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カテゴリー: 社会

ギャンブル依存

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者  染谷 一 、 出版  平凡社新書
維新の党を支持する人が少なくないのに私は驚いています。「身を切る改革」というのは、自分の身は安全にしておいて他人の身を切るものでしかありません。その象徴が最近発覚した市会議員でありながら国会議員秘書を1年半も兼職していたことです。2000万円もの税金を手にしていたようです。許せません。さらに、大阪万博と夢州のIR(カジノ)です。万博を発案し企画を推進したのは橋下・松井の二人でしたよね。今では、どの国もパビリオンをまともにつくらず、建設工事はうなぎのぼりに増えるばかりです。吉村知事は大阪万博でなく、日本万博に名前を変え、国が税金で負担してやるべきだと言い出しました。うまくいったら維新の手柄、失敗したら国の責任。あまりにも無責任だし、卑怯です。IRカジノのほうはアメリカの業者に逃げられたのに、まだしがみついています。スロットマシーンを大量に並べて日本人の庶民から大金を巻き上げようというのです。
でも、すでに日本はギャンブル大国です。そしてギャンブル依存症で困窮した家庭は無数であるのです。それを加速させようとしているのが維新なのです。やめてください。
ギャンブル依存は、アメリカ精神医学会がアルコールや薬物などによる「物質関連障害および嗜癖(しへき)性障害群」と同様に分類している症病。
ギャンブルを続けることで過剰な刺激を受けた脳内の神経路である「報酬系」に異常が生じている病気だ。アルコール依存症は109万人。インターネット依存は421万人。これに対してギャンブル依存は536万人(2014年)。
2018年10月、ギャンブル等依存症対策基本法が施行された。日本国内のギャンブル依存の原因はパチンコ、パチスロが大半を占める。
日本は世界一のギャンブル依存大国。
ギャンブル依存(障害)の有病者の割合は、アメリカ0.42%、イギリス0.5%、マカオ1.8%に対して、日本は3.6%と突出して多い。さらに、ゲーム機の設置台数はアメリカ86万台、イギリス45万台、ドイツ27万台に対して、日本は457万台と桁違いに多い。
今はやっているのがオンラインカジノ。日本では店舗型は違法なので、無店舗型、そして主催者は海外業者。すると、日本の刑法には触れないことになる。
 日本ではパチンコ店が駅近くか郊外にあるのはあたりまえなので、人々が慣らされている。これが日本人にギャンブル依存症の人が多い最大の理由。罪の意識がなく堂々と出入りできる場所に通ううちに病気になってしまう。これを維新が莫大な税金を投入して大々的にやろうとしているのです。そんなこと、あなたは許せますか…。私は絶対に許せません。
橋下徹は政治家をやめて今や無責任に論議するばかり。議論家になりました。本当にひどい男です。大阪万博も夢州IR(カジノ)も今すぐ中止すべきだと思います。
(2023年7月刊。920円+税)

すてきな地球の果て

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 田辺 優貴子 、 出版 ポプラ社
 夏は北極、冬は南極、そして春と秋は東京で生活するという植物生理生態学者のレポートです。写真もたっぷりあって、うらやましい限りです。植物の生理生態を研究するには野外調査が必要だというのは分かりますが、北極にも南極にも行ったなんて、すごすぎます。
 南極には、2007年、2009年、2011年と3回も行ったのです。著者は、身内が遺伝性の難病をかかえていることから、「好きなことをして生きていく」と決断し、実行しています。
自分の足で、見たこともない場所に行って、匂い、音、温度、湿度、色、風の流れ、季節の移り変わり、その全部を自分の身体で知りたい、体得したいということです。旅するって、そういうことですよね。
 私は、離婚して傷心の依頼者に対して、遠くへ旅行することをいつも勧めています。北海道、それも利尻島なんていいですよね。私もまだ行っていませんので、ぜひ行ってみたいです。
 青森出身の著者は大学を京都で過ごし、ペルーに出かけた。そして、大学を休学してアラスカに出かけた。アラスカでオーロラを体験。
 そして、大学院のとき、京都を出発し、自転車で青森に向かった。ときは5月。2004年5月のこと。京都を出発して15日目、ついに秋田と青森の県境に至った。その日は、海岸沿いで寝ることにした。コンロを出し、スーパーで買ったウィンナーをコッヘルで焼き、おにぎりと一緒に食べた。
目の前の日本海が荒々しく並の音をとどろかせている。海からの強い風が顔にまっすぐ吹きつける。空には雲ひとつない。太陽が水平線にどんどん近づいていき、波で削られたゴツゴツの奇岩群が真っ赤に染まっていた。その赤い大きな岩々になんども荒波がぶつかっては、砕けたしぶきを水平線に沈む夕陽がオレンジ色に染め上げた。それを見て、なんだか涙がこみ上げ、あふれそうになった。
 バックパッカーとして世界を旅した女性のこまやかな観察が文章によくあらわれていると思いました。うらやましいというか、自分には、とてもこんな勇気はないなと思いつつ、ひたすら没入しました。
(2013年8月刊。1500円+税)

維新政治の内幕

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 小西 禎一 、 出版 花伝社
 なんで「ホラ吹き」連中の政党がこんなに受けているのか、不思議でなりません。コロナ禍「対策」と称して高言した「イソジン・吉村」そして「雨合羽・松井」が真面目に謝罪したとは聞いていません。大阪府と市を一体化させるという「都構想」だって、「二重行政の解消」と称して、現実にはコロナ禍のなかでの保健所の縮小・廃止でした。しかも2回も住民投票で否決されたというのに、まだあきらめていないなんて、往生際が悪すぎます。
 諸悪の根源は橋下徹にあります。最近、「憲法の壁」とか言って憲法を敵視する発言をして、顰蹙を買いましたが、橋下の眼というか、頭の中には基本的人権の擁護とか弱者保護という政治家がもつべき理念はカケラもないようです。こんな人物をマスコミが関西方面にかぎらずいつまでももてはやすなんて、日本のマスコミも堕落してしまったと嘆くばかりです。
 この本の著者は長く大阪府の副知事をつとめた人です。6代もの府知事の下で働き、ついには維新候補と対決して府知事選挙にも出馬したのでした。惜しくも当選には至りませんでしたが…。
 いま、維新は大阪では自民党と対抗して張りあっていますが、維新のルーツは自民党そのもの。なので、維新の馬場代表が「第2自民党」と自称したのはホンネを言ってしまっただけのこと。
 維新が大阪で選挙に強いのは、政党幼成金などの資金を大阪に集中させ、「どぶ板」やビッグデータを駆使した選挙戦術、府知事・市長として圧倒的なメディア露出量、そして芸能界との強いつながりによる。
 維新のポピュリズムは、行政改革の名の下に、市場原理にそって公的事業の民営化や規制緩和を進める新自由主義的なポピュリズムだ。
 維新の「都構想」挫折後のビッグ目玉は、大阪万博と夢州のIR(カジノ)です。ところが、今ではこの二つとも赤信号が灯っています。大阪万博では大阪府民の負担はない(少ない)はずでしたが、今やそれどころではありません。国にすがって国の税金を大量に投入して失敗の現実化を回避しようと必死です。でも、結局は失敗し、大々的な借金を残すこと必至です。もうひとつのカジノだって、もしオープンしても中国の金持ちが呼び込めるのか大いに疑問ですし、結局、日本の零細な年寄りがスロットマシーンにすがる程度のものでしょう。
 橋下徹は、テレビ界出身のタレントとして、拍手喝采(かっさい)がいつまでも続かないことを身に沁みて感じている人間。
 橋下徹は民間企業と地方自治体を単純に比べる発想に終始するけれど、そもそも行政は民間の営利企業と違って利益を上げることを目的とはしていない。
 橋下徹の政治手法の本質は、次々に「大騒動」をつくり出し、世間の注目を集め、自己の賞味期限を維持していくことにある。
 橋下徹は、「特別顧問」「特別参与」という制度をフル活用した。特別顧問12人、特別参与は12人。この特別顧問たちが、あたかも職員の上司であるかのように職員に命令したり「知事に言うぞ」と恐喝まがいのことをやった。そして、これらの特別顧問参与に支払われた給与は何回も引き上げられてきた。維新は身内には甘い。
 維新の言う「成長」は、万博そしてIR(カジノ)であり、カンフル注射的に大阪を元気にするだけのことで、市民生活の向上を意味するものではなかった。
 最後まで、大変興味深い本でした。
(2023年6月刊。1800円+税)

決別。総連と民団の相克77年

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 竹中 明洋 、 出版 小学館
 総連も民団も、今や日本社会ではあまり目立たない存在になってしまいましたよね。
 私が弁護士になった50年前のころ、総連の役員は肩で風を切る勢いがありました。それは郷里の福岡に戻ってきてからも同じです。小さなパチンコ店が駅前だけでなく、あちこちにあり、繁盛していましたし、焼肉店や材木店にも「在日」の経営者はたくさんいて、私の依頼者にもなってもらいました。職業としては、医師や弁護士そして金融業をしている人も少なくありませんでした。
 大学生のころ、朝鮮大学校の学生との交流会に参加したことがあります。そのころ、のほほんとした学生生活を送っていた私には、朝鮮人として自覚しながら日本でいかに生きていくかを模索しているという話を聞いて、ぶったまげた記憶があります。
 かつて在留外国人の大半が韓国籍や朝鮮籍だった時代、総連と民団は日本において絶大な影響力をもっていた。二つの組織の対立が生み出すダイナミズムは戦後日本社会のひとつの軸をなすほどだった。
 2021年3月、国籍別の在留外国人数において、中国に続いて2位だった韓国はベトナムに抜かれて3位となった。順位の変化は「在日」の地盤沈下を意味している。
 総連とは在日本朝鮮人総連合会で、民団とは在日本大韓民国民団のこと。
 1960年代初期、日本社会には「三そう」というコトバがあった。総評(日本労働組合総評議会。今の「連合」の前身だが、そのイメージはまったく異なる)と創価学会そして総連だ。
 総連は「在日」の人々を北朝鮮へ帰還させる運動を大々的にすすめた。9万3000人もの「在日」の人々が北朝鮮へ渡った。「地上の楽園」のはずが、現実には悲惨な生活を余儀なくされた。
 金正恩と妹の金与正の生母(母親)は高英子(ヨンジャ)、大阪にいた高京澤の次女である。しかし、最高指導者(金正恩)の母親が「在日」だったことは北朝鮮ではタブーになっている。
松本清張に『北の詩人』という小説があります。主人公の詩人・林和(リムファ)は南朝鮮労働党の主要メンバーだったが、1947年に北朝鮮に入り、朝鮮戦争後に朴憲永らとともにアメリカのスパイだったとして処刑された。この本の著者は、松本清張に材料を提供して書かせた勢力がいたのではないかとしています。私が今も尊敬する松本清張にしても、北朝鮮の思惑にからめとられてしまったようなので、残念です。
金大中事件が起きたのは1973(昭和48)年8月のこと。東京のホテルグランドパレス22階の部屋を出たところを拉致され、船で韓国へ連行された。犯人はKCIA。私が弁護士になる前の年のことです。日本中を騒然とさせました。
そして、翌1974(昭和44)年8月、「在日」の文世光による朴正煕大統領襲撃事件が起き、朴夫人が死亡した。文世光が使った拳銃は、大阪の交番から盗まれたものだった。文世光は裁判で有罪となり、1974年12月、死刑が執行された。果たして、北朝鮮そして総連が文世光に朴大統領暗殺を指令したのか、どんなメリットがあるというのか…。むしろ、事件はKCIAのデッチ上げではないのかという疑問があるようです。世の中は疑問だらけですね…。
 日本人青年の拉致事件の大半は、1970年代の後半に集中している。1974年の文世光事件のあと、日本では総連の取り締まりが強化された。そこで、韓国へ潜入するには、より完璧な日本人になりすますしかない。そのため、日本人化教育が必要であり、教師役となる日本人が必要となった。
 また、韓国のKCIA側でも、朝鮮大学校に潜入して学生になった人がいたり、朝鮮総連の幹部になって、北朝鮮に行って対南工作の教育まで受けた人がいたという。
 「在日」のなかでも超有名人はなんといっても力道山(百田光浩、金信洛)と美空ひばりですよね。この本では、力道山の争奪戦の模様が明らかにされています。
 朝鮮大学校の実情、そして朝銀の破綻など、興味深いのオンパレードです。
 たとえ日本の国籍をとっても、自分はあくまで韓国人だ、朝鮮人だという感覚はフツーなのではないでしょうか。アメリカ国籍をもつ日本人はやはり日本人なんです。そこに、まったく違和感はありません。また、納税したら選挙権をもつのは当然だと思います。義務があるのに権利がないなんて、おかしいですよ。大変勉強になる、刺激的な本でした。
(2022年9月刊。1800円+税)

岐路に立つ資本主義

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 戸田 志郎 、 自費出版
 A4サイズ224頁の堂々たる研究書です。豊富なデータをもとにした解説と論述なので、とても説得力があります。実のところ、A4サイズにぎっしりと字が詰まっていますので、難しければ読むのを途中で止めようと思っていて、ほとんど期待せずに読みはじめたのでした。ところが、どうしてどうして、第1章のアメリカ資本主義の分析から始まるのですが、実に興味深い分析に満ち充ちているのです。
 たとえば、オバマ大統領は、目玉政策の国民皆保険制の実現を、アメリカ国際的医薬資本・ビッグファーマ、巨大医療保険、巨大病院チェーンの反対圧力の下で放棄せざるをえなかった。なぜか…。アメリカの医療費の高さは世界的にみて突出している。医薬資本、医療保険、病院チェーンの世界最大規模の政治資本金支出は巨大ITのGAFAを上回っている。
 近年、地域医療に貢献してきた総合病院は年間100件のペースで買収され、今や全米各地で巨大資本による買収・統廃合が進み、農村部では次々に病院が消えてなくなり、アメリカの内陸部には「病院砂漠」が広がっている。
 こんなことを聞くと、マイケル・ムーア監督の映画『シッコ』を思い出します。アメリカにもメディケアやメディエイドという仕組みはありますが、結局のところお金がない人はあとまわしにされ、「自己責任」と医療保険が大手を振るっています。アメリカでは国民皆保険の実現を唱えるだけで「アカ」(共産党)呼ばわりされるのです。その論法からすると、アメリカ人にとって、イギリスもフランスも「アカ」の国になってしまいます。
 アメリカのGDPに占める製造業の割合は1953年の28.1%から、2019年には10.9%にまで低下した。そして、民間就業者のなかの製造業就業者の割合は、1953年に32.1%だったのが、2019年には、わずか8.6%のみになった。
 製造業の衰退は不安定雇用の拡大と所得格差の拡大の原因になっている。そんななかでの希望は、アメリカでは労働組合が団結力を復権させつつあること。2021年に200件をこえる労働組合がストライキに突入した。アメリカにおける労組の加入率は11%と戦後最低だけど、労働組合に肯定的なアメリカ国民は68%と、1965年以降では最高水準となった。しかも、10代から20代では78%に達する。
 先日、新宿の百貨店(デパート)がストライキに突入しました。日本でストライキがニュースとなって報道されたのは久しぶりのことです。ところがこのストライキに上部団体の「ゼンセン」も連合も、会長をはじめとする執行部は誰も現場に出かけて応援すらしていません。実に情けないことです。こんなことでは労組連合体の存在意義がありませんよね。
 次は、ドイツ、日本そしてロシアが分析の対象になっていますが、ここでは先を急いで中国をみてみます。私も中国には何度も行ったことがあります。北京、上海、重慶そして大連などの主要都市を歩くと、とてもここが「共産主義の国」とは思えません。
 著者も「そもそも中国は社会主義なのか、資本主義なのか」を考えています。その答えは、「政治は社会主義、所有制度は混合、その特性は資本主義」です。そして、中国の資本主義は「地域分散型複合型資本主義」と呼ぶのがふさわしい。国家の関与が強い混合経済体制であり、国家資本主義と呼ぶにはいろいろな所有形態が併存しているし、大衆資本主義と呼ぶには国有企業の影響力が強すぎる。
 中国は2021年の世界GDP比は18%で、アメリカの24%に次ぐ。今や中国は世界最大の輸出国。中国の総人口は2019年に14億人をこえた。やがて2位のインド13億人に抜かれると予測されているようですが…。人口増は、長寿化による。平均寿命は1981年に男66.3歳、女69.3歳だったのが、2015年には男73.5歳、女79.4歳と大きく伸びている。
中国でなぜ共産党の一党支配体制が続いているのか…。
 ①共産党が膨大な資源を投入して治安維持につとめている。②共産党は人々の不平不満を力で押さえつけたばかりでなく、それ以外にもさまざまな政治的努力を積み重ね、新規エリート層の政治取り込み、一部民衆の利益に配慮した政策形成メカニズムの整備、改善を進めてきた。③支配の安全弁として何より重要な貢献したのは経済の高度成長。④共産党がイデオロギーと連帯について、絶えず見直をし、勤労者の党から全人民の党へ自己変革を遂げてきた。
 中国にはシャドーバンキングと呼ばれる金融システムがある。このシャドーバンキングは融資全体の3割近くを占めている。15兆元から20兆元という巨大な金融システム。
 中国では、スマホの普及により、QRコードの決済が主力商品となっている。ユーザー数は10億人、稼働ユーザーは7億人をこえている。2020年6月までの1年間の決済全額は、実に118兆元になる。中国では、今やちょっとした買物までスマホ、QRコードによるようですね…。
 中国の国有企業はピーク時には11万社あったが、今は2000社を切るまでに激減した。
 中国では、都市住民と農村住民は戸籍が異なっている。この農村戸籍と非農業戸籍を廃止して統一するという計画が進行中。そして中国人は国による社会保障を受け入れ、96.3%が加入している。
ここでは、ドイツ・ロシアそして日本の分析は割愛します。この内容をもっと一般向けにイラストを入れたり、かみくだいて読みやすくしたら、それなりに売れる本になると思います。
 著者は国民金融公庫で長くつとめていましたので、企業経営分析を得意とされたと推察します。贈呈していただき本当にありがとうございました。
(2023年6月刊。非売品)

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