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無実

カテゴリー:アメリカ

著者:ジョン・グリシャム、出版社:ゴマ文庫
 上下2冊の文庫本です。いやあ、こんなことって、本当にあったのかと憤りを覚えながら重たい気分で読みすすめました。冬、寒いので厚着をしているところに、首筋から氷のカケラを投げ入れられた。そんなゾクゾクする、いやな思いをさせられてしまいます。でも、アメリカ・オクラホマで実際に起きた冤罪事件だというのですから、途中でやめるわけにはいきません。最後まで辛抱して読み通しました。いえ、面白くないというのではありません。面白いのですが、ノンフィクションだというので、どうしても、この世にこんなことがあっていいはずはないという思いが先に立ってしまい、頁をめくって次の展開を知りたい衝動にかられる反面、ああ、いやだいやだ、人間って、こんなにも無責任かつ鉄面皮になれるものかという底知れぬ不信感を抱いてしまうのでした。このときの人間というのは、無実の人間を寄ってたかって有罪(しかも、死刑執行寸前にまでなりました)に仕立てあげた警察官、検察官そして裁判官です。おっと、無能な弁護人も、それを助けたのでした。
 これはオクラホマだけの問題ではない。その正反対だ。不当な有罪判決は、この国のあらゆる国で、毎月のようにくだされている。原因はさまざまでありながら、常に同じでもある。警察の杜撰な捜査、エセ科学、目撃証人が誤って別人を犯人だと断定すること、無能な弁護人、怠惰な裁判官、そして傲慢な警察官。大都市では科学捜査の専門家の仕事量が膨大になり、結果として、プロらしからぬ仕事の手順や方法をとってしまう。
 アメリカの中南部のオクラホマ州にある人口1万6千人の町エイダで、1982年12月の夜、21歳の独身女性(白人)が殺害された。警察から犯人と目されたのは白人青年のロン。ロンは、社交性に欠け、社交の場では強い不安を感じる。怒りや敵意から攻撃的になる可能性がある。周囲の世界を危険きわまる恐ろしい場所と考え、敵対的な姿勢をとるか、内面に引きこもることで自分を防御する。ロンはかなり未成熟で、物事に無頓着な人間の典型だった。
 小さなエイダの町では、数十年のあいだ、私刑(リンチ)を誇りとする伝統があった。いやあ、まるで、西部劇の世界ですね。裁判によらずに、町の人々が「犯人」を吊し首にするわけです。
 「犯人」を逮捕したら、拘置所では密告競争が始まる。警察も大いに奨励する。重要事件の被疑者が犯行の一部始終なり一部なりを告白する言葉を耳にいれるか、あるいは耳にしたと主張し、それを材料として検察と旨味のある司法取引をするのが、自由への、あるいは刑期短縮への最短の近道だった。
 ただ、普通の拘置所では、密告者がほかの囚人からの仕返しを恐れるので、それほど多くはない。しかし、エイダでは、この作戦の成功の多さから、さかんに密告があっていた。
 場当たり的な貧困者弁護制度は問題だらけだった。あまりにも手当が少額のため、大半の弁護士は、そういう避けたがった。そこで裁判は、刑事裁判の経験が浅かったり皆無の弁護士を任命することがあった。そんなとき、弁護人は専門家を証人に呼ぶことや、お金のかかることは何もできなかった。
 死刑の可能性のある殺人事件となれば、小さな街の弁護士たちの逃げ足は一段と速まった。多くの時間が費やされるという負担が重くのしかかり、小さな法律事務所なら実質的にほかの仕事はできなくなる。それだけの労力に対して、報酬はあまりにも少ない。そのうえ、死刑事件では上訴手続がだらだらと永遠に続く。
 ロンが拘置所に勾留されていたとき、看守はソラジンの量を微調整した。ロンが独房にいて、看守がゆっくりしたいときには、薬を大量に投与した。これでみんな大満足だった。出廷予定のときは薬の量が減らされ、ロンがより大きな声を出し、より荒々しく好戦的になるよう仕組まれた。
 ロンについた弁護人はベテランではあった盲目のうえ、一人だけだった。しかも、その盲目の弁護人は、ロンを怖がっていた。弁護人は、この裁判に大きな時間をとられ、ほかの、きちんとした弁護料を支払ってくれる依頼人にまわせる時間が削られていった。その弁護人は、被告人から突然おそわれないように、屈強な若者となっていた息子を机の横に待機させたほど。
 毛髪分析では同一という言葉はありえないのに、「同一」という言葉が鑑定でつかわれた。毛髪鑑定はあまりあてにならないようです。
 オクラホマの死刑執行は、致死薬注入による。まず、静脈を拡張させるために食塩水を注入し、最初はチオペンタルナトリウムを注入する。これで死刑囚は意識を失う。もう一度、食塩水を注入したあと、二つ目の薬品である臭化ベクロニウムを続いて注入する。これで呼吸が停止する。食塩水があと一回流しこまれて、3つ目の薬品である塩化カリウムが注入され、これによって心臓が停止する。
 この方法による死刑が、最近、アメリカで相次いでいるという記事を読んだばかりです。
 別の冤罪を受けたフリッツは刑務所内にある法律図書室で毎日午後、4時間ほども勉強した。そして獄中弁護士を自任している囚人に専門書や判例の読み方を教えてもらった。指導料はタダではない。フリッツは、タバコで、その料金を支払った。
 生死のかかった裁判にかけられたら、街で最高の弁護士か、最低の弁護士を雇うべきだ。最低の弁護士の手抜き弁護によって、あまりの弁護のひどさによって再審が認められるこというわけです。
 刑務所の看守たちの一部は、ロンをからかって多いに楽しんだ。
 「ロン、わたしは神だ。おまえはなぜデビー・カーター(被害者)を殺した?」
 「ロン、わたしはチャーリー・カーターだ。なぜ、わたしの娘を殺したのかね?」
 ロンが叫びをあげて抗議するので、ほかの囚人にとっては苛立ちのもとだったが、看守にとっては格好の気晴らしだった。こんな面白いことがやめられるわけがない。
 たまたま、裁判官が記録の洗い直しを命じ、矛盾点を発見してロンは助かりました。ただし、11年もたってからのことです。そのとき、DNA鑑定が役に立ちました。しかし、起訴した検察官と警察官たちは、最後で自分たちの非を認めませんでした。DNA鑑定にしても、それを隠したのは自分たちではないかのように知らぬ顔をしてしまいました。
 ようやく無罪放免になったロンですが、エイダの町はあたたかく迎え入れるどころではなく、いぜんとして「殺人犯人」扱いでした。
 ロンは、この長い絶望状態のなかで、心身ともに病みきっていました。冤罪事件の罪深さは、人ひとりの人生を大きく狂わせてしまうところにあります。
(2008年3月刊。762円+税)

いつか僕もアリの巣に

カテゴリー:未分類

著者:大河原恭祐、出版社:ポプラ社
 アリは真社会性昆虫と呼ばれている。真社会性というのは、働きアリのように自分で子どもを生まないで仲間を助ける存在がいることが特徴。この働きアリのような存在を学術用語で「不妊カースト」と呼ぶ。女王アリのように集団の中で子どもを産む存在を学術的には「繁殖カースト」と呼ぶ。つまり、真社会性昆虫は、不妊カーストと繁殖カーストから成り立っている。
 世界中にアリは1万種以上いる。日本には275種。ヨーロッパにはアリの種類が少ない。公園などによく見かけるクロヤマアリは、働きアリは8000〜1万6000匹。大きなコロニーでは、働きアリは100万匹単位となる。
 世界でもっとも巨大なアリのコロニーは、意外にも日本にある。北海道石狩海岸にあるエゾアカヤマアリのコロニーは、巣が4万5000個、10キロにわたって延々と続いている。すべて一つのコロニーで、働きアリの数は少なく見積もっても数千万匹に及ぶ。
 ひえーっ、驚きました。どうして、北海道の海岸に世界最大のアリのコロニーがあるのでしょうか・・・。
 アリは、人間社会と違って年功序列ではない。人間では年齢とともに管理職などの優遇された役職になることが多いけれど、アリではまったく反対。羽化してまもない若い働きアリは巣内の内勤の仕事に従事し、年を取ったアリの方が危険な仕事をさせられるのは、コロニーを維持するため。
 ふむふむ、なるほど、そういうことなんですか・・・。
 アリは不眠不休で働いているように見えるが、実は、しっかり睡眠をとっている。アリのなかにも「怠け者」がいる。しかし、コロニーの働きアリを減らして、労働力不足の環境をつくると、怠け者だったアリも急に働き始める。
 もっとも小さいアリは体長が1.5ミリ。もっとも大きいアリは、体長が3センチにもなる。
 シロアリはゴキブリに近い。シロアリには女王アリと王アリがいて、おしどり夫婦だ。シロアリには、オスとメスの両方が混ざっている。アリの働きアリはメスだけ。
 アリの体の表面には、多くの外分泌腺があり、さまざまな機能をもつ化学物質を分泌する。胸にある分泌腺からは抗菌物質を出し、巣の中に雑菌が沸かないように消毒している。アゴには、おおあご腺という分泌腺があり、ここから仲間に危険を知らせる警戒フェロモンを発する。
 アリは、かなりの頻度で、巣を移動する。むしろ、固定的な立派な巣をつくるアリは全体からすると少数派だ。そもそもアリはハチから進化してきた。アリの多くはハチと同じで腹部に毒針をもっている。
 うむむ、なーるほど、だからよくにているのですね。
 アリは意外に食料として利用されている。オーストラリアのアボリジニは、ツムギアリを食料とする。
 メスアリが女王になるか働きアリになるかは、実は成長する過程、つまり育ちで決まる。生まれながらの女王というのはいない。エサを多くもらってよく発育したメスの幼虫が女王に成長する。
 アリたちが女王を決めるときにはルールにのっとった決闘をする。負けた側は、敗北の証として触角をうしろに曲げて頭を下げたり、地面に押さえつけられたりもして、ひれ伏して、じっとしている。
 いやあ、なんだか、カッコよすぎるくらいにいさぎよい、ですね。
 女王アリは、働きアリのために姉妹を産ませる存在で、コロニーの主人は、実は働きアリだ。コロニーの活動は、女王の命令によって行われるているのではなく、働きアリたちによるものである。アリの社会は、君主制よりもむしろ社会主義に近いようだ。
 女王アリは昆虫のなかでもトップクラスの長寿で、平均でも10年で、20年以上も生きていた記録がある。女王アリが死ぬと、働きアリはオス卵を生産しはじめる。養育の限界が来るまでオスを生産し続け、交尾飛行に飛び立たせて、少しでも繁殖の成功を試みる。
 アリの多様な生態が分かる楽しい本でした。
 土曜日、小雨の降るなか日比谷公園を歩きました。園内の小さなレストランが2つとも貸し切りになって結婚披露パーティーがあっていました。みずみずしい新緑の息吹は心地よいものがあります。ミニ花壇に可愛いキンギョソウが並んで咲いていました。
(2008年2月刊。1400円+税)

戦争のリアル

カテゴリー:社会

著者:押井 守、岡部いさく、出版社:エンターブレイン
 イギリス空軍の爆撃機兵団をボマーコマンドといい、1939年から1945年までの6年間に、爆撃機搭乗員だけで5万5000人が死亡した。イギリスの各軍種のなかで、いちばん死者が多かった。陸軍の歩兵より死ぬ確率が高かった。
 いやあ、そうだったんですか、そんな事実をちっとも知りませんでした。ドイツの高射砲弾が飛行機にあたってパイロットがやられたら、相当な確率で爆撃機が落ちて、搭乗員は全員死亡した。
 戦闘機乗りのエースというのは、何度でも不時着できたこと、生還できたからのこと。エースは例外なしに何度も何度も撃墜されている。一回も落とされなかったエースなんて存在しない。
 いやあ、そうだったんですか。道理で日本のゼロ戦などのエースがあまり知られていないのですね。だって、すぐに死んでしまうのですからね。
 この二人は、かなりの軍事オタクのようです。戦車もヘリコプターも、絶対に故障するものだと強調しています。本当なんでしょうか・・・?
 日本の90式戦車は、あらゆる意味で中途半端だ。市街戦を想定すると、明らかにオーバースペックだし、シャーマン戦車のように移動トーチカとして考えると、あの程度ではダメだし・・・。
 ヘリコプターはメンテナンスが多くて面倒だし、燃料をバカ食いして、すぐ落っこちる。そのうえ、運べる兵士もたいした人数ではない。ヘリコプターは、ものすごく脆弱なもの。
 日本の軍事技術で世界に売り物になるのは、護衛艦とヘリコプターと潜水艦だけ。ライフルも戦車も全然ダメ。
 陸上自衛隊の64式小銃は命中精度がよかった反面、よく装弾不良を起こした。
 世界の軍隊で自国の拳銃をつかわないところは、いくらでもある。まともな拳銃をつくれるのは、オーストリアとチェコ、イタリアそして北欧くらいのもの。それくらい拳銃というのは複雑な機械なのだ。
 猟銃もバカにならない。その信頼性は抜群である。クマを撃つような銃は、弾が出なかったら、即、命とりになるのだから。最初の一発が、すぐ撃てるのが絶対条件だ。
 北朝鮮のテポドン1発に対してPACー3を100発用意したって、そんなものはなんの役にも立たない。動いている目標にあてるってことは不可能。
 戦車で何かを得た国なんて、ひとつもない。
 日本の自衛隊は、携行糧食として200万食を用意している。賞味期限の切れたものは、一体どう始末しているのか? 私も、知りたいですね、これって・・・。
 軍事オタクの2人が勝手気まま気楽に放談した対談集です。軍事に疎い私の知らないことがたくさん登場してきました。
(2008年3月刊。1700円+税)

貸し込み(下)

カテゴリー:社会

著者:黒木 亮、出版社:角川書店
 日本の裁判がいかにあてにならないものか、いやというほどあからさまに見せつけられます。どうやら著者自身の実体験にもとづく小説のようです。少し前の新聞に著者インタビューがのっていて、それで知りました。
 ファックスの日付なんて、ファックス機の入力データを変えれば、いくらでも操作できるじゃないか。
 うひょー、そ、そうだったんですか。ちっとも知りませんでした。デジタル・カメラによる写真はあてにならないというのは聞いていました。フィルム・カメラによる写真だと、そう簡単に合成はできませんが、デジタル・カメラだと、パソコンをつかえば合成写真なんて簡単なのです。
 この本は銀行の貸し手責任があるのかないのかを厳しく追及しています。日本の銀行はコンプライアンス、つまり法令にしたがった貸付と回収をしていない。そんな銀行はまともじゃないという叫びです。
 ところが、それを国会で激しく追及した議員は女性スキャンダルで蹴落とされてしまうのです。いやあ、これもよくある話ですね。銀行からいいようにあしらわれた被害者は、銀行との裁判の過程で、自分の弁護士を何回も変えていきます。要するに、その弁護士に能力があるかどうかというより、自分の主張をどれだけ法廷で陳述・敷衍してくれるかどうかという基準で変えていくわけです。その結果、どうなるか?
 長い準備書面に書かれているのは、何の論理も、説得力もない、感情の赴くままの罵詈雑言(ばりぞうごん)の羅列であった。目を三角に吊り上げた依頼者の喚き(わめ)き散らしを、そのまま文章にしただけ。
 いやあ、たしかに、これと同じような弁護士がたしかにいます。依頼者の言うことを 100%、いや120%裁判所に伝えることが弁護士の役割だと思いこんでいるのです。私は、決してそうは思いません。社会正義というのは、依頼者の思いとは少し違ったところにある場合もあると思うのです。依頼者とは十分に話し込みますが、ときには辞任するしかないということもあります。
 脳梗塞患者に21億円も融資し、その大半が両建て、しかも、保証人の署名は偽造、借入申込書は銀行員が書いた。これは、明らかに犯罪行為だ。
 大銀行のなかに犯罪がまかりとおっているのですね。
 ところが、被害者が勝つべき事案なのに裁判所は敗訴判決を下します。大銀行を救済したのです。法廷で重要証人の尋問途中に居眠りをしていた裁判長による判決です。
 とにかく常人の理解を超える判決だ。こんなんだったら、最初から裁判なんかやっても意味はないよな。なんだか、日本はダメな国だね・・・。
 35年間、日本で弁護士をしている私も、この指摘にはかなり同感です。国、行政、大きいところには弱いのが日本の裁判所なんですね。まったくいやになってしまいます。
 ところが、勝ったはずの大銀行が昨今の企業買収により、別の大銀行の傘下に入ることになり、裁判担当は早急に和解して決着することを命じられます。悪は長続きしないものですが、いつもそうなるとは限らないのが残念ながら現実です。
(2007年9月刊。1400円+税)

恐竜はなぜ鳥に進化したのか

カテゴリー:生物

著者:ピーター・D・ウォード、出版社:文藝春秋
 鳥類は、哺乳類に比べてずっとわずかな酸素しか必要としない。鳥類は、哺乳類にとっては命取りになる高度に存在できるだけでなく、酸素の乏しい空気のなかで飛べる。動物界で知られている限りもっとも極端な身体活動ができるというのは、まったく不思議としか言いようがない。
 この本は、恐竜の生き残りが鳥であるということを立証しようとした本です。私は、この本を読んで、ますます、なるほど、と思いました。
 酸素をつかって代謝という化学反応をおこなう酸素呼吸は、多くの細菌がとっている無酸素呼吸の10倍ものエネルギーを生み出す。複雑な生命は膨大なエネルギーを必要とする。そのためには簡単に獲得できる大量のエネルギーがいい。酸素を用いる代謝だけが、動物の生きていくのに十分なエネルギーを与えてくれる。静止しているときの鳥類の呼吸システムは、いかなる哺乳類の肺よりも、少なくとも33%は効率がいい。
 小型の恒温動物の心拍数は、驚くほど速く、1分間に100をゆうに超える。これは血液が全身にすみやかに循環することを可能にし、酸素濃度が低いときには利点になる。鳥類が、同程度の大きさのトカゲより高い場所で生活できる理由の一つは、これである。
 内温性は、大気中の低酸素に対する適応として始まったという俗説を著者は提唱しています。現生のワニ類の大多数は、すべて変温動物である。鳥類は温血である。恐竜も初期の鳥類も、すべて変温動物であり、鳥類の内温性は、おそらく白亜紀の最後まで出現しなかった。
 2億5000万年前から2億4500万年前までの500万年のあいだの三畳紀前期、酸素濃度は10〜15%という最低レベルにまで落ちていた。すべての動物にとって大変苛酷な環境である。しかし、苦難のときは、進化と新しい工夫のエンジンを始動させる最良の起爆剤でもある。長引く酸素危機にうまく対処できる呼吸システムを誇る新しい種類の動物が出現した。哺乳類と恐竜である。
 恐竜は、三畳紀の低酸素期、つまり酸素濃度が5億年のうち最低であった時期か、その直後に進化したもの。つまり、その体制は、低酸素に対する適応の結果なのである。
 恐竜の数が増え始め、大きさが増大するのもジュラ紀から白亜紀にかけてのこと。酸素濃度は上昇していった。
 竜盤類恐竜は、競争するうえで優れた呼吸システム、最初の気のうシステムをもっていたため、他のどんな陸生脊椎動物よりも低い絶滅率を保った。
 大型の竜盤類と小型の竜盤類が別々の道を歩み、小型の竜盤類が後に、酸素レベルが急激に下落したジュラ紀に内温性を進化させた。それが鳥類につながった。
 恐竜は6500万年前に完全に絶滅してしまった。
 いかなる哺乳類も、標高4200メートル以上では繁殖できない。この酸素レベルは、ジュラ紀初期の酸素レベルに対応する。6500万年から2億年の歳月をかけて胎盤方式を精緻なものにしあげた動物が哺乳類なのである。
 いやあ、わが家の庭に毎日やって来る可愛い小鳥たちの祖先が何億年ものあいだ地球上を支配していた巨大な恐竜だったとは驚きです。まさしく事実は小説より奇なりですね。
 朝6時ころ目を覚ますと、外でウグイスがホーホケキョと、澄んだ声で歌っていました。心の洗われる思いがしました。早くも駅舎のツバメの仔どもたちがエサをねだっているのを見ました。
(2008年2月刊。2238円+税)

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