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時代劇のウソ・ホント

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著者:笹間良彦、出版社:遊子館
 山田洋次監督の最新時代劇映画「隠し剣、鬼の爪」に東北の海坂藩が、幕末期のことですが、洋式訓練をするとき、武士に左右の手を大きく振って歩調をそろえて歩かせるのに苦労しているシーンが出てきて、笑ってしまいました。
 この本には、江戸時代の武士や庶民は決して今のように左右の手を大きく振っては歩かなかったことが明らかにされています。左右の手を交互に大きく振って歩くようになったのは、明治以降の洋式軍隊や文明開化で普及した西洋風の歩き方、それに小学校の体育教育の歩き方が一般に普及してからのことなのです。それまでは、武士はいざというとき、すぐに刀を抜けるよう手はあまり動かさず、また歩き方も静かに交互に移す感じでした。映画では、武士はすり足で歩いていました。なるほど、ですね。
 この本には、意外な常識のまちがいがいくつも絵入りで指摘されていて、そうだったのかと思うところがたくさんあります。三つ指をついて挨拶するのも、武士の護身の心得だったとか、「えい、えい、おう」のかけ声も、「えい、えい」と呼びかけて「おう」とこたえるのが正しいやり方だとか、浪人と浪士は違うもの、いえぬし(家主)とやぬし(家主)は、同じ漢字を書いても違うとか、札付き(ふだつき)は勘当の予備軍だったとか、おおいに勉強になりました。

降る影、待つ光

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著者:熊谷秀夫、出版社:キネマ旬報社
 これまで150本以上の映画の照明を手がけてきた超ベテラン照明技師にインタビューした内容が本にまとまっています。映画の照明って、こんなに苦労し、工夫してるのか・・・、映画好きの私は感心しながら読みました。
 カラーだと白黒の1.5倍から2倍ほどのライトを使う。長谷川一夫のアップを撮るときには、ライトが8台必要だった。きれいにとるためだ。夜中になると俳優が急にやつれてくるから、撮らないようにする。お客をがっかりさせてはいけない。
 吉永小百合の顔に影が出ることは一切ない。顔というのは、どこからライティングしてもいいわけじゃなくて、その人を撮るのにいい角度というのがある。「あたしは右の方がいいからよろしくね」なんて言う人は、俳優としてはあまり大したことはない。吉永小百合はそんなことを言わない。言うより先に上手に坐る。言わなくって技術パートがちゃんと見抜いている。だから、渡辺えり子が「私も吉永さんのように当ててほしい」と頼んだ。そんなエピソードも紹介されています。
 リアルな光の中に、嘘の光がある。映画にはきれいに写さなくてはいけないことがあるから、嘘のライトが入ってくる。しかし、嘘の光が真実の光に勝てればいいのであって、その嘘をいかに、どこでつくか、ということが肝心なのだ。それは理屈ではない。映画には、嘘を重ねてリアルをつくるということがあるから・・・。ナルホド、ナルホド。

旅行者の朝食

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著者:米原万里、出版社:文春文庫
 著者初のグルメ・エッセイ集ということで、37本のロシアの小咄エッセイが満載です。
 古代ローマ人の宴席では、まず最初に卵が出たそうです。ただし、生のまま呑み込みました。ルネサンス期のイタリアも最初は卵で最後はフルーツでした。ただし、この卵はゆで卵。もっとも、現代イタリア人は生たまごだけでなく、ほとんど卵料理を食べないそうです。イタリアに行ったことのない私は知りませんが、本当でしょうか?
 アレキサンダー大王は、大遠征の最中、兵士たちに「キャベツを食え。キャベツは身体にいい」と言ってまわったとのこと。ローマでもキャベツは大の人気食でした。豚の脂身やロースハムとつけあわせて食べるのが好まれたそうですから、今と変わりません。
 ところで、署名の「旅行者の朝食」とは何でしょう?
 この本を読むと、ロシア(もちろん、ソ連時代です)の食生活の貧しさに関わるものだったことが分かります。興味があったら、この本を読んでみて下さい。

楽天の研究

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著者:山口敦雄、出版社:毎日新聞社
 プロ野球への参入騒動のときまで、私は正直言って楽天という会社の存在を知りませんでした。インターネットで買い物をするなんてしたこともないし、考えたこともありません。でも、現実にはネットショッピングの利用者は急速に増えているのです。
 楽天は楽天市場へ出品する店に月5万円の出店料をもらっています。出店数が1万ですから、月に5億円の売上があります。そのうえに、売り上げに応じた手数料(3.5〜5%)収入が入ります。買う方の入会料はいりません。
 毎週1回、全社員700人(平均年齢30歳)を集めた朝会(あさかい)が午前8時から本社で開かれます。そのとき各部門の業績が報告されますが、三木谷社長は対前年同月比で100%、最低でも50%の伸び率をキープするよう訓示するというのです。この不況下の日本で、信じられない数字です。
 1997年に13店舗でスタートし、4年後に5000店をこえ、その3年後の2004年に1万店となったのです。その急増ぶりに驚かされますが、はじめは店まで足を運んで出店をお願いするという営業をしたそうです。月5万円しかも、6ヶ月分の前払いを要求したというのですから、すごく高いと私は思いました。ところが、実は当時は100万円の出店料が相場だったそうで、月5万円は破格の安値だったといいます。へー、そうなのかー・・・と、思いました。
 ネットショッピングは5年もすれば、今の10倍になるだろうと言われています。一度借った人は病みつきになるというのです。そうなのでしょうか・・・。私にはとても分からない世界がインターネットの向こうに広がっているようです。

日本の裁判所

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著者:萩屋昌志、出版社:晃洋書房
 今すすめられている司法改革のなかで、最高裁による裁判官統制システムにはほんとど手がついていないという不満が弁護士会内にあります。最高裁事務総局を頂点とするキャリアシステムを温存してしまったという不満です。私もその点は同感です。
 最高裁は、たとえば日本野鳥の会に裁判官が入るのは自由だと弁解していますが、そんな弁解をしなくてはいけないこと自体が異常なんです。この本によって、最高裁による裁判官統制が目に見える形でとられていた事実を再確認することができます。
 1970年10月、国会の裁判官訴追委員会は裁判官213人に対して、青年法律家協会(青法協)の会員かどうか照会状を出しましたが、最高裁はこれを黙認しました。
 この年(1970年)1月に最高裁事務総局付判事補15人のうち10人の青法協会員の判事補が退会届を内容証明郵便付きで発送しています。いまの最高裁長官はこのとき率先して退会届を出したひとりだと言われています。
 裁判官の再任拒否は、これまでの30年間に3人しかいませんでした。ところが、2004年4月に任期切れとなる180人の裁判官のうち6人もの裁判官が不適格として再任が拒否されました。これをどうみるかですが、裁判所のなかにも弁護士会のなかにも大きな動揺は生まれていません。それくらいの拒否者が出ても当然だという雰囲気があるのです。九州では今のところ再任拒否者は幸か不幸か出ていません。しかし、私の実感からすると、再任拒否が相次いでもちっとも不思議ではありません。本当に裁判官には向いていないな、そう思う人が平然と裁判官を続けている現実を、この30年以上見てきたからです。
 法廷で威張りちらす、記録を十分に読んでいるとはとても思えない、いかにも一方に肩入れする、やる気のない審理態度・・・。いやになってしまう、早く辞めてほしい、そんな裁判官は決して少なくはありません。弁護士になって、少しは「客商売」の苦労をしてもた方が本人のためになる。そういう思いにかられる人は多いのです。いえ、決して私ひとりがそう思っているわけではありません。裁判官評価アンケートの結果をみると、多くの弁護士の評価は一致しているのです・・・。
 できる裁判官というのは、事務処理能力がすぐれている、事件処理が早く判決をどんどん書ける人だということです。優しいとか、思いやりのある人だということは裁判所内では高く評価されません。
 裁判官の不祥事はめったなことでは表面にあらわれません。1980年10月の水沼宏判事(旭川地裁)の泥酔しての暴行事件。1981年の谷合克行判事補(東京地裁)の破産管財人の弁護士からのゴルフセットと洋服生地の収賄事件くらいです。
 ミスター最高裁として、いわば司法反動の権化とも言うべき矢口元最高裁長官が、退官してから、なんと裁判官のキャリアシステムを批判しはじめたのに驚いたのは私ひとりではないでしょう。矢口元長官は判事補制度に批判的でもあり、キャリアシステムの時代は過ぎた、法曹一元が必要だと高言しています。ええっ、そんなこと現役のときに言ってほしかった・・・と私などは、ついぼやいてしまいます。
 最近、裁判官ネットワークというグループが出来て活発に活動しています。ホームページもたちあげていますので、私もときどきのぞいていますが、面白い内容です。残念なことに参加者が少なく、現職の裁判官は30人もいないのではないでしょうか。20代、30代はゼロのような気がします。若い世代の裁判官はいったい何を考えているのか。先が思いやられます。私は心配でたまりません。その克服のためにも、ホネのあるベテラン弁護士(40代)にどんどん裁判官になってほしいと考えています。

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