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リーガル・エリートたちの挑戦

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出版社:商事法務
 著者がダグラス・K・フリーマンとありますから、アメリカの弁護士のロースクールでの体験記と思って読みはじめると、そうではありません。日本で生まれて育って日本の司法試験に合格したアメリカ人が、弁護士となって3年目にアメリカに渡り、ロースクールで猛勉強した体験記なのです。
 著者は東大法学部を卒業し、コロンビア・ロースクールに入り、そこでローレビューにも合格するほどの有能な人物であることがよく分かります。その彼がいかに必死に勉強したか、刻明に描かれていて、アメリカのリーガル・エリートのすさまじさが大いに想像できます。3年間も、こんな猛勉強させられると、いつのまにか初心を忘れてしまう心配があります。
 「なぜコロンビアの学生全員が必修科目としてこの時期に法哲学を学ぶことになっているのかわかるか。・・・先生にいわれるままに法律をせっせと覚えこみ、それをオウム返しに試験の答案上に吐き出し、その試験結果に憂き身をやつし、しまいには大企業の金もうけの手助けをする巨大なローファームで歯車となって何も考えないまま一生を終えるのが君たちのほとんどだろう。何も考えないことほど簡単でかつ恐ろしいことはない。
 しかし、それでは法学教育の本当の使命をまっとうできない。ロースクールを卒業すると君たちは、社会的には自分で想像する以上の権力を握ることになる。法のあるべき姿を根本から考え直すべく、この法哲学の講義がもうけられた」
 これは、法哲学を担当するモグレン教授のすごい開講挨拶のことばです。
 コロンビア・ロースクールを卒業するときには、平均して1000万円のローンをかかえているそうです。そこで、このローンの返済のため、とりあえず初任給1500万円の大ローファームに入っていく現実があります。そして、やがて「大企業の金もうけの手助け」をすることに慣らされていくわけです。日本でも、恐らく、このような状況がやがて出現するのでしょう・・・。大いに刺激を受け、また考えさせられる本でした。

ほたる

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著者:栗林慧、出版社:学研
 毎年5月中旬すぎると、わが家の近くにホタルの乱舞するのを見ることができる。6月半ばをすぎるとホタルは見れなくなる。ホタルは子どものころも見ていた。
 あっちの水は苦いぞ、こっちの水は甘いぞ。本当に、そんな歌をうたってホタルを笹で追ってつかまえ虫籠に入れていた。これが蛍雪の花っていうんだよ、と大人に教えてもらった。
 「源氏蛍全記録」と銘うった、この写真集は3900円。蛍の一生を詳しく追い続けた実に見事な記録写真に心が動かされた。そして、その解説文を読んで再び感嘆した。なんと大分県の中津無礼川に40日間もキャンプ生活をしたことがあるのだという。すごい。まったく脱帽。
 『栗林慧全仕事』(学研)も素晴らしい写真集だし、そのビデオも一見の価値がある。ホタルのことを知りたかったら、ぜひ、この写真集を買って見て、読んでほしい。

あやめ横丁の人々

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著者:宇江佐真理、出版社:講談社
 祝言の席に、花嫁の好きな男が押しかけてきて花嫁をさらっていく。花婿は男の意気地を立てるために追いかけ、男を切り捨てる。花嫁はあとで自死してしまう。花婿は逆うらみから花嫁の一族から追われ、あやめ横丁に隠まわれる。ところが、この横丁の住人はすべて訳あり、いわく因縁のある人々ばかり・・・。
 江戸時代の下町を舞台とする時代小説。訳ありの訳がひとつずつ解き明かされていく展開は、なかなか胸をうつものがある。あやめ横丁の由来も花の名前ではなかった・・・。たまに江戸情緒にひたってみるのも乙なもの。

手紙

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著者:東野圭吾、出版社:毎日新聞社
切なくて切なくて、泣けてくる話。福岡県弁護士会の職員(吉田さん)から、絶対おすすめですとキッパリ断言され、迷わずその日のうちに書店で見つけて読みはじめた。
 兄が強盗殺人で刑務所に服役。弟は、そのハンディを背負って社会でなんとか生きていこうとする。両親は死亡しており、兄弟2人きり。ところが、刑務所にいる兄の存在が弟の行く手に何度となく大きな障害となって立ちふさがる。大学進学、就職、恋愛、子ども・・・。弟は兄を捨て去ろうとする。しかし・・・。身内に犯罪をおかした人の辛さがしみじみと実感される。たまらなくなって途中で放り出したいほどの切なさに身が震える。
 でも、このあとどうなるのかという好奇心もあって、2日間で読みとおした。
 弁護人になって被告人の情状弁論をし、その行く末を考えることはあっても、その身内のことまでは考えたことが少なかったので、いわば頂門の一針でもあった。想像力がかきたてられる一冊。

マネーロンダリング

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著者:橘玲、出版社:幻冬舎
 タックスヘイヴンとかマネーロンダリングという言葉を耳にすることはあっても、それが実際にはどのようになされるのか、まったくイメージがつかめない。この本は、香港を舞台にしたマネーロンダリングがどのような手続ですすめられるのか、きわめて実践的な手引書となっている。もちろん、恋あり、殺しあり、復讐ありでハラハラドキドキの展開なのだが、興信所をつかっての資産・所在調査の手口など、よくもここまで調べたものだと感心する。オビに「合法的な脱税に関する貴重な情報が縦横に織り込まれている」というのもウソではない。それにしても、国外に隠すほどの大金をもっていない庶民はいったいどうなるのだろうか・・・。

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