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カテゴリー: 社会

波よ、鎮まれ

カテゴリー:社会

著者  沖縄タイムス「尖閣」取材班 、 出版  旬報社
 尖閣諸島付近の漁業の実情を知ることのできる本です。この海域は、かつて日本人も中国人も共存共栄していた漁業だったのです。知りませんでした。
 偏狭な領土ナショナリズム思想をもつ活動家たちが魚釣島に上陸して緊張感を高めた。そして、石原慎太郎都知事(当時)が尖閣諸島の購入計画を発表して、緊張関係は一挙にエスカレートした。
 中国漁船の衝突事件では、日本政府も中国政府も対応を誤った。
 中国漁船による尖閣諸島周辺の操業は、日中漁業協定によって合法である。中国漁船と沖縄漁船のトラブルはほとんどない。起きるトラブルの大半は、台湾漁船のマグロはえ縄漁による漁具の交差・切断や漁具盗難である。
小さな徴発の応酬が戦争にまで発展した事例は世界にはいくつもある。
 マグロはえ縄漁船は、最前線で台湾漁船と激しい漁場の競合に直面している。
 尖閣海域は、高級魚(フエダイ、ムツ、ハチビキ科など)が捕れる好漁場だが、近年は漁場を利用する人はほとんどいない。
 尖閣海域は、石垣島から170キロ離れ、自船で行くと、10時間かかる。そして、尖閣諸島周辺の海は荒い。
 尖閣海域は、かつて沖縄と台湾の農民が魚を分けあう「生活圏」だった。この背景には、台湾の漁場が日本に比べて圧倒的に「視野」が狭かったことにある。
釣魚台周辺は、好漁場。サバの産卵地域でもある。
安倍首相のように、中国や韓国・北朝鮮について頭から敵視して、対話交流もしないというのは、信じがたいほどの誤りです。70人もの大企業代表国を引きつれて世界各地に出かけている安倍首相が、今もって中国にも韓国にも行ってないなんて、許せないことです。
(2014年4月刊。1600円+税)

虚像の抑止力

カテゴリー:社会

著者  猿田 佐世、マイク・モチヅキほか 、 出版  旬報社
 この本の発行主体である新外交イニシアティブ(ND)の事務局長である猿田佐世弁護士は、日本とアメリカで弁護し活動しながら、アメリカ議会で活発なロビー活動を進めています。その猿田弁護士が企画した沖縄でのシンポジウムが本になっていますので、大変読みやすく、問題の本質が明快にえぐり出されています。
 柳沢協二氏は、海兵隊が沖縄に存在することが抑止力であるという論理は成り立たないと力説しています。
 そもそも、抑止力とは何か? 抑止力とは、相手が侵略してきたとき、これを抑止し、その目的に見合う以上の損害を与える意思と能力を認識させることによって、侵略を思いとどませることを言う。
 いま、アメリカと中国とは、相互にライバル意識を持ちながら、経済的には切っても切れない関係にある。それは、冷戦時代のアメリカとソ連との関係は決定的に異なっている。つまり、相互に最大の貿易・投資のパートナーであり、国の存立の基盤である経済活動において互いに必要としている。だから、両国のあいだには、相互に相手を破滅させるような戦争をする動機はない。
 アメリカは、尖閣諸島をめぐる日中の対立軍事衝突に発展し、そこに巻き込まれることを心配している。
 沖縄の海兵隊は、能力はともかくとして。投入の意思がない以上、抑止力とはなりえない。
 沖縄にアメリカ軍の基地が集中していることは、中国にミサイル能力が向上するに伴い、基地の脆弱性が増していることを意味する。いざというとき、中国のミサイルの格好の標的になって、破滅してしまう恐れが強い。
 屋良朝博氏は、なぜアメリカ軍の海兵隊が沖縄に移ってきたのか、いまも謎だという。沖縄には、そもそも海兵隊はいなかった。知りませんでした。
 尖閣諸島を中国軍が占拠したとき、沖縄にいるアメリカ軍海兵隊が奪還してくれるはずだ。日本人の多くは、このように思い込んでいる。しかし、アメリカ軍の海兵隊トップは、小さな島の奪還に、海兵隊は無用だと断言する。海兵隊は地上戦闘兵力であり、シーレーン防衛とか中国の艦船と対決するような事態には投入されない。
 アメリカの国防総省(ペンタゴン)は、海兵隊を沖縄から全面撤退するように提言した。
在日アメリカ軍の駐留経費は年間3600億円。日本の負担は、ヨーロッパのNATO諸国の負担の2倍。イタリアの12倍、韓国の8倍。まさしく大盤振る舞い。「おもてなし」だ。
 半田滋氏は、日本政府はアメリカ政府に対して盲目的な主従関係にあるという。
 アメリカ軍の駐留経費の75%を日本政府が負担している。
 いえ、決して安倍首相のポケット・マネーで負担しているのではありません。私とあなたの税金によって、まかなわれているのです。毎日、苦労して働いて納めている税金がアメリカのために使われているなんて、とんでもないことです。プンプン・・・。
 アメリカ軍の海兵隊は、沖縄に常駐しているのではない。海兵隊は、沖縄に1年の半分以上はいない。
 新書版より少し大きなポケット・サイズの本です。190頁しかありませんので、大切なポイントをつかみやすい本になっています。それにしても、猿田弁護士は会うたびに若々しく、美しくなっています。やっぱり、時代の要請にこたえて活動すると、人は若返ることができるんですね。こんな外交活動を支えるためにも、ぜひ本屋の店頭で手をとり、お買い求めください。あなたの、そのささやかな行動が日本を救うのです。
(2014年8月刊。1400円+税)

限界にっぽん

カテゴリー:社会

著者  朝日新聞経済部 、 出版  岩波書店
 ほんの少し前まで、「ジャパン・アズナンバーワン」とされ、安定雇用のもと、経営と働き手が一体になった日本型経営は、日本の強い競争力の根源だと言われていた。終身雇用と手厚い福利厚生で企業が従業員を支え、分厚い中流層が社会の安定の基盤だった。
 いま、社内に首切り旋風が吹き荒れている。残った社員にも不安と不信が強まり、職場では誰もが孤立し、会社は乾いた荒漠としたものになった。
 雇用の危機を放置したままで、経済は成長できるのか・・・。
マクドナルドの店内は、午前0時になると、店内の風景が一変する。サラリーマンや学生たちと入れ替わりに、しびれた手提げ袋を抱えた男性たちが入ってくる。「マクド難民」と呼ばれてくる人たちだ。
お金がないから、ネットカフェには泊まらない。ネットカフェは1000円かかる。マックなら100円のコーヒー1杯で午前2時までいられる。
マック閉店のあとは、「ブックオフ」に向かう。マックの店員は大半が非正規社員。17万人がアルバイトで働く。
 大阪では、働く人の45%が非正規社員だ。
 非正規社員が広がったのは、1990年代後半の「派遣の原則自由化」による。これは、本当に罪深いと思います。大企業本位の自民党政治の最大の誤りの一つだと思います。大企業は栄えても、日本の若者からは将来展望を奪ってしまいました。
 生活保護のバッシングがひどい。しかし、不正受給は全体の2%。保護を受ける資格が十分にあるのに、わずかな収入でガマンしている人が圧倒的に多い。ところが、残念なことに、そのような人が身近な生活保護受給者の足を引っ張るような行動もするのです・・・。
 安倍内閣は生活保護費の給付水準を引き下げるのに狂奔しています。強いものには税金を安くしてやって、弱者には「自己責任」を押しつけるのですから、政治家失格です。
 現実の日本社会には、ばりばり仕事をするサラリーマン男性だけがいるわけではない。高齢者も障害者も社会に適応できない若者など、さまざまな人がいる。みんなが、それぞれにがんばれる多様性を組み込まないと、経済も社会も活性化しない。
日本の超有名大企業が社員に自主退職を促し、株主や銀行に約束した「人減らし」計画を達成するために「追い出し部屋」をつくっている。
 パナソニック、NEC、ソニー、朝日生命などなど・・・。
 ノエビア化粧品は、「苛酷なノルマ」を押しつけて、社員を追い出す。その手口が明らかになった。会社側は「辞めろ」とは決して言わない。社員が自ら「辞める」と言い出すまで、じりじりと追い込む。
 2012年8月、東京地裁立川支部は、ベネッセコーポレーションの「追い出し部屋」を違法と断じる画期的な判決を出した。
 人減らしをすすめるとき、人事担当は、「解雇・クビ・やめろ・やめてくれ」とは絶対に言ってはならない。会社に残るのを、いかにあきらめさせるか、だ・・・。
 ユニクロは、ブラック企業としても有名です。新入社員が入社して3年内に退職した割合(離職率)は、2006年組で22%、2007年組は37%、2008~2010年組は46~53%と高まっていった。同期の入社組の半数は会社を去っていく。そして、休職している人の42%はうつ病などの精神疾患にかかっている。これは正社員の3%にあたる。
もっと働く人を大切にすること、とりわけ若者が安定して長く働ける職場を確保すること、これをなくして日本社会の平和と安定的成長はのぞめないと思います。
 いま安倍首相のやっていることは、それに真っ向から逆行しています。働く中高年を大切にせず、若者を使い捨てにして、超大企業のみを優遇しています。そして、軍需産業だけは栄えるというのです。本当に、戦後最悪の政治が進行中だと思います。
(2014年月刊。760円+税)

自衛隊と防衛産業

カテゴリー:社会

著者  桜林 美佐 、 出版  並木書房
 自衛隊と防衛産業を積極的に評価した本です。
 10式戦車は「ひとまる」戦車。90式の50トンと比べて44トンと大幅に軽量化された。90式戦車は重すぎて北海道でしか使えなかった。
 10式戦車は、完全国産。2000メートル先の目標に対して畳一枚の大きさの制度で撃ち込むことができる。そして、車体がどんなにブレても、照準点が変わらないように制御できる高度な技術がある。ジグザグにスラローム走行しながら射撃し、命中させる能力は世界初。追尾を90式の熱源方式から、映像方式に替えたことで実現した。そして、眼鏡式だった標準あわせが、10式ではタッチパネル式に変わっている。
 現在、戦車をエンジンまですべて国産にできる国は、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イスラエルそして日本だけ。戦車を製造しているのは、相僕原市にある三菱重工業の汎用機・特車事業本部。最盛期には年に72両の戦車を製造していたが、いまは8両ほど。かつての1200両が今では3分1まで減らされている。
 ヘリ搭載型護衛艦というのは、ヘリ空母のこと。「ひゅうが」「いせ」に続いて「いずも」が就航した。2万トン、ヘリコプター9機を同時に運用できる。F35も搭載可能だ。
 「いずも」の建造費は1200億円。潜水艦を製造しているのは、川﨑重工業と三菱重工業の二社のみ。大気に依存しないスターリングエンジンAIP発電システムによって、水中航続性能が大幅に向上した。
 日本の自衛隊を装備面から政府広報のように紹介した本です。
(2014年8月刊。1500円+税)

ブラボー、隠されたビキニ水爆実験

カテゴリー:社会

著者  高瀬 毅 、 出版  平凡社
 3.11のあと、福島第一原発の後始末が難行しているのに、平然と原発を再稼働させようとしている政府と企業がいます。信じられないほどの無責任さです。
 安倍首相とその親族は福島第一原発周辺に別宅をもうけて、週末はそこでゆっくり過ごすようにしたらいいのではありませんか。なにしろ、「収束」宣言をしたのですから、安全のはずでしょう。
 放射能の怖さは、それが目に見えず、何の臭いもしないので、近寄ってみても、手でさわってみても、その危険は実感することが出来ません。
 60年前、太平洋で漁業に従事していた漁船に突如として「死の灰」が降りかかってきました。何も知らされていなかった漁船員は、白い灰をまともに浴びて、日本に帰り着いてから、たちまち発症していったのです。「第五福竜丸」事件の始まりです。
 ところが、この本によると、アメリカの水爆実験によって被爆した漁船は、実は、第五福竜丸以外にもたくさんいたというのです。
 アメリカによる巨大な水爆実験は、膨大な放射能を太平洋の広い範囲に拡散させた。そこには、たくさんの漁船がいた。日本の港に入ってきた何十隻もの漁船から放射能が検出された。放射能に汚染されたマグロを廃棄しなかったマグロ漁船も13隻いた。被災した漁船は、のべ1000隻にのぼった。
 1954年3月1日あら5月14日まで、アメリカは6回にわたって原水爆実験を実施した。
 何が起きているのか知らされていない漁船の乗組員たちは、海水で体を洗い、海水の風呂に入っていた。
太陽が昇るときのような明るさが3分ほど続いた。それから3時間すると、粉のような灰が船体に一面降りかかった。その晩は、飯も食えず、酒を飲んでも酔わなかった。2日目あたりから、頭痛を訴える人が出てきた。3日目には、灰のかかった皮膚がひやけしたように黒ずみ、10日くらいたってから、水ぶくれの症状になった。
 これは、当時39歳だった久保山愛吉氏の証言です。やがて亡くなられました。
 いま、「第五福竜丸」は、元の夢の島に保存されているとのこと。私も一度みてみたいと思いました。
(2014年6月刊。1800円+税)

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