法律相談センター検索 弁護士検索
カテゴリー: 社会

がんは患者に聞け!

カテゴリー:社会

著者 吉田 健城、 出版 徳間書店
 有名人16人のがん闘病記録ですので、読ませます。
 山田邦子(乳がん)、鈴木宗男(胃がん)、市田忠義(大腸がん)、仙谷由人(胃がん)など、それぞれの人たちのがんの壮絶なたたかいの記録でもあります。
 また、読んでいるうちに、勇気も湧いてくる本です。
女優の洞口依子さんという人は、私の全然知らない人ですが、子宮頸がんになって、子宮を広く摘出し、後遺症に悩まされました。そんな彼女が心の支えとしたのが、書くこと、でした。
 朝日新聞の夕刊にコラムを書き、それを単行本にした。書いているうちに、それまで見えていなかった自分が見えてきた。自分に起きたことを短い文にまとめる作業は、客観的に自分を見つめ直す作業だ。病気になってから起きたことを、あれこれ思索しているうちに、そのときどきの自分と病気とのかかわりも見えてくるので、書けば書くほど病気との付き合い方も分かってくる。文章を書くことで、最近、ようやく病気との距離感がつかめるようになった気がする。それで、ちょっと自信もついてきた。なるほど、そういうこともあるのですね。
テレビの政治討論会に出演することも多い共産党の市田忠義氏(書記局長)は、大腸がんの手術後の後遺症として、生放送の討論会の最中にひどい便意に襲われました。民法の番組のときにはコマーシャルタイムにトイレにかけこみ、事なきを得ました。しかし、NHKのときには、コマーシャルタイムがありません。ついに、途中でトイレに駆け込んだのです。それでも、ディレクターがアングルを工夫してくれ、さらに、藤井裕久議員が優しく教えてくれたそうですがんという病気を根絶できる薬はまだ見つかっていませんが、早くだれか見つけてほしいものです。
 
 ツテツの木のすぐそばに今年もツバメ水仙が朱色のスマートな花を咲かせてくれました。1月から咲き始める水仙の最後を飾ります。花弁が細くて、すらっとしていて、ツバメが空を飛びまわる姿を連想させる花です。
 アマリリスの朱色の花も咲いています。もう雑草に埋もれてしまったのかとさびしい気がしていましたが、ことしも元気に咲いてくれました。手植えした植物が見事な花を咲かせてくれるのはうれしいものです。
(2009年1月刊。1700円+税)

古典への招待(下巻)

カテゴリー:社会

著者 不破 哲三、 出版 新日本出版社
 大学生のころ、必死になってマルクスやレーニンの書いた本を読んでいました。もちろん、私ひとりではなく、周囲の学生もかなり読んでいて、読まない学生のほうが肩身の狭い思いをしていました。マルクスの哲学の本はかなり難解で、何回読んでもよく分からないところがありましたが、それでも物事を表面的に眺めるのではなくて、その本質をつかんで考える上では、とても勉強になりました。
 この本は、そんな気持ちを取り戻したくて、久しぶりに読んだというわけです。今回もまた、なるほど、そういうことだったのか、と何度も目を開かされる思いをしました。良く分からないところも多かったのですが、著者が今日的視点からの解説をしてくれていますので、分かるところも多々ありました。
 ヘーゲルは、現実的なものはすべて合理的であり、合理的なものはすべて現実的である、と言った。これは、あわてて読むと、今存在しているものがすべて理性にかなったもので、現存している体制のすべてを賛美する哲学のように聞こえる。
 しかし、ヘーゲル哲学は、そんな単純なものではない。「現実性」というのは、ただ現に存在しているというだけでは足りない。どんな事物も、それが合理的であるときに、はじめて必然的な現実となる。いま存在しているものでも、現実の諸条件に合わず、合理性を失ったときには、非現実に転化する。そのときには、現状維持ではなく、現状を変革する革命が現実的なものになる。ここにヘーゲルの命題の真意がある。つまり、現実的なものはすべて合理的であるという命題は、すべて現存しているものは滅亡するにあたいするという命題に解消する。
 うむむ、なんという逆転解釈でしょうか……。
 世界は、出来上がっている諸事物の複合体としてではなく、諸過程の複合体としてとらえられねばならず、そこでは見かけのうえで固定的な諸事物も、われわれの頭脳にあるそれら諸事物の思想上の映像、つまり概念におとらず、生成と消滅のたえまない変化のうちにあり、この変化のうちで、見かけのうえでは偶然的なすべてのものごとにあっても、また、あらゆる一時的な後退が生じても、結局は、一つの前進的発展が貫かれているという偉大な根本思想がある。
 自分が社会によって生み出されながら、経済的基礎との関連を忘れ去り、独立した力としてふるまうこと、エンゲルスはこの見かけ上の独立性を、上部構造に属する社会的意識形態の共通の特徴としてとらえ、これをイデオロギーと呼んだ。国家は上部構造の全体のなかでも、経済的基礎にもっとも接近した位置にある存在である。
 国家の見かけ上の独立性、そのイデオロギー的性格は、国家の機能の一部を専門的に担う職業的政治家や法律家の登場とともに、いよいよ強固なものとなる。これらの人々のところでは、政治や法律と支配階級の要求など、経済的事実との関係は、意識的に断ち切られる。
 上部構造は、国家などの社会組織やさまざまな社会的意識形体からなるが、これらは全体として、究極的には、経済的関係によって規定される。しかし、経済関係に規定されているという関係は、目に見える形で表面に表れているものではなく、その思想や観念の領域が物質的過程から離れるほど、あいだにいくつもの中間項が介在し、よりこみいった関連性は隠れてしまう。
 イデオロギーと経済的関係との関連は、イデオロギーの諸形態の当事者たちには意識されず、忘れ去られる。自分が独立した歴史と論理を持つ、独立した思想領域だと思い込むからこそ、イデオロギーはイデオロギーとして、社会的機能を果たす。
 今の日本をよくよくとらえ直して見るときの思考にも大変役に立つ本だと思いました。
 
(2009年4月刊。1700円+税)

ルポ 労働と戦争

カテゴリー:社会

著者 島本 慈子、 出版 岩波新書
 日本は、憲法9条で軍隊を否定しながら、自衛隊という軍事力をもっている。この現実のねじれは、「専守防衛」というキーワードで正当化されている。これは、9条が消えたら「専守防衛」というキーワードも消え、日本が外国で兵器を使うこともありうるということだ。
 日本の自衛隊が、2006年度までに調達したクラスター爆弾は、23%はアメリカ製で、残る77%は国産だ。つまり、この日本の中で日本の労働者がクラスター爆弾をつくっている。そうなんですね。毎日毎日、人殺しの役にしかたたない爆弾をつくっている人が日本にもいるわけなんですね。
 戦闘の無人化が何を意味するかというと、銃後の責任が重くなるということだ。アメリカ軍の基地を拒む感情は今も根強い沖縄だが、アメリカ軍基地で働きたいという若者が増えている。民間の人材派遣会社が、会社によっては何百人という規模で、派遣社員をアメリカ軍基地内の諸機関へと送りこんでいる。
 2007年度、沖縄でのアメリカ軍基地の従業員募集に際して、341人の採用に対して8448人が応募した。同じように、沖縄以外の本土でも、884人の求人に対して3425人が応募している。
 アメリカ軍基地で働く雇用形態はさまざまだ。雇用主は日本政府で、使用者はアメリカ軍という雇用形態が一番多い。全国で2万5000人、神奈川と沖縄が9000人、東京が3000人弱。こんなに基地で働いている日本人がいるのですね……
 一人ひとりの仕事が細分化されているため、従業員はアメリカ軍の殺戮に加担しているという意識は持っていない。うーん、これも考えさせられます。
 憲法9条があり、武器輸出3原則のある現時点の日本では、軍需部門の肥大した大企業は存在しない。防衛省への納入額トップの三菱重工でさえ、防衛部分の売り上げは全体の20%にも満たない。
 日本国内の防衛産業全体に従事しているものは6万人。軍事大国アメリカの場合は、軍需関連の仕事をしている民間労働者は360万人。フランスでは、軍需関連の労働者は100万人。いやあ、これ以上、軍需産業が肥大化しないように、私たちは不断の監視が必要ですね。
 この一見平和を謳歌している日本で、人殺し兵器を作る人が6万人もいるなんて、ぞっとします。ほかに仕事がないため、アメリカ軍基地で働くのを希望する若者が増えているという指摘にも心身が震え、凍る気持ちです。
 アメリカでは、貧困から抜け出そうとして軍隊に入り、イラクなどに送られて、毎日毎日、人が殺され、人を殺す現場にいて、平常心を奪われて精神を病む若者が急増しているとのことです。日本も、平和憲法とりわけ9条を守り、そんなアメリカのような国にならないようにしたいものだとつくづく思います。
 火曜日、日比谷公園の中を歩くと、真っ赤な大きなバラがたくさん咲いていて、若い人たちがケータイで写真を撮っていました。黄色いバラも爽やかな感じですね。赤いバラのそばに白いバラもありました。初夏というより、夏本番という気温で、汗ばむほどでした。札幌から来た弁護士はようやく桜が咲き始めたと言っていました。
(2008年11月刊。740円+税)

俺は、中小企業のおやじ

カテゴリー:社会

著者 鈴木 修、 出版 日本経済新聞出版社
 かなり骨っ柱の強い、ガンコおやじだな、そんな印象を受けました。労働組合も、ストライキも、なんのその、ヘッチャラだ。そんなところは感心できませんが、トヨタやニッサンなどの大手メーカーのはざまで健闘しているスズキの経営者の苦労話ですので、とても面白く、また、ためになりました。
 企業は一時的に順調でも、いつまでも順風満帆で成長していけるものではない。だいたい25年くらいの周期で危機に襲われる。企業にも寿命があるんですよね。
 スズキのアルトは、全国統一価格で47万円で売り出した。全国ネットのテレビコマーシャルで47万円で売り出したのは初めてのこと。それまでは、地方ごとに値段が違っていた。うへーっ、そうなんですか……。一物一価ではなかったのですね。
 アルトは商用車。これで税金が安くなる。あるときはレジャーに、あるときは通勤に、また、あるときは買い物に使える。あると便利な車、それがアルトです。
 まるでダジャレのような命名法ですね、これって。チョイノリ・バイクも同じ発想でした。
 飛行機手形とは、期日が来るたびに書き換えられて飛んでばかり、落ちることがない。台風手形とは、210日、つまり7か月たってやっと支払われる手形のこと。
 私は弁護士になって35年以上になりますが、この20年間ほど手形訴訟を扱ったことがありません。不渡りを心配していた零細企業の経営者に対しては、手形を切ることを止めなさいと口を酸っぱくして忠告しています。私は、手形って、商売には不要のように思います。手形を落とすことにあまりに目が向きすぎ、本業がおろそかになってしまうからです。
 スズキで工場を新設したときのこと。どうもうまくない。こんなとき、社長は、どうすべきか。
 設備を入れたばかりだから、もったいない。そんな遠慮は無用。効率の悪い工場は、おカネをかけてでも一刻も早く手直しするべき。手直しするための予算には、制約をもうけない。
 すごいですね。よくも、ここまで言い切りました。しかし、この見切りが経営者には肝心なのですね。
 著者は、アメリカで苦しい状況に陥ったとき、優秀な弁護士たちに救われたことを教訓として、次のように言っています。
 弁護士にはカネを惜しむな。ケチケチせずに最高の人材を雇えば、その見返りは大きい。
 なるほど、なーるほど、そのとおりだと私も思います。しかし、えてして金持ちほど弁護士報酬を値切ろうとしてきます。やる気を殺がれる話です。安かろう、悪かろうではお互いに困るのですが……スーパーのタイムセールと同じように考える安直な発想にとらわれている経営者には困ったものです。
 スズキは、インドにいち早く進出して成功した。1台の単価は安くても、50%をこえる高いシェアをもつと、それなりの収益をあげてくれる。なるほど、ですね。
 インドのスズキの工場には、幹部用の個室はなく、社員と一緒に働く。社員食堂があり、そこで幹部もヒラの社員と同じように並ぶ。カースト制は無視して、日本流でやって成功している。すごい自信です。これだけの確信がないとやっていけないのですね。
 スズキは、ワゴンRを1993年に発売しはじめ、2008年12月までに、日本国内で310万台を売った。これは、日本一である。すごいです。これで、スズキが、そこで働く労働者を大切にしていれば文句なしですね。その点はとうなんでしょうか。あの、日本一のトヨタなんて最低ですよ。もうけが減りそうだというだけで、率先して首切り台宣言をして、日本の大不況をもたらしたのですからね。これで日本を代表するメーカーと威張っているのですから、日本の信義も地に堕ちたとしか言いようがありません。
(2009年3月刊。1700円+税)

略奪的金融の暴走

カテゴリー:社会

著者 鳥畑 与一、 出版 学習の友社
 世界の金融資産規模は、この12年間に4倍以上に増大し、2007年末には230兆ドルとなり、それは実体経済の4.2倍となった。マネーの膨張は、マネーの運動を投資中心から投機中心へと、まさに「量から質へ」の変化を生みだし、略奪的金融の暴走をもたらした。
 2006年末の機関投資家の運用資産62兆ドルのうち、半分の32兆ドルがアメリカに集中している。運用資産100万ドル以上の富裕層950万人が37兆ドルの金融資産を保有しているが、その3分の2はアメリカとヨーロッパに集中している。
 日本は、長年の貿易収支黒字にもとづく対外資本輸出の累積の結果、世界一の純資産大国となった。世界一の借金国アメリカは、302兆円もの債務超過であるが、日本は第2位の純資産大国ドイツの106兆円の2倍以上である250兆円の対外純資産を抱えている。なんとなんと、日本は超大金持ちの国なんですね。ところが、国民に対しては、お金がないから年金や福祉予算を削るしかないと高言して、国民をだまし続けています。
 日本は、2007年の貿易収支12兆円に対して、所得収支は16兆円となっている。つまり、日本は「貿易大国」から「投資大国」に変わりつつある。
 アメリカでは、サブプライムローンによって、1998年から2006年の間に236万軒の住宅が差し押さえられた。今後5年間で、さらに600万軒の住宅差し押さえが発生するものとみられている。
 つい最近までのアメリカでは、ハイリスク層への高金利による貸し出し拡大は、「信用の民主化」として賛美され、上限金利撤廃やARMなどの貸出手法拡大などの金融自由化は、低所得者層やマイノリティのアメリカン・ドリーム(マイホームの実現)を促進するものと考えられていた。
 しかし、今日では、サブプライムローンの拡大は、持続性のある住宅保有基盤を破壊することで、低所得者マイノリティの住宅保有増大に貢献するどころか、既存の住宅を大量に奪う役割を果たしている。
 アメリカでは、カードローンの借入れ残高が1990年の2386億ドルから、2007年には9375億ドルにまで拡大した。自己破産した個人も、1990年の78万件から、2005年には208万件と増大した。
 アメリカでも、規制緩和・自由化が進んでいるが、それによってカードローンでは上位10社で91%、JP・モルガンチェース銀行、シティ銀行、バンクオブアメリカの3行で62%を占めている。
 私には、ちょっと難しすぎるところもありましたが、アメリカの金融危機の解説と日本への波及効果についての予測は参考になりました。
 小雨のパラつくなかを山を降りていたとき麓にある昔ながらの古い民家の石垣の上に小さな可憐な花が咲いているのに目が留まりました。今まで見たこともないような、はっとするほどの美しさです。白い小さな花に、ピンクで縁どりをしていて、絶妙なる美の組み合わせです。家に帰って図鑑で調べてみると、ユキノシタという花だということが分かりました。山野草として名前だけは知っていましたが、実に素敵な花で、つい妙齢の女性にささげたくなりました。
 きれいな声で歌っているスズメほどの大きさの小鳥についても鳥の図鑑で調べたところ、シジュウカラだということが分かりました。澄んだ声を頭上高く響かせていましたが、いろいろと鳴き声を変えて楽しむ小鳥だということです。
 
(2009年2月刊。2000円+税)

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.