法律相談センター検索 弁護士検索
カテゴリー: 社会

先生も大変なんです

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 江澤 隆輔 、 出版 岩波書店
全国一斉休校。あれって、本当に必要だったんですか。いったい、どんな状況になれば、そうするのか、その基準は設定されていたのでしょうか。専門家の意見も十分きかないまま、首相官邸のなかの「情報」でアベ首相が独断したのではありませんか…。そして、「3蜜」を避けると言いながら、学校を再開したら40人学級に戻るって、何なんですか。せめて20人以下学級にしたらどうなんですか。共産党は教員を10万人増やしたら実現できるし、1兆円かければ、可能だと発表してましたよね。イージスアショアだって1兆円近かったし、F35なんて、1兆円ではすみませんよ。辺野古も同じです。そっちを止めて、日本の子どもたちの将来のために使ったほうが、どれだけ日本全体にとって良いことか、あまりにも明らかではありませんか…。
この本は、小・中学校での教員経験のある著者が、学校での教員の労働の実際を語り明かしています。読めば読むほど、アベ政権はお金(みんな私たちの納めた貴重な税金です)の使い方が間違っていることを知らされ、怒りが全身にみなぎってきます。
日本の教員は、いま、歴史的にも世界的にも、かつてないほど忙しい状況に置かれている。教員の置かれている苦しい状況は、教員志望を減らしていて、それが現場で教育の質の低下を招いている。
教員志望の低下がひどいのは、なにより「維新の会」が牛耳る大阪に顕著です。「維新の会」は、マスコミ受けすることばかり大げさに言いたてて、教員と子どもをなおざりにしています。学校に成績をつけて競争させるなんて、気狂いじみています。まったくの間違いです。子どもたちが楽しく伸び伸び勉強できるようにしましょうよ…。
一般的な教員は、朝7時半までに学校に出てくる。
昼休みは休憩時間どころか子どもたちと談笑しながら様子を観察する、貴重な時間。
トイレを巡回し、日誌チェックを怠ることはできない。
学校は、一般企業では考えられない「常識」によって支えられている。
そもそも教員には「残業代」という概念がない。教員にとって、「労働時間」なるものは、あってないようなものにすぎない。ごく最近までタイムカードのある公立学校はほどんどなかった。
教員が多忙やストレスから精神疾患にかかって病気休職に至る人が年に5千人をこえている。
2011年から小学校で英語教育が始まった。私は英語の早期授業には反対します。英語より国語力をしっかり身につけるほうが先決です。
学校の大変な実態を教えてくれる本です。コロナ禍にある休校のあとです。焦ることなく、子どもたちがゆとりをもって伸び伸び勉強できるようにすることが求められています。
(2020年3月刊。1800円+税)

「薔薇はシュラバで生まれる」

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 笹生 那実 、 出版 イースト・プレス
1970年代の少女漫画の制作現場の実況レポート・マンガです。よく描けています。
スマホなんてもちろんありませんから、固定(黒)電話と口コミでアシスタントを確保します。アシスタントになるのは、マンガ家を志望する中学生や高校生たちです。みんな若いので、マンガ家だって20歳そこそこ、なので3日間徹夜なんて平気です。若い女性たちがカンヅメになって1週間、お風呂にも入らない生活を送るというのですから、その壮絶さはたとえようもありません。途中の差し入れはケーキでなく、おにぎりが歓迎されました。それくらい時間に追われた生活だったのです。
スマホもあり、作業環境も整備されている現在は、毎日シャワーを浴びて、寝る前の1時間は洗顔とスキンケア、睡眠も7時間とれるのが当然だということ。それにアシスタントは在宅でも十分可能。
まあ、それがあたりまえなのですが、1970年代の少女マンガ高揚期は、そんな余裕なんかなく、みな必死だったというわけです。
ただし、それだけに、1970年代のアシスタントは尊敬する作家のすぐそばにいて、その悩みや愚痴も聞きながら製作過程を身近でのぞけるという醍醐味もあったわけです。
著者は20代から30代のころ、いくつかの作品をいくつもの雑誌にのせていたのですが、やがて引退したのでした。
そもそもは、小学6年生で美内すずえのマンガに出会って大ファンになって、中学生になってからは毎月欠かさず、ファンレターを出し続けた。中学3年生のときに自作のマンガを投稿して、佳作と銀賞を受賞した。そして、中学3年生の終わる春休みにあこがれの美内すずえに出会った。高校3年生で、マンガ家としてデビューした。
ところが、アシスタント生活に追われ、自分の作品をなかなか手がけることができずに時がたっていた…。なんだか、それもよく分かる気がします。
私は少女マンガは、ほとんど読んでいません。同郷・同世代の萩尾望都はかなり読みましたが…。
このマンガを読むと、「シュラバで生まれる」という意味が、画像としてよくよく伝わってきます。ちょっと体験したくない「修羅場」です。
漫画家の笹生那実として、32年ぶりの仕事だったとのことですが、そこに描かれている若々しい、はつらつとした女性陣に圧倒され、うらやましさでいっぱいでした。面白いマンガです。ぜひ、あなたも読んでみてください。
(2020年4月刊。1091円+税)

住民主権の都市計画

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 岩見 良太郎・波多野 憲男ほか 、 出版 自治体研究社
弁護士5年目くらいから10年間ほど区画整理をめぐる住民訴訟にずっと関わってきました。区画整理というから、はじめのころは何か道路を拡幅し、住宅地を前より住みやすくするための技術的な手法というイメージがありました。ところが、実は、とても政治的に運用されている行政手法だということを理解するようになりました。
そして、この本によると、世間には、もう区画整理の時代は終わったという人もいるようです。現実に、たんに換地操作によって、局部的な土地の入れ替えにすぎない事例もあるようです。
以前は、区画整理に反対ないし異議申立する住民運動がしきりに全国で起こりました。
「自分たちは、住むために土地をもっているんだ。売るために土地をもっているんじゃない」
住み続ける住民にとっては、区画整理で資産価値が上がったからといって、小住宅地にも負担を負わせるのには無理がある。庭を削ったり、住宅まで削ったりして「宅地利用の増進」は考えられない。そして、区画整理後には広い道路に面するようになったからといって、利用価値を損なう強い減歩は無茶であり、理不尽だ。なので、ノー減歩、ノー清算を住民の多くは望んだ(望んでいる)。
ところが、今や高齢化がすすむなどから住み続けるのが難しい状況が生まれている。やがて処分の時代がやって来る。
区画整理が実施されたあとの宅地は、ミニ開発地よりは、相対的には高く路線化評価される。
区画整理の認可状況は、1972年度に350地区1万3千ヘクタールをピークとして、その後2003年度からは100地区を下まわり、また、2017年度には、住民と「市」とは、お互いに助けあうこともなる。
区画整理をめぐる単語(キーワード)として、8コ。再開発、まちづくり、道路、清算金、駅宅地、探地減歩、住民運動くり出す、これをテキスト・マイニングをして解析する。すると、初期には、都市計画の技術知に関わる傾向があった。1995年あたりを境にして、「実践知」に変化してきている。住民の公共観は確実に「技工」から「実践」へ変遷しているように思われる。あとは、再び「協働」志向について国民的公論が交わされるような出来事が起こるのを待つしかない。よく分かりませんが、区画整理の手法も位置づけも変化しているようです。
区画整理の歴史をふまえた研究書の貴重な一冊だと受けとめました。
(2019年10月刊。1600円+税)
 町のあちこちにアガパンサスの花が咲きはじめました。わが家の庭にも咲いています。小さな青い花火のようで、まさに夏到来となりました。
 日曜日に孫と一緒にサツマイモの苗を植えつけました。この秋が楽しみです。鳴門金時などです。
 さらにチューリップを植えていた一区画を掘り起こして夏の花を植える準備をしたら、腰と左肘が痛くなり、いつものマッサージにかけ込んで、身体をほぐしてもらいました。こんなときは残念ながら身体の老化ぶりを実感させられます。

「森友事件」の真相

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 渡辺 國男 、 出版 日本機関紙出版センター
モリ・カケそしてサクラときて、またモリ(森法相)とカケ麻雀(黒川)があり、安倍首相をめぐる黒い霧があまりに多くて何が何だか覚えきれなくなっています。
「森友事件」とは不動産鑑定価格9億5600万円もの国有地が学校法人森友学園にタダ同然で払い下げられた、前代未聞の事件である。
なぜ、この土地が国有地になったかというと、大阪空港に近く、航空機が着陸する飛行ルートの真下にあたるため騒音公害がひどく、国が買収して住民が退去していったから。
豊中市が土地の半分を14億円で国から購入して、中央公園として整備されている。なので、問題の土地も14億円での売買もありうるのに、なぜか1億3400万円で買い戻しという特約つきで売買された。
なにかおかしいと思って調査を始めた人がいた。木村真市議(無所属)だ。
塚本幼稚園では、園児たちが「教育勅語」を暗誦する。そして「愛国行進曲」やら「軍艦マーチ」などの軍歌まで唱和させていた。そして、運動会では、園児たちが、「安倍首相ガンバレ、安保法制国会通過よかったです」と唱えた。
この動画は私もみましたが、腰を抜かしそうになりました。こんな時代錯誤の偏向教育が今どきの日本の幼稚園であっているなんて信じられませんでした。親たちはどうして黙っていたのでしょうか、不思議です。
そして、森友学園の籠池泰典理事長の正体が明らかになった。日本会議の有力メンバーだった。
2015年9月5日、安倍昭恵夫人は、「名誉校長を引き受けました」と記念講演で語った。はじめ「安倍晋三記念小学校」とされていたのを、首相になったので、「瑞穂(みずほ)の國記念小学院」として、安倍首相の昭恵夫人が名誉校長に就任した。
ところが、森友学園は小学校の設置基準を満たしていなかった。それを「クリア」したのは大阪の維新の会の力だった。安倍晋三と松井一郎とは「愛国」教育で意気投合する仲なので、便宜が図られたようです。
鑑定価格が9億5600万円だったのを1億3400万円で売却したのは、地中のごみ撤去費用に8億1900万円かかるという「理由」だった。いったい、8億円もかかる「ゴミ」の撤去とは何なのか…。
結論から言うと、そんなものはなかったのです。要するに、「首相案件」として特別扱いされたのでした。この渦中にいた昭恵夫人の秘書をつとめていた谷恵子氏は沈黙を守った報償としてイタリア大使館へご栄転してしまいます。他方、近畿財務局でつじつまあわせをさせられた赤木氏は悩んだあげくの自死に至ります。 まさしく「天国と地獄」の世界です。
さらに籠池夫妻は逮捕され、泰典氏は長い勾留生活を余儀なくされて現在、刑事裁判の被告人席に立たされています。でも、被告席には、もう一人、昭恵夫人とそのバックにいる安倍晋三首相本人が不可欠です。そこまで追い詰めたいものだと本書を読んで改めて思ったことでした。
ともかく、目まぐるしい世の中ではありますが、軽々しく忘却してはいけない事件であることには間違いありません。
(2020年3月刊。1400円+税)

国会をみよう

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 上西 充子 、 出版 集英社
国会中継というのは、一般的にちっとも面白くありません。とくに時間的に多い与党質問とそれに対する安倍首相の答弁なんて、見るだけ時間のムダという気がしてきます。だって、ちっとも目新しい話は出て来ず、ひたすら安倍首相お得意の自画自賛のオンパレードなのですから、聞いているほうが気恥ずかしくなってくるだけですので…。
ところが、野党の質問に対する安倍首相や菅官房長官の答弁には、ときに面白いものがあります。もちろん、いつも木に棒をつぐような素っ気ない答弁の連続ではあるのですが、いかにも答えていない、話をそらしていることが見え見えだったり、ときとして答弁不能に陥って立ち往生し、沈黙の時間が続いたりするからです。
そこで、国会中継の、そんな面白い場面をそのまま街頭で再演してみたらどうか…。
思うだけならだれでもできますが、著者たちは、それを本当に実演したのです。すごいことです。本書では、その経過と苦労話が語られています。
国会パブリックビューイングの街頭上映は、夕方から始める。あたりが暗くならないと映像が見えにくいから。1時間ほどの街頭上映で、集まった人に「柿の種」を途中で配り、それをつまみながら参加してもらう。
著者は論点ずらしの答弁を「ご飯論法」と名づけたことでも有名です。福岡在住の紙谷高雪氏(先日の福岡市長選に立候補しました)と流行語大賞を共同受賞しています。「ご飯論法」とは…。
Q、朝ごはんは食べなかったんですか?
A、ご飯は食べませんでした(パンは食べましたが、それは黙っておきます)。
要するに、話をそらしてごまかす答弁です。
スクリーンの横に腕章をつけた弁護士が立っていると、かえって道行く人の足を遠ざけてしまうという指摘があり、ハッとしました。そんなこともあるんですね…。
音はむやみに大きくしない。スクリーンの前で落ち着いて聞いていられる音量に調節する。スクリーンの横に主催者は立っていない。
5分間立ちどまって見てくれることを目ざす。5分間立ちどまった人は、10分、15分と見てくれることが多い。そんな人にはうしろから近づいて説明したり、リーフレットを手渡す。
与党が強行採決しようとして、野党が抵抗する場面は、むしろ嫌悪感を招かれてしまうので、街頭での上映は適しない。
渋谷のスクランブル交差点で上映したときには、あまりに通行人が多すぎて、立ちどまって見るのは難しかった。
切り貼り編集はせず、そのままの「やりとり」を上映する。これで印象操作だという批判はかわせる。
「野党は反対ばかりしている」
「野党はだらしがない」
「野党はパフォーマンスばかりしている」
よく言われるが、それは実際の国会審議を見ていない人が言っているもの、あるいは実際の国会審議に目を向けさせないために、あえて誤って印象を与えようとしているもの。
私は、まったくそのとおりだと思います。今の政府・与党がひどすぎるのを、「どっちもどっち」などと言って、政府・与党をカバーしようという論法でしかありません。
いまの安倍政権は、6月17日までの国会の会期を延長しないことにあらわれているとおり、問題が表明化しないよう、国会そのものをできるだけ回避し、批判の材料を与えないようにしている。予備費として10兆円を計上して、それを国会で審議しないなんて、とんでもないことです。
この上映は著しく通行の妨げとなるようなものではないので、デモ行進と車道を歩くのと違って、道路使用許可をとる必要がないので、許可はとっていない。なーるほど、ですね。
みんなが、もっと国会審議をみてほしいという願いから、地道に上映活動を続けている著者たちに心からエールを送りたいと思います。
私たち国民は、もっと怒らなくてはいけないし、それを投票所に足を運ぶことを含めて、行動で示さないといけないと強く思います。
(2020年2月刊。1600円+税)

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.