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北島亭のフランス料理

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著者:大本幸子、出版社:NHK出版
 オーナーシェフは1951年に筑後市で生まれた。高校生のころは札付きの不良学生だったという。それがロイヤルに入り、フランスにも渡って料理人として修業を積む。この本は朝7時からの「北島亭」の1日を厨房に入って追う。しかし、シェフは朝7時に店にはいない。弟子たちに働かせてシェフはまだ寝ている。もちろん、そんなことはない。シェフは朝7時には築地の魚市場に自ら買い出しに出かけている。その日の新鮮な食材を見て料理を考え、素材を生かす工夫をこらす。肉は芝浦の食肉市場で仕入れる。
 厨房の料理長の主たる任務は、全体の動きを把握して進行を指揮すること、出来上がる料理の味を確認すること、盛り付けを確認することである。プロにしか出せない味、食通をうならせる、バラ色の極上ステーキ、300グラム。そんな究極の味が出来上がる過程が刻々と紹介されていく。あー、こんな店で極上の味を堪能してみたい・・・。思わずツバをゴクリと飲みこんでしまった。そんな美味しい本だ。

99歳まで生きたあかんぼう

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著者:辻仁成、出版社:集英社
 知人のNAOMIさんから面白いよと奨められて読んだ本。たしかに頁をくるのがもどかしいほど、ぐいぐいと魅きつけられて読んでいった。1人の男が苦労してレストランのシェフとして成功する。しかし、慢心があれば逆境にも落ちこむ。それでも、さらに努力して乗りこえる。料理が国王の前に次々に出されていった。ヒラメのカルパッチョはオリーブオイルと塩がかかっているだけだが絶品だった。焼き蛤は殻ごと炭火で焼いたために、真っ黒な塊で出てきた。白いお皿に真っ黒な物体がごろごろ。国王に対して失礼ではないのか、と政府の人間は顔を強張らせた。ところが、殻を開けた途端、会場に潮の香りが立ち込めた。そして中からは生まれたてのあかんぼうのような蛤の身が現れたのだ。汁を一口、蛤をつるり、国王は思わず、唸り声をあげた。おいしいものを知り尽くした国王だけに、本物のおいしさがわかるのだ。
 スズキのポワレは油を使わず、鉄板の上でかりかりになるまで皮を焼いた。しかも身は引っ繰り返し弱火でゆっくりじっくり火を通しただけの究極の品。ソースなど使わない。ちょっと塩がまぶされただけだったが、これがうまい!そして最後のメイン料理に一同、目が点になる。農園でとれた旬の野菜の温かいサラダだ。国王の口の中で野菜たちが歌を歌う。素材の良さを生かした究極の味を見事に実現し、大勢の子や孫たちに囲まれて99歳で大往生をとげる。読んでいて、心をほのぼのと温かくしてくれるいい本だった。

太りゆく人類

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著者:エレン・ラペル・シェル、出版社:早川書房
 肥満を解消すべく努力している。9月からの2ヶ月で、なんとか3キロの減量に成功した。といっても油断すると、すぐに元に戻ってしまう。私のダイエット法は、事務員さんのおすすめによるもので、朝9時から昼12時までは飲まず食わずの絶食。相談を受けたり、打ち合わせするとき、ノドが乾くので、しきりにお茶を飲んでいたが、今はそれを絶った。朝食はリンゴとニンジンのミックスジュース。そして、青汁の牛乳とまぜて飲む。臭味はない。そのあと、ショウガ紅茶を一杯だけ飲む。昼と夜は普通に食事を摂る。当面の目標達成まで、あと2キロだ。なんとしてもやり遂げたい。食事の量を減らし、運動の量を増やす努力を続けている。
 肥満は、アメリカの公衆衛生を危機にさらす要因の第2位(ナンバーワンはタバコ)で、年間30万人の生命の損失となっている。大人の34%が過体重で、27%が肥満。子どもの過体重・肥満は、20年間に2倍以上となった。アメリカ人は、年間330億ドルをダイエット製品や痩身法に費やしている。ところが、抗肥満薬の効果には疑問があり、製薬会社にもうけさせているだけではないのか・・・。「ノー・シンク・フーズ」(何も考えない食べもの)とは、ファースト・フードと同じもの。ビタミン、ミネラル、繊維質が少なく、かわりに砂糖、脂肪、カロリーがたっぷり入っている。脂肪が濃厚に含まれている高カロリーの食品は、満腹感を感知する体内のシステムを鈍らせ、食欲をコントロールできにくくする。
 ファーストフード店のハンバーガーの肉は、2割が脂肪、2割がタンパク質、6割が水分。1日に4時間以上テレビを見る子どもの18%が肥満であり、テレビを見ながら子どもは大量に食べ、エネルギーを消費させない。そして、味覚の複雑さより、甘さにだけ頼る食品に舌が慣れさせられる。ヒトが賢く生きていくためには、大きな障害がいくつも待ちかまえているというわけだ。

内閣政治と大蔵省支配

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著者:牧原出、出版社:中公叢書
 東京で1年間、中央官僚と身近に接する機会があったので、官僚の優秀さとモーレツな仕事ぶりを再認識させられた。優秀というのは、何事によらず、ともかく途切れることなく「理路整然」と話を展開していき、それがペーパーになって直ちにあらわれるということ、モーレツさという点では「夜、暗いうちに帰宅したい」という言葉にあるように、徹夜が何日も続いてなお仕事をやり遂げるということ。私は、どちらもできないし、やりたくもない。
 司法制度を改革するために審議会が設置され、その意見書にもとづいて目下、司法制度の改革がすすめられている。この本を読んで、このような審議会を通じて時の懸案を処理するスタイルを始めたのは中曽根康弘元首相だということを知った。85歳になってなお議席に恋々としたのは老害というしかない。それはともかく、審議会方式は「大統領的首相」を目ざしたものだという。国民一般から意見を聞くという姿勢をとり、また、国民の反応を見るために審議会が必要だった、という。そして、政治家への働きかけ、場合によっては、その操作が官僚にとって最大の課題となる。国会が始まると、官僚は全力投球で国会と議員対策にあたる。それこそ徹夜で作業をすすめる。
 この本ではもうひとつ、「官房型官僚」と「原局型官僚」という耳なれない言葉を紹介しつつ、官僚の世界の「内部抗争」を分析している。そこが面白い。たとえば、出向させられた官僚は、出向先の意向をより重視することもある。そのような苦労のなかで、所属官庁の意見と利害を超えた広い(高い)調整的な視野を身につけていく。これが「官房型官僚」である。もう一方では、もともと、あまり出向しないし、仮に出向しても、あくまで出向元の官庁の意向を体現する官僚がいる。両方の官庁のバランスをうまく取りながら、全体として官僚の世界が実権を喪わないように結束する。キャリア官僚の存在と処遇をめぐる議論は、容易に決着のつかない難問だ。

雑草の成功戦略

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著者:稲垣栄洋、出版社:NTT出版
 世の中に変わり者と言われる人は多い。とくに弁護士の世界では変わり者だらけと言って決してオーバーではない。かく言う私も、よく、「あんたは変わっているねー」と言われる。自分では「人格円満な常識人」だと思っているし、依頼者に対して「あなたは、もっと常識を身につけなくてはいけませんよ」とお説教することが多いのに・・・。何がそんなに変わっているのか、自分ではあまり思いあたるところがない。客観的には、それだけ本人に自覚が足りないということなのだろう。(こりゃ、ダメだ)
 ところがこの本を読んで、変わり者こそ世の中の進歩、そして生物の進化をうみ出していることを知って、大いに安心した。自然界では、生物の特性の分布は正規分布することが多い。平均値に近いものが一番多く、平均から離れるに従ってその頻度は少なくなる。ところで、平均値からかけ離れた個体が存在することによって、環境が変わると正規分布が変化していくとき重要な役割を果たすことになる。正規分布の端を切り捨ててしまうと進化は起こらなくなり、環境の変化に対応できない。変わり者こそ、進化にとって重要な役割を果たすのである。
 変わり者の私は、ここで、膝をうって、「そうだ、そうだ」と叫ぶ。この本を読むと、私たちのごく身近に咲いている雑草たちが、厳しい条件のなかで生き抜いていくために、いかに苦労と工夫をしているか、教えられる。たとえばタンポポ。花が咲き終わると、花の茎は地べたに横になる。しかし、種子ができあがると再び茎は立ち上がる。咲いている花をより目立たせるために、咲き終わった花は倒れて身を引くというのだ。なるほど、自然の仕組みは実に偉大だ。

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