出版社:学研M文庫
久しぶりに山本周五郎を読みました。司法修習生のとき(いつのまにか30年も前のことになってしまいました)、同じ横浜修習の庄司さんが山本周五郎にいれこんでいるので読んでみたのが初めです。『さぶ』とか『赤ひげ診療譚』など、江戸情緒たっぷりの人情話に私もぐいぐい魅きこまれ、すっかり耽読したものです。
この本は「市井・人情小説傑作選」と銘うち、宮部みゆきもはいっています。いずれの話もしばし、しっとりとした江戸情緒に浸ることができます。日本人の人情って、昔から変わっていないんだな。ほろっとさせられたり、冷やっとしたりします。物売りの声やカランコロンという下駄の音とともに江戸の香りが漂ってきそうな短編を、秋の夜長にじっくり堪能してはいかがでしょうか?
2003年10月1日