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カテゴリー: 社会

しまむらとヤオコー

カテゴリー:社会

著者   小川 孔輔  、 出版  小学館 
有名な専門スーパーの発祥地が、なんと同じ埼玉県小川町にあったなんて、不思議な話です。どうしてそうなんでしょうか。たまたま、ほんの偶然ということなのでしょうか。そして、この本の著者も小川さんなんですよ・・・・。
しまむらもヤオコーも、どちらも東証一部上場企業。しまむらは全国展開し、福岡県にも店舗がある。ヤオコーは、関東地方のみで、そこでは100をこえる店舗をかまえている。そして、この二つとも、埼玉県比企郡小川町に生まれ、お互いに500メートルと離れてはいなかった。
 両社とも、売上高成長率は年間10~15%。一度出店した店はむやみに閉じることはなく、ほとんどが営業を継続している。
ヤオコーは、ディスカウント路線とは一線を画し、人々に豊かな食生活を提案する「価値提案型企業」としてのポジションを崩さず、増収増益を確保してきた。ヤオコーの目ざす「個店経営」は、できるだけ店舗に自主性を持たせ、店ごとに品ぞろえを変えることをいとわない。「セントラルキッチン方式」一辺倒ではなく、作業効率を犠牲にしてでも、店内で食材を加工できる余地を残しておく。最終加工の作業プロセスを店内に残しておくのは、働く人のモチベーションを高め、来店する顧客に商品の新鮮さと売り場のにぎわいを提供するため。そのため、メニュー開発などに、パート従業員の知恵を積極的に活用している。
 しまむらは、一貫して右肩上がりの成長を続けている。2010年の売上高は4296億円、経常利益は381億円である。しまむらの店舗は、店内の床もトイレの床も御影石だ。トイレはホテルなみに豪華にするというトップの考えによるが、そうすると掃除が楽という効果もある。うむむ、なーるほど・・・・。しまむらでは。仕事のマニュアルが確立していて、従業員は定時出社、定時退社で残業はない。うへーっ、これって、本当にそうなんですか・・・・?
 しまむらの店長は、全員が正社員である。しまむらが店舗を探すときには、セスナをチャーターして上空から観察する。うひょーっ、これってすごいですよ。しかも、出店候補地の周囲2キロ圏内に小学校が3つあることを条件とする。3つの小学校があれば、5000世帯が商圏内に住んでいる。小学校の数は、世帯数や商圏人口を推計するもっとも優れた指標になる。
 むむむ、これは、す、すごいです。さすが、ですね。
 しまむらの商品の90%は中国製。しまむらで買った客は、隣の人と同じ服を着ることは、まずない。すごいですね。商売に成功するというのは、ここまで考えるものなのですか・・・・。とても勉強になりました。
(2011年1月刊。1400円+税)

TPP亡国論

カテゴリー:社会

著者   中野 剛志 、 出版   集英社新書
いま、日本のマスコミは全体としてTPP推進一色に染まっています。かつての「郵政民営化」推進とまるで同じです。そのおかげで「郵政民営化」すれば日本の経済状況として国民の懐具合が好転するかのように錯覚してしまった人も少なくないと思います。でも、決してそんなことにはならず、身近な郵便局が閉鎖され、郵便の公共性は雲の彼方に消え去って行きました。そして、「郵政」解体をアメリカ財界は依然として狙っています。
日本の多くの庶民にとって、結局のところ「郵政民営化」って百害あって一利なしだったのではないでしょうか・・・。それでも、マスコミはそんな反省の弁を述べませんから、依然として「小泉人気」は高止まりのままです。これって、おかしなことだと私は思います。
TPPに関する議論が世論のレベルでは「開国か、鎖国か」といった単純きわまりない国式の中で進められているのに恐怖すら感じる。そもそも現在の日本は鎖国などしていない。全品目の平均関税率は、日本は韓国はもちろんアメリカよりも低い。
日本の食糧自給率(カロリーベース)は4割程度しかなく、小麦、大豆、トウモロコシはほとんど輸入に頼っているのだから、日本の農業市場は鎖国的どころか、開けっぴろげに開かれてしまっている。
TPPの交渉参加国といえば、ヨーロッパはもちろん、中国も韓国も、さらにインドも参加していない。だから、TPPによってアジアの成長を取り込むなどというのは、まったくの誇大妄想としか言いようがない。
アメリカは農産品輸出国であり、日本の農業市場の開放を望んでいるが、日本からの輸入の増加は望んでいない。TPPはしょせんアメリカの、アメリカによる、アメリカのための貿易協定にすぎない。
アメリカは、日本に輸出の恩恵を与えず、国内の雇用も失わず、日本の農産品市場を一方的に収奪することができる。これがTPPのねらいである。TPPという贈り物は、実は、日本の農業市場の防壁の中から打ち破るための「トロイの木馬」なのだ。
現在、日本経済は、企業部内に貯蓄が累積している。デフレ不況で資金需要がないため、企業がお金の使い道を見つけられずにため込んでいる。そんななかで法人税を減税しても、企業は貯蓄を増やすばかりで投資にまわさない。企業が投資しなければ、景気は上向きにはならない。法人税の減税は景気を刺激する効果をもたないまま、国の税収を減らすだけに終わる。すなわち、法人税が減税されても国民にはほとんど何のメリットもない。
日本のマスコミについての国家統制は、テレビが一番ですが、新聞だって同じようなものですよね。もう少しマスコミはキャンペーンではなく、自由な議論を呼びおこす努力をしてほしいものだと思います。
(2011年4月刊。760円+税)

正しいパンツのたたみ方

カテゴリー:社会

著者   南野 忠晴  、 出版   岩波ジュニア新書
タイトルをみて、まさか本当にパンツのたたみ方が図解されているとは思いませんでした。
洗たくものを洗たく機からとり出して干し、乾いたところでたたみます。ところが、これって案外むずかしいのですよね。だから独身時代の私は、いつもハンガーにかかったまま、乾いたものをそのまま着ていました。いえ、洗たく自体は昔からこまめにしていたのです。
親元を離れて初めて寮生活をしたときには、一週間分の洗たくを、深夜に2台の洗たく機を使ってしたこともありました。まだ乾燥機もなんてありませんでしたから、広い室内にロープを張って吊して干していました。寮は6人部屋だったので、広々としていたのです。ベッドと机と本棚しかなく、間仕切りのカーテンもありませんでしたが、のびのびと寮生活を謳歌していました。
この本は家庭科を担当する男性教師が書いています。高校1年生を担当した年、この3年間、自分で弁当を作ってみてください。それをやり通せたら、どれだけの自信になるか計り知れない、ぜひ挑戦してみてくださいと挨拶したのだそうです。たぶん誰もやらないだろうと半ば思っていたのでした。
ところが、3年後、それを見事にやり通した女子生徒がいたというのです。いやあ、それはすごい、すごいですね。その生徒が著者に言いました。
「先生のことを、恨みに思ったこともあったけど、今は続けて良かったと思っている。先生が言っていたとおり自信になった。先生、ありがとう」
そりゃあ、そうですよね。3年間、1日も休まずに弁当を作りつづけたなんて、これは何でもないようで実はたいしたことですよ。私も、こうやって毎日休まずに書評を書きつづっていますけれど、たまに、それなりにたいしたものだと自分をほめてやっているのですよ。なにしろ、始めたのは、あの9.11のあった年ですから、もう10年も続いているんです。それだけ健康管理にも気をつかっているということでもあります。ぜひ、みなさん続けて読んでくださいな。あるとき、誰かが、1日に200人は読んでくれているらしいと教えてくれたことがあります。モノカキののはしくれとして、残念ながら売れないモノカキではありますが、1日に1万人の読者がついて、ついにやったぜベストセラー、と叫んでみたいという夢を私も抱いているのですけど・・・。ノーベル文学賞はダメでも、せめてどこかの文学賞はもらえないのかと内心ひそかに真面目に狙っているんですよ、これでも。
すみません。弁当の話でした。私は公立中学校でしたが、給食は小学校で終わり、中学・高校と母親のつくった弁当を当然のように食べていました。自分でつくるなんて考えたこともありません。母、つくる人。私、食べる人。そんな型を疑ったこともありません。
弁当づくりのポイントは、どうしたら手軽に、短時間に、楽しんで出来るか、その方法を発見すること。著者は、前の日のおかずの残りも活用し、朝の手間は10分か15分位しかかけていないそうです。
さわやかな朝の目覚めのために、校長先生は次のようにすすめます。目覚まし時計がなったら、まず、両手を布団から出してバンザイの格好をする。すると寒くなって目が覚める。次に上半身を布団から出す。その状態だと寒くて長くは寝ていられない。さっさと起きて服を着たくなる。そうやって毎朝起きている。なーるほど、ですね。
朝、自分の力で起きると、一日を自分で考えてやりくりしていく力がついてくる。これは、自立した生活者のなるのに、とても大切な力だ。時間と、どう折り合いをつけていくかで、自分の生活が快適に送れるかどうかが決まる。そのためには、起きる理由、その目的や楽しみがあることが大切だ。
私は、平日は朝7時に、休みの日はなるべく朝6時には起きるようにしています。休みの日はごろごろ寝ていたいなんて思ったことはありません。むしろ、休みの日こそ自分の日なんだから自分のために有効に使おう、もったいなくて寝てなんかいられない。そんな感じでスパッと起きます。
起きるのが楽しくなってきたら、人生は半分成功したようなもの。一日の始まりを、自分でコントロールできるようになったら、おのずと時間とのつきあいも濃厚で深いものになっていることうけあいだ。
 著者のうけあいに、私も大賛成です。一度きりの人生なんですから、時間は大切に使いたいものです。高校生向けの本のようですが、大人、しかも還暦を過ぎた私が読んでも、いいこと、大切なことが書いてある本だな、そう感嘆しながら読んでいきました。ぜひ、あなたも読んでみてください。
(2010年10月刊。1800円+税)
 日曜日に梅ちぎりをしました。紅梅、白梅のうち白梅のほうです。小ぶりの梅の実がたくさんなってくれました。必死にもぎると、大ざるに2つ山盛りとなりました。2.8キロもあり、梅酒が3瓶できました。
 下の田んぼで蛇が昼寝をしているのを見つけました。初めは死んでいるのかもしれないと、泥団子を投げてみると、動き出し、舌をチロチロさせて怒っています。こんなところで昼寝なんかしたらダメだと泥を投げ続けると、走って逃げていきました。1メートルはある、茶色の若い蛇です。マムシではないと思います。

米軍基地の現場から

カテゴリー:社会

著者   沖縄タイムズほか  、 出版   高文研
東日本大震災で在日米軍がトモダチ作戦ということで救援活動をしていることから、日本のマスコミは日米安保条約をますます無条件肯定の報道をしています。しかし、本当に日米安保条約のあるおかげで日本は助かっているのか、私は大いに疑問を感じています。イラクやアフガニスタンで大々的な侵略戦争を展開しているアメリカ軍が、急に日本で平和活動のみに従事しているなんて、そんな思い込みはあまりにもお人好しとしかいいようがないのではないでしょうか・・・。
この本では、日本安保は、本当に日本の平和を守ってきたのかという疑問で貫かれています。私は、この疑問を日本人は忘れてはいけないと思います。
横須賀基地に配属されているアメリカの原子力空母ジョージ・ワシントンは、放射性廃棄物を1トンも貨物船で搬出した。放射能の心配がある。
アメリカ軍のグアム移転の費用について、アメリカ軍は実際より過大な人員と費用を計上していたことが暴露されました。これは日本側の負担割合を小さく見せるための工夫だというのです。実に日本国民を馬鹿にしています。自民党そして民主党政権も、きっとそんなことは知っていたでしょうから、日本国民だましでは共犯関係にあります。日本政府だけでなくアメリカ政府の言うことも、そのまま信じてはいけませんよね。トモダチ作戦でアメリカ軍が実際には何をしたのか、一部の新聞に少しずつ実相が明らかにされています。
アメリカ本土から海兵隊の放射能対処専門部隊150人が派遣されて日本に来たことは大きく報道されました。しかし、結局、福島県内に入ることもなく、アメリカに帰っていきました。アメリカ政府が福島第一原発から80キロ圏内を退避区域として設定したことによるようです。
アメリカ軍が最大時で人員2万人、艦船20隻、航空機160機を動員したことは事実です。そして、これらの部隊の大半が4月上旬には撤退しました。アメリカ政府による作戦の予算上限8000万ドル(68億円)に近づいたためです。
そして、ここで見逃せないのは、アメリカ軍と自衛隊が指令部機能の一体化が急速に進んだという事実です。そして、日本のマスコミと世論のなかで、アメリカのおかげで助かったというムードを醸成し、日米安保肯定論を強化できました。
この本を読んで改めて日本人として腹が立つのは、アメリカ軍人が日本国内で犯罪をおかしても、まともに逮捕も捜査もされないという事実です。これでは、日本はアメリカの植民地のようなものです。
2004年8月の沖縄国際大学にアメリカ海兵隊のヘリコプターが墜落炎上した事故についても、結局、アメリカ軍の整備士4人は全員が不起訴処分となっています。公務中の事故なので、そもそも日本には裁判権がありませんでした。くやしいです・・・!!
1995年から2008年までにアメリカ軍関係者の起こした凶悪事件は110件、逮捕者
152人。このうち日本が起訴前の犯人引き渡しを求めたのは横須賀のタクシー強盗殺人など、6件、6人にすぎない。事実上、日本に裁量権はない。いやはや、ぐやじー、許せない・・・!!!
そして、アメリカ兵が逮捕されて実刑となって刑務所に入っても、見事に優遇されます。この本では朝食しか紹介されていませんが、フレンチトーストにシリアル、ベーコン、オムレツ、さらにミルクとバナナ持つく充実ぶり。夕食にはステーキもつくといいますから、日本人の収容者とは比べものになりません。
 アメリカ軍の飛行機の出す爆音がひどすぎるというので、これまで日本の裁判所は何回となく受忍限度をこえる違法な爆音だとして損害賠償を命じてきました。ところが、アメリカはまったく賠償金を負担せず、すべては日本政府がアメリカ軍に代わって日本国民の税金でまかなっているのです。なんとひどいことでしょう。
 アメリカ政府もアメリカ軍も日本国民を守るために日本に基地を置いているわけではないと再三再四、高言しています。ところが、日本政府と日本のマスコミだけは相変わらず、アメリカ軍がいるおかげで日本の平和と安全が保たれていると言い続けています。こんなことって奇妙ですよね。アメリカ軍が本気になって日本を守る気があるなんて、私にはとても思えません。
(2011年5月刊。1700円+税)

原発と地震

カテゴリー:社会

著者   新潟日報社特別取材班 、 出版   講談社
今からわずか4年前のことでしかありませんが、東日本大震災が起きた今では、なんだか古い過去の出来事のように思えてなりません。
2007年7月16日、中越沖地震によって東京電力の柏崎刈羽原子力発電所で動いていた原子炉が7基すべて緊急停止した。
原子炉は停止すれば安全というわけではない。炉水温度を百度以下に冷やして初めて安全が確保される。そうなんですね。今回の福島原発事故でも、この「百度以下」というのが容易に達成できずに推移しています。とても心配な事態です。
地震から5ヶ月たったころ、東京電力は新潟県に対して30億円もの寄付を申し出た。このお金で県民の感情を斉めようとしたわけですよね。でも今回は規模がケタ違いですから、こんな金額ではすみません。何兆円、何十兆円もの損害の補填が求められています。
この柏崎刈羽原発の建設用地の売買には、かの田中角栄が関わっていたようです。
1971年に、土地売却益の4億円が東京、目白の田中角栄邸に運んだことを認める証言を取材班は引き出しています。
「不毛」の砂丘地帯がお金にかわった代償が有力政治家の懐に入っていったというわけです。そして、そのツケを払わされたのは新潟県民でした。
現在の東電・清水正孝社長は、当時副社長でもあり、勝俣会長が社長でした。このコンビは、経費削減を優先して安全を無視したわけです。歴史に記録されるべき人名でしょう。なんといってもトップの責任は重大です。
班目春樹委員長が私と同世代だということも確認しました。原発の「安全神話」をふりまいてきた学者の一人のようですね。大学生のころはどんな考えだったのか知りたいものだと思いました。
原発は、今すぐ廃止の方向に動き出さないと日本全体が沈没してしまうのではありませんか。今なお原発にしがみつこうとしている人がいるのに驚くばかりです。
(2011年4月刊。1500円+税)

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