。その心とは、永遠なるものへの思いである。
 著者の2人の息子さんはいずれも後を継いでいません。しかし、弟子はおられます。
 棟梁は自分で仕事をしたらいけない。大きな仕事は、職人に仕事をさせて、それを見ているのが棟梁だ。自分で仕事をしたら、職人として、そこだけを見るようになる。もっと広く仕事全体を見るものなんだ。
 うーん、そうかー、そうなんだー・・・。つくづく感心してしましました。職人の芸(仕事)のすごさ、奥深さをつくづく感じさせる本です。

パレスチナから報告します

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著者:アシラ・ハス、出版社:筑摩書房
 パレスチナに住む生粋のユダヤ人女性ジャーナリストのレポートを本にまとめたものです。情景描写が生々しく、いかにも不条理な暴力がパレスチナでは日常的となっている様子が報じられていて、胸をうちます。
 イスラエルの兵役制度は、男子が18歳から29歳までに3年間、女子は18歳から 26歳まで21ヶ月の兵役義務がある。ただし、ユダヤ教徒は義務であっても、キリスト教徒とイスラム教徒は志願制。
 多勢のパレスチナ人の若者が自爆攻撃を実行したが、さらに何十人もの若者が実行者になる順番を待っている。だから自爆テロを終わらせたいなら、なぜ、多くのパレスチナ人がそれを支持するかという問いをたてねばならない。人々の支持がなければ、パレスチナ人の組織はあえて自爆攻撃者を送り出し、予想されるイスラエル側の規模拡大につながる応対を招くようなことはしないはずだ。
 つまり、できる限り迅速に、より大きな武力をつかって、より多く殺して苦しめることが、相手に教訓を与え、相手の計画を未然に防ぐことになるという概念は完全に間違っている。
 うーん、そうなんですよね。私も本当にそう思います。
 日本はパレスチナの大きな援助国。しかし、パレスチナ当局に対する援助金は、結果的にイスラエルの占領を補助している。たとえば、イスラエルが破壊したパレスチナの道路や建物を修復するために援助資金が使われる。日本の援助はパレスチナ社会の発展につかわれるのではなく、イスラエルの占領が引き起こしている損害の補填につかわれている。
 ユダヤ人が軍事的な優位だけが自分たちの将来を保障することができると信じ続けていたら、ユダヤ人社会の将来にとっても、とても危険なことだ。
 ユダヤ人であることを強く自覚しているジャーナリストの言葉だけに、すごい重味のある言葉だと思いました。

荒蝦夷(あらえみし)

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著者:熊谷達也、出版社:平凡社
 平安時代の東北地方は、まだ朝廷が完全におさえきってはいませんでした。坂上田村麻呂が活躍する前のことです。
 高橋克彦の「火怨」では、阿弖流為(あてるい)が主人公となって活躍しますが、その一世代前の話として面白く読みました。蝦夷(えみし)が大和の支配下に入りつつある状況で、なんとか蝦夷の独立性をたもとうとするのですが、大和の大軍の前に徐々に追いつめられていきます。しかし、そんななかでも、蝦夷の意地を示そうとする部族がいるわけです。日本は大和朝廷ひとつで初めからまとまっていたわけではなかったことを再認識させられます。

極限環境の生命

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著者:D・A・ワートン、出版社:シュプリンガーフェアラーク東京
 ラクダは15日間、水を飲まずにいることができる。全体重の30%が減ってしまうほどの脱水状態にも耐えられる。そのかわりラクダが水を飲むときはとてつもなく大量に摂取する。200リットルを数時間で飲む。バスタブ1杯分を数分間で飲み干してしまう。急に水分が血流に入ると、そのための浸透圧ストレスによって多くの動物の赤血球は破裂してしまうが、ラクダの赤血球は大丈夫。ラクダは体温を変動させることによって、水分の蒸発を減らしている。
 海底から350度という高温のお湯が噴き出している。その熱水の噴出口付近は、予想に反して生物にみちあふれている。超好熱菌がいるのだ。
 うーん、生命って地球上のいたるところに、まさに無数に生きているんですね・・・。45億年前に地球は誕生し、それから10億年すぎて生命が誕生しました。その点は化石があるので、証明は可能。38億年前に生命が誕生したという状況証拠もあるそうです。
 うーん、生命っていったい何だろう・・・。生命の不思議さをチョッピリだけ実感させられました。

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