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庭仕事の喜び

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著者:ダイアン・アッカーマン、出版社:河出書房新社
 田舎で弁護士をする最大のメリットは、なんといっても恵まれた自然のなかで毎日の生活を送ることができることです。四季の移り変わりを愛でて楽しむには、なにより庭に出て草花と触れあうのが不可欠です。いえ、地中にはミミズもモグラもいて、地上には小鳥だけでなく、クモもヘビもいます。といっても、クモの巣が庭にはりめぐらされるのは廃屋のようで、困ります。ですから、クモさん、悪いね。そう言いながら、クモの巣を払いのけています。
 これを書いている11月上旬の今、わが家の庭にはツメレンゲの白い花が咲き、ネムの木が線香花火のような艶やかなピンクの花を咲かせています。妖しいほどの魅力がありますので、ついつい触れてみたくなります。これって美人と同じですよね。
 四季咲きのクレマチスも2輪ほど花を咲かせています。キンモクセイは10月末に咲き匂い終わりました。芙蓉の花が終わったので、根元から枝を切ってやりました。酔芙蓉もあります。午前に純白の花を咲かせ、午後遅くなると赤みの濃い花となりますので、その名のとおり酔っ払った佳人(美女)のなまめかしい風情です。
 花は詩に似ている。喜びを求めれば、花はあなたを喜ばせてくれる。深い真実を求めて花を眺めれば、思いをめぐらす種は尽きない。
 花はとても大胆な目的を持っている。官能的であることが仕事であり、欺くことは天賦の才だ。賄賂を差し出したり、変装したりは得意技で、疑うことを知らない旅人たちを騙す。彼らがかたる物語は正直で、淫乱さとは無縁なので、自然は裁かないし意図しない。ただ実行するだけだとつくづく感じさせる。
 ザゼンソウは早春に、主根のでんぷんを糖に変化させることによって、花が熱を発する。糖はすばやく激しく燃焼し、ときには周囲の雪をとかすことさえある。ザゼンソウは動物のようだともいえる。寒いときには、熱を発して体を温める。
 ひやー、そうなんだー・・・。ちっとも知りませんでした。まるで動物ですよね。
 チューリップは数年しか花を咲かせない。秋に植えた元の球根は複数の子球根をつくり、それらは親のエネルギーを不均等に受け継いでいる。花を咲かせた後、元の球根は死んでしまい、子のなかでもっとも強いものが次の季節に花を咲かせる。毎年エネルギーが分散されるので、そのうちに球根は単純に、自ら消耗してしまう。だから私は、チューリップは一年草として扱い、咲いているあいだを楽しみ、約束を期待せず、翌年も花が咲いたら幸運だと思うようにしている。
 私も、毎年秋になると、300個から500個のチューリップの球根を植えています。チューリップは密植した方が見映えがいいのです。ですから、畳一枚分くらいに100個ではスカスカした感じで、とても足りません。庭のあちこちに分散し、そして集中して植えていきます。9月から12月にかけての日曜日ごとの楽しい作業です。春、チューリップの花が咲き終わっても、しばらくそのままにしておきます。そのうち掘りあげてしまうのですが、それは次の花を植えるためのものです。掘りあげた球根を翌年につかうつもりで何度か試みましたが、たいていは小さく分球していてモノになりませんでした。ですから、まあ花屋さんが喜んでくれるのだからと考え、いつも数万円分の球根を買って植えています。もちろん一度に買うのではありません。生協で大量に注文し、そして町の花屋さんでも少しずつ買っては植えていくのです。
 ちなみに、チューリップにもいろいろな新種がありますが、やはり昔ながらのチューリップが一番いいようです。小学校1年生のときの教科書にチューリップの花の絵があったことを、今もよく覚えています。フリンジのついたものとか、八重咲きのものなどは、そのうちに飽きがきてしまいます。

峠越え

カテゴリー:未分類

著者:山本一力、出版社:PHP研究所
 人生にはいくつもの峠がある。
 ここまでやれたんです。手をたずさえて、あの虹をくぐりましょう。
 そんな温かい呼びかけが聞こえてくる本です。
 私と同じ団塊世代の著者の心やさしいまなざしが、読み手の心を熱く溶かしてくれます。読み終わったとき、ほんわか心にぬくもりを感じることができて、心地よく感じられる本です。
 女衒(ぜげん)の新三郎が主人公です。でも、女衒なんて言われても、いったい何のことやらピンと来ませんよね。とはいっても、江戸時代から現代日本に至るまで、現実にひそかに続いている嫌な職業です。
 新三郎は女衒である。女の気持ちの裏表を見抜く眼力が命綱の稼業だ。相手を見詰めながら、おりゅうは新三郎の器量に賭けた。両目に込めた気持ちが汲み取れないようであれば、先の見込みはないと肚を決めていた。
 江戸で、江の島弁財天の出開帳(でがいちょう)を初めてやってみようとした話です。私も江の島には30年以上も前に行ったことがありますが、あそこには弁財天があったのですか・・・。銭洗い弁天なら知っているのですが、知りませんでした。銭洗い弁天でお札を洗った枚数が少なかったせいか、私は今もってお札のまわり方がもうひとつ足りないようです。まあ別に、だから不満だというわけでもないのですが・・・。
 株仲間、香具師(やし)、興行師、そして時ならぬ台風もやってきて、出開帳がうまくいくのかハラハラさせられます。次がどうなるのかという心配をかきたれ、頁を繰るのがもどかしいほどです。なんとか出開帳が成功したと思ったら、次には、てきやの元締めの親分たちが登場します。その親分たちを箱根まで連れていくという難題を背負わされるのです。一癖も二癖もある親分たちです。どうやってまとめていくかが、また見物です。
 話の運びがうまいですね。ついつい、この先どうなるんだろう、と心配してしまいます。賭場の様子など、実によく調べてあると感心するほど見事に描かれています。このあたりの筆の運びには、たいしたものだと、うなるばかりです。
 ハッピーエンドなので、胸をなでおろすことができます。江戸情緒をたっぷり味わうことのできる本でした。

だから、アメリカの牛肉は危ない

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著者:ドナルド・スタル、出版社:河出書房新社
 アメリカ産牛肉の輸入が再開されようとしています。吉野屋の牛丼はまだ復活していませんが、同じ牛肉なのに、オーストラリアやニュージーランド産ではダメだという理由が私にはさっぱり分かりません。ところが、私の依頼者でもある焼肉屋の主(あるじ)によると、やっぱりアメリカ産とオージー産とでは、牛肉の味がまるで違うのだそうです。本当かな、と思うのですが、プロが言うのですから間違いないのでしょう。
 アメリカで牛の飼育は、1980年にはテキサス、カンザス、ネブラスカの3州で全土の40%を占めていた。2002年にはこれが54%に増えた。いまや、牛は工場飼育と呼ばれる大規模生産である。牛の解体処理ラインの速度は1時間に400頭が処理できる。ちなみに、鶏なら1分間に200羽、豚は1時間1000頭。
 いまアメリカの牛肉市場は、四大精肉企業が市場の85%を支配している。少し前までは、五大企業の占有率は55%だったのが、さらにすすんだ。精肉企業で世界最大のタイソン社の売上は、1991年に39億ドルだったのが、2001年には107億ドルにまでなっている。3倍の伸びである。
 精肉処理過程で一番の出費は労賃であり、精肉企業は賃金カットと、かつては強力だった労働組合の弱体化に成功している。
 牛肉工場で働く労働者の離職率は驚くほど高い。低いところでも72〜96%。新しい工場では250%にも達する。単純作業に細分化されているため、仕事にうんざりし、疲れ果て、傷つき、さっさと仕事を辞めていく。食肉工場にとって、離職と労働災害が最大
の問題。精肉工場で働く労働者の賃金が低く、環境も劣悪なため、ラテンアメリカやアジア、そしてイラク、ソマリア、ボスニア、カンボジアなどからの移民によって担われるようになっている。
 アメリカでは毎年、食中毒が7600万件発生している。それによって32万5000人が入院し、5200人が死亡している。
 アメリカで販売されている抗生物質の40〜70%が農業につかわれている。長いあいだ抗生物質を混ぜて餌を与え続けると、家畜の肉で人間の健康を脅かしかねない。
 牛からとれるものは無数にある。接着剤、石けん、獣脂、皮革製品、デオドラント、洗剤、マシュマロ、マヨネーズ、アスファルト、ブレーキ液、シャンプー、シェービングクリーム、シガレットペーパー、マッチ、シートロック、壁紙、インスリン、アミノ酸、血漿、コーチゾン、エストロゲン、手術用縫合糸、ビタミンB12など。ええっ、こんなのまで、牛からとれるの・・・。うっそー、と叫んでしまいました。信じられませんよね。
 私も、若いころには、マクドナルドのハンバーガーやケンタッキーフライドチキンを美味しいと思って食べていました。でも、その牛肉や鶏肉が抗生物質を多用し、工場飼育という大量生産されたものであり、化学調味料で味がごまかされているという事実を知ってから食べるのを止めました。
 今日も、これらのファーストフードの店に若者たち(いえ、中年の客も多いです)が群らがっているのを横目で見て、自分たちの健康そして地球環境について、もう少し考えてほしいものだと、つい年寄りのようにつぶやいてしまったことでした。

源義経

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著者:近藤好和、出版社:ミネルヴァ書房
 さすが有職故実(ゆうそくこじつ)を専門とする学者の書いた本だけあって、なるほどそうだったのかと思ったところがいくつもありました。
 甲冑は甲と冑であり、甲が「よろい」、冑が「かぶと」である。しかし、10世紀以降、しばしば逆によまれてきた。よろいは鎧ともかく。大鎧は、弓射騎兵の主戦法である騎射戦での防御をよく考慮したもので、全重量は30キロにもなる。
 馬には前歯と臼歯との間に、歯槽間縁といって歯のない部分があり、啣(はみ)は、そこに銜(くわ)えさせる。
 日本の馬は体高4尺(120センチ)を基準とする。サラブレッドは小さくても体高160センチあるので、日本の馬はかなり小さいことになる。しかし、アジアの草原馬のなかでは日本の馬は標準的な大きさなのであり、日本だけがことさら小さいわけではない。むしろ、競争馬に改良されたサラブレッドやアラブ種の大きさが特殊なのだ。とくに、馬は群をなすのが本能なのに、サラブレッドは逆に他の馬が近づいてくるのを嫌うことから、馬とは言えないという見方もある。
 大鎧などの武具を着装した騎兵は体重ともに100キロはこえていたから、それを乗せた日本の馬は力強かった。気性の荒い駻馬(かんば)だったろう。明治より前の日本には馬を去勢したり、蹄鉄の技術はなかった。なお、外国では左側から馬に乗るが、日本では右側から乗った。
 ところで、現在の走歩行は左右の手足が交互に出るのがふつう。しかし、江戸時代までは左右の手足が同時に出ていた。これをナンバという。相撲のすり足である。これを常足(なみあし)ともいう。四つ足動物は常足だ。騎兵にとって、騎乗者も常足が常態なら、人馬一体の動きができるわけである。現在感覚で考えてはいけない。
 この本で私がもっとも注目したのは、騎馬で断崖絶壁を降りていっている写真です。まさしく直角の絶壁を馬に乗った騎兵が降りています。なるほど、これだったら義経が一ノ谷合戦のとき、鵯越(ひよどりごえ)で坂落としすることはできたのでしょう。訓練(調教)次第で馬は何でもできるようです。著者はいろいろの説はあるが、義経は「吾妻鏡」では70騎をひきつれて鵯越の坂落としを敢行したという見解です。だから現実味があるとしています。ふむふむ、かなり説得的ですね・・・。
 また、壇ノ浦合戦のときの平氏の敗因を潮流が変わったことに求める説には科学的根拠がないとしています。さらに、義経が当時の慣習に反して水手(すいしゅ)や梶取(かんどり)をまず殺して平氏方の船の自由を奪い、それから船内に乱入したことが平氏の敗因になったという説にも根拠が乏しいとしています。むしろ、そうではなくて著者は、平氏に長年つかえてきた阿波重能の裏切りが敗因だとしています。
 歴史にはまだまだ語られるべきことは多い。そういうことのようです。

クルド、イラク、窮屈な日々

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著者:渡辺 悟、出版社:現代書館
 クルドやイラクの現実がどうなっているのか。新聞やテレビにまったく出てきませんので、この本は貴重な情報です。
 自爆未遂犯として刑務所に入っている20歳(犯行当時は19歳)の青年に面会しています。ベストとベルトに5キロのTNN火薬を仕込んで軍施設の前に行った。ところが発火のスイッチを押す手が震えているうちに、番兵に疑われて捕まったというのです。組織(アンサール・イスラム)に入って4ヶ月たったとき、「パラダイスに行け」と命じられて自爆犯に選ばれたという話にも驚かされます。
 著者はサマワにも出かけました。サマワの人々は日本に対して復興支援ということで期待している。自衛隊のあとに企業が来てくれると信じているわけだ。自衛隊は、あとから来る日本企業を護りに来たというわけ。それをごまかすため、日本政府は、2004年度に15億ドル(1650億円)を寄付し、2007年度までに円借款で35億ドル(3850億円)を援助する。このお金は給水車の購入や病院・学校の修復につかわれる。
 自衛隊を派遣するのに必要な費用は年に377億円。ざっと1日1億円かかるというわけです。そのうち7割の250億円は自衛隊出身の装備費。自衛隊は自己完結型で、食糧も装備も日本から持参するので、現地にはほとんどお金を落とさない。費用対効果という面では、まるで話にならない。自衛隊の給水能力は1日80トン。これに対して、フランスのNGOは年間6千万円で10万人を対象とする給水活動を展開している。給水トラック70台と契約し、合計800トンの飲料水を毎日運んでいる。
 いま、西日本新聞は毎日、サマワにいる自衛隊員の生活ぶりを写真入りで大きく連載しています。しかし、そこにはイラクの人々の生活の様子がまったく見当りません。イラクの人々と接点のない生活をしているからです。町に出たら生命の保障は全然ありません。
 いまNHKはバグダットのパレスチナホテルの2階の奥にいて、外には出ない(会社命令で出られない)のです。高遠さんたち3人がイラクで拘束されたとき、サマワには70人のマスコミ記者がいましたが、会社命令ですぐ自衛隊の宿営地に逃げこみました。そして、自衛隊機に乗ってクウェートまで運ばれたのです。人命尊重というわけです。
 日本のマスコミがアメリカ軍と自衛隊の発表した情報しか報道しないため、著者のようなフリージャーナリストはますます貴重です。外務省の奥大使と井ノ上書記官が殺された事件も犯人は不明のままです。この事件も、実はアメリカ軍による誤射の確率が非常に高いと言われていますが、うやむやのままとなっています。真相究明の努力はまったくなされていないのです。
 サマワにはアメリカ軍による劣化ウラン弾の影響が残っているとみられています。これは、すぐに影響が出てくるものではなく、派遣された自衛隊員は、その精子が壊され、奇形児が生まれる危険性が高いとみられています。しかし、それは5年先、10年先のことですから、そのとき、今の小泉首相がいるはずはありません。
 日本のマスコミは、小泉首相の提灯もちのような報道ばかりせず、もっとイラクの人々のおかれている真実を現地から報道する努力をすべきではないでしょうか。

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