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代官の日常生活

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著者:西沢淳男、出版社:講談社選書メチエ
 代官というと、すぐ水戸黄門に出てくる強欲な悪代官というイメージを連想します。たしかに、そのような悪代官もいなかったわけではないようですが、多くは旗本のなかでも最低ランクの官僚として真面目に仕事をしていました。いえ、それどころか地元民から神様のようにあがめられ顕彰碑を建ててもらった代官も多かったのです。
 代官採用試験で、そろばんをつかった割り算の計算問題が出されたというのが紹介されています。57万3000石を1俵13斗7升入りに換算すると何万何千俵になるかという問題です。今の電卓なら簡単ですが、これをそろばんでやると、ちょっと面倒です。
 代官職のほとんどは世襲ではなかったとのことです。本人のみというのが81%もあります。それはうまみがなかったどころか、出費が大変だったということです。代官になるには2000両もかかり、部下に悪い者がいたら、借金をかかえてしまい、下手すると、島流しになってしまうというのです。ですから、それなりの能力が求められるので、世襲は無理でした。
 江戸時代の中間管理職としての代官の日常生活を垣間見る事のできる本です。

肉弾

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著者:櫻井忠温、出版社:明元社
 1904年(ひとつくれよと露にゲンコと覚えました。絶対に忘れられません)の日露戦争から100年がたち、その記念出版として、明治39年に出版されてベストセラーとなった戦記を復刊した本です。
 日本軍が旅順の周辺に難攻不落の要塞をかまえていたロシア軍に果敢に攻めこんでいきますが、日本軍にないロシアの最新式機関砲にバタバタと日本兵がなぎ倒されていく悲惨な様子が描かれています。士気高揚の戦記文学といっても、戦場の悲惨がかなり描かれているところに特徴があります。木口小平は死んでもラッパを離しませんでした、というだけではありません。どんなに肉弾を費やしても、ロシア軍の堅牢無比を誇る敵塁に対しては効果を奏せないで終わったのです。また、ロシア軍の兵士が頑強に敢然として戦い、日本軍にしぶとく抵抗したことも紹介されています。
 このところ母の伝記を調べている関係もあって、日露戦争について調べているのです。

北条政子

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著者:関 幸彦、出版社:ミネルヴァ書房
 源頼朝の妻であった北条政子の一生をたどった本です。昔から日本の女性は弱かったどころか、男どもをしたがえてきたことを象徴する女性のひとりとしてあまりにも有名です。
 室町時代の一条兼良(かねら)は「樵談治要」のなかで、「この日本国を姫氏国(ひめうじこく)といい、女の治むべき国という」とし、北条政子を「天下の道理」に明るいと賞賛しています。
 また、僧慈円の「愚管抄」には、「女人(にょにん)入眼(じゅがん)の日本国、いよいまことなりけと言うべきではないか」として、女性が力をもって日本を動かしていることを賛嘆しています。このときの女性は北条政子と、その協議相手として登場する後鳥羽上皇の側近として大きな権勢を誇っていた藤原兼子(けんし)でした。
 のちに後鳥羽上皇が北条義時の追討の宣旨を下した承久の乱のとき、北条政子は並みいる武将を前に大演説をぶって、御家人たちを奮いたたせたというのは、あまりに有名な話です。御家人たちに頼朝が幕府を開設する前のみじめな生活を思い出させ、そんな昔に戻ってよいのかとたきつけたのです。すごい演説です。

悲劇トロイア炎上

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著者:アネッロ・パウリッツ、出版社:而立書房
 16世紀のイタリア、ナポリのアネッロ・パウリッツによる劇「トロイア炎上」の台本が発掘され、本になったものです。イタリアの古書店の通販カタログで発見した日本人学者が10数年かけて解読・翻訳しました。
 私も映画「トロイ」を最近みていなければ、この本を読むことはなかったでしょう。
 トロイの木馬を疑うことなく城内に導き入れたことによって、トロイは一夜にして滅び去ります。男は子どもに至るまでみなごろしされ、女はすべて奴隷としてギリシアの地へ連れ去られてしまうのです。
 ギリシアの悲劇の台本として、しばし古典を味わうことができました。

田んぼの虫の言い分

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著者:むさしの里山研究会、出版社:農文協人間選書 
 英語でトンボをドラゴンフライと呼ぶ。ドラゴン(龍)はキリスト教ではサタンを意味するので、欧米人はトンボを忌み嫌う人が多い。ところが、日本人は世界でもたぐいまれなトンボ好きの民族だ。トンボ屋と呼ばれる愛好家は日本全国に300人はいる。
 たしかに、トンボは子どものころ大の仲良し昆虫でした。ギンヤンマのトンボ釣りが紹介されています。残念ながら私はやったことがありません。オニヤンマを捕まえたことは何度もあるのですが・・・。
 ギンヤンマは、メスと糸でくくり、おとりとしてオスの前に見せびらかすと、オスはメスにつるんで、容易につかまえることができる。これはギンヤンマの弱点を利用したもの。メスをみると、オスの警戒心は消え去り、性欲がむき出しになって、メスにとびかかってしまう。そこで捕まえられるわけ。でも、メスは一体どうやって捕まえるのか・・・。そんなときには、オスをメスのように見せかける。オスは腹部の付け根が水色をしているが、メスは緑色。そこで、オスの腹部を緑色に塗り替えて、メスに見せかけて、おとりに使うという仕掛け。ふーん、そうなんだー・・・、と思いました。
 わが家の庭にも、夏の終わりごろになるとたくさんのアキアカネが飛びかいます。そうです。赤いトンボ、アカトンボのことです。アキアカネが庭で飛ぶようになると、もうすぐ、夏も終わるんだなと思うのです。
 三面コンクリートをつかった直線的な深い側溝ではホタルは育ちません。今年は6月に雨が少なく、風の強い日が少なかったせいか、ホタルのあたり年でした。ホタルの乱舞する光景は、いつ見ても幻想的で、夢見る心地になります。
 大量の農薬によって多くの昆虫が姿を消しました。メダカの姿が見えなくなり、タガメが劇的に減ってしまいまった。またエサになるドジョウなどが減ったことから、サギ類も大幅に減少しました。わが家近くの田んぼにはアオサギがよくやって来ますが、ずい分減った気がします。山里に住んでいますから、ウグイスの鳴き声を聞くことができます。豊かな自然をたくさん子孫に伝え残したいものです。
 わが家は梅雨になると、緑色のアマガエルがなぜか門柱の上にあがっています。カエルも高いところから世の中を見たいのでしょうか。庭にカエルがたくさんいますので、当然のことながらヘビもいます。ちょっと気味が悪いのですが、わが家の守り神として、平和的に共存しています。
 今年は、わが家のすぐ下の田んぼが田植えされずに放置されてしまいました。いつかそうなると心配していましたが、ついに現実になってしまいました。60代半ばすぎのおじさんが頑張って米づくりをしてきましたので、いつも陰ながら応援していました。田んぼに水がはられていると、涼しさが違います。わが家にはクーラーがありません。いつも風通しを良くするだけで夏を過ごしてきました。文字どおりの水田になると、まってましたとばかりに蛙たちの大合唱が始まります。うるさいほどの鳴き声ですが、それもセミの声と同じで、いつのまにか慣れてしまいます。

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