法律相談センター検索 弁護士検索
カテゴリー: 未分類

日本に治安は再生できるか

カテゴリー:未分類

著者:前田雅英、出版社:ちくま新書
 著者は団塊の世代の刑法学者。「大人は犯罪をあまり犯さない国、日本」がついに崩壊しはじめたという警告の書。これまで、日本は治安の良さを誇ってきた。浴衣姿の若い娘が1人で夜道を銭湯に通っているのを見て外国人が驚く。今や、そんな光景が神話となりつつある。刑務所などの行刑施設に、定員6万5千人を上まわり、6万8千人が収容されている。女性も増え、3千人をこしている。覚せい剤事犯の2割は女性だが、実は10代では男女半々になっている。刑務官は1万5千人で、10年前に1人あたり3人だったのが、今では5人を受けもっている。それもあって、所内の暴行・傷害は5年間で3700件から6400件に増え、懲罰件数も2万6千件から3万7千件へと増えた。日本でも外国並みに刑務所での囚人暴動がいつ起きても不思議ではない状況になっている。
 ともかく犯罪が増えている。とくに外国人と女性が増えた。1年間に検挙される32万5千人のうち20万2千人が送検され、12万人あまりが警察で放免される。被告人は5万人にみたないが、判決は重罰化の傾向にある。
 犯罪の検挙率は急激に低下し、2割を切った。とくに強盗罪では5割を切ってしまった。
 凶悪犯罪の増加が目立つ。強盗は10年間で3倍になった。強制わいせつもそれに近く、166%贈。絶対数の多い窃盗も1.5倍になった。来日外国人の犯罪が増えている。強盗の5割以上が中国人で、4分の1がブラジル人。そして強盗の4割は少年。いろいろ考えさせられる衝撃的な問題提起の本だと受けとめた。

モノカキ日弁連副会長の日刊メルマガ

カテゴリー:未分類

著者:永尾廣久、出版社:花伝社
 2002年度日弁連副会長を務めた筆者が、激動する司法の中で日弁連はどのような活動をしているかを九州の会員にメールでレポートしたもの。モノカキとは、筆者のあだ名である。
 内容は、司法改革の各論点について、日弁連の意見や司法改革推進本部の議論の様子が中心であるが、日本の司法状況全般について、数字をあげ、諸外国と比較しながらわかりやすく説明されていて、「日本の司法豆知識」集にもなっている。
 また、豊富な読書に裏付けられた書籍の紹介は読書の意欲をわきたたせるし、自宅の庭と日比谷公園の四季折々の花々の様子は、ビルの中でパソコンに向かう私達の目を、窓の外に向けさせてくれる。
 筆者が本当の「モノカキ」になってしまうと弁護士会は大打撃なので、売れないままでどんどん書いて戴きたいというのが、勝手な読後感である。

モスクワ地下鉄の空気

カテゴリー:未分類

著者:鈴木常浩、出版社:現代書館
 1975年生まれの日本人青年が昨年まで5年ほどモスクワで建築学を学びました。モスクワの地下鉄とその駅を紹介しながら、現代ロシアのかかえているさまざまな問題点を生々しくレポートしている本です。正直いってこの本を読んで私はロシアに行く意欲をますます喪ってしまいました。地下鉄の駅のプラットホームに発見した爆弾を入れるための鉄製の箱があるなんて、とても信じられません。
 ロシア人の平均寿命は男性が59歳で、女性は72歳。ロシア人のおばあちゃんは、いかにもどっしり落ち着いて生活しているといいます。男はストレスのあまりウォッカに走り、長生きできないのです。

ゴースト・ソルジャーズ

カテゴリー:未分類

著者:ハンプトン・サイズ、出版社:光文社
 第2次世界大戦中のフィリピンのルソン島で日本軍の捕虜となったアメリカ兵513人をアメリカ軍のレンジャー部隊が現地のゲリラ部隊とともに救出に向かい成功する作戦を紹介した本です。近くスピルバーグとトム・クルーズで映画化されるそうです。
 私もフィリピンのレイテ島に公害視察に出かけたことがあります。大岡昇平の『レイテ戦記』に出てくる鬱蒼とした密林(ジャングル)は今や影も形もありません。戦争と木材輸出による環境破壊のすさまじさを実感させられました。
 フィリピンの日本軍といえば、あのバターン死の行進がすぐ思い出されます。救出されたアメリカ兵(実はイギリス兵などもいました)は、その生き残りでもあります。
 日本軍による無謀なバンザイ突撃の場面などは、同じ日本人として無惨な死に胸が痛みます。少し前にアメリカ人による『硫黄島戦記』も読みましたが、アメリカでは第2次対戦の戦記物がブームになっているのでしょうか・・・。
 内藤功弁護士(元日本共産党参議院議員)によると、日本の自衛隊は日本軍人の戦記物を最近になって再評価しているということです。戦争の実相を後世に伝えること自体は必要なことだと私も思いますが、それが戦意高揚の目的であれば賛成しかねます。

内部告発の時代

カテゴリー:未分類

出版社:花伝社
 内部告発をする人を「ホイッスルブロウワー」(笛を吹く人=警告する人)と呼ぶ。いまでは社会のために積極的に行動する人と受けとめられるようになった。やはり、雪印乳業事件の影響は絶大なものがある。
 この本によると、アメリカにはケイ・タム訴訟(不正請求禁止法)というのがある。企業が政府に意図的に虚偽の請求をしていたとき、政府が蒙った損失の3倍を懲罰賠償として企業に課すことができる。告発者は、政府が回収した金額の15〜30%の報奨金を受け取るというもの。
 また、1989年の連邦内部告発者保護法によって、告発者は51%の証明ができたらよい(緩やかな証明で足りる)ということになっている。これによって、内部告発が増えた。日本でも内部告発をすすめる立法化をめざして、本格的な議論がすすんでいる。

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.