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知られざる水の超能力

カテゴリー:未分類

著者:藤田紘一郎、出版社:講談社α新書
 高校生時代、恥ずかしながら、喜んでしていた、あのフォークダンス、「マイム・マイム」の意味を初めて知りました。
 マイム、マイムとは、水、水という意味のヘブライ語である。砂漠地帯で水を掘りあてた人々が喜んでいる様子をあらわしたイスラエルの民謡なのである。だから、この「マイム・マイム」は、キャンプファイヤーではなく、水を囲んで行うのがふさわしい。
 今どきフォークダンスなんて流行らないのでしょうが、お目当ての女の子の手をしっかり握れる貴重な機会でしたね。
 下痢したとき、下痢止めを飲むのはすすめられない。逆に、水を飲んで排出を促進するのがいい。ぬるま湯をこまめに与えることが大切。このときは、軟水のミネラルウォーターが最適。
 人間が本当に渇きを覚えると、ほしくなるのはジュースでも酒でも牛乳でもない。ただの水である。
 たしかにそうです。私は、中国の奥地のウルムチからトルファンに行ったことがありますが、そのときは冷たいミネラルウォーターがまさに「命の水」だと本心で思いました。それ以来、ビールを飲みたくなくなり、ミネラルウォーター派に私は転向してしまいました。
 お酒を飲む前に、この酒にはビールも含む、とりあえず水を飲むこと、これが大事なのだ。ビールは強力な利尿作用をもっている。どんどん体内の水分が奪われていく。だから、水分の補給が必要になる。
 水道水を安全にする方法は、決して煮沸することではない。
 私は、これを読んで、ひっくり返りそうになりました。沸騰したら安全な水になるとばかり考えていたのです。
 水を沸騰させると、たしかに塩素は飛ばせるし、殺菌効果もある。しかし、水道水に熱を加えると、塩素と有機物が化合しやすくなり、温度が上がるとともに、発がん性物質であるトリハロメタンの量は増えていく。つまり、煮沸によって、毒物トリハロメタンを増やしている。ええーっ、そうなんですか・・・。本当なんでしょうけど、信じられません。
 寝る前に水を飲むのはいいそうです。朝一杯のコンブ水を毎日のんでいますが、これからはコンブを煮沸水に入れるのはやめることにします。
 水をめぐる話を満載した面白い本です。

メディアと政治

カテゴリー:社会

著者:蒲島郁夫、出版社:有斐閣
 日本のテレビ報道の特性は5つ。
1.一つの事柄が視聴率をとれるとなれば、各局ともそれに話題を集中する洪水報道化すること。
2.時間的制約があるため、善玉・悪玉の二項対立で番組をつくる傾向があること。
3.視聴者に提供される情報はカメラがとらえた映像に限られるため、制作者の意図に誘導しやすいこと。
4.テレビは映像が命であるため、映像のない事柄はニュースになりにくいこと。
5.放送は一定の時間内に終わらせなければならないこと。
 これらの制約をのがれて番組を制作することは、物理的な事情もあって難しい。そのうえ、民法では、ある程度の視聴率が見込めない番組はつくることができない。
 そうなんですよね。テレビのワイドショーをふくめて、ある時期に一つのテーマに集中して報道し、しばらくすると、さっぱり取り上げなくなる。その後、どうなったのか、後追い記事(報道)はほとんどされません。私も、その点がすごく不満です。いろいろ多角的な視点からの報道をしてほしいものです。
 大嶽秀夫・京大教授は日本におけるポピュリズムの特徴について、次の3点をあげる。
1.新聞のテレビに対する批判姿勢が弱く、テレビの人気を新聞が増幅する傾向をもつ。2.メディアの横並び体質と、視聴者にこびる性質がとくに強い。
3.テレビでの意見表明は大きな権威をもっており、無批判に受けいれられる傾向がある。 テレビをまったく見ず、新聞を丹念に読んでいる私にも、この指摘はまったくあたっていると思います。一般紙がテレビ報道を批判することは、まずありません。
 新聞で社説は社論である。これを執筆しているのは論説委員。これは、経営にはしばられない社長直属の独立機関である。論説委員は、記者歴20年以上で、専門性が高く、各部から複数選ばれる。トップである論説委員長(論説主幹)の下に、デスクワークもする論説副委員長が数人いて、総勢20人はいる。結論は全会一致が原則。どうしても意見がまとまらないときは、論説委員長が最終判断を示す。重大な決断は主筆(社長)が下すが、そこに至るケースはめったにない。
 政治改革(小選挙区制の導入)のとき、郵政改革のとき、マスコミが誤った方向に世論をリードしていった責任は重大だと私は考えています。

情報戦の時代

カテゴリー:社会

著者:加藤哲郎、出版社:花伝社
 著者の個人ウェブサイト「加藤哲郎のネチズンカレッジ」は、累計100万件近いアクセスを記録しているそうです。
 IT技術が、それ自体として分権化をうながし、ネットワーク型コミュニケーションをもたらすというのは幻想である。むしろ、市民による活用と抵抗がないならば、地球的規模での独占・集積化も可能である。
 つまり、インターネットや携帯電話のような個人単位のコミュニケーション手段が広がることで、一方でさまざまな個性のネットワーク型結合が可能になると同時に、他方で、その大元を押さえ、個人情報や私的コミュニケーションまで集権的に管理し支配しようとする動きも現れる。
 私も、そのとおりだと思います。インターネットは大変便利なものですが、情報統制する怖いものでもあると思います。
 改憲論議は、世論レベルではムードが先行しており、賞味期限を論ずるよりも、まずは立憲主義と現行憲法の中身を知る知憲こそが国民的規模で必要なのだ。逆に言うと、護憲勢力の主張も、「昔の名前で出ています」風の保守的イメージでしか浸透していない。
 新聞の調査で「改憲」についてのイメージを問いかけたところ、現実的29%、未来志向28%、自主独立14%、軍拡10%、復古的8%という回答だった。
 このように、かつての護憲=恒久平和、改憲=軍拡・復古という構図では、今日の改憲ムードの流れは変えられないのである。
 うむむ、そうなんですか・・・。いろいろ考えさせられる本でした。
 6月17日に受けた仏検(一級)の結果を通知するハガキが届きました。45点でした。自己採点は50点でしたから、5点も下まわりました。合格基準は90点ですから、とてもとても足りません。ちなみに、150点満点です。今回はいつも以上に難しかったのですが・・・。めげずに毎朝フランス語を勉強しています。仏和大辞典を愛用しています。ボキャブラリーを増やし、なんとか用例を覚えて仏作文も少しはできるようにがんばりたいと思います。

敗者から見た関ヶ原合戦

カテゴリー:日本史(中世)

著者:三池純正、出版社:洋泉社新書y
 関ヶ原合戦の首謀者は、当時の日本を訪れていた朝鮮使節には毛利輝元だと見えていた。その毛利が所領を4分の1に減らされただけで何の処罰も受けることもなく、その配下の石田三成が首謀者として処刑されたのが不思議だと思われていた。
 石田三成は近江佐和山城主19万5千石の大名の一人で、豊臣政権を支えた奉行の一人でしかない。しかも、その奉行の身分は、関ヶ原合戦の直前に徳川家康によって剥奪され、表面上は何の権限も持っていなかった。
 関ヶ原合戦は、石田三成を首謀者に仕立て上げて処刑することで、その責任のすべてを三成に一方的に押し付け、その幕を閉じた。
 私は関ヶ原古戦場跡に2度行ったことがあります。やはり百聞は一見に如かずです。
 この本では、各将が合戦当時に陣取っていた位置を重視しています。毛利軍が陣を布いた南宮山からも、長宗我部のいた栗原山からも合戦場となった関ヶ原はまったく見えない。2万6千という西軍の大軍は、合戦当日、遠くに鉄砲の轟音やときの声を聞いて、黒煙を覆う光景は見えても、両軍が戦う姿は最後まで見えなかった。
 たしかに、関ヶ原の現地に立つと、意外に狭いことに驚かされます。西軍の有力な軍隊が隠れるようにいたというのは、それなりの思惑があったのでしょうね。
 通説は石田三成について典型的な文人官僚であり、軍事に疎い人物だとしている。しかし、果たしてそうだろうか。三成は官僚である前に、何より軍人であり、武将であった。秀吉のそばにずっといて、合戦についての大局的観点や陣城の構築などを学んでいた。つまり、三成が軍事的に疎い、戦下手(いくさべた)などと考えるのは、不自然なのである。
 朝鮮の役についても、文禄・慶長の役を通じ、三成は一貫して兵站・補給力をふくめて国力全体を見通した戦略を構築し、無理な戦いを避けようとした。三成の戦略視点の高さが朝鮮の役で表れている。著者はこう見ます。
 徳川家康は関ヶ原合戦のとき、いくつもの不安材料をかかえていた。安心して合戦にのぞんでいたわけではない。福島正則ら豊臣系大名を味方につけていたが、それは「三成憎し」という感情や、その場の雰囲気からであって、もし大坂城にいる秀頼が毛利輝元に擁されて出陣してくれば、どう心変わりするか知れない。
 会津の上杉の動きも心配だった。上杉と三成が連携し、上杉が佐竹とともに攻め込んできたら、前後からはさみ撃ちされる心配があった。
 頼みの伊達政宗も、その家臣団は一枚岩ではなく、すべてが家康寄りではなかった。だから、家康は江戸を動けなかった。それで家康は全国の諸将に書状を書きまくった。何と160通にものぼる。そして、肝心の徳川本軍3万8千は、信州の真田昌幸の攻城に予想外に手間どり、関ヶ原合戦には間に合わなかった。ことは重大であった。
 東軍は西軍の移動を察知することが出来ず、西軍を関ヶ原に着陣させるという失態を演じた。しかしながら、南宮山に陣取った毛利隊は戦う気がないのを東軍に見抜かれていた。長宗我部も同じで、合戦を放棄していた。
 三成は松尾山城を重視し、西軍にとって錦の御旗となるべき城と考えていた。そこに三成は毛利輝元を入れるつもりだった。ところが、そこにもっとも警戒していた小早川秀秋が入りこみ、三成の計画は頓挫してしまった。
 三成の作戦は決して場当たり的なものではなく、以前から用意周到に考えられ準備されたものだったのだ。三成、恐るべし、である。
 小早川秀秋は周囲を東軍に固められていて、西軍に味方することなど不可能だった。要は、東軍につくタイミングだけの問題だった。
 関ヶ原合戦について、新しい視野がぐんと広がる、そんな気にさせる面白い本です。

おいしいハンバーガーのこわい話

カテゴリー:社会

著者:エリック・シュローサー、出版社:草思社
 毎日、アメリカ人の14人に1人がマックを食べている。毎月、アメリカの子どもの 10人のうち9人がマックにやって来る。アメリカ人は年間130億個のハンバーガーを食べている。地球を32周できる量だ。1968年にマクドはアメリカにしかなく、1000店だった。今は、世界中に3万1000店ある。
 1900年代のはじめのアメリカではハンバーガーは、貧しい人の食べもので、不潔な、安全ではないものと考えられていた。次のように言われていたのです。
 ハンバーガーを食べるなんて、ごみ入れの肉を食べるようなものだ。
 2007年の今、私は、今こそ、マックって、そんなものだと叫びたい気分です。
 マクドナルド社は、新しい店の用地を選ぶとき、セスナ機に乗って学校を探し、その近くに店を出した。そのうちヘリコプターをつかい、校外の広がる方向を割り出し、道路沿いの安い土地を探した。今は、宇宙からの衛星写真をつかっている。
 マックのマニュアルは1958年当時は75ページだった。今は、その10倍、重さが2キロもある。これは、一人ひとりの社員の能力をたたえることはせず、ひたすら取りかえのきく従業員を求めるということ。すぐに雇えて、すぐにクビにできて、すぐに取りかえられる人間をマックは求めている。一般にファーストフードの店員は3〜4ヶ月でやめるかクビになる。賃金がひどく低いからでもある。
 内容がつまらなくて、賃金が低くて、手に職のつかない仕事を、マックジョブという。辞書には、マックジョブとは、賃金が低くて、出世の機会がほとんどない仕事だと書かれている。マックジョブとは、将来性のない仕事のことだ。
 マックは労働組合がない。ただし、日本では2006年5月にマック労組ができた。ケンタッキーフライドチキンにも2006年6月に労組ができた。
 マックのフライドポテトは店にとって割がいい。生のジャガイモの代わりに冷凍ポテトをつかったので、コストが下がった。ハンバーガーより、ずっと割がいい。
 アメリカの冷凍フライドポテト市場の80%を巨大な三つの会社が支配している。仕入れた値段の20倍で売っている。しかし、生産農家はもうかっていない。
 フライドポテトの味を左右する大きな要素は、揚げ油だ。大豆油7、牛脂93の比率で混ぜた油だフライドポテトを揚げる。
 加工食品をピンクや赤・紫色に染めるためのカルミンは、ペルーなどでとれる小さな虫の死骸からつくられている。
 アメリカの公立高校1万9000校、これは全国の高校の5つに1つにあたる、で特定ブランドのファーストフードが売られている。学校が金もうけの土俵となっている。売上げの一部を学校が受けとるのだ。
 30年前、アメリカのティーンエージャーは清涼飲料の2倍ほど牛乳を飲んでいた。今では、牛乳の2倍の清涼飲料を飲んでいる。清涼飲料の缶1本に含まれる砂糖の量は茶さじ10杯分だ。
 現在、アメリカでもっともたくさん牛肉を買っているのはマックだ。精肉業界の大手4社で、市場の84%を占めている。そのため、個人牧場主は生計を立てるのが難しくなった。
 チキンマックナゲットは牛肉と同じ不健康な脂肪を多く含んでいた。牛脂で揚げていたからだ。
 牛を処理するスピードは、1時間に400頭の牛を処理するというもの。ファーストフード・チェーンに供給するための精肉システムは、病気をまき散らすのにも有効なシステムだ。アメリカでひき肉にされる牛のうち4分の1は乳の出なくなった乳牛。その乳牛は病気にかかっていることが多い。マックはひき肉の多くを乳牛から得ている。割合に安くて、肉の脂肪が少ないからだ。
 私の自慢は、20年以上もマックを口にしたことがないということです。コーラも飲みません。赤坂の交差点にあるマックに若い人たちが群がって買い求めているのを見るたびに、彼らの口とその精神の貧しさに哀れみを感じてしまいます。だって、マックって、いかにも人工的な美味しさでしょ。子ども時代、マックに口が慣らされてしまうと、素材の良さなんか分からなくなってしまいます。

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