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カテゴリー: 社会

きばれ長崎ブラバンガールズ

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 藤重 佳久・オザワ部長 、 出版 学研 
福岡の精華女子高校の吹奏楽は私も一度だけ見聞したことがあります。そのマーチングしながらの吹奏楽には、つい見とれてしまいました。その精華女子高の吹奏学部を全国屈指の名門校に押し上げた指導者が定年退職し、長崎の活水高校に移り、そこでも吹奏学部を指導して、またたく間に九州大会を勝ち抜いて全国大会へ出場したというのです。すごいです。
この本には、そこに至る苦労が女子高校生たちの思いとともに明かされています。読み物としても、本当によく出来ています。幕明け前の心理状況そして、演奏が始まってからの音楽の推移が豊かに再現されていきます。その筆力にも圧倒されます。
その指導者の名前は、藤重佳久。実は初心者が大切。演奏は半年がんばったら、どうにか一人前まで成長できる。先輩が初心者の面倒をみることで、バンド全体の力が上がってくる。人間関係も良くなる。初心者でもやれるという可能性を生徒にも周囲の人々も見せてやりたい。
活水には、精華からの転校生もいたし、東京からやってきた生徒もいた。そして、人数が足りないのを中学生が補った。
マーチングは体を動かすので、非常に健康的。そして動きを視覚的にとらえられる。これは重要なこと。座奏は基本的に音だけで、聴覚の世界。目には見えない。形もなければ、言葉も、具体的なものもない。ところが、マーチングでは、音楽と連動した動きによって、視覚と体で具体的に取り組むことができる。生徒の姿勢も表情も良くなる。それに、お客さんも喜んでくれる。やはり動きがあったほうが目で見え楽しめるし、分かりやすい。
つくろうとしているのは、うねるような、しなやかな音楽。
音楽はデジタルではない。一定でないところに音楽の面白さ、人間らしさがある。
コンサートでは、まず演奏者が楽しんで演奏すること。そして、作品を完成させ、その感動を観客に伝え、楽しんでもらう。これが何より大切。
コンクールも、コンサートのように人を楽しませ、自分たちも楽しむ。これが基本。
笑い顔がいい。それは、口のまわりの筋肉をもっともうまく使える形だから。演奏が非常にフレキシブルで楽になり、ハイトーンも低い音も出るようになる。
演奏が上手な生徒は、生活態度もきちんとしていて、真面目。上手な人のやり方を真似ること、観察して盗んで自分のものにすることが必要。
コンクールで良い成績を収めるより、人柄の良い人間として育ってほしい。そのためには、たくさんの人間のなかでもまれる必要がある。社会に出てからでは遅い。
相手が喜ぶ演奏をする。相手に伝わる音楽をすることが大切。思いやりがあるから、良い演奏ができる。
女子高生に接するときには、決して嫌われないこと、必ず平等に接すること。まんべんなく全員に目配りし、差をつけず、一人ひとりに声をかけるのが大切。
良い音楽を奏でる生徒は共通している。性格が明朗活発で、元気がいい。声も大きい。それだけ日常においても表現力が豊かだ。日常の表現力と音楽の表現力はリンクしている。
ここまで読んでくれば、いちどぜひ活水のブラスバンドとマーチングを見て聞きたいですよね。読んで元気の出る、いい本でした。
(2016年5月刊。1300円+税)

安保法制を語る!自衛隊員・NGOからの発言

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 飯島 滋明・佐伯奈津子ほか、 出版  現代人文社
 アフリカ(南スーダン)にいる日本の自衛隊員がついに戦争に巻き込まれようとしています。「平和な国・ニッポン」という貴重なブランドが今はがされようとしているのです。残念です。
 安保法制が日本国憲法9条を踏みにじるものであることは、最高裁の元長官や内閣法制局の元長官、憲法学者のほとんどが声を大にして叫んでいます。
 この本では、「戦地」へ行かされる自衛隊員や危険な紛争地帯で活動しているNGOの活動家が切々と訴えています。
自衛隊内では思想教育がなされていて、共産党や自衛隊を敵視するものは敵だと教え込まれる。選挙が間近になると、「自民党に入れろ」と言われる。
自衛隊は、海外で軍隊として扱われない。ジュネーブ条約やハーグ条約の捕虜規定が適用されない武装集団である。だから、どんな殺され方をしても、そのひどさを国際刑事裁判所に訴え出ることはできない。
 そして、戦死しても生命保険の対象外になる。イラク特措法では最高9000万円だったが、今は6000万円が最高額。そして、どんな場合が最高額になるのか、明確な基準はない。
予備自衛官は、1年間に5日間、訓練に参加する。1日8100円が支給され、別に月4000円の手当が出る。
防衛大学では、1ヶ月に11万円近い学生手当とボーナスが年に33万円9千円をもらえる。
 アフリカで日本人が殺し、殺されることが、なぜ「日本を守る」ことになるのか、とても理解しがたい。むしろ、テロを日本国内に誘引してしまう危険のほうが現実化するだろう。
現役の自衛隊員は、なかなか声を上げられないので、退職者が代弁している本です。この視点も欠かせないと思いました。
(2016年5月刊。1500円+税)

悪夢の超特急・リニア中央新幹線

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 樫田 秀樹 、 出版  旬報社
リニア中央新幹線って、日本にとって百害あって一利なし、ですよね。そんなこと、詳しく知るまでもなく、一見明白だと思います。だって、東京と大阪を2時間ちょっとで行けるというのに、それを1時間に短縮して何が変わるというのですか。
ところが、この本を読むと、莫大な国家経済の損失というだけでなく、放射能汚染をまき散らしたり、電磁波被害を拡散させたり、自然環境を破壊したり、とんでもない巨悪の計画だということが如実に示されています。
こんな計画は直ちにストップさせるべきです。
なぜ、時速500キロでなければいけないのでしょうか。運転士はおらず、事故にあったとき、乗客が仮に無事だったとしても、何キロも歩いて脱出口を目ざさなくてはなりません。
岐阜県では、日本最大のウラン鉱床地帯にトンネルを開ける可能性がある。
新幹線の3倍以上の電力を消費するので、それこそ原子力発電所を必要としてしまう。
強力な電磁石を使用することから電磁波が発生する。それによる人体への悪影響が心配される。
すでに2兆2千億円もの借金がある会社が、さらに9兆円もの事業に乗り出すことには大きな疑問がある。
ところが、一般のマスコミはリニア新幹線のかかえる問題を報道しようとしない。
いやはや、とんだ税金のムダづかいであり、国民の安全と健康無視の計画です。ゼネコンと一部政治家・暴力団のために日本という国が動いていることを実感させられます。こんなムダづかいを止めたら、もっと福祉や教育、人材育成にお金をつかえます。日本という国の流れを早く変える必要があります。
(2016年8月刊。1600円+税)

ルポ・ニッポン絶望工場

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 出井 康博 、 出版  講談社α新書
 日本に暮らす外国人は223万人。昨年より11万人が増えた。この外国人の半分以上が実習生と留学生。実習生は19万3千人(15%増)、留学生は24万7千人(15%増)。
日本語学校は、日本語のできない留学生も大歓迎。初年度の学費が70万円。半年分の寮費18万円(月3万円)も前払い。月3万円の寮は、風呂もトイレ、台所もない6畳間に3人が詰め込まれる。
ベトナム人留学生は、2010年に5000人だったのが、2015年には5万人。
 2015年にベトナム人の検挙件数は3315件で、前年比3割増。在日外国人の7%でしかないベトナム人が4分の1の犯罪を占め、中国人より多い。窃盗は34%、万引きは57%がベトナム人の犯行。
ベトナムでは、日本留学ブームの真只中にある。日本への留学は、欧米にない特徴がある。それは留学生でも、簡単にアルバイトが見つかること。
3.11福島第一原発事故のあと、中国と韓国からの留学生は減少したまま。いま増えているのは、ベトナムとネパール出身者。ベトナム人5万人、ネパール人2万人。
ベトナムからの出稼ぎを受け入れているのは、台湾、韓国そして日本くらい。ベトナムから日本にやってくるとき150万円ほどの費用がかかり、それを借金してやってくる。借金を返さないと、担保に入れた畑や家を没収されるから、日本で奴隷労働を続けるしかない。
ベトナム人留学生の多いのは九州に本部をもつN大学(日本経済大学のことでしょうか・・・)。このN大学は、出稼ぎ目的の偽装留学生で成り立つ大学なのだ。
フィリピン人の介護士、看護師の受け入れはうまくすすんでいない。日本語の国家試験を受けて合格しなければいけないのだが、その合格率が低い。
これまで来日した介護士は2000人をこえるが、国家試験に合格した介護士は400人ほどでしかない。2009年、インドネシア人看護師82人が受験したが、合格者はゼロ。2010年に、やっと3人が合格した。日本語のハードルは高い。
ブラジルからの日系人は、32万人いたが、今では17万人ほど。フィリピン人のほうが23万人で、上回っている。その多くは、「日系ビザ」で来日する日系フィリピン人。
著者は、「留学生30万人計画」は即刻中止すべきだと主張しています。出稼ぎ目的の留学生が歓迎される国は世界のなかで日本だけ。
日本人がやりたがらない仕事(きつい、やすい仕事)を留学生にさせるなんておかしいですよね、たしかに。いろいろ考えさせられる本でした。
(2016年7月刊。840円+税)

ルポ・保健室

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 秋山 千佳 、 出版  朝日新書
いまほど学校に保健室が必要なときはない。この本を読んで痛感させられました。
子どもたちが、もっと家庭で、学校で大切にしてもらっていれば、保健室の必要性はそれほどでもないのでしょう。でも、働く若者が使い捨てされる社会の仕組みが強固なものになっていて、生存競争を勝ち抜いた強者のみがのさばる世の中ですから、弱者の代表たる子どもたちにひずみがいくのは必至でしょう・・・。
生徒に学校で好きな場所アンケートをとると、保健室とトイレの人気が突出している。それだけ、子どもにとって自分の教室は緊張を強いられる場所なのだ。保健室は、子どもにとって大人から成績で評価されない、否定されることのない貴重な場所になっている。
子どもたちは苦しいことがあると、安らぎを求めて保健室へ吸い寄せられる。とはいえ、はじめから自分の悩みを差し出すわけではなく、お腹が痛い、熱っぽいとか体調不良を訴え、あるいはただ雑談する。
養護教諭は、そんな子どもたちの発するSOSの小さなサインに目を光らせる。そして他愛もない話から、子どもたちの抱え込んでいる悩みを探り、引き出していく。
一年中、マスクを手放せない「マスク依存」の子が少なからずいる。それは、自信のなさの表れ。顔をさらすのを怖がっている。貧しくなくても、いろんな理由からマスクで顔を覆う子がいる。
保健室に来るのは、先生たちからあまり良く思われていない生徒が多い。
LINEでのいじめ、スマホの使い方は、保護者より子どものほうが詳しく、ルール決めが不十分な家庭が多い。その対応に自信がなくても心配無用。相談を受けるときの根幹は、その教師が信用できるかというアナログなものだから・・・。
私は、今もガラケーひとつですし、いつもカバンの底に入れています。スマホなんて使う気もありません。それでも今のところは十分生きていけます。
保健室は社会の鏡。というより、実際には、子どもが社会の鏡で、その子どもの様子がよく見えるのが保健室だということ。
子どもたちを取り巻く社会と学校の深刻な状況の一端がよく分かる本でした。
(2016年8月刊。780円+税)

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