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カテゴリー: 社会

朝日新聞政治部

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 鮫島 浩 、 出版 講談社
 朝日新聞の実権を握ってきたのは政治部だ。この本に、こう書かれています。なので、著者は39歳で政治部デスクになったときには「異例の抜擢(ばってき)」だと社内で受けとめられたとのこと。
 私の東大駒場時代のクラスメイトの2人が朝日新聞に入りました。どちらも全共闘シンパでした(私は当時も、今も、暴力賛差の全共闘を支持しません)。そして、卒業して30年以上たって開催されたクラス同窓会に参加したら、その一人が朝日新聞の政治部長を務めていたというのを知って驚きました。この本を読むと、政治部長というポストは社長への最短距離にあるようですが、彼は社長にはなりませんでした。
 著者は、3.11の福島第一原発の吉田昌郎調書をスクープ報道したときの責任者です。スクープ当初は称賛の声だったのが、その表現であげ足がとられ、ネットで叩かれ、ついには朝日新聞の社長が手の平を返して記事を取り消して謝罪表明した。
 いま、冷静に考えても、東電の現場とトップの対応がすべて適切だったとはとても思えません。現に、つい先日の東京高裁はトップに13兆円の賠償に命じたことが何よりの証明です。そして、吉田所長以下、現場の東電社員が決死の覚悟で対処していた事実はあるとしても、東電の社員がトップから末端に至るまで何らの非がなかったとは、とても言えないことは明らかなのではないでしょうか・・・。
 それにもかかわらず、朝日新聞のトップはネット右翼に支えられた政府の攻撃に早々に白旗を掲げてしまったのです。これは、やはりひどい、ひどすぎると思います。
 この本には、政治家・古賀誠への手厳しいコメントが載っています。古賀誠ほど、権力闘争に執着し、人間の心理を細かく洞察して情報戦を駆使し、本音を明かさない政治家はいない。古賀誠は、大牟田市内のスナックに夕刻から番記者を集め、記事への引用を一切禁じる「完オフ懇談」する。そして、カラオケを3巡させたあと、夜8時から裏話を語りはじめる。
そこには、偽情報がまじっていて、それは政界を動かすためのもの。そのやり口が、古賀誠は人一倍、巧妙だった。
 遺族会の元会長として、古賀誠は平和憲法9条を守れという点では、全くぶれることがありませんが、いまなお政界ににらみをきかす現役の政治家なんですよね。
 著者は、朝日新聞が東京オリンピックのスポンサーに加わったのは、経営悪化が原因だと指摘しています。なーるほどですね。
 2009年まで、800万部の発行部数が、2014年に700万部、3年間で100万部のペースで激減。2016年には500万部を割り込み、2021年には442億円の赤字に転落した。
 私は紙媒体の新聞を熱烈に愛読していますが、いまどきの若い人は新聞を読まなくて平気というか、読まないのがフツーになっています。そんななかで新聞が、ヨミウリ・サンケイのような政府広報紙に転落しないよう、マスコミを監視し、また励まし、支えたいものです。いや、もうダメなんだと、早々に決めつけないで・・・。
(2022年7月刊。税込1980円)

自衛隊海外派遣、隠された「戦地」の現実

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 布施 祐仁 、 出版 集英社新書
自衛隊を国連の平和維持活動(PKO)のために派遣する法律(PKO法)が制定されたのは1992年6月のこと。それから30年たった。これまで、海外15のミッションに自衛隊は派遣され、参加した自衛隊員は1万ン2500人(のべ人員)。今や、その一人は自民党の国会議員になっている。世論は、すっかり受け入れ、定着しているかのように見える。しかし、果たして、その実態を十分に知ったうえで、日本国民は受けいれているのだろうか…。
実際のところ、日本政府は日本国民から批判されるのを恐れ、PKO法にもとづく自衛隊員派遣の現場で起きたことをずっと隠してきた。
政府文書は黒塗りされたものしか公表されてこなかった。
南スーダンに派遣された自衛隊員が書いていた日報は「既に廃棄した」とあからさまな嘘を言っていたが、実は存在していて、あまりにも生々しい現実があったことが国民の目から隠されていたことが発覚した。
イラクのサマーワに自衛隊が派遣されたとき、実はひそかに10個の棺も基地内に運び込んでいた。自衛隊員の戦死者が10人近く出ることを当局は覚悟していたのだ。
自衛隊がサマーワにいた2年半のあいだに、周辺地域には、総額2億ドル超が投下された。要するに、日本政府は安全をお金で買っていたのです。
サマーワでは幸いにして、一人の戦死者も出しませんでした。ところが、なんと、日本に帰国してから、陸上自衛隊で22人、航空自衛隊で8人が自殺しているのです。それほどサマーワでの体験は過酷でした。このように、戦地に出かけて滞在するというのは強烈なストレスをもたらすものなんです。それを知らずして、戦争映画のDVDを自宅のテレビで見ているような感覚でとらえて議論してはいけないと思います。広く読まれるべき、貴重な新書です。
(2022年4月刊。税込1034円)

1966年、早大、学費闘争の記録

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 編纂委員会 、 出版 花伝社
本格的な学園闘争のはしり、とも言うべきワセダの学費値上げ反対闘争について、当時、闘争をになった人たちが振り返ってまとめた総括本です。
ときは私が大学に入る前年、1966年1月から6月までのこと。150日間もの早大学生ストライキが敢行されました。当局の決めた学費値上げは、入学金3万円を5万円に、授業料5万円(理・教育は8万円)を8万円(同12万円)にするというもの。このころ、国立大学は授業料(文系)1万2千円(月1千円)、大卒初任給2万4900円、自給70円、日給560円、公営住宅(2DK)の賃料7600円でした。学生が怒るのも当然です。ただ、今は、国立大学だって何十万円(正確には、いくらでしょうか…)、私立大学は3桁になっていますよね…。
ヨーロッパのように、学費は無料化すべきです。アメリカから不要不急の超高額の戦闘機や武器を何兆円も買っているのをやめたら、すぐに実現できるのです。人間への「投資」こそ、日本という国が生きのびる最大の保証だと私は思います。この本に、学費の現状と本質的な問題点の指摘がないのが、私には残念でした。せっかくの総括本なので、現時点の学費問題も一言くらい掘り下げてほしいところでした。
それはともかくとして、当時の早大生が、学費闘争の経験を今も自分のなかの「宝」として持ち続けているのを知ることができたのは、大いなる喜びでした。学費値上げを阻止できなかった、残念だったという「総括」は、どこにもありません。
当時のワセダの学生のなかには、靴が壊れても買い換えられず、「新聞紙を靴のように形作り黒マジックを塗って履いていた」人もいたとのこと。私も、革靴の底に穴があいていたのをしばらく履いていたことを思い出しました。それを知った姉が靴代を送金してくれました。
あの早大闘争のなかで学んだのは、民衆の力で、社会や歴史は変えられるという積極的な確信。私も1968年に始まった東大闘争の渦中に身を置いて、同じような思いを抱いています。その点、最近の若者が、同じような体験をしていないことが気の毒だと考えています。
何百人もの早大生が真冬のさなか、大学、つまり教室に泊まりこんだこと、そのとき、朝まで暖房がきいていて、それは職員が風邪をひかないように徹夜でボイラーを焚いてくれたからだったというのには心が打たれました。単なるバリケード封鎖のための泊まり込みではなかったからです。
坂下セツルメントで活動していた学生もいます。一番の収穫は、活動の節目に集団で総括し、成果と問題点を明らかにして、今後の教訓とすることが身についたこと、そして、活動を通じて自己変革したこと。これは、川崎セツルメントに3年あまり所属していた私とまったく同じです。
「民主主義」とは、大変難しく、根気のいることだと思った。まじめに「暴力的なこと」を批判すると、恫喝されてクラス討論にも出席しなくなる学生がいた。すると、暴力的な人たちの思うとおりになってしまった。
このころは、まだゲバルト、むきだしの暴力は少なかったようです。2年後の東大闘争では、途中から、ヘルメット・ゲバ棒が白昼に公然と横行するようになりました。その暴力を賛美する外野もいて、それを克服するのに、大変な苦労をさせられました。
私は、全共闘の暴力賛美だけは、ぜひぜひやめてほしいと今も心から願っています。暴力の賛美は人間性を破壊するものでしかありません。
いま、ほとんどの大学に学生自治会なるものがなく、あってもその存在は希薄であり、形骸化しているようです。本当に残念です。民主主義の実践を体験する貴重な機会だと思うのですが…。
私も知る広田次男弁護士(福島で活躍中)や矢野ゆたか・元狛江市長(4期16年)も当事者として一文を寄せています。
(2022年3月刊。税込1980円)
 日曜日、庭のブルーベリーを収穫しました。それほどでもないかと思っていましたが、皿に一杯ありました。食後のデザートになりました。アスパラガスが今年は細いのばかりでしたので、掘りあげて整地して新しいアスパラガスを植えつけられるように準備しました。
 アサギマダラ(チョウチョ)の大好物のフジバカマ(植物)がぐんぐん大きくなっています。秋の来訪を楽しみにしています。
 先々週の庭仕事で腰を痛めましたが、なんとかフツーになりました。
 久留米は連日700人もの感染者が出ていて、コロナ禍は一向に収束しません。2年ぶりの東京では、行き帰りとも、飛行機は満席でしたが、居酒屋も満員盛況でした。本当に心配ですよね。まあ、ロシアの戦争のほうが、もっと心配ではありますが…。

学問と政治

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 芦名 貞通、・・・松宮 孝明 、 出版 岩波新書
日本学術会議の任命拒否問題は今なお未解決であること、その問題点を任命拒否された6人の学者が問いかけている本です。
杉田和博という警察官僚出身の内閣官房副長官が「外すべき者」としたことが政府の文書で明らかになっています。一体なぜ警察トップだった一官僚が学術会議の任命に介入できるのか、まるで私には理解できません。最近の自民・公明政権の恣意的行政運営、学術軽視はひどすぎます。コロナ禍対策は、その典型でした。PCR検査をきちんとせず、大阪を典型として保健所を削減するなど、市民の生命と生活を脅かすばかりです。
マスコミもNHKをはじめとして政府の言いなりで、問題点をえぐり出さずに「大本営発表」ばりの報道に終始しています。そして、政府に批判的なことを少しでも言うと「反日」というレッテルをはってネット上で攻撃する人がいます。それは、自分こそ日本であり、自分と違う考えの人はすべて「反日」だと決めつけるに等しい。いやあ、怖い世の中ですね…。
政府が自分に都合のよい人を審議会の委員として選ぶのは「当たり前」という「常識」は改める必要がある。まことにもっともです。福岡の裁判所にも、審議会がいくつかありますが、とんでもない委員が当局によって選ばれているのに何回もぶつかりました。当局に忖度する意見しか言わないのです。たまには自分の頭で考えてみたら…、と思いました。2人とも大学教授でした。こんな教授の下で学ばされる学生は気の毒だと思ったことです。
同じことが、法制審議会でも起きているようです。法務省から期待される学者ばかりが選ばれているというのです。学者という看板が泣きますよね。でも、そんな本人は「こりくつ」つまり「へりくつ」を弄するのに長(た)けていますし、「メシの種」とばかりに割り切っているようで、いかに批判されようと何の病痒も感じないようです。情けない現実です。
何を学問するかは現場にまかせるべき。今すぐ何かに役立つもの、という観点も捨てさるべき。
本当に私はそう思います。自由な発想、とらわれない発想、権力にあらがう発想、これこそが社会をいい方向に動かしていく発展させる原動力だと思います。みんなが同じことを言っている社会には未来がないのです。みんな違って、みんないい。これこそ、社会が平和で、発展していく基礎なのだと私は確信しています。
岸田首相は、本当に聞く耳をもっているというのなら、任命拒否はすぐに撤回すべきです。
(2022年5月刊。税込924円)
 先日うけたフランス語検定試験(1級)の結果が送られてきました。もちろん、不合格なのですが、64点でした(150点満点)。自己採点では61点、これは4割ということです。合格点は94点ですので、30点も不足しています。この道ははるかに遠く、険しい。まさしく実感します。それでも、めげず、くじけず、ボケ防止のためにも、毎朝、NHKフランス語の書き取りを続けます。

ひと喰い介護

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 安田 依央 、 出版 集英社文庫
著者は司法書士というだけでなく、ミュージシャン、そして作家だそうです。この本は司法書士の体験も踏まえたものということです。
孤立した高齢男性たちが、より孤独で残酷な死にひきずり込まれていくという救いのない状況が描かれています。登場人物の多くは、自分のことしか考えず、悪に立ち向かうヒーロー役が登場して悪人たちを退治するというストーリーではありません。残念です。
著者は巻末の対談の最後で、高齢者のあいだでも分断、孤立化がすすみ、そこに付け込みたい人にとって「入れ食い」状態になるだろうと予測していますが、私も放っておくと、そうなるだろうという気はしています。だって、認知症かそうでないかは簡単に判別できませんし、高齢者介護施設も千差万別ですからね…。
高額の寄付金を出させる高度のテクニック…。24時間、誰かが付き添っているオーダーメイド介護は1日4万円とか6万円もする。
意思能力が完全に欠如していれば、成年後見制度が残っているのですが…。
高齢の入所者たちは、話し相手を渇望している彼ら彼女らから話を聞きだすのは非常に簡単なこと。プライバシーに関わることすべて、親族のこと、資産状況をふくめ洗いざらい引き出してしまう。
陥れられて入った施設では、四六時中、甘いものを与えられ、歯をみがくのを嫌がった結果、もともと多かった虫歯を悪化させ、次々に歯を失って、ついには、咀嚼ができず、流動食しか食べられない状態に置かれてしまう。すると認知症がさらに進行する。
介護施設に親を預けたまま、面会に来ない人も少なくない。
言葉巧みに高齢の人に接近し、その人の子まで引きずり込もうとする。今や恐るべき社会になっている。
この本を読むと、「いかに安らかに余生を過ごす」という施設でインチキが起き、それがバレないというのです。起こりうる話なので、明日の我が身…と考えざるをえませんでした。騙されてしまったという惨めな気分を味わうことになりますが、これも社会に存在するのでしょう。身が震えてしまいます。明日は我が身なのではと…。
(2018年12月刊。税込847円)

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