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働きすぎの時代

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著者:森岡孝二、出版社:岩波新書
 踏切事故について、それが自殺かどうかを争う事件を担当しています。自殺は例外的な現象だと主張したところ、保険会社の方から、今の日本では自殺は決して例外的な現象なんていうものではない。そんな反論が出てきて、驚きました。
 たしかに、年間の自殺者はこのところ、ずっと3万人台です。働きすぎからノイローゼやうつ病になったり、倒産して保険金目あてに自殺するという事件を、私は弁護士としてコンスタントに扱っています。
 労働基準監督署が2003年度に受理した過労によるPTSDやうつ病などの精神障害の労災申請は438人(前年度比28%増)。精神障害の労災認定は過去最高の108人(同8%増)で、うち40人は過労自殺。
 平均的な会社員が一日に受信するメールは61.5通。メール処理その他の関連作業に4.2時間かかっている。パソコンに向かっている時間(6.8時間)の6割がメールがらみとなっている。携帯がつながらなかったら罰金だと上司に命じられていた社員がついに過労自殺した。
 現在、日本の労働者の4人に1人は年収150万円未満、2人に1人は年収300万円未満、4人に3人は500万円未満。
 日本の労働者のおよそ半分は、ひとりの賃金では生活できないパラサイト水準にある。
 アメリカで働きすぎを象徴する職業として知られているのは弁護士と研修医。
 働き過ぎと浪費が蔓延するアメリカ社会のなかでも、所得よりも自由時間を、出世よりも生活の質や自己実現を追求する生き方を選び、以前より少ない収入で幸せで暮らしている人々が増えている。このような人をダウンシフター(減速生活者)と呼んでいる。
 この本の最後に、労働者、労働組合は何をなすべきかが提唱されています。
 たとえば、次のようなことです。
 自分と家族の時間を大切にし、仕事以外にも生き甲斐をもつ。
 年休は目いっぱい取得し、年に一度は一、二週間の連続休暇をとる。
 なかなか難しいことですが、私は実践しているつもりです。
 日本の公務員は実は少なすぎる。東大の前経済学部長(神野直彦教授)がこのように書いている論文を読み、そうだ、そのとおり、我が意を得たりと叫んでしまいました。
 福祉サービスの立ち後れは公務員の少なさにあらわれる。これは私が、かつてデンマークとスウェーデンに行ったときに知ったことである。北欧は税金の高いことで有名だ、それは国民が貯蓄しているのと同じことなのだ。つまり、税金は老後の豊かな生活を保障してくれるもの。実際、福祉サービスに従事する公務員は、あっと思うほど多い。スウェーデンでは、市町村の公務員だけで、雇用に占める割合が日本の3倍をこえる20%強。その市町村の公務員の40%が高齢者のケアに、20%が子どものケアに従事している。つまり、税金は身近な公務員、つまり介護サービスに従事している人のために使われているのであり、その人は隣りに住む人、いえ私かもしれない。
 日本の消費税のように、導入するときには福祉のためと言っていたけれど、実際にはイラクへ自衛隊を派遣するために使われているというようなごまかしがそこにはありません。
 このように、先進諸国では福祉サービスの供給に従事する公務員を増やしている。OECD諸国の平均で17.5%、アメリカでさえ15.4%になっている。ところが、日本は6.9%にすぎない。
 2004年度、日本に国家公務員は62万人いるが、その40%、25万人は自衛隊。地方公務員308万人のうち教育が115万人、37.4%、警察が8.8%、消防が15万人、5.0%。つまり、教育・警察・消防で地方公務員の51.2%を占めている。公務員の数があまりにも少なすぎて、政府は国民の生活を支えていない。ところが、政府は少なすぎて国民の生活を支えることのできていない公務員を、さらに一律に1割削減を強行しようとしている。その目的は、日本の社会を破滅させること以外に見いだすことはできない。
 国民のとって国がそもそも何のためにあるべきなのか考えるべきだと思います。ホリエモンなどのようなヒルズ族は昔からいました。貴族がいて、財閥があり、特権階級がいました。お金と権力をもつ者が好き勝手にすることを許したら、お金のない弱者は生きていけません。だから、憲法で国は生存権を定めたのです。国は国民ひとりひとりに最低限の文化的生活を保障する責務があります。今こそ、弱者のための福祉の充実が図られるべきです。

ディープ・スロート、大統領を葬った男

カテゴリー:未分類

著者:ボブ・ウッドワード、出版社:文芸春秋
 「大統領の陰謀」は、もちろん私も読みました。誰が新聞記者に情報を提供していたディープ・スロートだったのか、長いあいだの謎となっていました。それこそ日の目を見ずに「迷宮入り」になると思っていたところ、ディープ・スロート本人が名乗り出てきたのです。
 正直いって、この本は犯人の答えが分かって読む推理小説のようなものだから・・・と、読む前は、まったく期待していませんでした。ところが、どうしてどうして、さすがアメリカの敏腕記者だけのことはあります。地下駐車場での会合の様子、連絡のとりあい方などをふくめて、当時の状況がリアルに再現されていて、再びウォーターゲート事件の発覚当時の状況を追体験することができました。
 それにしても、FBI副長官がスパイだったとは・・・。
 ニクソン政権は記者に情報を漏らしている高官を突きとめるため、ホワイトハウスの補佐官の電話回線17本を盗聴していたそうです。日本は、どうなんでしょうか・・・。
 ボブウッドワードがフェルト副長官と知りあったのは、まだボブウッドワードが記者になる前からのことだったのです。人生の出会い、そして体当たり取材の大切さをしみじみ感じました。
 なぜフェルト副長官はスパイ行為をはたらいたのか。今にして思えば、フェルトは自分がFBIを護っていると自負していたのだ。ウォーターゲート事件に無数の触手があることを示す材料をFBIはつかんでいたが、それらは顧みられず、葬り去られていた。政治的理由からFBIを操ろうとしたニクソン政権とそのやり口を、フェルトは徹底的に侮蔑していた。フェルトは恐らくボブウッドワードを自分の諜報員と見なしていたのだろう。
 ところで、ニクソン大統領はフェルトがディープ・スロートだということを補佐官から知らされた。そのときの秘密録音テープには次のような会話がある。
 「フェルトはFBIのトップの地位が欲しいのです」
 「やつはカトリックか?」
 「いいえ、ユダヤ教徒です」
 「なんだと、ユダヤ人がFBI上層部にいたのか?」
 「それで万事説明がつくでしょう」
 このやりとりは、ボブウッドワードの周辺に、つまりポスト紙にもディープ・スロートがいたことを示しています。
 フェルトはたしかにフーヴァーFBI長官が死んだあとの長官になるつもりでいました。ところが、それが2回も裏切られてしまったのです。ただし、それだけが原因でポスト紙への情報提供者になったのではないようです。
 フェルトはFBI副長官として、1972年当時の現場捜査官の不満と疑念を知っていた。FBI局内は、ニクソンは嘘をついている、ホワイトハウスはもみ消そうとしているという叫び声があがっている。
 ニクソン政権がFBIにとってきわめて由々しい問題になったのは、上層部ぐるみで支配権を握ろうとしたから。FBIの中立公正とそれにともなう優位をふたたび強化する道具としてフェルトはウォーターゲート事件を利用した。最終的には、FBIは深刻ではないものの長い歳月癒えない損害をこうむった。ニクソンの痛手はさらに大きかった。いや、すべてを失った。大統領職、権力、道徳的権威の残滓。ニクソンは汚辱にまみれた。マーク・フェルトはそれと対照的に、わが道を歩み、ひそかな人生に耐えて生き延び、勝利をおさめた。
 ニクソンの側近のほとんど全員がニクソンを裏切った。証言し、回顧録を書いた。ニクソンの不満や怒りについて語り、大統領の権力を利用して仮想の敵や現実の宿敵に対する過去と現在の借りを返すのにいそしんでいたことを明らかにした。
 ウォーターゲート事件が起きたのは1972年6月のことです。当時、私は司法修習生でした。当時、私たちのクラスに青法協についてスパイ活動をしているとしか思えない人もいました。日刊のクラス新聞を出したり、堂々と活動していたのですが、研修所当局からは目の上のタンコブみたいに思われていたのでしょうね。なにしろ、研修所に入所する前に、司法修習生の全員について公安調査庁が身元調査をしていたのですから。今はしていないのでしょうか・・・。
 やがてニクソン大統領が辞任発表するに至ったわけですが、アメリカって本当に奇妙な国だなと感じたことを今でも覚えています。

北朝鮮軍の全貌

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著者:清水 惇、出版社:光人社
 北朝鮮軍の現状は、兵器の老朽化、士気の低下、規律の弛緩などで、戦争での勝利はおろか、組織的な戦闘を展開できるのかどうかも怪しい状態にある。
 正規軍は大規模な演習や挑発行動や軍事パレードを行うことで、弱体化しているように見えるが、本当は戦えるのだというパフォーマンスを諸外国に向けて演じている。
 北朝鮮軍の内部には4重の監視体制が敷かれている。総政治局に所属する政治将校、秘密警察である国家安全保衛部、軍の情報機関である保衛司令部、さらに労働党組織指導部直属の通報員。このため、1995年以降3回あったクーデターはすべて未遂で終わっている。
 北朝鮮軍がクーデターを起こすとすれば、治安機関や金正日の親衛隊ともいえる護衛司令部が寝返るなど、体制維持システムが末期状態になったとき以外には考えられない。
 金正日は、いまだに金日成の威光を利用せざるを得ない。それは金正日にカリスマ性がないから。
 北朝鮮では金日成と金正日だけが将軍と呼ばれる。金正日の生母である金正淑も白頭山の女将軍と称しているので、この3人を白頭山三大将軍と呼ぶ。
 人民軍の兵力は、地上軍が100万人、海軍が6万人、空軍が11万人であり、正規軍だけで117万人いる。このほか、教導隊や労農赤衛隊などの準軍事組織があり、こちらは700万人ほどいる。北朝鮮軍のなかで日本にとってもっとも脅威となるのは特殊部隊12万人の存在である。
 北朝鮮軍が朝鮮戦争のときのように南侵を開始したときに、ソウルは火の海になるかどうか検証されています。結論は、ならないというものです。なぜか?
 北朝鮮軍の長射程砲300門はその大半が地下施設にあるため、ソウルを火の海にするのは難しい。その前にDMZ(非武装遅滞)を突破するため10万発をうちこむ必要がある。それすらやっとではないかと思われるから、ましてやソウルを火の海になどできるはずがない。
 そしてDMZを突破するには、自軍と米韓両軍が埋めた地雷を処理しなければならない。南侵トンネルは有効に機能しないだろう。そのうえ、制空・制空権を米韓両軍に握られている。これでどうして南侵できるというのか・・・。
 北朝鮮軍が、いわば破れかぶれの状態で南侵してくる危険性がないわけではありません。しかし、それについては外交上の努力でくいとめるしかないのです。北朝鮮軍の脅威をことさらあおりたて、日本の自衛隊をもっと強くしなければいけない。そのためには憲法9条をなくせ、と叫ぶ人がいます。しかし、私はそれは間違っていると考えています。戦争にならないように努力すべきなのです。その最大の武器が憲法9条だと私は考えています。

ガダルカナル

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著者:西村 誠、出版社:光人社
 2万人の日本兵が斃れ、餓島とも呼ばれた苛酷な戦場だったガダルカナル。その今を現地踏査し、カラー写真で再現した本です。
 澄み切った青空と太平洋の海原に囲まれた南海の楽園の島です。ここが、あの有名なガダルカナル島と言われても、ちょっとピンと来ませんでした。
 ガダルカナルの日本軍はもっとも多いときには3万人からいた。日本軍が次々に敗退し撤収作戦が始まった昭和18年1月の時点での日本軍は1万4千人ほど。3度の撤収作戦はいずれも成功したとされ、残った日本兵の大半が引き揚げた。
 アメリカ軍のかまえる堅固な陣地に突撃した一木支隊は2000人のうち生存者はわずか128人のみ。一木大佐の最後は不明とされている。無謀な突撃を敢行した一木大佐は廬溝橋事件のときの現地の大隊長。銃剣突撃による夜戦の達人とされていた。アメリカ軍が砲兵と機関銃で鉄壁の陣をしいているところへ、真昼間、歩兵が銃剣突撃をしてバタバタと倒れていったというのですから、そのお粗末さと、兵の命を軽んじているのはお話になりません。一日で一木支隊が壊滅してしまったのも当然です。
 そのあと、今度は6000人の川口支隊がジャングルから攻めこもうとし、アメリカ軍の猛反撃にあって1000人もの死傷者を出して敗退します。残った5000人は、ジャングルのなかを歩くうちに飢えと過労でバタバタと倒れていきました。
 ジャングルは、今でもムッとする熱気で、20メートルも入ったら方向感覚を失うといいます。四国の3分の1ほどの大きさがあるそうですが、こんなきれいな島でかつて悲惨な戦争があり、日本兵が上官の無謀な指揮によって無駄死にさせられたかと思うと、本当に哀れです。靖国神社に私は行ったことはありませんが、無謀な戦争を起こし、上官の命令は絶対だなどといって兵をむざむざ死地に追いやっていた軍上層部の反省がないことは絶対に許せません。

ウォール街、欺瞞の血筋

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著者:チャールズ・ガスパリーノ、出版社:東洋経済新報社
 人々はインターネットでお金持ちになると信じたかった。感情が牽引力となった。
 建設労働者、秘書、バーテン、学校教員など、経済学を学んだことさえない人々が、銀行から預金をおろしてミューチュアルファンドに投資をしたり、証券会社から株を直接買って買いあさりはじめた。アナリストは投資家に下がったら買えと勧めることによって、値動きの激しいハイテク銘柄が下落したときでさえ、何十億ドルという資金を誘導して市場を下支えした。多くの投資家が、いい時期は永続きするものではない、という話を聞きたくないのは当然だろう。
 ウォール街のブローカーたちは、できるだけ多くのカモの資金を市場に呼びこむという、より大きな戦略の一翼を担っているにすぎない。最優良顧客は大企業だ。個人投資家が公平に取り扱われることは決してない。大手証券会社は、小売顧客を第二級市民として取り扱っている。
 貧困層に個人的なサービスを提供する時間的な余裕はない。このようにうそぶいている。
2000年3月からのピークから2001年3月までの1年間で、株価は60%も下落した。この損失はアメリカの歴史上最大規模の破壊(クラッシュ)だ。それは2兆5000万ドル、いや、他の市場をあわせると4兆5000億ドルが雲散霧消した。
 ウォール街の仕組みについてほとんど知識のない中産階級のアメリカ人が、ゲームのやり方を熟知しているブローカーに一生涯の貯蓄を預けてしまった。それは、短期間はうまく機能していた。しかし、市場が暴落したとき、すべてを喪ってしまうことになった。
 わずか3年ほど前には、アナリストはウォール街でもっとも人気のある職種だった。それが今では、大きなトラブルを引き起こすため、投資家にもブローカーにも、そして証券会社の法務部にも嫌われるパリア(最下層民)だ。
 ホント、アナリストって、今では口先だけの、あることないこと口からでまかせを言って信じこませようとするペテン師のイメージがすっかり身についてしまいましたよね。
 投資家にだまされるな。サブタイトルにそう書いてあります。今や多くの日本人の若者が自分こそはだまされないと信じ、ひがな一日、パソコンの前にすわりこんで投機の道に走っています。いえ、家庭の主婦も参加しているそうです。こんなことでいいのでしょうか。こんなことしてたら、日本の将来はお先まっ暗なのではありませんか。

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