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カテゴリー: 社会

ルポ・居所不明児童

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                              (霧山昴)
著者  石川 結貴 、 出版  ちくま新書
 居所不明児童、きょしょふめいじどう。
 居所不明の子ども、単に不就学というだけでなく、生活上に必要な行政支援にも結びつかない恐れがある。
 文科省のデータでは、1961年から2014年までの54年分の居所不明児童の累計は2万4000人に達している。2014年の居所不明の子どもは383人となっている。しかし、実際には、それをはるかに上回っているだろう。
 実の母親と一緒に生活しながら、居所を転々とし、学校にろくに通っていない亮太(仮名)が紹介されています。実母とその夫が、亮太にお金を騙しとってくるように命令し、そのお金で一家三人が生活するという悲惨な話です。
 亮太が祖父母を殺して事件になったという実話にもとづいています。私も弁護士として、ありうる話だなと思って読みすすめました。
 子どもが、自分は親に愛されて育っているという実感をもつことがなかったなんて、最悪の人生体験です・・・。
 学習性無力感があるそうです。いかにも悲しいコトバです。
長期間欠席している全国の小中学生のうち、「学校も他の機関の職員等も会えていない」子どもが1万人いる。そのうち4分の1、2500人は、「保護者の拒絶」「居所不明」「連絡がとれない」ということで、状況も所在も不明だ。
 2013年に行方不明届けが受理された不明者は日本全国に8万4000人。9歳以下が1000人、10歳代が2万人。不明者の4分の1を占めている。
 読みたくなかった本の典型です。こんな本なんて、読みたくない、もっと楽しく、心が浮き浮きしてくる本を読みたい。そう思います。でも、でも、現実から目をそらすわけにはいきません。涙が出てくることもないほど悲しい物語のオンパレードです。
(2015年4月刊。820円+税)

どうして就職活動はつらいのか

カテゴリー:社会

                             (霧山昴)
著者  双木 あかり 、 出版  大月書店
 この本を読んで、ようやくシューカツの問題点を少しばかり分かりました。私自身はシューカツを真面目にしたことがないので、ぴんと来なかったのです。
 私が大学を卒業したのは40年以上も前のことになりますが、そのころは、学生のほうが企業を選べていた時代でした。本気じゃない私も、一社だけは就職面接に友人に同行したことがあります。本気ではなかったというのは、私の本命は司法試験だったということです。
 この本は、2009年4月に一橋大学に入学した女性が、シューカツの苦しみを体験に基づいて語ったものです。本当に大変だったんだなと身につまされました。
 就職失敗で自殺した大学生は、2008年に22人、2012年には45人にのぼった。14%もの学生がシューカツでうつ状態に陥っているという調査もある。
 シューカツの不安の根源には、若者の日本社会への強い不信がある。
 その点は、弁護士でもある私にもよく理解できます。大企業本位、若者の使い捨てを賞賛するような企業論理ばかりが横行するなかで、きちんとした会社には行って正社員になりたいと考えるのは、誰だって当然です。でも、それが、至難の状況になっています。
シューカツが大変なのは、新卒採用という、ほぼ一度きりの機会に限定されていることになる。
 シューカツが深刻なのは、その過密なスケジュールによる具体的・精神的な疲労である。大学4年生になったら、4月以降の予定は、まったく立てられなくなる。
 シューカツでは、電話やメール・就活サイトのチェックが不可欠となる。ガラケーではダメで、スマホが必須だ。
大学では思考力をきたえろといわれるのに、シューカツでは考えることをしていない体育会系が有利だという・・・。
 私は、この点、大変な反発を覚えてしかたありません。私は体育会系と反対のセツルメントという泥臭い活動をしてきましたので、それがシューカツで否定されるのは、どうしても納得できません。
 シューカツの面接では、そんなにたいしたものではない自分を、さもたいしたものであるかのように話し続けなくてはならない。これは自分をだましているようなもの・・・。
 シューカツ生(就活生)は、身体も精神も思考も人間関係も、自信のすべてをシューカツに投じることを強いられ、その全人格を評価にさらす。そのため、その評価結果は、すべて自分ぜんたいに返ってくる。
 現在のシューカツは、自分の全てを注いで熱心に活動する学生ほど、失敗したときに深く傷つき自己否定に陥ってしまう。それを回避するためには、まず全人格をシューカツに投げ込むことを防ぐ必要がある。
 シューカツとは関係のないところで、ただ自分を受けとめてくれる人の存在が大切だ。
 シューカツの大変なつらさを一刻も早く解消しないと日本に未来はない、そう思いました。
(2015年4月刊。1600円+税)

牛と土

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                              (霧山昴)
著者  眞並 恭介 、 出版  集英社
 3.11のあと、福島第一原発の近くで飼われていた牛たちが、その一部は今もそのまま生き残っていて、その面倒をみている人々がいるのです。驚きました。もう、この牛たちには商品価値はありません。私も、食べたくはありません。
 では、なぜ、牛たちの面倒を今なおみているのか・・・。
 浪江町の牧場に双子の兄弟牛がいる。3.11がなければ、とっくに牛肉になっていた筈なのに、3.11のあと4年たっても生きている。この双子の兄弟牛たちは、原発から10キロ地点の牧場で暮らしている。ここの線量は毎時30マイクロシーベルト。人間は、そこに1日半もいると、年間1ミリシーベルトをこえてしまうほどの高い放射線量だ。
3.11当時、警戒区域内に牛3500頭、豚3万頭、鶏4万羽がいた。
 牛のオスには漢字で、メス牛にはひらがなの名前をつけるのが慣例だ。
 選ばれた牛の精液は、冷凍保存されて、十数年間にわたって交配につかわれる。
 そして、99%のオスは生後2~5ヶ月で去勢され、いわゆる肉牛となる肥育素牛(もとうし)として飼われる。
 繁殖用のメス牛は、2歳で初産し、その後、10年ほど子牛を産み続ける。15産もの出産をするメス牛も珍しくない。
 子牛が母牛と別れるのは、5ヶ月くらいが最適。そして一週間ほどかけて親子を切り離すのが健康にいい。
 恐れの感情は牛の成育を阻害する。だから、牛飼は、牛をどなったり、叩いたり、けったりしない。牛の首をなでながら語りかけ、ストレスのない快適で清潔な牛舎環境に配慮している。
 牛は記憶力が良く、恐ろしい体験は決して忘れない。安楽死させられる危険性を察知した牛は、たとえおいしそうな餌がおいてあっても、捕獲用の柵内には入らない。仲間が捕獲され、二度と立ち上がらなくなるのをみていた牛、自ら安楽死寸前にまでいって逃げ出した牛は、餌の誘惑とたたかいながらも決して警戒心を失わない。
 子牛はすぐに下痢をする。人間が手をかけてやらないと育たない。
 福島の地で牛を飼い続けるということは、人間が福島に住み続けるかどうかと同じことなんだと私は思いました。政府の「収束宣言」で3.11は終わったかのような幻想がふりまかれ、原発の安全神話が復活しています。とんでもないことです。
 安倍首相と、自・公政権の大臣の家族に、「フクイチ」の周辺に住む覚悟がありますかと私は尋ねたいと思います。
 ちなみに、私ははっきり断ります。そして「収束宣言」なんて、インチキだと考えています。
(2015年3月刊。1500円+税)

「あなたこそ たからもの」

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                               (霧山昴)
著者  いとうまこと、たるいしまこ 、 出版  大月書店
 伊藤真弁護士による憲法の絵本です。
 本文は、全部ひらがなです。とてもいい文章です。そして、思わず心が軽く浮き浮きして、ステップしたくなるような絵のオンパレードです。子どもたちが歌い、遊び駆けめぐっています。楽しい絵本です。
 でも、しっかり、子どもたちに伝えようとしています。憲法と平和の大切さを・・・。すばらしい絵本だと思いました。
 みんなおなじで、みんなちがう。
 金子みすずの詩を思い出します。
 みんな違って、みんないい。
 せんせいだって、お父さんだって。「これがきみのしあわせだよ」なんて、決めることはできない。
そして憲法。
わたしたちのくにには、けんぽうがある。つよくて、ちからのあるひとたちにつけたブレーキ。それが、けんぽう。いちばんつよいルール。
せんそうにまけたあと、けんぽうにかいた。
 「もう、せんそうはしません。ぐんたいもいりません」
 あなたがにっぽんじんで、けんこうでふつうのせいかつができて、がっこうにかよえるなら、それは、つよいがわにいることになる。
 けんぽうがひつようなのは、よわいがわにいるひとたち。
 みんなとおなじに、たいせつにされるように。けんぽうは、ちからをだす。
 ひとりひとりに、かけがえのない、いのちと こころがある。
 あなたこそ たからもの。
 すばらしい絵本です。ぜひ、あなたも、子や孫に読んであげてください。絵を見せてください。こんな素晴らしい憲法を自民・公明の安倍政権がこわそうとしています。弁護士会は全力をあげて阻止すべく取り組んでいるところです。どうぞ、あなたも、ご一緒に・・・。
(2015年5月刊。1300円+税)

ポッキーは、なぜフランス人に愛されるのか?

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                               (霧山昴)
著者  三田村 蕗子 、 出版  日本実業出版社
 この本を読むまで、日本のスナック菓子が、世界中で愛されているなんて、ちっとも知りませんでした。
香港の即席麺市場の6割を「出前一丁」が占めている。香港人の舌にあわせて現地化された「出前一丁」だ。いま世界では年間1050億食の即席麺が生産されている。そのうち2割の200億食を生産しているのが、サンヨー食品。あの「サッポロ一番」だ。
 原料調達から商品が店頭に並ぶまで安心安全を追及し、大量生産で味をムラなく均質に保ち、使い勝手のいいパッケージに包む一連のプロセスは、世界のどの国にも真似できない日本の強みだ。お菓子ほど、日本の製造業の良さが、凝縮された産業はない。
 なくても決して死にはしないが、あればうれしい。手にしたら楽しい。おいしいお菓子を食べていると思わず顔がほころび、幸せな気分にみたされる。
 スナック菓子には面白さや楽しさ、新鮮さが絶えず求められるのが日本だ。
 2009年、カルビーは、オーナー経営の会社から、外資系の経営手法を取り入れた企業へ変身した。カルビーが年間に使用するジャガイモの量は、日本全体の収穫量の10%にあたる。これをカルビーは日本国内契約栽培農家から調達している。
 アメリカでは、カルビーは、豆をつかったスナック菓子を売り出している。
 森永製菓の「ハイチュウ」は、キャラメルでもなく、ガムでもない。日本で生まれた不思議な食感のソフトキャンディー「ハイチュウ」はアメリカで大人気だ。「ハイチュウ」はアメリカの野球選手たちが、チューインガムの代わりに口に入れている。ガムのように捨てる手間がいらないのだ。
 江崎グリコの「ポッキー」は、グローバルブランドとして堂々たる王道を歩いている。「ポッキー」の全世界販売個数は年間5億箱。売上高4億ドル。そのうち3億箱が日本で、残り2億箱をヨーロッパとアジアなど海外30ヶ国で売っている。フランスでは、「ポッキー」は「ミカド」として売られている。
 「ポッキー」は、食べながらおしゃべりできる。しかも、手が汚れない。
 ロイズの生チョコも海外で売られている。商品は、すべて日本で製造して冷凍コンテナをつかって輸出している。
 「柿の種」は、アメリカではわさび味で売られている。
日本のお菓子が世界で、こんなに愛され、売れているのですね。もちろん、それには現地のヒトの舌になじめる工夫もされているわけです。あまりに面白くて、ついついひきこまれてしまいました。
(2015年4月刊。1500円+税)
 きのうの日曜日(21日)、仏検(一級)を受けてきました。午後2時から5時まで3時間、みっちり絞られました。大甘の自己採点で70点(150点満点)です。
 前回3割だったのが、4割越したように思います。合格するには6割ですから、まだまだです。
 文法関係はほぼ全滅し、長文読解と書き取り、聴き取りで点を稼ぎます。
 予習として、過去問をするのですが、何と1995年から受験してるのでした。もう20年も一級に挑戦しているのです。我ながら、すごいことです。ですから、過去問の仏作文を全部やり直すのに、相当の時間がかかりました。頭のボケ防止に必死なのです。

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