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カテゴリー: 社会

重火器の科学

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者  かの よしのり   出版  サイエンス・アイ新書
 著者は、国民が銃の使い方を知っていることは、民主主義の基礎だと主張します。
 徴兵制がなく、戦争放棄を定める平和憲法の下で育った私には、とても違和感のある主張です。
 軍事を理解するには、重火器を理解しなければならない。現代の陸戦では、死傷者の4分の3は砲爆弾によって生じており、重火器をつかった戦闘に勝利できれば、もう小火器をつかう戦闘をする前に勝敗は、ほぼ決している。
 軍事は、政治の重要な部分であり、民主主義国家の主権者たる国民は、軍事を理解しなければ主権者失格である。
 これは正論なのかもしれませんが、実際には、軍事のことが新聞・テレビで語られることはほとんどありませんので、軍事だなんてまったく別世界の話でしかありません。
 大砲はカノン(加農)砲、榴弾砲、臼砲に三分類される。カノン砲は、砲身の長さが口径の30倍以上あり、弾の速度が速いもの。水平に近い角度で発射し、弾速も早いので、弾道は低伸する。
 榴弾砲は、砲身の長さが口径の10倍以上、20倍未満で、射程の長さよりも、大きな弾を飛ばすことを重視している。弾道は、いかにも放物線という形をとる。
 臼砲は砲身の長さが口径の10倍未満で、文字どおり臼(うす)のように太く短い砲身から弾を発射する。極端に上向きの角度で発射されるので、敵にとっては真上から弾が落ちてくる感じになる。射程は極端に短い。
 榴弾(りゅうだん)は、内部に爆薬を仕込んだ砲弾のこと。徹甲弾は、ほとんど鉄の塊で、爆薬は少ししか入っていない。貫通力を強めるため。
 劣化ウラン弾は、爆発するのではなく、比重が大きいので貫通力がある。
 砲身命数は、大口径ほど、また弾の速度が速いものほど短くなる。
 重火器の初歩として、少しだけ知ることができました。
(2014年12月刊。1200円+税)

世界一のおそうじマイスター

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者  若月 としこ   出版  岩崎書店
 私も羽田空港の利用者の一人ですが、「世界一美しい空港」に選ばれているとのことです。たしかに、羽田空港にはチリひとつ落ちていませんし、トイレも清潔感にあふれ、安心、快適です。そこで、清掃のプロとして働いている新津春子さんの半生と清掃の極意が紹介されています。
 清掃の仕事は誰でも出来そうだし、「下等な仕事」と見下されそうですが、プロ意識をもって日夜を問わず働いている大勢の人がいることを知ると、決して生半可な仕事ではないことが理解できます。
主人公の新津春子さんは17歳のときに日本へやってきた(帰国した)在留孤児の一人です。中国でいじめにあったり、日本でも大変な苦労をされたようですが、素敵な笑顔で毎日がんばっています。頭の下がる思いです。
 新津春子さんは、ビルクリーニング技能競技会で、日本一になりました。見事な技です。
 羽田空港の利用者は毎日20万人。従業員は3万人。そして清掃チームが500人。
 職業訓練校には建築物衛生管理系ビル衛生管理科という部門があるそうです。新津春子さんは、そこに入って学びました。
新津春子さんは、1個5キロのダンベルを左右にひとつずつ持って、顔の前で、上下に動かす運動を毎朝20分間も続けているそうです。これで両腕だけでなく胸筋、腹筋、背筋をきたえているのです。そして毎日1万7千歩は歩いています。
 新津春子さんがつかっている洗剤は80種類以上もある。用途別に使い分ける。
 さすが清掃のプロです。
 小学校高学年から一般向けの本です。大人が読んでも、もちろんいいのですが、子どもたちが読むと、清掃することの意味を再認識させられ、とても意義深くなると思いました。
(2016年4月刊。1400円+税)

キリンビール高知支店の奇跡

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者  田村 潤 、 出版  講談社α新書
 売れているビジネス書なので、どこか参考になるところがあるだろうと思って羽田空港の書店で買い求め、読んでみました。
私はビールを飲むのを5年前に止めましたし、飲んでいたときもキリンとアサヒ、サッポロの味の違いは分かりませんでした。エビスだけは味がなんだか違うなとは思いましたが・・・。
だから、キリンのラガービールがキレのいい味だったと言われても、そうなのかなと、思うだけです。そして、アサヒのスーパードライの味も違いが分かりません。ちなみに私はビールを飲むのを止めてからはノンアルコールのビールも一切飲みません。
海外で日本企業がたたかうにしても、日本の地方のあるエリアで勝ち方をきわめていることが非常に大事なこと。そのエリアをよく見て、エリアの特性や住んでいる人、国土とかチャンネル全部をひっくるめて、もっとも適切な正しい手を打って実績をあげることが出来た人間こそ、海外にいっても通用する。
 ふむふむ、なるほど、恐らくそういうことなのでしょうね・・・。
価格営業とは、安売りのこと。価格を下げたり、リベートを厚くしたりすると、一時的にはそれで売上伸びるかもしれないか、長続きはせず、自分の首を締めるだけ・・・。
 それまでのキリンのラガービールは、喉にガツンとくるコクと苦味が特徴だった。それをスーパードライと同じように若者や女性層に受けようと、飲みやすいタイプに変えた。これが大失敗だった。
上に立つリーダーは、自分が考えて確証の持てることしか部下に言ってはいけない。
また、総花的な営業もダメ。多くの施策を適当にこなしているだけで、競争に勝てるはずもない。大切なことは、約束した目標を達成すること。
結果が出なくても、ガマンして4ヵ月も営業の外まわりを続けていると、みな身体が慣れてきた。すると、いい反応がすこしずつ返ってくるようになった。
ほとんどの客は、ビールの味にはそれほど差がないと思っている。ビールは情報で飲まれている。
高知の人は、なんでも「いちばん」が大好き。離婚率が全国第1位から2位に下がっても悔しがるというのが高知の県民性。
 ええっ、本当でしょうか・・・。
 営業マンの行動スタイルを変えることができるかどうかは、簡単にいうと、視点や心の置き方を変えてみられるかどうか。人によっては身を捨てられるかどうかということなのだ。
1997年に37%に落ち込んでいたシェアは1998年に反転し、2001年に44%となり、高知県では、トップの座を奪回した。ところが、同じ2001年に、キリンビール全体では、40数年ぶりに2位に転落した。
高知支店のがんばりを紹介する本なのですが、あっと驚くような奇抜な策がとられたわけでは決してありません。
著者は高知から名古屋へ転勤し、名古屋でしたのは、会議廃止。
 会議を廃止したため、内勤の人数を減らし、現場の営業を増やすことが出来た。
 日本企業の勝ちパターンは、ひとりひとり、個人では勝てなくても、チームでならば勝てるということ。部分最適の考えを捨てて、全体最適を達成する。そこに成長がある。
 さすがです。売れる本には、なるほど学ぶべきところがたくさんあると感心しました。
(2016年4月刊。780円+税)

戦車の戦う技術

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 木元 寛明 、 出版 サイエンス・アイ新書 
著者は防衛大学校を出て、自衛隊に入り、戦車一筋の人生を過ごしています。
戦車小隊長、戦車中隊長、そして戦車大隊長、戦車連隊長をつとめました。
乗った戦車は、アメリカ軍供与のM4A3E8戦車、国産の61式、74式、90式戦車です。最新の10式戦車は引退したあとなので、乗らなかったようです。
国産の61式戦車は100%マニュアル。74式戦車はオートマチック操縦。90式戦車は完全オートマチック操縦。コンピュータ制御による射撃統制システム。10式戦車となると、ほとんどロボットに近い戦車。
戦車の世界は人車一体。火力、機動力、防護力と乗員がコラボしなければ、戦車は単なる鋼鉄のかたまりに過ぎない。
戦車のもっとも強力な敵は戦車。現代の戦車は120ミリ級の長大な戦車砲を搭載し、最新式の徹甲弾を発射する。徹甲弾は、マッハ5(秒速1600メートル)という猛スピードで飛翔する。
90式戦車の暗視能力は3000メートルで敵戦車を発見し、射撃できる。これに対してロシア軍の主力戦車T-72とT-80の夜間暗視能力は1000メートルしかない。
90式戦車のサーマル・センサは、目標(戦車)が発する熱と周囲の温度差により映像を形成するパッシブ型暗視装置。
劣化ウラン弾は、安価で貫徹力が大きいので、徹甲弾の弾芯として使われている。装甲板に命中すると、高熱で貫通し、酸化ウランの金属微粒子(放射性物質)を周辺に飛散させる。
90式戦車は砲塔上部まで水没させることができる。
ロシア軍の戦車は、水深5~6メートルでも潜水渡渉できる。これは、ヨーロッパの大河を想定しているため。
戦車というものの初歩を学びました。
(2016年6月刊。1100円+税)

靴下バカ一代

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 越智 直正 、 出版 日経BP社 
今どき、こんな経営者もいるのですね。見上げたものです。とても勉強になりました。やはり、ビジネスの極意は、自分だけがもうかればいいというのではありませんよね。
我以上に、相手よし。そして、我が社を支える社員を大切にするということです。そうやってこそ、企業は社会に貢献できるのです。下請企業の単価をいかに切り下げるか、それしか考えない大企業がいかに多いことでしょうか・・・。
「奇天烈(きてれつ)経営者」の人生訓というサブ・タイトルがついています。なるほど、常識の枠からは相当はみ出しているようです。でも、本人がやりたいことを精一杯やっていて、それで客も社員も、取引先もみんな喜んでいるのだったら、何も言うことありませんね・・・。
靴下専門店の店「靴下屋」をあちこちで見かけます。全国チェーン店なんですね。著者はその会社(タビオ)の創業者(会長)です。
この会社は、すべて国産の靴下をつくっていて、今や海外にまで店を構えて売っているそうです。原料となる綿までつくり出したというのですから偉いものです。
靴下の弾力を確かめるためには、嚙むのが一番。いい靴下は、嚙んだあとに歯形が残らず、自然と原状に戻る。品質の落ちる靴下は噛み跡が残ってしまう。ただ、噛み方にはコツがあって、数分間、一定の力で噛み続ける必要がある。そのため、水を張った洗面器に顔をつけて息を止める練習までした。
靴下なんて、どれも同じ。どれを履いても、そんなに変わらない。そう思うかもしれないが、少しの違いでも、こだわり続けたら、商品に差が出てくる。その差を生むのが、靴下屋の心なのだ。
うむむ、これはスゴイ言葉ですね・・・。
著者が丁稚奉公をしていたときの経営者の言葉。
「万事、まず頭を使え。次に体を使え。銭は切り札だ。銭を使ってやるんなら、バカでも出来るんじゃ」
「一生一事一貫」。一生を通じて、一つのことを貫き通すということ。著者は靴下で、これを実践してきた。私の場合は、それは弁護士ですね。40年以上も弁護士をやっていますが、これほど自分にあった仕事はありません。
経営に奇策なし。経営者に必要なのは、原理原則を身に付けること。本を読んで、もし難解で分からないところがあれば、今の段階で、その部分は不要だということ。
「おまえに起こってくる問題は、人の生き死に以外は全部、おまえが解決できるから起こった人や。だから、おまえが本気になったら、解決できる。おまえが逃げ腰になっとるから、解決できないんや」。なーるほど、そういうものなんでしょうね・・・。
借金したときには、必ず約束した返済期限を守る。よそから借りてでも必ず返す。
この二つが借金の大原則。他人から借金するときには、初めは、その人がもっていると思う額の半分を借りるのが借金の極意。
得意先になってくれた店は、とことん面倒をみる。価格競争はしない。デザインで競うこともしない。「3足1000円の靴下」なんかで勝負はしない。あくまで、より良い品質の靴下を適正な価格で提供する。仕入れを値切ることはしたことがないし、支払日も守り通した。
品質にこだわった商品をつくっていくには、工場との信頼関係を築くのが一番大切。
いい本でした。今度、この店で靴下を買って、はいてみたいと思いました。
(2016年5月刊。1800円+税)

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