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カテゴリー: 社会

マンガでわかるドローン

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 名倉 真悟 、 出版  オーム社
ドローンを使って要人を暗殺する事件が相次いでいます。ドローンが軍事的に使われると本当に恐ろしいと思います。
そして、ドローンを使って荷物を配達するといいます。えっ、空から故障したドローンが落ちてこないか心配です。さらに、ドローンが私たちの頭上、上空を行きかうようになったら、ドローン同士が衝突しないか、それで落下することはないのか・・・。
この本を読むと、いやいや、そうならないような対策がきちんと講じられているようです。でもでも、私は、それでも本当に心配なんです。
空を飛ぶドローンは風に弱いのです。
一般的に時速29~38キロの風速が飛行可能な限界。航空法によって時速18キロ(分速5メートル)以下の風速でないと飛行できないこともある。
また、水にも弱く、カメラのレンズに水滴がつけば、鮮明な飛行画像の確認や撮影は不可能なので、雨の中でのドローンの飛行は危険だし、ナンセンスなこと。
ドローンで事故の起きる5つの場合。①通信障害。遠距離だと切断されるし、近距離でも干渉電波があれば操縦不可能となる。②バッテリー切れ。バッテリーが切れるとモーターが止まって墜落する。③強風や風向きの急な変化。機体が高く上がれば上がるほど、風による影響を受けやすい。④操縦ミスによる接触事故。電線や木の枝や他のドローンに操作ミスで接触して墜落する可能性がある。⑤人による妨害や故障による墜落、接触事故。世の中、何が起きるか分からないものだ。
ドローン規制では、小型無人機等飛行禁止法というものがある。
ドローンを操縦して飛行させるためには、あらかじめ地方航空局長の承認・許可を必要とする。
ドローンの急降下はなるべく避ける。無風のときは、ダウンウォッシュに機体が入り込まないよう、垂直でなく斜め下に降下させる。逆に有風時は風がダウンウォッシュを横方向に押し流そうとするので、垂直にゆっくりと降下させる。
ドローン・ビジネスというと、3.11の現場をドローンでうつした映像が印象的だった。ただし、ドローンによる空撮(売上額)は91億円で最下位だった。1位は点検、2位は農業、3位は物流だった。
ドローンを操縦する人がきちんとした仕事をするのが現実的だ。しかし、自動車運転にしても事故は絶えないし、事故原因については大きな争いはない。
ドローンの危険性は本当に払拭されているのか・・・。この本を読んだ結論からいうと、やっぱり私たちの頭上を飛ぶドローンは危険きわまりない存在だということです。いくら操縦士の資格を日常的に厳しくしたところで、危険性が払拭できるはずのないほど、限定的だと思いました。
なんでもマンガでの解説本(絵本)が出ている時代ですが、マンガだからといってバカにしてはいけません。大変役に立つ「マンガ」本でした。
(2019年12月刊。2200円+税)

超孤独死社会

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 菅野 久美子 、 出版  毎日新聞出版
このところ、孤独死による相談、事件処理の依頼を立て続けに何件も受けました。
市営住宅だと数日のうちに発見されますが、マンションだと何週間か分からないことがあるようです。一軒家の老女の場合には4ヶ月後に白骨死体として発見されました。
たいていは相続放棄の相談です。特殊清掃費用や葬儀費用など50万円ほどを個人の遺産(預金)から支払っていいかと質問され、「問題ありません」と回答します。それは社会生活を営むうえでの必要経費みたいなもので、相続人の利得になるわけではないからです。
ところが、なかには数千万円の預金があったりします。その場合、相続人を調べて遺産分割手続にすすみます。弁護士も手数料をいただきます。
日本では現在1000万人が孤立状態にある。
孤独死とは、家でたった1人、誰にも看取られずに亡くなること。その8割がゴミ屋敷や不摂生などのセルフネグレクト。この自己放任は、「緩やかな自殺」とも言われている。
孤独死は年間3万人といわれているが、実はその数倍もあるとみられている。
孤独死の4件のうち3件は男性。女性は人間関係を作るのがうまいから。
孤独死する人は、寝床から玄関先までの動線で死んでいることが多い。孤独死は、苦しみの中で助けを求めて亡くなる人が多い。
孤独死の遺体と部屋の片付けをするのが特殊清掃だ。30万円とか60万円ですることもあるが100万円以上になることもある。そのとき、業者によっては100万円のところを200万円と吹っかけることもあると、この本は書いています。700万円とかいうケースもあるといいます。そして、親族が清掃費用を払わずに逃げて業者を、泣かせるケースまで紹介されています。
特殊清掃の業界団体「事件現場特殊清掃センター」には5000社が加入している。民間資格である「事件現場特殊清掃士」の認定制度は2013年に始まり、5年間で15倍に増えた。
ゴミ屋敷の住人は孤独死するケースが圧倒的に多い。ゴミ屋敷に住んでいる人は、ゴミをゴミとは思っていない。ゴミではなく、すべてが宝物なのだ。
東京・足立区では、家主に支払い能力がないと認めたら、100万円まで区がゴミの撤去費用を負担する。なるほど、今では必要な制度だと思います。公益性が認められます。
特殊清掃人は感染症を恐れる。だから、防護服は欠かせない。
特殊清掃で必要なことは、まず一刻も早く、汚染箇所の臭いをとること。そのためオゾン脱臭機を活用する。業務で使用した服は必ず2回は洗濯機を回す。1回では臭いがなかなか取れない。シャワーを浴びて、臭いの残りやすい鼻の穴の中まで洗浄したあと、ようやく食事する。
スマホやラインの活用、そして郵便局による見守りサービスというのがあるのも知りました。
ますます増えていくのが必至の孤独死について深く状況認識することができました。
(2019年6月刊。1600円+税)
帰宅すると大型の封筒が届いていました。えっ、合格していたの・・・。信じられない思いで開封して、準一級の合格証書を手にしました。採点結果の通知も同封されていて、26点とっていたのです(合格基準点は23点)。きっと、これは試験管がなじみの受験者である私に、ゲタをはかせてくれたのだと思います。まあ、それでも率直に言ってうれしかったです。フランス語の勉強を続けていて良かったと思いました。きっときっと、がんばって続けなさいよという励ましの合格点なんだと思います。
これで準一級の合格証書は9枚になりました。1枚目は2009年です。毎朝のNHKフランス語応用編の書きとりを引き続きがんばるつもりです。

芝園団地に住んでいます

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 大島 隆 、 出版  明石書店
埼玉県川口市にある芝園団地の住民5000人のうち半数が外国人で、そのほとんどは中国人。そして、その多くはIT技術者。
芝園団地が完成したのは今から40年以上も前の1978年。日本住宅公団(現UR)が建てた典型的な郊外の大規模団地。最寄駅はJR蕨(わらび)駅。URは部屋の内装をリニューアルしているので、内部は新しい。
URの入居には一定以上の収入があることが条件。家賃8万円の部屋だと単身25万円、家族があれば31万円以上。
若者や小さな子どもを連れた夫婦は、ほとんどが中国人。老人もいるが、それは孫の世話を応援に来た人たち。主として中国の東北部のほうからIT技術者としてやってきている。そして、中国人の流入の伸びが鈍化したのを埋めるようにしてベトナム人技術者が増えている。
芝園団地2500世帯のうち自治会に加入しているのは470世帯のみ。うち外国人は23世帯。外国人のほとんどが自治会に入っていない。これには中国人にとって自治会そのものがなじみのない存在によっている(ようだ)。自治会費は年3000円。
芝園団地では日本人と中国人とは、ほとんど接触がない。どちらかというと日本人のほうが外国人住民との交流に関心が薄く、中国人住民のほうが「もっと交流したい」と思っている人が多い。
日本では、日が暮れたら子どもは家に帰る。ところが、中国人には、夜に講演や広場で過ごす習慣がある。いずれも単なる習慣の違いではあるのだが・・・。
日本人には「以心伝心」というのが、外国人との意思・疎通には「以心伝心」は通じない。
「共存」が「共生」か、どちらをめざすのか。共存はお互いにうまく棲み分けするもの。共生は、相互の関係や協力というニュアンスがある。
芝園団地では毎年8月に2日間、ふるさと祭りが開かれてきた。広場にやぐらを建てて、盆踊りをする。自治会の主催だが、自治会に入ってない人も多く参加してにぎわってきた。やぐらの組み立ては、何十人もの住民が鉄骨を運んで組み上げるもの。ついに人手不足でやれなくなった。結局、ふるさと祭りは、日本人住民が準備をして、中国人住民が子どもたちと一緒に楽しむものに変わりつつある。
日本人住民には、新参者なんだから昔からのしきたりに従うべきだという感覚がある。しかし「新参者」と言われた外国人も日本人住民と同じ権利があり、そこには上下や主従関係はないはずだ・・・。
日本人住民には高齢者世帯や独居老人が少なくない。孤独死もときどき発生している。
相互の交流と協力が必要で、そのためには何かを一緒にすることが大切だ。
早目にトラブルに対処して、反外国人感情の芽を摘む必要がある。
芝園団地は世界の今であり、日本の近未来だ。このことをひしひしと実感させてくれる貴重なルポタージュです。
(2019年12月刊。1600円+税)

性風俗シングルマザー

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 坂瓜 真吾 、 出版  集英社新書
全国の母子世帯数は123万2000世帯。
母子世帯になった理由は、離婚などの「生別」が91%で、「死別」は8%にすぎない。ひとり親世帯になったときの母親の平均年齢は33.8歳。
離婚したとき、子どもの親権は母親が8割とっている。
母子世帯の平均年間収入は348万円。母子世帯の平均年収は一般世帯の半分以下。就労所得は3分の1以下。生活保護世帯の8%が母子世帯。ひとり親世帯の貧困率は5割をこえる。
未婚の母親として子どもを育てる選択をする女性は決して多数派ではない。「未婚の母」はひとり親世帯の8.7%にすぎない。20代で未婚の母親になる女性も多数派ではない。
シングルマザーは、「自己責任」という言葉のもと、社会的なバッシングやネグレクト(無視・放置)の対象になりがちだ。
協議離婚したとき、養育費のとりきめをしていないことが多い。それは、相手と関わりたくないからが31%、相手に支払能力がないと思ったが21%、相手に支払う意思がないと思ったが18%となっている。
養育費を別れた夫から現在ももらっているのは24%で、もらっている平均月額は4万3000円ほど。生活の苦しい低所得者層は、離婚の際に養育費のとりきめをしていない傾向がある。
地方都市(人口80万人)のS市内には100店舗ほどのデリヘルがあり、3800人の女性が働いている。といっても9割以上は無店舗型で、インターネット上で営業している。そのため、大半のS市民にはほとんど知られていない。
地方都市のキャバクラは、人口減少と中心繁華街の衰退という流れのなかで、もはや稼げる仕事ではなくなっている。
「身バレ」とは、身元が客にバレてしまうこと。デリヘルで働く女性の身元を特定しようと躍起になっているストーカーのような男性客がネット上にあふれている。
デリヘルで働く女性が感染する性感染症はクラミジアであり、定期検査で発覚するうちの6~7割を占めている。HIVや梅毒は、まず検出されない。
風俗で働くシングルマザーといっても、10時から17時のあいだ働き、18時には子どもを迎えに行って帰宅するのが多数派。表面的な生活リズムだけをみたら、一般の女性となんら変わらない。
デリヘルで働くのは、正味5時間。接客できるのは1日に4人。がんばれば5人。1日に5人つけば3万円強の稼ぎになる。
女性には3つのランクがある。レギュラーは60分1万4000円、ゴールドは1万6000円、プラチナは60分1万8000円。
デリヘルのバック率(女性の取り分)は60分1万2000円で6000円から7000円。
デリヘルで働く女性の悩みの一つは、所得証明が出せないこと。風俗店と女性の契約は、雇用契約ではなく、事実上の業務委託契約になっていることが多い。女性は会社員ではなく、個人事業主なのだ。
20代半ばで学歴・職歴・資格のまったくない状態におかれた女性が月額46万円を稼げる仕事は、地方都市では風俗以外に存在しない。ただし、こうした高額の収入がいつまでも続くわけではない。
今の子どもたちは、中学生から性交渉しているので、性教育に関しては具体的な話を学校でもしたほうがいい。この指摘こそ正当だと私は思いますが、そこに自民党議員が横ヤリを入れてきます。寝た子を起こすな、とかなんとかいって必ずケチをつけてくるのです。自らに道徳観がないのを棚にあげて、子どもたちには古臭いものを押しつけようとして、現実を見ようとしません。
生活保護だけは絶対に受けたくないという女性も少なくない。このことも前向きの解決を困難にしている事情になっている。
いろいろ考えさせられることの多いルポタージュでした。
(2019年12月刊。880円+税)

ストライキ消滅

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 大橋 弘 、 出版  風媒社
フランスでは、現在、マクロンの年金改革に反対して大々的なデモがあり、なんとなんと弁護士をふくめてストライキが頻発しています。ストライキはまさしく市民生活に定着した年中行事です。みんな迷惑しているけれど、権利主張なら仕方ないと国民の多くが我慢しているのです。
ところが、日本ではストライキは完全な死語になっています。
日本では、2017年に半日以上のストライキに入ったのは381件、参加人員7953人。2016年は31件、2383人。2015年は39件、2916人。これではストライキのない国と言えるだろう。
かつての労働省には労政局長というポストがあり、筆頭局長だった。労政局は、労組に関する情報を収集し、対策を立案していた。ところがストライキがほぼなくなってしまうと、労政局は軽視されはじめ、ついに今の厚労省には労政局がおかれていない。
1975年11月26日の始発から同年12月30日の終列車までの丸々8日間、国鉄全線がストップしてしまうストライキがあった。私が弁護士になって2年目の秋のことです。当時、鎌倉の大船に住んでいた私はストライキに参加しなかった京浜急行にたどりつき、それに乗って勤め先である川崎の法律事務所に出勤しました。通常なら片道1時間かからないところを3時間以上かけたと思います。乗客の多くは不満たらたらでしたが、駅で暴動が起きることもなく、大人しくあきらめていたように思います。いえ、マスコミはストライキに突入して乗客にひどい迷惑をかけたとして、国労などの労働組合を叩いていました。迷惑行為はやめろ、権利主張なんて、とんでないというものです。そして、労組が順法闘争を始めて、安全確認・優先のためにノロノロ運転していると、国民の怒りは労働組合のほうへ向き、政府や大企業の経営者は安穏(あんのん)としていたのです。
スト権ストと呼ばれるこの8日間のストライキは見事なものでしたが、当時の三木政権は三木首相がスト権の確立に同情的姿勢を周囲全部から抑えこまれ、スト権は認められないとの声明を出し、労慟組合側は全面的に敗退してしまったのです。この結果、日本からストライキが事実上消滅してしまったかのような状況になっています。さらに、日本最強だった国鉄労組はたちまち労組員が大きく減少し、存亡さえ危ぶまれる状況にまで陥ってしまいました。
この本は、国労の委員長だった富塚三夫と武藤久にロングインタビューしたものを編集して読みやすくなっています。私もこのスト権ストを体験した者の一人として、本書は大変貴重なものだと考えます。
国労などの労働組合の弱体化を狙った「マル生(せい)運動」については、録音していたものが暴露されたので、たちまちしぼんだ。このときはマスコミも労組側に好意的だった。ところが、逆に労組側がおどりたかぶっていた状況が映像化されていた。それによって労組側は世論から一挙に非難されるようになった。現場はまともに働いておらず、管理者は労組員の言いなりだというマスコミによる報道ばかりの日本が出現したのです。
そのなかで、国鉄改革3人組なるものがもてはやされました。いずれも民営・分割後のJR各社で社長になっていきます。
その結果、労組というのは権利主張ばかりで、他人に迷惑ばかりかける存在だというのが日本国民の意識のなかにすっかり定着してしまいました。日産労組の塩路一郎も悪いほうのイメージ定着に一役買ったようにも思います。
それがエスカレートしていって、権利を主張したら悪いことかのような錯覚まで日本社会に定着したのです。この点については、当局(権力)側の意向を無批判にたれ流したマスコミの責任は重大だと思います。
ただ、本書を読むと富塚三夫、武藤久は、反省すべきところを十分に語り尽くしてはいない気もしました。
ストライキは労働者、そして国民の権利であり、甘受すべき義務があるものだという発想への切り換えが今こそ必要だと思います。45年も前の出来事を振り返った貴重な証言録だと思いつつ、重たい気分で、なんとか読了しました。
(2019年7月刊。1800円+税)

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